【2026年】IP360補助金とは?コンテンツ産業を支援する新制度の概要や支援メニューを徹底解説!
公募スケジュール・上限15億円の申請条件とは?

経済産業省では日本のコンテンツにおける海外での売上を2033年までに20兆円を目指す目標を掲げています。
その目標を達成するために誕生したのが「IP360補助金」です。9つのメニューで構成され、それぞれによって補助額や補助率が異なります。
そこで今回は、IP360補助金の概要について解説すると共に、全9つあるメニューやそれぞれの公募スケジュール、審査を勝ち抜くポイントなどを紹介していきます。申請を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
IP360補助金とは?日本発コンテンツの推進に向けた支援策

日本のコンテンツ産業を海外市場で成長させるための大型支援制度がIP360補助金です。
2033年までに日本のコンテンツの売上を海外市場で20兆円にする目標を実現するため、従来からある制作費の補助だけではなく、開発やマーケティング、翻訳やプラットフォームの構築など、IPのライフサイクル全般をサポートする点が特徴です。
IP360補助金のルール
IP360補助金を活用するためにも、まずは事業者が把握すべき共通のルールがあります。対象となるコンテンツの種類は以下の通りです。
-
- ゲーム
- アニメ
- マンガ
- 音楽
- 実写
キャラクターはアニメと同様に扱われ、小説といった文芸はマンガと同様、舞台に関しては音楽と同様の扱いとなります。ゲームに関しては、パソコンやモバイルなど、ジャンルは問いません。
ただし、成人向けのコンテンツや政治的、宗教的な宣伝意図のあるもの、誹謗中傷を含むものに関しては原則補助の対象外となるため注意してください。
また、対象となる取り組みは日本発コンテンツの海外市場獲得に直結するものです。具体的には、海外のファンに向けてのプロモーション多言語への翻訳・編集・監修(ローカライズ)、プラットフォームの構築など、幅広い特徴があります。
IP360補助金:全9メニューの補助上限・補助率

ここからは、IP360補助金の全メニューについて解説していきます。まずは、それぞれの概要や補助上限、補助率をまとめた表をチェックしてみてください。
| 支援メニュー | 概要 | 補助上限 | 補助率 |
| IP新規創出支援 (スタートアップ支援) |
新しくコンテンツの製作や開発に取り組む個人やチームが対象の支援策 | 1,000万円 | 1/2 |
| IP新規創出支援 (新規IP企画支援) |
過去に作品を手掛けた経験を持つ制作会社が新しいIPの企画を立ち上げる際の支援策 | 音楽:7,000万円 その他:2,000万円 |
1/2 |
| 大規模作品製作支援 (一般支援) |
世界的ヒットを狙え、海外向けの大規模作品の製作や開発を支援 | 15億円 | 1/2 |
| 大規模作品製作支援 (ロケ誘致支援) |
海外の映画やドラマといった大型映像作品を日本に誘致し国内での撮影やポストプロダクションを支援 | 15億円 | 1/2 |
| 流通プラットフォーム拡大支援 | 日本のコンテンツを海外に届けるための独自の流通網の強化や拡大を支援 | 30億円 | 1/2 |
| 開発プラットフォーム構築支援 | 高度な技術を活用した開発プラットフォームの構築を支援 | 1億円 | 1/2 |
| 海外展開支援 (IPエコシステム世界展開支援) |
同業種や異業種の複数のIPがまとまって海外展開するためのプロモーションを支援 | 4社以上10社以下の場合:1.5億円/者 11社以上の場合:2億円/件 |
1/2 |
| 海外展開支援 (ローカライズ支援) |
海外市場に展開する際のローカライズに対して費用の一部を補助 | 4,000万円 | 1/2 |
| 海外展開支援 (プロモーション支援) |
海外に向けたプロモーションにかかる費用の一部を補助 | 2,000万円 | 1/2 |
下記では、それぞれを具体的に解説していきます。
1:IP新規創出支援(スタートアップ支援)
新しくコンテンツ製作や開発に取り組み始める個人やチームが対象の支援策です。
