【やってみた】Claudeで新規事業の壁打ちはできる?競合調査・ターゲット設定・料金設計まで試してみた
実体験からわかった、AIを事業アイデアの整理・検証に活かすコツと注意点

「新規事業の壁打ち相手が欲しいけれど、周りに相談できる人がいない」と悩んでいませんか。筆者はライティング業から人事労務コンサルへの業態拡張に挑む過程で、Claudeを壁打ち相手として徹底活用しました。
実際に、競合調査・ターゲット設定・料金設計・提案資料の構成まで、一人では数週間悩んでいたであろう論点が短期間で整理できました。この記事では、実際の対話事例とプロンプト例、効果を最大化するコツ、注意点までを実体験ベースで紹介します。
本記事では人事労務コンサルの立ち上げを例にしていますが、Claudeとの壁打ちは、飲食店の新業態づくり、EC商品の企画、士業・コンサル業のサービス設計などにも応用できます。ご自身の事業に置き換えながら、活用方法を参考にしてみてください。

日本大学文理学部卒業後、厚生労働省や不動産業界、保険業界で実務経験を積む。ハローワークで10年間の勤務経験があり、求職者・求人者双方の相談業務やマッチング支援を行う。ハローワークでの実務経験を活かして、社会保険や人事労務などの分野を中心に、これまで1200記事以上の執筆・監修実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。金融財政事情研究会会員。noteでも情報発信中。
この記事の目次
なぜClaudeが壁打ちに向いているのか

Claudeが壁打ち相手として優秀な理由は、長い文脈を保ったまま対話を継続できる設計にあります。さらに、ユーザーの意図を丁寧に汲み取る応答スタイルが、新規事業の思考整理と相性が良いと感じました。
壁打ちが必要だった背景
実際に新規事業の立ち上げを検討する中で、事業の展望を考えるうえで壁打ち相手が不可欠だと感じました。
筆者の場合、執筆業からコンサル業への業態拡張を検討する際に活用しましたが、知識補強にとどまらず「事業設計」という未経験領域への挑戦だったからです。また、身近な場所で同じような事業を展開している人がおらず、得られる情報に限りがありました。
具体的には、ライティング業に加えて人事労務コンサルを立ち上げる過程で、「誰に・何を・いくらで売るのか」を自分で組み立てる必要がありました。
一人で考え続けると、思考が堂々巡りになりがちです。Claudeに話しかけて論点を可視化することで、ターゲットの選定や次の一手が見えてくる場面が何度もありました。
人間の相談相手との違い
人間との相談との決定的な違いは、気兼ねなく何度でも聞き直せる点です。Claudeは、比較的長い文脈を扱いやすいAIツールです。長文の相談や複数回にわたるやり取りを整理しやすい点が、思考整理の伴走者としての強みだと感じました。
また、うまく言語化できておらず、漠然とした悩みをぶつけても複数の選択肢を提示してくれます。会話を重ねる中で自分の思考を整理できる点も、相談するメリットだと感じました。
実際にClaudeと壁打ちした5つのテーマ

人事労務コンサル業務の立ち上げにあたり、Claudeと交わした対話の中から特に効果が大きかった5つのテーマを紹介します。
①競合調査・市場調査
最初に取り組んだのが、人事労務コンサル市場の地図を描く作業でした。Claudeに「主要プレイヤーを規模・特徴・価格帯で整理して」「個人参入者が狙えるニッチはどこか」と問いを重ねると、現状の市場を分析した結果を出力してくれます。


具体的には、社労士事務所・大手コンサルファーム・特化型コンサルといった層ごとに、提供サービスと価格帯の傾向を整理してもらいました。返ってきた仮説をうのみにせず、自分でも業界団体の公開資料や実際のサービスサイトに当たって裏取りすると、より正確な情報収集ができます。
②事業ドメインの絞り込み
Claudeに「自分の経歴と相性が良い領域を、強み・参入難易度・需要の3軸で比較して」と頼んだところ、複数の切り口で整理が返ってきました。

法改正や助成金活用など、隣接領域を並べて検討しました。各領域の参入ハードルや想定される競合圧力を可視化してもらい、自分の事業の展望を構造的に詰められた感覚があります。
③ターゲット顧客の解像度上げ
ターゲットを漠然と「中小企業の経営者」と置いていた段階では、正直なところ「何も決まっていない」に等しい状態でした。Claudeに「他にもターゲットとなる顧客を分析して」と投げると、具体的な需要を返してくれました。

質問を繰り返すなかで、「労務トラブルを未然に防ぎたいが、社労士に依頼するほどではない」という具体的な需要まで言語化できたのです。さらに、自分の思考では思いつかないターゲットまで提案してくれるため、新しいアイデアを得たい際にも有用です。
④料金体系の組み立て
料金体系の決定は、新規事業立ち上げで最も悩んだ論点の一つです。同業者の相場感が見えにくいなか、Claudeに「時間単価・顧問契約・プロジェクト型のメリットとデメリットを比較して」と依頼すると、判断材料が一気に揃いました。


