【やってみた】Claudeで創業計画書は作れる?公庫の融資申請はどこまでAIに任せられるか検証
実際の出力例から、創業計画書でAIに任せられる部分と人が仕上げるべき部分を検証

公庫の創業融資に申し込むうえで欠かせない創業計画書。いざ作ろうとすると、文章化や数値の根拠づけでつまずく人は少なくありません。そこで頼りになるのがAIです。
本記事では、Claudeで創業計画書をどこまで作れるのかを、カフェ・Web制作・コンサルの3業種で実際に検証しました。任せてよい部分と人が仕上げるべき部分を、具体的な出力例とともに線引きします。
この記事の目次
創業計画書と融資審査の基本

創業計画書とは、公庫の融資審査に用いる書類です。これから事業を始める方が、事業内容・資金計画・将来の見通しを記入する審査の中心的な書類にあたります。
公庫が見る審査ポイント
公庫の創業融資では、売上実績のない創業前・創業直後の方にとって、創業計画書が重要な審査材料です。だからこそ、事業の魅力だけでなく、数字の整合性や資金使途の明確さまで細かく確認されます。
公庫の審査で重視されるのは、主に以下の4点です。
- 自己資金
- 創業動機と経歴の一貫性
- 事業の実現可能性
- 返済能力
いずれも「貸したお金が返ってくるか」を見極めるための観点から、重要な内容です。必要な融資を受けるためにも、慎重かつ丁寧に事業計画書を作成しなければなりません。
自力作成でつまずきやすい所
事業計画書を、経営者自身で作成しようとするケースは少なくありません。しかし、初めて事業計画を文章化する方にとっては、悩む場面が多いでしょう。特に自力作成でつまずきやすいのは、「文章化」「数値の根拠づけ」「項目の抜け漏れ」の3つです。
たとえば、創業動機の欄では熱意だけを書いても逆効果になりがちです。「何を準備し、なぜできると言えるのか」まで示す必要があります。記入項目も動機・経歴・商品サービス・取引先・従業員・借入・必要な資金・事業の見通しなど、幅広い内容を記載する必要があります。
抜け漏れや内容不足は減点につながり、必要な融資を受けられない、という事態になりかねません。
【事前準備】Claudeで創業計画書を作る前に確認すべきこと

創業計画書の「書きにくさ・埋めにくさ」こそ、AIの力を借りる価値がある部分です。Claudeで創業計画書を作る前に、自己資金や経歴、必要資金などの材料を手元に揃えておきましょう。AIの出力精度は、渡す情報の質と量でほぼ決まります。
手元に揃える情報
創業計画書づくりでは、以下の情報をひととおり揃えておきましょう。
- 自己資金額
- これまでの経歴・職務経験
- 取扱う商品やサービス
- 想定する客単価
- 必要資金の内訳
- 希望融資額
特に、自己資金と必要資金は審査の要となる数字です。公庫の2025年度新規開業実態調査では、開業費用の平均値は975万円、開業時の資金調達額に占める自己資金は平均279万円(22.9%)でした。自分の数字をこうした相場と照らし、無理のない計画かを確認しておくと安心です。
創業計画書の項目確認
公庫の創業計画書フォーマットの項目を把握しておきます。Claudeにひな形を読み込ませて「内容を確認して」と指示しても構いません。なお、主な項目は以下のとおりです。
- 創業の動機
- 経営者の略歴
- 取扱商品・サービス
- 取引先
- 従業員
- 借入の状況
- 必要な資金と調達方法
- 事業の見通し
このうちClaudeに任せやすいのは、動機・略歴・商品サービスといった文章で説明する欄です。一方、必要な資金や事業の見通しの数字部分は自分で用意し、その根拠をClaudeに言語化させましょう。このように、役割を分けて考えると進めやすくなります。
なお、Claudeに書類作成を丸投げしても、良い創業計画書はできません。理由は、Claudeはあなたの自己資金額や経歴、地域事情を知らず、材料がないと一般論しか書けないからです。逆に言えば、具体的な数字や経験を渡せば、それを整理し説得力のある文章へ仕上げてくれます。
実際にClaudeで創業計画書を作ってみた

実際に、Claudeへ打ち込んだプロンプトと出力を公開します。コツは、役割・前提条件・出力形式を指定することです。
事前に「あなたは融資審査に詳しい専門家です」と役割を与え、自己資金や経歴といった前提を渡し、「創業計画書の動機欄として300字で」と形式を決めましょう。以下では、架空の創業者を例に検証しました。
