バーチャルオフィスでも法人口座は開設できる?審査の傾向と対策を解説
バーチャルオフィスで法人口座は開設できるが、審査は厳しい傾向に

起業する際にバーチャルオフィスの利用を検討している人もいるでしょう。しかし、法人口座を作りたい場合は不利になる可能性があります。
バーチャルオフィスでも法人口座の開設は可能ですが、賃貸オフィスと比較すると審査が厳しい傾向です。
そこで今回は、バーチャルオフィスの活用で法人口座の審査が厳しくなりやすい理由や審査に強いバーチャルオフィスの特徴、口座開設をしやすくするポイントなどを解説していきます。
バーチャルオフィスの活用を検討している人や法人口座開設の疑問を解決したい人は、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
バーチャルオフィスで法人口座開設が厳しくなりやすい理由

なぜ、バーチャルオフィスだと法人口座の開設が厳しくなりやすいのか、その理由を解説していきます。
過去に法人口座が不正利用された事例があり、金融機関が慎重になっている
1つ目の理由は、過去に不正利用された事例があるためです。バーチャルオフィスだと、物理的にオフィスを持たなくても法人口座を開設できます。
低コストでオフィスを構えられる点が魅力ですが、そのメリットを悪用して詐欺やマネーロンダリングといった犯罪行為に使われるケースが過去に実際に起きています。
その結果、バーチャルオフィスは2008年の法改正によって、犯罪収益移転防止法の規制を受ける業種に指定されました。
2013年4月の改正では、全ての金融機関で本人確認や事業実態の確認などを厳格に実施することが義務付けられたため、法人口座の審査が厳しくなっているのです。
会社の実態や事業内容が確認しづらいと判断されやすい
金融機関が会社の実態や事業内容を確認しにくい点も審査が厳しくなっている理由の1つです。
バーチャルオフィスの性質上、実際にその住所で業務を遂行するケースは少ないです。
加えて賃貸オフィスと比較して移転が容易となるため、金融機関は事業の実態を把握しにくくなります。
実態や事業内容が確認しにくければ、口座を悪用されるリスクがあると判断されるため、口座開設が難しくなるのは当たり前のことです。
審査が通りにくくなる要因なので、法人口座開設時には注意してください。
【金融機関別】バーチャルオフィスでの法人口座開設難易度を比較

金融機関の種類によって、バーチャルオフィスでの法人口座開設の難易度は異なります。それぞれの審査の傾向を紹介していきます。
ネット銀行:比較的柔軟で申し込みしやすい
実店舗を持たず、オンラインでサービスを提供しているのがネット銀行です。
審査の難易度は比較的低いため、バーチャルオフィス活用時にはネット銀行を活用する人が多い傾向です。
なぜ、ネット銀行での口座開設が多いのか、その背景としては振込手数料を中心に収益を上げるビジネスモデルを採用している点が挙げられます。
融資を受けられるほどの実績がない場合でも、問題なくサービスを利用できると金融機関が判断すれば、審査に通過できる可能性は十分にあります。
メガバンク:申込可能だが審査は慎重
メガバンクとは、巨大な資産規模と国内外に広範なネットワークを持っている大手都市銀行を指します。
具体的には、三菱UFJ銀行・三井住友銀・みずほ銀行が3大メガバンクと言われています。
メガバンクだからといって、バーチャルオフィスでの口座開設は拒否されることはありません。実際に3大メガバンクではバーチャルオフィスでの法人口座開設実績があります。
しかし、審査では法人の収益性が確認される可能性があるので、実績のない起業直後の法人であると審査が厳しい傾向です。
実績の有無を含めて、口座開設を検討してみてください。
地方銀行:地域とのつながりや事業実態を重視する傾向
特定の都道府県を営業基盤として、地域密着型でサービスを提供している民間銀行を地方銀行と言います。
地域住民や地元中小企業と強固な関係を築いている傾向にあり、地元企業と連携した観光振興や地域商社設立など、地域社会の活性化に積極的な特徴があります。
法人口座の開設も行っていますが、地方銀行では各行によってバーチャルオフィスでの口座開設の取り扱いが異なる点に注意が必要です。
銀行によって、バーチャルオフィスでの口座開設を認めているところもあれば、認めていないところもあります。
スムーズな開設のためにも、事前に口座開設を依頼したい銀行に問い合わせてみてください。
信用金庫:対面重視のため、バーチャルオフィスでは苦戦しやすい
地域の中小企業や個人が会員となって互いに地域社会の発展を目指す地域密着型の非営利金融機関を信用金庫と言います。
利用者の利益や地域経済の発展を目的にサービスを提供している特徴があります。
地域密着型の信金においては、対面や実態を重視しているためバーチャルオフィスでの法人口座開設は難しい傾向です。
一部の信用金庫では開設可能なケースもありますが、審査が厳しいため難易度は高いです。一度問い合わせをしてから口座開設を検討してみてください。
【選定基準】法人口座開設時の審査に強いバーチャルオフィスの特徴