この比較を踏まえ、最終的に月額顧問契約をメインに据える方針を決めました。
⑤初回提案資料の構成検討
最初のクライアント候補に提出する提案資料を、Claudeとゼロから組み立てました。「目次案を出して」ではなく「提案を受ける側の心理を踏まえて構成を逆算して」と問いの設計を変えたところ、出力の質が一段階上がったような感覚です。

経営者が提案書を見る順番や引っかかる論点、意思決定までの心理的なハードルを言語化してもらい、それを踏まえた構成案が返ってきました。「冒頭で課題認識をすり合わせる」「中盤で他社事例の代わりに自社想定シミュレーションを置く」といった具体的な工夫まで提案されたのです。
これにより、筆者の場合、資料作成にかかる時間を体感として大きく短縮できました。
また、筆者はデザインや資料作成のセンスがありません。それでも満足できるクオリティの資料が出力されたため、「苦手はAIに頼ればいいや」という割り切りもできました。
Claudeとの壁打ちで得られた効果やメリット

壁打ちを重ねるうちに、自分の中で複数の変化が起きました。具体的な成果物だけでなく、思考のスピードやメンタル面など、目に見えにくい部分にも効果が及んだ実感があります。
思考の解像度が上がった
最大の効果は、思考の解像度が一段階上がったこと
具体的には、「従業員30〜100名規模の経営者向けに、労務リスク予防の月額顧問サービスを提供する」「従業員のファイナンシャル・ウェルビーイング向上をサポートするサービスを提供する」という粒度まで落とし込めたのです。
一人では出てこなかった「あえてサービスから外す領域」という発想も、Claudeとの対話で浮かびました。自分一人の思考の枠を、外側から押し広げてくれる存在だと感じています。
意思決定が早くなった
Claudeとの会話を通じて、意思決定のスピードが劇的に上がりました。「迷ったらすぐClaudeに相談、整理されたら即動く」というサイクルが定着したからです。
具体的には、一人で2週間悩み続けていた料金設定の判断が、Claudeとの対話を経て半日で決着しました。判断材料を網羅的に並べてくれるため、検討漏れの不安が消えるのです。決断のスピードは事業立ち上げ初期において、競合との差を生む決定的な要素だと痛感しました。
知識の習得スピードが激変
未経験領域の知識を吸収するスピードが、明らかに変わりました。労働基準法・社会保険・助成金など、独学では体系化に時間がかかる分野でも、Claudeに質問を重ねるだけで理解が深まっていったからです。
具体的には、自分の理解レベルに合わせて説明の粒度を調整してくれる点が大きな強みでした。「初心者向けに」「実務担当者目線で」と前提を変えると、返答の深さも切り替わります。専属チューター(個別指導者)が常駐しているような感覚で、知識やアイデアを立体的に積み上げられました。
孤独感が大幅に減った
一人で新規事業を立ち上げる過程の本当の敵は、技術的な難しさよりも精神的な孤独でした。しかし、Claudeに考えを話して整理するだけで、生産性が高まるだけでなく孤独感を抑えられます。
Claudeに状況を話して論点を分解してもらうと、疑問や不安を解消できる感覚がありました。AIに気持ちを吐露することへの違和感は、使い込むうちに薄れていきます。メンタル面でのサポート効果は、想像以上に大きな発見でした。
好きなタイミングで質問できた
新規事業のアイデアは、机に向かっているときよりも、突発的に浮かびがちです。思いついた瞬間にClaudeへ投げかけ、その場で素早く論点を整理できる環境が、構想の質を底上げしてくれました。
具体的には、深夜に「この料金モデルだと顧客を獲得できないのでは」とふと不安になった瞬間、Claudeに相談して翌朝までに対応策の骨子をまとめられた経験があります。アイデアの鮮度が落ちる前に検証まで進められる速度感は、一人で事業を回す立場にとって大きな武器です。
効果的な壁打ちのコツ