動機・経歴|どこまで自然な文章になるのか検証
創業動機と経歴は、Claudeが最も力を発揮する欄のひとつです。事実を渡せば、一貫性のあるストーリーに整えてくれます。3つの業種を例に、次のようなプロンプトを入力しました。
【カフェ開業の例】
| あなたは日本政策金融公庫の融資審査に詳しい専門家です。以下の情報をもとに、創業計画書の「創業の動機」欄を、審査担当者に伝わる一貫したストーリーで300字程度にまとめてください。誇張は避け、準備してきた事実と結びつけてください。
<情報>業種:自家焙煎カフェ/これまでの経験:飲食チェーンで店長として7年従事/創業のきっかけ:地元に落ち着いて過ごせる場所が少ないと感じた/準備状況:焙煎技術を1年かけて習得、商店街の角地に物件確保済み |
|---|
【Web制作の例】
| あなたは日本政策金融公庫の融資審査に詳しい専門家です。以下の情報をもとに、創業計画書の「創業の動機」欄を、審査担当者に伝わる一貫したストーリーで300字程度にまとめてください。誇張は避け、準備してきた事実と結びつけてください。
<情報>業種:Web制作業/これまでの経験:制作会社でWebディレクターとして8年従事、累計60件以上を担当/創業のきっかけ:顧客から制作後の運用まで伴走してほしいという声が多かった/準備状況:前職の取引先2社から継続発注の内諾を取得済み |
|---|
【コンサルティング業の例】
| あなたは日本政策金融公庫の融資審査に詳しい専門家です。以下の情報をもとに、創業計画書の「創業の動機」欄を、審査担当者に伝わる一貫したストーリーで300字程度にまとめてください。誇張は避け、準備してきた事実と結びつけてください。
<情報>業種:採用コンサルティング業/これまでの経験:人材サービス企業で採用コンサルタントとして10年従事、120社超を担当/創業のきっかけ:採用しても人が定着しないという経営者の悩みを専門に解決したい/準備状況:独自の定着率診断メソッドを保有、5社から相談を受けている |
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これらのプロンプトにより、どのような回答が出力されたのかを見ていきましょう。
動機・経歴|どこまで自然な文章になるのか検証
それぞれの出力結果が、以下のとおりです。

【カフェ開業の例】
| 前職の飲食チェーンで7年間店長を務める中で、店舗運営や売上管理、スタッフ育成のノウハウを培ってまいりました。一方で、地元には腰を落ち着けてゆっくり過ごせる場所が少ないと感じており、地域の人々が日常的に集える空間を自らの手でつくりたいという思いを強めてまいりました。そこで、付加価値の高い自家焙煎カフェの開業を決意し、この1年間で焙煎技術を習得するとともに、集客が見込める商店街の角地に物件を確保いたしました。店長として培った運営力と、1年かけて準備してきた技術・立地を活かし、地域に根ざした長く愛される店舗を実現したいと考えております。 |
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【Web制作の例】
| 制作会社でWebディレクターとして8年間従事し、累計60件以上の制作案件を担当する中で、企画から納品までの一連の工程を一貫して管理する力を培ってまいりました。業務を通じて、多くの顧客から「制作して終わりではなく、公開後の運用や改善まで継続して付き合ってほしい」という声を繰り返しいただき、こうした需要に応えられる体制が市場で求められていると確信いたしました。そこで、制作から運用までを一貫して支援するWeb制作業の開業を決意いたしました。すでに前職での実績と信頼関係をもとに、取引先2社から継続発注の内諾を得ており、開業当初から安定した受注が見込める状況です。培った経験と既存の顧客基盤を活かし、長期的に顧客に寄り添う事業を築いてまいります。 |
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【コンサルティング業の例】
