家具付きオフィスとは?費用・メリット・選び方や注意点、選ぶポイントなどを解説

オフィスの取得には手間や費用がかかる


起業してオフィスを構えようとする際、多くの方が直面するのが初期費用の高さと準備期間の長さです。
物件の選定から始まり、内装工事の発注・家具や什器の調達・各種手続きと、入居までに数カ月を要することも珍しくありません。
また、デスクやチェアなどの家具・什器を一から揃えると、まとまった費用が必要になります。

そこで注目されているのが家具付きオフィスという選択肢です。今回は、家具付きオフィスの特徴・メリット・注意点・選び方を詳しく解説します。

家具付きオフィスとは


家具付きオフィスとは、デスク・チェア・会議室用テーブルなどの家具・什器があらかじめ整備された状態で入居できる賃貸オフィスのことで、「セットアップオフィス」とも呼ばれます。
通常の賃貸オフィスとは異なり、内装工事や家具の調達が不要で、入居後すぐに業務を開始できる環境が整っています。
オーナー側がプロのデザイナーを起用して整備しているケースが多く、デザイン性の高い空間を手軽に利用できる点が特徴です。

起業直後で資金や人手に余裕がない時期ほど、こうした手間のかからないオフィス形態は強い味方になります。

一般的な賃貸オフィス・居抜きオフィスとの違い

家具付きオフィスは、一般的な賃貸オフィスや居抜きオフィスとどのような違いがあるのでしょうか。以下の表で主な違いを整理します。

項目 家具付きオフィス 一般的な賃貸オフィス 居抜きオフィス
内装・家具 オーナーが新規整備済み 自社で工事・調達が必要 前テナントのものを引き継ぐ
入居スピード 即入居〜数週間 数カ月程度 比較的短期間
初期費用 低め(家具・工事費不要) 高め(工事・家具費が発生) やや低め
月額賃料 やや高め 標準 標準〜やや低め
デザインの自由度 低い(変更不可が多い) 高い(自由に設計可能) 中程度(前テナント依存)
原状回復 家具・内装の撤去不要 原状回復工事が必要 借主が原状回復義務を引き継ぐ

一般的な賃貸オフィスは自由度が高い反面、入居準備に数カ月を要し、家具購入費・内装工事費・退去時の原状回復費など多額のコストが発生します。
居抜きオフィスは前テナントの内装や什器を引き継げるため費用を抑えやすいですが、デザインやレイアウトが自社の業態や社風に合わない場合もあります。
家具付きオフィスは、プロが設計した環境をそのまま利用でき、入居後すぐに業務を開始できるという点が大きな強みです。

家具付きオフィスを選ぶメリット


家具付きオフィスの最大の強みは、初期費用の削減とスムーズな入居の実現です。内装・家具がすでに整っているため、工事の手間や長い準備期間が不要です。
コストを抑えながら質の高いオフィス環境を手軽に手に入れられるため、起業初期の限られたリソースを事業本体に集中させることができます。

初期費用を削減できる

通常の賃貸オフィスでは、敷金・礼金・仲介手数料に加え、デスクやチェアなどの家具購入費、パーテーションや照明の内装工事費が発生します。
これらを合計すると初期費用が数百万円規模になることも珍しくありません。
家具付きオフィスは家具・什器の購入費や内装工事費が不要なため、初期費用を敷金と仲介手数料のみに抑えられるケースが多く、数十万〜100万円程度での入居が見込めます。
資金を事業の成長に集中させたい起業家や、キャッシュフローを重視する方にとって大きなメリットです。

オフィス移転をスムーズに進められる

一般的な賃貸オフィスへの移転では、業者選定・見積もり・工事打ち合わせ・施工と、入居まで数カ月の期間を要することが一般的です。
家具付きオフィスであれば内装・家具がすでに整備されているため、契約締結後すぐに入居・業務開始が可能です。
急な組織拡大や事業環境の変化でオフィスを早急に確保しなければならない場面でも柔軟に対応できます。

