株式会社の登録免許税はなぜ高い?合同会社と費用差がある理由を解説!

会社を設立するには登録免許税が必要


会社設立を検討する上で重要なポイントの1つに資金計画が挙げられます。設立費用について理解することで、計画的に資金を用意することが可能です。
なかでも、「登録免許税」は、会社を設立する際に必ず発生する費用の1つです。
しかし、予想よりも高い費用となり、「なぜ高いのか」「他の会社形態で設立した方が良いのでは?」などと疑問を抱く人もいるでしょう。

そこで今回は、株式会社の登録免許税が高い理由や高くても株式会社を設立するメリット、費用を抑える方法などを解説していきます。
登録免許税以外でかかる費用についても紹介していくので、具体的な資金計画を立てようと考えている人や会社設立を検討している人は、ぜひ参考にしてください。

株式会社の登録免許税はなぜ高いのか?考えられる理由


株式会社の登録免許税が高い理由として以下が考えられます。株式会社ならではのメリットとも言える上記2つの理由を具体的に解説していきます。

社会的な重要性が高いため

株式会社の強みとして「社会的重要性の高さ」が挙げられます。
株式会社は、登記をする際に厳格な手続きが求められるだけではなく、決算公告の義務もあります。
そのため、透明性が高く一般的にも信用度が高いと判断されやすいです。

また、取引先といった関係者が多くなりやすい法人形態である点も社会的な重要度が高まる理由の1つです。
加えて、株式会社は上場することで自社の株式を証券取引所で自由に売買できるようになります。
上場は、株式会社を設立すればどの会社でもできることではありません。
売上を成長させ続けた上で、経営体制や業務フローなどを厳格に整備に、厳しい審査をクリアする必要もあります。

そのため、会社が上場しただけでも「安定した売上がある会社」「ちゃんとしている会社」というイメージを持たれるため、社会的信用度や重要度が高くなります。

将来的な資金調達を想定した法人形態のため

「将来的な資金調達を想定した法人携帯」である点も、株式会社の登録免許税が高い理由の1つとして挙げられます。
株式会社は、他の会社形態と比較すると幅広い資金調達方法があります。

  • 金融機関からの融資
  • 社債の発行
  • 株式の発行

株式の発行においては、返済義務のない資金を投資家から調達することが可能です。
ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家から、数億円規模の資金を調達できる可能性もあります。
他の会社形態よりも幅広く一般から資金を集めることができ、経済活動においても大きな影響力を持つため、他の法人形態よりも設立時のハードルが高くなっていると考えられます。

会社設立にかかる登録免許税


会社を設立する際には、具体的にどの程度の登録免許税がかかるのか解説していきます。
株式会社、合同会社それぞれの免許税を紹介するので、資金計画の参考にしてください。

株式会社

株式会社を設立する場合、資本金の額に応じて登録免許税は異なります。
資本金の0.7%が登録免許税として課税される仕組みですが、計算額が15万円に満たない場合には最低額の15万円が適用されます。

例えば、資本金1,000万円で会社を設立する場合、1,000万円×0.7%で計算上は70,000円が登録免許税となりますが、最低額の15万円に満たないため、15万円が免許税として必要です。

資本金が約2,143万円以上になると、15万円を超える額となるため、その際には計算式に基づいた額が適用されます。

合同会社

出資者がそのまま経営者となる所有と経営が一致した法人形態を合同会社と言います。
株主総会といった機関設計が不要で、出資者同士の合意のみで迅速な決定ができる点が大きな特徴です。
また、合同会社の特徴として株式会社と比較すると登録免許税が低コストである点も挙げられます。

具体的には、合同会社の登録免許税は60,000円です。
ただし、株式会社と同様に基本的に資本金の0.7%が課税されるので、資本金が約857万円を超える場合は6万円以上になります。
したがって、初期コストを抑えたい人に選ばれやすい会社形態です。

登録免許税が高くても株式会社を設立するメリット


登録免許税が高くても、株式会社を設立するメリットとして以下が挙げられます。それぞれを具体的に解説していきます。

取引先からの信用を得やすい

事業者としての信用度が大幅に向上する点は株式会社を設立するメリットの1つです。
社会的な認知度が高く、法令による厳しい管理が義務付けられているため、個人事業主や合同会社と比べて取引先や金融機関から信頼を得やすい特徴があります。