| 人材サービス企業で採用コンサルタントとして10年間従事し、120社を超える企業の採用支援に携わってまいりました。その過程で、多くの経営者から「採用はできても人が定着しない」という共通の悩みを繰り返し伺い、採用の入口だけでなく定着までを見据えた支援こそが本質的な課題解決につながると確信いたしました。こうした課題を専門に解決するため、採用コンサルティング業の開業を決意いたしました。これまでの支援実績をもとに独自の定着率診断メソッドを構築しており、現時点で5社から具体的な相談をいただいております。10年で培った知見と独自メソッド、すでに寄せられている相談実績を活かし、企業の採用と定着の課題に長期的に寄り添う事業を築いてまいります。 |
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カフェ開業の例では、地元での原体験や地域への思いを軸に、「なぜこの場所で開くのか」を補強する文章が返ってきました。Web制作の例では、会社員時代の制作実績や担当案件を起点に、独立後の提供価値へつなぐ動機が生成されます。
コンサルティング業の例では、専門領域と顧客が抱える課題を結びつけ、「誰のどんな悩みを解決するか」を明確にした文章になりました。いずれも、こちらが渡した事実を整理し直す精度は高いといえます。
事業内容|どこまで具体的に書けるか検証
事業内容では、「誰に・何を・どう提供するか」を指定すると、強みが整理された文章が得られます。漠然と「強みを書いて」と頼むと一般論になりやすいため、要素を指定するのがコツです。3業種それぞれで、次のプロンプトを入力しました。
【カフェ開業の例】
| 上記の自家焙煎カフェの創業者について、創業計画書の「取扱商品・サービス」欄を作成してください。①事業内容、②商品・サービスの特徴、③セールスポイント(競合との違い)、④販売ターゲット、の4点に分けて、それぞれ具体的に記述してください。 |
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【Web制作の例】
| 上記のWeb制作業の創業者について、創業計画書の「取扱商品・サービス」欄を作成してください。①事業内容、②商品・サービスの特徴、③セールスポイント(競合との違い)、④販売ターゲット、の4点に分けて、それぞれ具体的に記述してください。 |
|---|
【コンサルティング業の例】
| 上記の採用コンサルティング業の創業者について、創業計画書の「取扱商品・サービス」欄を作成してください。①事業内容、②商品・サービスの特徴、③セールスポイント(競合との違い)、④販売ターゲット、の4点に分けて、それぞれ具体的に記述してください。 |
|---|
それぞれの出力結果が、以下のとおりです。
| 業種/項目 | ①事業内容 | ②特徴 | ③セールスポイント | ④販売ターゲット |
|---|---|---|---|---|
| カフェ開業 | 自家焙煎コーヒーと地元食材を使った軽食の提供。店内飲食を中心に、豆の小売も行う。 | 焙煎を店内で行い、鮮度の高い一杯を提供。地元農家の食材を使った日替わりメニューを用意。 | 商店街の角地という立地を活かした入りやすさと、長時間滞在しやすい座席設計。地域密着の品揃え。 | 近隣住民、商店街の利用者、在宅ワーカーなど、地域で過ごす時間を求める層。 |
| Web制作 | コーポレートサイト・ECサイトの企画制作と、公開後の運用改善支援。 | 設計から運用までを一貫して担当。問い合わせ数や売上など成果指標の改善まで伴走する。 | 制作で終わらず運用改善まで対応する点。ディレクター8年・60件超の経験に基づく提案力。 | 自社サイトの成果に課題を抱える中小企業、制作後の運用に手が回らない事業者。 |
| コンサルティング業 | 中小企業向けの採用支援と定着支援。採用計画の設計から入社後フォローまでを提供。 | 独自の定着率診断メソッドを用い、採用だけでなく「辞めない組織づくり」まで支援する。 | 採用と定着を一体で扱う点。10年・120社超の支援実績と経営者ネットワーク。 | 採用コストに悩み、人材が定着しない中小企業の経営者・人事担当者。 |
3業種に共通するのは、いずれも創業者自身の実務経験(飲食店長7年、Webディレクター8年、採用コンサル10年)を事業の核に据え、その専門性をセールスポイントに直結させている点です。
また、単なる商品・サービスの提供にとどまらず、カフェは「過ごす時間」、Web制作は「公開後の運用」、コンサルは「採用後の定着」と、いずれも顧客との継続的な関係づくりを差別化要因としています。