移転にかかる担当者の工数を大幅に削減できる点も、少人数で運営する起業家にとって大きな助けになります。

デザイン性が高いオフィスを手軽に実現できる

家具付きオフィスはプロのデザイナーが設計した内装や什器が整っており、洗練されたオフィス環境をそのまま利用可能です。
おしゃれで働きやすい空間は従業員のモチベーション向上に寄与するほか、商談や採用面接で来訪者に好印象を与える効果も期待できます。
起業間もない段階でも、資金力のある会社に見劣りしない環境を整えられる点は、取引先への信頼感の醸成にも貢献します。

原状回復費用を抑えられる

通常の賃貸オフィスでは退去時に入居前の状態へ戻す原状回復工事が必要となり、工事の規模によっては数百万円規模の費用が発生することもあるでしょう。

家具付きオフィスの場合、内装・家具はオーナー側が設置したものであるため、入居者が独自に工事や改装を行っていなければ原状回復の範囲が限定的になるケースが多く、退去コストを大幅に抑えられます。
入居時だけでなく退去時のコストも含めたトータルコストで考えると、家具付きオフィスの経済的なメリットはさらに高まります。

家具付きオフィスの注意点


家具付きオフィスには多くのメリットがある一方、事前に把握しておくべき注意点もあります。
デザインの自由度や賃料水準などをしっかり確認したうえで、自社の状況に合った選択をすることが重要です。

デザインの自由度が低い

家具付きオフィスはオーナー側があらかじめ内装・家具を整えているため、入居後に壁紙の変更や間仕切りの追加・撤去、家具の大幅な入れ替えなどが原則できません。
自社ブランドや企業文化を反映した独自のオフィスデザインを実現したい方にとっては、この制約が大きな課題になる場合があります。
契約前に「どの範囲までカスタマイズが認められているか」を物件管理側に確認しておくことが重要です。

自由度の高さを重視する場合は、一般賃貸オフィスも並行して検討するとよいでしょう。

賃料が高くなりやすい

家具付きオフィスは内装工事費・家具調達費・デザイン費用などが賃料に組み込まれているため、一般的な賃貸オフィスと比べて月額賃料が10〜30%程度高くなる傾向があります。
短期間の利用では初期費用削減効果が大きいですが、長期利用になるほど月額賃料の割高分が積み重なり、トータルコストが一般賃貸を上回るケースも出てきます。
利用期間や規模を踏まえ、長期的なコスト試算をしたうえで判断することが大切です。

家具付きオフィスの費用・相場


家具付きオフィスの費用は、立地・広さ・設備の充実度によって大きく異なります。
一般的な賃貸オフィスと比べると月額賃料はやや高めになる傾向がありますが、初期費用を大幅に抑えられる点を踏まえてトータルコストで比較することが重要です。
契約前に何が賃料に含まれているかを必ず確認しましょう。

初期費用の目安

一般的な賃貸オフィスでは、敷金・礼金・仲介手数料に加え、家具や什器の購入費用、内装工事費などが発生するため、初期費用が数百万円規模になることも珍しくありません。
一方、家具付きオフィスの初期費用は、敷金(1〜3カ月分程度)と仲介手数料が主な項目となり、家具・什器の購入費用が不要なため、トータルの初期費用を数十万〜100万円程度に抑えられるケースが多いです。
スタートアップや資金に限りがある企業にとって、キャッシュフローの改善につながる大きなメリットといえます。

月額賃料の目安

家具付きオフィスの月額賃料は、東京都心部(千代田区・港区・渋谷区など)では1坪あたり2.5~4万円程度が目安です。
一般的な賃貸オフィスの賃料相場と比べると10〜30%程度割高になる傾向があります。

ただし、家具のリース料や管理費、インターネット回線費用などが賃料に含まれている物件も多く、それらを別途契約する手間やコストを考慮すると、実質的な割高感は小さくなる場合もあります。
契約時には「賃料に何が含まれているか」を必ず確認するようにしましょう。