総会の決議や決算公示など、遵守するルールが非常に多く、設立までのハードルも高いため、「株式会社を設立して実際に経営を続けている」という事実だけでも一定の信頼につながります。
ビジネスを進める上で信頼や信用を得ることは重要なポイントです。
取引先からの理解を得られれば、安心して取引を続けてもらえるため、事業展開や発展にも影響を与えます。

株式発行で資金調達ができる

前述したように、株式会社は他の会社形態と比較すると資金調達の幅が広くなります。
一般的に、資金を集める手段として挙げられるのが「銀行からの融資」です。条件をクリアし、信用を得ることで一定額を貸してもらえますが、返済が必要となります。

しかし、株式会社であれば別の方法でも資金調達が可能です。その1つが「株式の発行」です。株式を発行すれば多くの投資家からの出資を募ることができます。
調達した資金は返済する必要がないため、安定的な資金運用が可能です。

将来的に事業承継・M&Aを選択しやすい

株式会社は、所有権が株式という形で明確に分割されているので、事業承継やM&Aがスムーズに行える点がメリットです。
株式を譲渡するだけで権利の移転が可能となるため、法的なトラブルを最小限に抑えやすい特徴があります。

また、株式会社は法人格を持っているため、代表者が変更しても会社としての契約や信用が継続されます。
これは、代表者の死去や退任によって事業が終了することを避けられる大きな利点の1つです。
いずれ、事業承継やM&Aを選択肢に入れている場合は、株式会社の設立を検討してみてください。

「特定創業支援等事業」で登録免許税の軽減措置が受けられる


株式会社を設立したくても、登録免許税の高さで思い悩んでしまう人も中にはいます。
少しでもコストを抑えたいのであれば、「特定創業支援等事業」の活用を検討してみてください。

特定創業支援等事業による軽減措置とは

特定創業支援等事業とは、市区町村が民間の支援機関と連携して実施している創業者向けの継続的な経営サポートです。
創業塾やセミナーなどが実施されており、参加をすることで市区町村から証明書を受け取ると、法人設立時に必要な登録免許税が半額になる優遇措置を受けられます。

そのため、株式会社を設立する際に15万円の登録免許税が必要だった場合、特定創業支援等事業を活用すれば半額の75,000円に減額される仕組みです。

登録免許税以外の優遇措置

特定創業支援等事業では、登録免許税以外にも様々な優遇措置があります。

・創業関連保証特例活用時の優遇
信用保証協会の創業関連保証を事業開始の6カ月前から利用可能になります。通常であれば、事業開始2カ月前からが対象です。市区町村によっては、保証料の一部を補助してくれるサポートも受けられます。

・日本政策金融公庫の融資制度優遇
新規開業・スタートアップ支援資金の融資で、年齢やセミナーの受講などの条件により特別利率が適用されます。
税務申告を2期終えていない方の場合、特別利率Aは3.05~4.75%(2026年6月1日時点)です。

・持続化補助金「創業型」の申請対象
創業後1年以内の小規模事業者の販路開拓等の取り組みを支援する持続化補助金「創業型」の申請対象になります。※
通常枠の補助上限は50万円となっていますが、2026年12月締め切りの創業型の第4回公募の場合、補助上限は200万円(補助率2/3)です。
インボイス特例の対象事業者はさらに50万円が上乗せされ、最大250万円の補助を受けられる可能性があります。
※申請には、認定市区町村等が実施する「特定創業支援等事業による支援」を受けたことの証明書が必要です。

また、上記以外にも市区町村によっては補助金や融資など、さらなる支援を設けているため、一度相談してみてください。

特定創業支援等事業を受けるための要件

特定創業支援等事業の条件は以下の通りです。

1.これから事業を開業する個人や会社を設立して発起人や代表者になる人
2.開業や会社を設立してから5年経過していない人
3.中小企業者が現在の事業を継続しつつ、新しく会社を設立する場合や当該新会社設立後、5年を経過していない場合

上記③の場合は、登録免許税の軽減は受けられないため注意してください。

また、特定創業支援等事業の優遇措置を受けるためには、証明書をもらう必要があります。
その場合、市区町村ごとに用意されている面談やセミナー勉強会などを受けなければいけません。
多くの場合で、4回以上の継続した面談や受講が必要といったルールが設けられています。
証明書が発行されるまで、約2カ月の時間が必要になりますが、それほど高いハードルではありません。