販売ターゲットも具体的な顧客像まで絞り込まれており、創業の動機から取扱サービスまでが一貫したストーリーとして整理されていました。
数値計画|どこまで筋が通る説明が書けるか検証
数値計画では、数字そのものは人が用意し、その根拠の「説明文」をClaudeに書かせる役割分担が有効です。Claudeは数字を整理して言葉にするのは得意ですが、相場や単価そのものを正しく出せるとは限らないためです。3業種それぞれで、次のプロンプトを入力しました。
【カフェ開業の例】
| 以下の売上・経費の数字をもとに、創業計画書の「事業の見通し」欄に添える根拠説明を作成してください。数字は変更せず、なぜこの売上・利益が見込めるのかを、客単価・客数・営業日数の観点から説明してください。
<数字>客単価1,200円/1日40人/月25日営業/売上原価率35%/人件費35万円/家賃15万円 |
|---|
【Web制作の例】
| 以下の売上・経費の数字をもとに、創業計画書の「事業の見通し」欄に添える根拠説明を作成してください。数字は変更せず、なぜこの売上・利益が見込めるのかを、案件単価・月間受注件数・稼働の観点から説明してください。
<数字>案件単価40万円/月3件受注/外注費率20%/人件費なし(一人法人)/家賃(自宅兼用)3万円 |
|---|
【コンサルティング業の例】
| 以下の売上・経費の数字をもとに、創業計画書の「事業の見通し」欄に添える根拠説明を作成してください。数字は変更せず、なぜこの売上・利益が見込めるのかを、顧問契約数・月額単価の観点から説明してください。
<数字>月額顧問料15万円/契約6社/スポット支援月20万円/外注費率10%/家賃(自宅兼用)3万円 |
|---|
それぞれの出力結果が、以下のとおりです。
【カフェ開業の例】
| 月間売上高の算出根拠
売上高は、客単価・1日あたり客数・営業日数の積によって算出しております。客単価1,200円に1日あたり来店客数40人を乗じると1日あたり売上は48,000円となり、これに月間営業日数25日を乗じることで、月間売上高120万円を見込んでおります。 利益の見通しと根拠 月間売上高120万円に対し、売上原価率は35%(42万円)を見込んでおります。これは飲食業として標準的な水準であり、自家焙煎による原価管理を行うことで、この比率の維持・改善を図ります。固定費は人件費35万円と家賃15万円の合計50万円であり、売上原価と合わせた費用総額は92万円となります。
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【Web制作の例】
| 月間売上高の算出根拠
売上高は、案件単価と月間受注件数の積によって算出しております。案件単価40万円に月間受注件数3件を乗じることで、月間売上高120万円を見込んでおります。 案件単価40万円は、企画から制作までを請け負うコーポレートサイト・ECサイト1件あたりの標準的な水準であり、Webディレクターとして8年間、累計60件以上を担当してきた実績に裏付けられた価格設定です。月3件という受注件数は、制作工程を一人で無理なく並行管理できる現実的な稼働水準であり、前職の取引先2社からすでに継続発注の内諾を得ていることが、開業当初からこの受注を確保できる根拠となります。 利益の見通しと根拠 月間売上高120万円に対し、外注費率は20%(24万円)を見込んでおります。これはデザインや一部のコーディングを外部に委託する際の費用であり、繁忙度に応じて変動する変動費として管理いたします。一人法人のため人件費は発生せず、家賃も自宅兼用で3万円に抑えられることから、固定費は最小限にとどまります。
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【コンサルティング業の例】
| 月間売上高の算出根拠