事務局側で視聴率の高い発表の場を用意し、サポートをすることでスタートアップの成功を目指す内容となっています。
補助の対象となる主な経費は、プリプロダクション(企画)を始め、プロダクション(制作)やポストプロダクション、プロモーションなど全工程です。
企画から市場への投入まで一貫して費用をカバーできる点が特徴です。
2:IP新規創出支援(新規IP企画支援)
既にコンテンツ製作や開発に取り組んできた事業者を対象に、新しくIP企画を立ち上げる際に活用できる支援策です。
補助率は1/2、補助上限額はゲーム・アニメ・実写が2,000万円で音楽が7,000万円となっています。必要に応じて、部分的な前払いも可能です。
また、補助対象経費にも違いがあり、ゲーム・アニメ・実写はプリプロダクションのみで、音楽はプリプロダクションからプロモーションまでの全工程が対象です。
そのため、ミュージックビデオの制作や海外でのライブに必要なコストなど、幅広くカバーできる特徴があります。
3:大規模作品製作支援(一般支援)
ゲームやアニメ、実写の製作や開発事業者を対象に、海外展開を見据えた大規模なコンテンツ製作や開発をサポートする支援策です。
将来的に世界的にヒットする大型タイトルの製作と開発を強力に支援することで、日本初コンテンツの海外売上増大を目指します。
補助率は1/2で、補助上限額はMIN(8億円+平均売上×10%、15億円)です。平均売上は過去に公開された作品の売上上位3作品の平均売上が当てはまります。
補助対象経費は、プリプロダクションからプロモーションまでの全工程となり、製作や開発事業に関するデジタルや人材育成にかかった費用も対象です。
また、補助期間は2年となっており、最長で2028年2月末までとなっています。
4:大規模作品製作支援(ロケ誘致支援)
海外製作会社との共同もしくは受託を受けて実写作品を作る事業を対象に、世界的に話題となるコンテンツを生み出すための大規模なロケ撮影を誘致するため、国内でのロケ撮影や高度な編集作業を支援する制度です。
話題となる作品を日本で制作することで、観光誘致や消費拡大といった日本経済への波及効果に加え、日本の制作会社やクリエイターの技術力アップ、ノウハウの取得が主な目的です。
補助対象経費は、プロダクションとポストプロダクションとなっています。
審査では、国内の製作費が8億円以上、海外での配信が日本を除く1カ国以上、滞日する海外スタッフの数などが評価されます。
5:流通プラットフォーム拡大支援
これまで、日本発コンテンツを世界展開する際、配信は海外のプラットフォームに依存する傾向でした。
こうした状況を脱却するために、日本のプラットフォームで直販し、収益を再投資できる好循環を目指すために誕生した支援策です。
日本発コンテンツの国際的な流通プラットフォームを展開する事業者に対し、上限30億円の補助を行っています。補助対象となる経費は以下の通りです。
-
- 工程:ディストリビューション・ローカライゼーション
- 海外向け日本発コンテンツの供給量拡大:ローカライズ費
- 海外ファンの拡充:プロモーション費
- 利益最大化:相互誘客費
6:開発プラットフォーム構築支援
予想を上回るような人気作品を誕生させるためには高度な制作ツールが必要です。
コンテンツ産業全体の国際競争力強化に向け、高品質化や効率的な制作環境を構築することを目的に、開発プラットフォームの構築をサポートする支援策です。
AIやXR、ブロックチェーンなどの高度技術を活用することでサポートを受けられます。
そのため、コンテンツ制作で作業時間を短縮するためのツールを開発した場合やXR技術を用いてバーチャル制作環境を構築などをした場合が対象になります。
単にツールを導入するだけでなく、日本のコンテンツ制作環境そのものを進化させる基盤開発をサポートするのが特徴です。
7:海外展開支援(IPエコシステム世界展開支援)
日本発コンテンツを単体ではなく複数のIPが連携したエコシステムとして海外展開する取り組みを支援するのが海外展開支援(IPエコシステム世界展開支援)です。
コンテンツIPの権利者が主体となり、同業種や異業種の4社以上がまとまって海外イベントの主催や出展を行うプロジェクトが対象です。
広報物のローカライズに必要な費用を含めたプロモーション工程が補助対象経費となっており、参加企業に応じて1.5億円(4社~10社/者)から2億円(11社以上/件)を上限に補助されます。