法人口座開設の可能性を高くするためにも、審査に強いバーチャルオフィスの特徴を紹介していきます。
過去に同じ住所で多くの法人口座開設の実績が豊富
法人口座開設の実績が豊富であれば、開設できる可能性が高まります。
実績が豊富だと、金融機関の要件をよく理解しており、審査に必要な書類や手続きに関するアドバイスなどが貰える可能性もあります。
金融機関と良好な関係を気付いているケースもあるため、スムーズな開設を目指せるでしょう。
実績に関しては、バーチャルオフィスのWebサイトを確認してみてください。アピールポイントとして実績を掲載しているオフィスは多く、オフィス選びの参考になります。
公開していない場合は、利用者に話を聞く他、口コミをチェックして調査してみてください。
運営元が大手または上場企業で信頼性が高い
事業内容や提出した書類に不備がなくても、バーチャルオフィスの信頼性が低ければ審査には通過できません。
そのため、バーチャルオフィス選びでは運営元をチェックすると、開設の可能性をアップできます。
バーチャルオフィスの運営元が大手、もしくは上場企業だと信頼性が高いため、審査にも良い影響を与えます。
運営実績が長いバーチャルオフィスも、ノウハウを蓄積しており安定したサービスの提供を続けている証拠となるため、開設のしやすさに影響を与える要因の1つです。
銀行との提携・紹介制度(紹介状の発行など)がある
バーチャルオフィスによっては、金融機関と連携しているケースがあります。
法人口座を開設したい場合、バーチャルオフィス経由で申し込みができるため、スムーズに手続きができるだけではなく、開設できる確率もアップします。
ただし、紹介状の発行を受けたからといって確実に口座が開設できるわけではありません。通常通り審査は行われるため、必要書類の準備を忘れずに行ってください。
都心の一等地など、ビジネス上の利便性が高い住所
バーチャルオフィスのある住所も審査に影響を与えます。
誰もが知っているような一等地の住所を提供しているバーチャルオフィスであれば、法人口座の開設がしやすくなります。
もちろん、住所だけで審査が通過するわけではありませんが、金融機関からの印象がアップするでしょう。
加えて、取引先や顧客からの印象も良くなり、信用獲得にもつながります。
事業運営にも良い影響があるため、法人口座を開設する際には一等地の住所を持つバーチャルオフィスの活用を検討してみてください。
バーチャルオフィスでも法人口座を開設しやすくなるポイント