売上高は、顧問契約による継続収入と、スポット支援による単発収入の二本柱で構成しております。月額顧問料15万円に契約数6社を乗じることで顧問契約による売上90万円を見込み、これにスポット支援20万円を加えることで、月間売上高110万円を見込んでおります。 月額顧問料15万円は、採用設計から入社後の定着支援までを継続的に提供する対価として妥当な水準であり、採用コンサルタントとして10年間、120社超を担当してきた実績に裏付けられた価格設定です。契約6社という規模は、現時点で5社から具体的な相談を受けていることを踏まえれば、開業後早期に到達可能な現実的な水準です。スポット支援20万円は、顧問契約に至る前段階の単発相談や診断需要を見込んだものであり、独自の定着率診断メソッドを入口として顧問契約への移行も期待できます。 利益の見通しと根拠 月間売上高110万円に対し、外注費率は10%(11万円)を見込んでおります。これは適性検査ツールや一部の調査業務を外部に委託する際の費用であり、変動費として管理いたします。家賃は自宅兼用で3万円に抑えられ、人件費も発生しないため、固定費は最小限にとどまります。 外注費11万円と家賃3万円を合わせた費用総額は14万円となり、月間で約96万円の利益を見込んでおります。売上の大半を月額顧問料という継続収入が占めるストック型の収益構造であるため、収益の安定性が高く、契約社数の積み上げに応じて利益が着実に伸びていく計画となっております。
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3業種の「事業の見通し」を総括すると、いずれも創業者の実務経験を売上の前提に直結させ、堅実な数字で利益を見込んでいる点が共通しています。
いずれの計画も「過度な単価や客数に依存せず、既存の実績・内諾・相談という裏付けのある前提で算出している」点で出力されました。創業の動機から取扱サービス、収益見通しまでが一貫したストーリーとして整合しているため、審査上の説得力を高められるかもしれません。
検証結果:Claudeに任せてもよい部分

検証を通じてClaudeに任せても良いと感じたのは、文章構成の整理、項目の抜け漏れチェック、根拠の言語化の3つです。いずれも「書く」よりも「整える」作業です。
Claudeは文章の整理や論理の補強を得意とする一方、事実そのものを生み出すのは苦手です。だからこそ、材料がそろった後の仕上げ工程ほど力を発揮します。実際に使ってみても、こちらが渡した経歴や数字を整える精度は高いと感じました。
文章構成と表現の整理
創業計画書では、思いついた要素を断片的に書き出したものの、つながりのある文章にできず手が止まる人が少なくありません。しかし、箇条書きのメモを、読みやすい文章へ整える作業はClaudeの得意分野です。
たとえば「地元出身」「カフェ好き」「7年勤務」というメモを渡すと、これらを時系列と因果でつなぎ、動機として筋の通った一段落にまとめてくれます。論理の飛躍があれば指摘も得られるため、構成の壁打ち相手として有用です。
項目の抜け漏れチェック
書いた内容に対し、審査で足りない観点を尋ねる使い方も効果的でした。「この創業計画書に、公庫の審査で不足している項目はありますか」と問うと、競合状況や販売戦略など、抜けがちな観点を挙げてくれます。
記入必須の項目が多い創業計画書では、自分だけで見直すと抜けに気づきにくいものです。第三者の視点で点検してもらう相手として、Claudeは手軽で役立ちます。ただし指摘の採否は人が判断する前提で使いましょう。
なお、Claudeを活用した競合調査も可能です。詳しくは、こちらの記事も参考にしてみてください。
論理的な説明文づくり
自分で出した数字に対し、その背景や根拠を説明する文章づくりもClaudeが得意とする領域です。「客単価1,200円、1日40人、月25日営業」という数字を渡せば、なぜその売上が見込めるのかを客数や回転率の観点から言語化してくれます。
数字を言葉に翻訳する作業は、慣れていないと時間がかかりますが、そこをClaudeに任せれば効率的です。ただし数字自体の妥当性は別問題で、相場との整合は人が確認する必要があります。
検証結果:Claudeに任せきりにしてはいけない部分

逆にClaudeへ任せきると危険なのは、地域・業界の最新数字と、自分だけの実体験や強みです。事実と固有性に関わる部分は、人が責任を持って担いましょう。
Claudeが学習した知識には時点の限界があり、あなた個人の経験も知らないからです。もっともらしい文章でも、数字が古かったり内容が抽象的だったりすれば、面談で説明できず信頼を損ないます。
地域・業界の最新数字
商圏人口や業界の相場、原価率といった最新の数字は、Claudeに任せっきりにしてはいけません。AIは古い情報や一般論を出すことがあり、そのまま使うと事実誤認につながるからです。