審査で加点されるものとして、米国・英国・インドネシア・インドといった国が指定する展開国やイベントへの参加、さらには制作中の作品を含むIPの数などが挙げられます。
8:海外展開支援(ローカライズ支援)
自社で権利を保有するコンテンツIPを、個社(単独)で海外展開する際のローカライズ費用をサポートするのが海外展開支援(ローカライズ支援)です。
高品質なローカライズを通じて、外国ユーザーのファンを効果的に拡大することが目的です。
補助対象経費はローカライゼーションの工程で、翻訳・編集・監修などが当てはまり、補助上限は4,000万円(補助率1/2)です。
審査では、ローカライズする「作品数×言語数」のボリュームや、想定される海外売上高などが評価ポイントとなります。
9:海外展開支援(プロモーション支援)
自社で権利を保有するコンテンツIPを、個社(単独)で海外展開する際のプロモーション費用をサポートするのが海外展開支援(プロモーション支援)です。
対象者はIPを保有する法人で、対象分野はゲーム・アニメ・マンガ・音楽・実写です。
審査においては、プロモーションをするIPの数や中堅企業・中小企業であること、展開国や想定海外ユーザー数などが基準となっています。
補助対象経費は、広報物のローカライズに必要な費用を含めたプロモーション工程にかかる費用です。
なお、事務局はより効果的な海外展開のために、複数社が連携する『IPエコシステム世界展開支援(メニュー7)』の活用を推奨している点も、検討時のポイントとなります。
IP360補助金:メニュー別・公募スケジュール最新状況

次に、IP360補助金の公募スケジュールをみていきます。メニューによって異なるので、あらかじめ確認しておきましょう。
1・2(IP新規創出):一部6月30日より公募開始予定
IP新規創出支援(スタートアップ支援)に関しては予算を超過したため第2回以降の公募は実施されません。
IP新規創出支援(新規IP企画支援:音楽分野以外)に関しては、6月30日(火)より第2回の公募が予定されています。
公募要領や申請フォーマット等は、第1回から微修正が入る可能性がありますので、ホームページにて内容を確認しておきましょう。
3・4・5・6(大規模製作等・基盤構築支援):第1回終了、第2回は6月末開始予定
大規模作品製作支援(一般支援)、大規模作品製作支援(ロケ誘致支援)、流通プラットフォーム拡大支援、開発プラットフォーム構築支援の4つの支援策は、第1回目の公募締切りが2026年4月30日となっており、既に終了しています。
しかし、大規模作品製作支援(ロケ誘致支援)、開発プラットフォーム構築支援については第2回が決定しており、公募開始は2026年の6月30日(火)を予定しています。
締切りは約2~3週間後の7月下旬頃となっているため、必要書類などをまとめて用意しておくと、スムーズな申請が可能です。
また、大規模作品製作支援(一般支援)や流通プラットフォーム拡大支援については予算を超過したため第2回以降の公募は実施されません。
7・8・9(海外展開支援):3ヶ月周期の定期公募でチャンス継続
海外展開支援(IPエコシステム世界展開支援・ ローカライズ支援・プロモーション支援)の3つの支援策は、第1回目が2026年3月10日から公募をスタートし、既に締め切られています。
第2回目の公募も、2026年5月末頃開始され、6月19日に締め切りとなっています。
おおよそ3カ月周期で実施されているため、第1回目を逃した場合でもまだ申請するチャンスが残っています。
詳しいスケジュールに関しては、経済産業省のホームページにある「コンテンツ産業支援メニュー」を随時チェックしておきましょう。
IP360補助金の審査を勝ち抜くポイント

次に、審査を勝ち抜くための申請方法や審査のポイントなどを解説していきます。
申請方法や申請に必要な書類
IP360補助金の申請は、原則として経済産業省が指定しているjGrants(電子申請システム)を通じて行われています。
GビズIDの事前登録が必要です。
取得するまでには1週間ほどの期間がかかるため、早めに取得しておくと、スムーズな申請を目指せます。