次に、法人口座を開設しやすくするポイントを6つ紹介していきます。スムーズに手続きを進めるためにも参考にしてみてください。
事業実態や事業内容を明確にする
審査の過程では、事業実態や事業内容の確認が行われます。
実態が不明瞭だったり、事業展開はバーチャルオフィスでは非現実的だったりすると、金融機関から疑念を抱かれてしまいます。
審査では金融機関の担当者から質問が行われるため、「どんな事業を実施しているのか」「どんな商品を取り扱っているのか」「どんなサービスを提供しているのか」などを明確に説明できるよう準備を進めてください。
その際には、具体的な資料を用意するのもおすすめです。会社案内が記載されているパンフレットや見積書、商品のサンプルなどを持参すると、内容を説明しやすいです。
取引先との契約書や領収書、納品書などがあると、申請時のプレゼンテーションで事業の収支を説明しやすくなるので、加えて用意しておきましょう。
不備のない状態で必要書類を提出する
口座を開設する際には書類の提出が必須です。用意する書類の一例は以下の通りです。
-
- 履歴事項全部証明書
- 印鑑証明書
- 会社定款
- 代表者の身分証明書
- 官公庁から発行された免許や許認可
必要書類は各金融機関によって異なります。事前にWebサイトをチェックするか、電話をして問い合わせてみてください。
書類に不備があれば、信頼性に欠けるとみなされて審査に通過しにくくなってしまいます。
申込書との整合性も重要となるため、ミスのないよう十分に確認してから提出してください。
資本金は出所を明確にし、一定の事業準備資金を示す
法人を設立する際に株主が出資したお金の総額を資本金と言います。
資本金は1円でも会社を設立できますが、低すぎると「事業をする気がない」と判断されるため、審査に影響を与えてしまいます。
100万円以上を用意しておくのが理想的ですが、その際は出所を明確にすることもポイントです。
「誰がいくら出資をしたのか」を明確にするためにも、通帳のコピーや振込証明書などを用意しておくと、審査の通過に良い影響を与えるでしょう。
Webサイトや会社概要を事前に用意する
法人口座開設の際には、Webサイトや会社概要を事前に用意するのも大切です。会社概要を明確にしたWebサイトは、事業実態を証明する書類と同じ役割を持ちます。
トップページのみ、ブログのみだと審査対象としては認められないため、最低でも以下の情報を記載したページを作成しておくと安心です。
-
- 会社の基本情報
- 代表取締役の情報
- 事業内容
これらが記載されていれば、「しっかりと運営をしている会社」だと認識されやすくなります。
複数の金融機関に並行して申し込む
法人口座開設では、1つの銀行だけではなく複数の金融機関に申し込みをするのも口座開設の確立を上げるポイントとなります。
各銀行によって審査方法や審査の基準に違いがあるため、Aの銀行では審査に落ちた場合でも、Bの銀行では審査に通過できる可能性があります。
Aの銀行に申し込んで結果を待った後に別の銀行に申し込む方法では多くの時間がかかるため、複数の金融機関に並行して申し込むのがおすすめです。
固定電話や郵便転送など補足材料を調える
法人口座の開設時に固定電話を用意するのもおすすめです。会社の代表電話で携帯電話の番号を使うと、事務所の実態が不明瞭だと判断されやすいです。
しかし、固定電話であれば実態の把握に役立ち、且つ電話の傍受やハッキングのリスクがないというメリットもあります。
ビジネスを始めるにあたって有利なポイントとなるため、固定電話の導入も検討してみてください。
また、郵便転送サービスの準備も事前に行ってください。転送サービスとは、バーチャルオフィスに届いた郵便物を自宅や指定した住所に転送してくれるサービスです。
口座開設の際には、銀行から重要書類が郵送されるケースもあります。そのため、事前に転送体制が整っていると書類受取りの不備を避けられるようになります。
バーチャルオフィスの法人口座に関するよくある質問(Q&A)

最後に、法人口座をスムーズに作るためにも、バーチャルオフィスの法人口座に関するさまざまな疑問を解決していきます。
バーチャルオフィスだけを理由に法人口座は作れないの?
バーチャルオフィスだからといって、必ず法人口座を作れないわけではありません。実際に、バーチャルオフィスで法人口座を開設している法人もあります。
ただし、金融機関側は「会社の実態が確認しづらい」と判断しやすいため、通常のオフィスより慎重に審査される傾向があります。
住所だけでなく、事業内容・Webサイト・資本金・必要書類の整合性など、総合的に見られると考えておきましょう。
固定電話がないと審査で不利になる?
固定電話がないからといって、法人口座の開設が不可能になるわけではありません。
近年は携帯電話番号のみで事業を運営する法人も多く、ネット銀行を中心に固定電話なしでも申し込みできるケースはあります。
ただし、固定電話があると「事業実態がある会社」として見られやすくなる場合もあるため、審査上の補足材料になることがあります。
特にバーチャルオフィス利用時は、固定電話があると安心材料の1つになりやすいでしょう。
ホームページがなくても申し込める?
ホームページがなくても、法人口座の申し込み自体は可能な場合があります。
ただし、バーチャルオフィスを利用している場合は、会社の実態や事業内容を補足できる情報が少ないと判断されやすいため、ホームページがないと不利になることがあるでしょう。
簡易的なものであっても、事業内容・所在地・連絡先・代表者名・サービス内容などを掲載したWebサイトやLPを用意しておくと、審査時の説明資料として役立ちます。
資本金1円や10万円でも法人口座は作れる?
会社法上は、資本金1円や10万円でも法人設立は可能です。そのため、資本金が少額でも法人口座の申し込み自体はできます。
ただし、銀行の審査では「事業の継続性」や「実際に事業を始める準備ができているか」が見られるため、資本金が極端に少ないと慎重に見られることがあります。
特にバーチャルオフィス利用時は、資本金の額だけでなく、出所が明確か、事業計画や必要書類がそろっているかもあわせて重要になります。
まとめ・バーチャルオフィスでも対策次第で法人口座は開設できる!
バーチャルオフィスだと法人口座の開設は難しいと考える人もいますが、対策次第で開設は可能です。事業の実態や事業内容を明確にし、書類も不備のないように用意してください。
また、金融機関によって審査の難易度も異なるため、特徴を理解して自分に合う銀行を選ぶことが大切です。
創業手帳(冊子版)では、今回紹介した内容以外にも、バーチャルオフィスや法人口座に関する情報を多数掲載しています。起業や事業継続に役立つ内容となっているため、ぜひ参考にしてみてください。
(編集:創業手帳編集部)
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