
資金調達手帳 2015年8月7日
農業経営基盤強化資金(スーパーL資金)
この記事の目次
認定農業者の農業経営改善計画達成を支援する「スーパーL資金」
日本政策金融公庫が認定農業者向けに行っている「スーパーL資金」。これは、「農業経営基盤強化資金」の略称で、農業経営改善計画の認定を受けた「認定農業者」の自主性と創意工夫を活かした経営改善を、資金面で応援する総合的な資金です。
この資金を利用できるのは、「認定農業者」です。認定農業者とは、農業経営改善計画を作成して市町村長の認定を受けたもののことを指し、個人・法人の別は問いません。個人の場合、簿記記帳を行っていること、または今後簿記記帳を行うことが条件となります。
認定農業者の認定基準は、
- 計画が市町村基本構想に照らして適切なものであること
- 計画が農用地の効率的かつ総合的な利用を図るために適切なものであること
- 計画の達成される見込が確実であること
とされています。
また、認定を希望する際には、市町村に「農業経営改善計画書」を提出する必要があります。農業経営改善計画書とは、
- 経営規模の拡大に関する目標(作付面積、飼養頭数、作業受託面積)
- 生産方式の合理化の目標(機械・施設の導入、ほ場の連担化、新技術の導入など)
- 経営管理の合理化の目標(複式簿記での記帳など)
- 農業従事の様態等に関する改善の目標(休日制の導入など)
を記載した計画書になります。
この認定を受けることで、今回紹介する「スーパーL資金」などの金融・税制支援を受けることが可能になります。
用途はなんでもOK? 非常に使い勝手のいいスーパーL資金
スーパーL資金の用途は、「農業経営改善計画の達成に必要な次の資金」とあり、使い勝手のいい資金といえます。分かりやすく表にまとめます。
農地等 | 取得、改良・造成 |
施設・機械等 | 農産物の処理加工施設、店舗などの流通販売施設 |
果樹・家畜等 | 購入費、新植・改植費用のほか、育成費 |
その他の経営費 | 規模拡大や設備投資などに伴って必要となる原材料費、人件費 |
経営の安定化 | 負債の整理(制度資金は除く)など |
法人への出資金 | 個人が法人に参加するために必要な出資金等の支払い |
融資限度額は個人3億、法人10億。事業拡大や企業との提携、最新機械導入に最適
そんな使い勝手の非常にいいスーパーL資金の融資条件ですが、融資限度額は個人の場合、3億円(特忍6億円)。法人の場合、10億円(特認20億円)と非常に高額です。事業拡大や企業との提携、最新機械の導入などを予定している農業経営者の皆さんにとっては非常に魅力的な額ではないでしょうか。
しかし、前述した「経営の安定化」を目的とする場合の融資限度額は、個人の場合、6,000万円(特忍1億2,000万円)。法人の場合、2億円(特認4億円)となります。
返済期間は25年以内で、措置期間は10年以内とされています。金利は一般の場合、0.40〜0.80%。後でも触れますが、貸付実行日から5年後の応当日の前日までという条件がありますが、金利0%で利用できる特例措置もあります。
担保・保証人は相談のうえ決定とありますが、融資額も大きい制度でもあるため必要と考えておいた方がいいでしょう。また、これまでの実績や農業経営改善計画書の具体性・進捗なども当然審査されると考えておくべきです。
スーパーL資金をさらに便利に活用する金利負担軽減措置と無担保・無保証人制度
そんなスーパーL資金をさらに便利に利用する金利負担軽減措置と無担保・無保証人制度があります。
まず、実質無利子化になる金利負担軽減措置ですが、平成27年度において「人・農地プラン」に基づき、貸付当初5年間の金利負担が実質無利子になる制度が措置されました。これは、農地等の取得・造成、施設・機械の取得、改良・造成等、長期運転資金を必要とする認定農業者に対し、個人3億円(特認6億円)、法人10億円(特認20億円)の対象限度額の利子を(公財)農林水産長期金融協会が助成(上限2%)するものです。東日本大震災で津波被害にあった6県50市町村においては「経営再開マスタープラン」が適応されます。
また無担保・無保証人制度については次の2つの制度が用意されています。
1.クイック融資制度
- 農地等、施設・機械、果樹・家畜等、その他の経営費、法人への出資金を対象
- 決算書等をもとに1週間以内に無担保・無保証人融資の適用可否を決定
- 経営の安定化(負債の整理など)は対象外
- 1回あたりのご融資額が500万円以下
2.円滑化貸付制度
- 農業経営改善計画の目標水準に達している認定農業者
- 過去5年間において制度資金の延滞がない
- 農地等、施設・機械、果樹・家畜等、その他の経営費、法人への出資金を対象
- 経営の安定化(負債の整理など)は対象外
- 限度額の範囲内で繰り返し利用可能
これらも上手に活用して、競争力のある農業を目指してみてはいかがでしょうか。
対応地域 | 全国 |
---|---|
対応業種 | 農業 |
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