申請に必要な書類は、IP360補助金のメニューによって異なります。
主に、申請書や誓約書、事業計画書や履歴事項全部証明書などが必要で、IP新規創出支援(新規IP企画支援)ではポートフォリオも必要です。
前もって必要なものを把握し、準備を進めておきましょう。
審査のポイント
補助金を受けるためには審査を通過しなければいけません。そこで重要となるのが「ROI」や「過去の実績」です。
下記で詳しく解説していきます。
①【最重要】ROI(投資対効果)に基づく合理的評価
単に要件を満たしているだけではなく、「補助金を活用することで、売上や投資額がどれだけ上乗せできるか」を算出し、高いROIが見込めた方が優先的に加点や採択される仕組みです。
-
- 売上高ROI:補助金を入れることで、売上がどれだけ積み増しされるか
- 投資額ROI:補助金によって、民間投資(自社・他社出資)がどれだけ誘発されるか
といった点が審査に良い影響を与えます。審査に通過するためにも、「補助金がない場合に比べて、どれだけ市場インパクトが大きくなるか」といった点を数値で示す必要があります。
②市場評価と「過去の実績」の数値化
メニュー3つ目の大規模作品製作支援(一般支援)では、審査において法人実績が評価の基準に挙げられています。
過去に製作した作品の売上が分野別下限値を超えている必要があり、ゲームであれば80億、アニメは15億、実写は10億円と定められています。
「過去にこれだけ稼いだチームであれば、今回のROIも期待できる」ということを証明できる実績です。
③「収益納付」ルールと連動した事業計画
大規模作品製作支援(一般支援)においては、「収益納付」の制度が設けられています。
利益の一部を国庫に返納する制度で、補助金で利益が出た場合に、その効果を国に還元するという趣旨があります。
大規模作品製作支援(一般支援)では、製作した作品が大ヒットして製作費の4倍超の収入があった場合に補助金の一部を返納しなければいけません。
計算方法は以下の通りです。
MIN(収入ー製作費×4)×10%、補助額=収益納付額
IP360補助金に関するよくある質問

最後に、IP360補助金でよくある疑問やその回答を紹介します。
個人事業主でも応募できる?
IP360補助金は法人のみが対象の支援策だと考えている人もいますが、IP新規創出支援(スタートアップ支援)であれば個人も対象となります。
これから挑戦するチームだけではなく個人も対象となっているため、活用すれば必要な支援を受けることが可能です。
このメニューでは個人申請の場合、通常必要な電子認証ID(GビズID)が不要な申請方法も用意されています。
複数の支援メニューに同時に応募できる?
IP360補助金には様々なメニューがあります。複数のメニューに同時に応募したいと考える人も多いかもしれません。
結論としては、複数のメニューに同時応募することが可能です。しかし、同一経費の二重補助が受けられないため、異なる経費であれば申請ができます。
個人事業主から法人化したばかりでも対象になる?
IP360補助金は、個人事業主から法人化したばかりのスタートアップ企業でも申請できるメニューがあります。
中でも、IP新規創出支援(スタートアップ支援)は前述したように個人でも利用できる支援策で、創業して間もない企業でも応募できます。
法人成りをした直後でも採択される可能性があるので活用を検討してみてください。
まとめ・IP360補助金を活用して日本発コンテンツを世界へ
IP360補助金は、日本発のコンテンツ産業の海外展開を加速するために創設された支援制度です。
アニメやゲーム、音楽といった知的財産を多角的に展開して最大化する支援策となっており、日本のコンテンツ産業の海外売上20兆円を目指しています。
個人やスタートアップ企業、既存事業者まで、幅広いクリエイターが対象です。日本のコンテンツ産業発展に貢献するためにも、どういった内容なのか特徴を理解して活用を検討しましょう。
創業手帳(冊子版)では、IP360補助金以外にも様々な支援策の情報を提供しています。知識を深めるため、利用できる補助金がないか確認するためにも、ぜひ参考にしてみてください。
(編集:創業手帳編集部)
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