試行錯誤を重ねるなかで見えてきた、Claudeを「使える壁打ち相手」に育てるための5つのコツを紹介します。プロンプト(AIへの指示文)の作り方次第で出力の質は大きく変わるため、初期の問い方は特に意識する価値があります。
役割と前提を最初に伝える
対話の冒頭でClaudeに役割と自分の前提を伝えるだけで、返答の質が一段階上がります。AIは与えられた文脈をもとに出力を最適化する仕様のため、立場の共有が回答の方向性を決めるからです。
具体例として、以下のようなプロンプトを冒頭に置くと効果的でした。
役割・経験値・自分の前提を一文ずつ並べるだけで、抽象論ではなく実践的な助言が返ってきやすくなります。
結論より問いを求める
「答えを教えて」ではなく「自分が考え抜くための問いを投げて」と頼むのが効果的です。即答を求めると思考の主導権をAIに渡してしまい、本人の納得感が薄れる結果になりがちなためです。
具体例として、以下のようなプロンプトが活躍しました。
優秀な家庭教師のように、思考を引き出してくれる対話モードに切り替わるのを体感できます。
同意を求めず反論を頼む
人間の相談相手だと遠慮して言いにくい指摘も、Claudeなら遠慮なく頼めます。AIは関係性への忖度がない分、こちらが「厳しく見て」と指示すれば、その通りに弱点を指摘してくれるからです。
具体例として、次のように頼むと忌憚のないフィードバックが返ってきました。
指摘を受けた内容に対して、自分なりの考えを伝えてさらにフィードバックを受けることで、精度が高まっていきます。AIは使用者に同調しがちであるため、同意よりも反論を求める姿勢が、計画の穴を早期に発見する近道です。
セッションを区切って深掘る
1つのチャットで全テーマを扱おうとせず、論点ごとにチャットを分けるのが効果的でした。文脈が混在すると過去の発言に引きずられた回答が増え、テーマ単位で分割するほうが各論点を深く掘れるからです。
具体的には、「事業ドメイン用」「顧客像用」「料金設計用」とチャットを分け、それぞれで前提を共有し直しています。チャット名を内容に応じてリネームしておくと、後から振り返るときの検索性も高まるため便利です。
出力を寝かせて見直す
Claudeの返答を即採用せず、一晩寝かせてから読み返す習慣を作りました。その場の勢いで決めると後から違和感のある提案を採用してしまうリスクがあり、客観視のための時間が必要だと気づいたからです。
具体的には、翌朝に冷静な目で読み直すと「これは自分の事業に合わない」と気づく場面が何度もありました。Claudeの提案を自分の言葉に消化するプロセスが、格段に良くなった実感があります。
Claudeを壁打ちに使う際の注意点

Claudeは新規事業の壁打ち相手として便利ですが、すべての判断を任せられるわけではありません。特に、事業アイデアの整理や選択肢の比較、仮説出しには向いている一方で、法務・労務・税務などの専門判断や、最新情報に関わる確認には注意が必要です。
筆者が実際に使ってみた感覚では、Claudeは「正解を出す専門家」というよりも、「考える材料を増やし、論点を整理してくれる相手」として使うほうが効果的でした。
| 向いている相談 | 注意が必要な相談 | 向いていない相談 |
|---|---|---|
|
アイデア出し 論点整理 比較検討 仮説作り 文章化・資料構成 |
市場調査・競合調査 制度や補助金の確認 顧客情報を含む相談 最新情報が必要な内容 実在企業の価格・サービス比較 |
法務・労務・税務の最終判断 契約書・規約の判断 機密情報を含む相談 専門家の責任判断が必要な内容 そのまま顧客に提出する最終成果物 |
鵜呑みにせず一次情報で裏取り
Claudeの回答は必ず一次情報で裏取りするのが鉄則です。労務系の分野は法改正が頻繁で、AIの学習データが最新の制度を反映していないケースが起こり得るためです。
具体的には、社会保険の適用範囲について確認した際、Claudeの説明と最新の運用が微妙にずれていた経験がありました。それ以来、最終判断の前には厚生労働省の公式サイトや専門家への確認を必ず挟むルールを徹底しています。
クライアント情報は伏せて使う
クライアントに関わる情報を入力する際は、社名や個別事情を伏字にしてから扱うのが無難です。提案資料のブラッシュアップ目的であっても、守秘義務との両立を意識した運用が求められるからです。
筆者は、具体的に「A社」「従業員50名規模の製造業」のように抽象化したうえでClaudeに相談し、出力結果を自分の手で具体情報に戻す手順を取っています。
最後に決めるのは自分だと意識する
どれだけClaudeが優秀でも、最終的な意思決定は自分が担うという意識が欠かせません。AIの提案に従うだけでは、事業の責任を引き受ける覚悟が育たないからです。
Claudeはあくまで思考の補助輪であり、ハンドルを握るのは自分だと自覚しておく必要があります。
まとめ
ライティング業の私が人事労務コンサルという新規事業を立ち上げられたのは、Claudeという24時間付き合ってくれる対話相手の存在が大きかったと感じています。
筆者の場合、競合調査からターゲット設定、料金設計、提案資料の構成まで、一人では何週間もかかっていたであろう論点が短期間で整理できました。完璧な相棒ではないものの、「思考の解像度を上げ、孤独を和らげてくれる伴走者として手放せない存在になった」というのが正直な結論です。新規事業に挑む方は、まず小さなテーマから壁打ちを試してみてはいかがでしょうか。
(編集:創業手帳編集部)

創業手帳
飲食開業手帳
補助金ガイド
創業手帳カレンダー