たとえば「この地域の人口は◯万人」と生成されても、それが現在の正確な値とは限りません。商圏データは自治体の統計、業界相場は公的機関や業界団体の資料で必ず裏取りしましょう。
自分だけの実体験や強み
本当の差別化要因や原体験も、Claudeには書けません。あなたが現場で何を経験し、なぜこの事業に確信を持てるのかは、AIが知り得ない情報だからです。
実際に計画書を作成する中でも、「居心地のよい空間」といった汎用的な表現が混ざりました。審査担当者の心を動かすのは、こうした一般論ではなく、あなた自身の具体的な経験です。ここは人が肉付けすべき核心といえます。
Claudeを活用しながら融資審査に備える創業計画書を作成するコツ

通る計画書に仕上げるコツは、Claudeで下書きを作り人が裏取りする、数字の根拠は自分で用意する、面談を見据えて仕上げるの3つです。AIと人の分担が鍵になります。
これまで見てきたとおり、Claudeは整理と言語化に強く、事実と固有性は人が担うのが基本でした。この線引きを実践に落とし込めば、作成の負担を減らしつつ審査に耐える計画書へ近づきます。
AIは下書きで人が裏取りする
おすすめは、Claudeで叩き台を一気に作り、事実・数字・固有情報を人が検証して直す流れです。ゼロから書くより、たたき台を修正するほうが圧倒的に速く進みます。
たとえば動機や略歴はClaudeに下書きさせ、自分の経験に合わせて加筆すれば、完成度が上がります。重要なのは、AIの出力を鵜呑みにせず、最後は自分の目で確かめる姿勢です。
数字の根拠は自分で用意する
売上予測などの数字は、必ず自分の調査や見積りで裏付けましょう。Claudeが出した数字をそのまま使うと、根拠を問われたとき答えられないからです。設備資金は見積書、運転資金は仕入れや人件費の実額をもとに積み上げます。
客単価や客数も、近隣の相場や自分の試算を根拠にしてください。数字の出どころを自分で説明できる状態が、審査では何より重要です。
面談を見据えて仕上げる
計画書は、面談で口頭説明できて初めて意味を持ちます。公庫では書類提出後に担当者との面談があり、計画書の内容を自分の言葉で語れるかが問われるからです。
面談は単なる確認作業ではなく、計画への熱意や事業者としての信頼性を伝える場でもあります。数字の根拠や売上の見込みについて掘り下げて質問されることも多く、ここで曖昧な受け答えをすると計画全体の説得力が揺らぎかねません。
実際、融資の可否は創業計画書の内容と面談での説明をもとに判断されます。Claudeに整えてもらった文章でも、中身を理解せず提出すれば面談で詰まります。完成後は声に出して説明する練習をし、すべて自分の言葉で語れる状態に仕上げておきましょう。
これは要注意!個人情報や機密事項の取り扱い

創業計画書には自己資金額や取引先名など、扱いに注意したい情報が含まれます。こうした個人情報や機密事項は、そのままClaudeに入力しないことをおすすめします。
対策はシンプルで、実名や具体的な金額は伏せ、「自己資金◯円」「取引先A社」のように記号化して入力しましょう。AIを賢く使ううえで、入れない情報を決めておく姿勢が安心につながります。
個人向けのFree・Pro・Maxプランでは、2025年8月のポリシー変更により、会話データをモデル改善に使用するかどうかが「オプトイン方式」から「オプトアウト方式」へ移行しました。
許可したくない場合は、設定画面から「プライバシー」を選択し、「Claudeの改善にご協力ください」をオフにすることでオプトアウトできます。なお、API・Team・Enterprise などの商用プランは、契約上、データが学習に使用されないことが保証されています。
まとめ
Claudeは「下書き・整理・壁打ち」に強く、「事実・数字・固有性」は人が担う。この線引きを守れば、創業計画書づくりは大きく楽になります。動機や事業内容の文章化、項目の抜け漏れチェックはAIに任せ、地域の数字や自分だけの強みは自分で裏取りする。
数字の根拠は自分の調査や見積りで固め、そして最後は、面談で語れるよう自分の言葉に落とし込みましょう。AIはあくまで作成を助ける相棒であり、計画の主役は創業者自身です。上手に使いこなし、納得のいく一枚を仕上げてください。
(編集:創業手帳編集部)
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