株式会社の設立時に登録免許税以外でかかる費用


ここからは、株式会社を設立する際にかかる登録免許税以外の費用を紹介していきます。
必要となる費用は以下の通りです。それぞれ具体的に解説していきます。

定款認証費用

会社を設立する際には定款の作成が必須です。定款とは、会社や法人の目的、組織、活動などの基本的なルールを定めた規則書です。
会社の憲法とも言われるもので、会社設立時に必要な書類の中でも重要なものとなります。

定款の認証を受けるには定款認証費用と謄本手数料を支払う必要があります。
定款認証費用は15,000円~50,000円となっており、資本金額や条件によって異なります。
謄本手数料は、定款のページ数によって違いがあり、1枚あたり250円必要です。

収入印紙代

会社設立時に必要な収入印紙代は、主に定款を作成する際にかかる税金です。紙で行う定款を作成した場合には、収入印紙代が40,000円かかります。

ただし、オンラインで定款を作成して申請をする電子定款であれば収入印紙代は必要ありません。
少しでも費用を抑えたい場合には、電子定款を選択して作成しましょう。
その場合は、マイナンバーカードや専用ソフトを揃えるか、専門家に依頼して作成を進めることも可能です。

資本金

資本金とは、会社を設立する際の元手となる資金です。借入金のように返済義務のない純資産です。
法人を設立する場合は、資本金は1円以上用意しなければいけません。

1円でも設立は可能ですが、資本金は会社の財務的な安定性を示す目安として見られることが多いです。
取引先や金融機関からの評価にも関わるため、ある程度の額は用意しておく必要があります。
300万円~500万円が一般的な資本金と言われています。

印鑑作成・口座開設などの関連費用

会社を設立する際には、印鑑が必要です。必要な種類と役割は以下の通りです。

  • 会社実印:法務局に登録する印鑑で会社設立登記に必要
  • 銀行印:法人口座を開設する際に金融機関に届ける印鑑
  • 角印:請求書や領収書などの非地上業務で使用する角形の印鑑
  • ゴム印:会社名や住所、代表者名などをまとめたスタンプで手書きの手間を省ける

黒水牛やチタン、柘といった素材やセット内容によって費用は異なりますが、実印・銀行印・角印の3本セットで、約10,000円~30,000円前後です。

司法書士・行政書士への代行報酬

会社設立時に必要な書類の作成や申請などの手続きは、司法書士や行政書士、税理士といった専門家に代行してもらえます。
手続きにかかる負担を軽減できるので、「自分1人では難しい」「他の業務や作業で忙しい」といった場合に有効な手段です。

専門家に依頼する場合の費用は、50,000円~200,000円ほどが相場となっています。
費用はかかりますが、ミスの軽減や設立後のアフターフォローなど、様々なメリットを受けられます。
負担を抑えたい場合やメリットを受けたい場合には、活用を検討してみてください。

株式会社の登録免許税に関するよくある質問


最後に、株式会社の登録免許税に関する疑問を解決するためにも、よくある疑問とその回答例をみていきましょう。

登録免許税はいつ支払う?

登録免許税を支払うタイミングは、法務局に設立登記申請書を提出する時です。
登記審査という行政のサービスを受けるための前提となるため、申請と同時に支払いが完了している必要があります。

支払いの流れとしては以下の通りです。

1.定款の作成と認証
2.資本金の払い込み
3.登記申請書類の作成
4.登記申請時に登録免許税を支払う

登録免許税は経費にできる?

株式会社を設立する際にかかった法定費用や専門家への手数料などは全額経費計上可能です。
登録免許税に関しては、創立費や租税公課として計上できます。計上のタイミングによって勘定科目が異なるため注意してください。

  • 創立費:設立日よりも前に個人で立て替えて支払った場合
  • 租税公課:設立後に法人の口座から支払った場合や設立初年度に経費として処理する場合

まとめ・株式会社の登録免許税は“信用力への投資”と考えることが大切

登録免許税は、株式会社を設立する際に必ずかかる費用の1つです。金額は資本金の額によって異なります。
費用が高いデメリットがありますが、信用を得やすく資金調達の幅が広がるメリットがあります。
コストを抑えたい場合には、軽減措置や電子定款の利用を検討してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)