家具付きオフィスがおすすめの企業


家具付きオフィスは、初期費用を抑えたい企業や短期間での移転を求める企業に特に向いています。
自社の状況と照らし合わせながら、家具付きオフィスが適しているかどうかを判断しましょう。

スタートアップ企業

創業間もない段階では、内装工事費や家具購入費といったまとまった初期投資を避けられる家具付きオフィスは非常に有効な選択肢です。
限られた資金を採用活動やサービス開発などの成長投資に集中させながら、プロが整えた質の高いオフィス環境を手に入れられます。

また、事業フェーズに応じて短期間での移転が求められる場合も多く、撤退・移転コストを抑えやすい点もスタートアップのスピード感ある経営スタイルと相性が良いといえます。

移転予定がある企業

近い将来に再び移転する可能性がある場合や、事業の成長に伴ってオフィス規模を定期的に見直している場合にも、家具付きオフィスは適しています。
一般的な賃貸オフィスは退去時の原状回復工事に大きなコストが発生しますが、家具付きオフィスは独自の工事を行っていなければ退去コストを低く抑えられるケースが多く、移転をスムーズかつ低コストに進めることが可能です。
次の移転先を探す間の中間オフィスとして活用する事例も増えています。

サテライトオフィスを検討している企業

本社とは別に地方や郊外にサテライトオフィスを設ける際にも、家具付きオフィスは有力な選択肢です。
内装工事や家具調達の手間をかけずに短期間でオフィスを整備できるため、試験的に拠点を開設してその効果を検証するスモールスタートに向いています。
必要に応じてすぐに規模変更や撤退がしやすい柔軟性も、複数拠点を持つ企業にとって大きなメリットとなります。

家具付きオフィスを選ぶポイント


家具付きオフィスを選ぶ際は、自社のニーズや働き方に合っているかどうかを多角的に確認することが大切です。
立地・賃料・セキュリティ・契約条件など、以下のポイントを一つひとつ丁寧にチェックしましょう。

家具付きオフィスが合っているか確認する

まず「家具付きオフィスが自社に本当に合っているか」を確認することが最初のステップです。
家具付きオフィスはデザインの自由度が低く、長期利用では月額賃料の割高感が積み重なることもあります。
利用予定期間・必要な広さ・オフィスに自社ブランドを反映させたい度合いなどを整理したうえで、一般賃貸・居抜きオフィスとトータルコストを比較検討しましょう。

短期利用や少人数チームであれば家具付きオフィスのコストメリットを最大限に享受できます。

立地や築年数に注目する

オフィスの立地は採用活動・取引先との商談・従業員の通勤利便性に直結する重要な要素です。
最寄り駅からの距離・交通アクセスの良さ・周辺環境(飲食店・コンビニなどの利便施設)を確認しましょう。

また、築年数が古いビルは耐震性・空調設備・電気容量などのスペックが低い場合があります。特に多くの電子機器を使用する場合は電気容量が十分かどうかも確認が必要です。

賃料に含まれているサービスを確認する

家具付きオフィスの賃料には、物件によってインターネット回線・管理費・清掃費・会議室利用料などが含まれている場合があります。
一見割高に見える賃料でも、こうした付帯サービスの費用を加味すると実質的なコストは一般賃貸と大きく変わらないケースも多いです。
「賃料に何が含まれていて、何が別途費用になるか」を契約前に必ず書面で確認することが、後のトラブル防止につながります。

セキュリティレベルを確認する

オフィスのセキュリティは、従業員の安全と企業情報の保護のために欠かせない要素です。
入退室管理システムの有無・防犯カメラの設置状況・夜間の警備体制などを確認しましょう。

特に顧客情報や機密情報を扱う業種では、セキュリティレベルが業務上の要件を満たしているかどうかが入居の判断基準となります。
内覧時に実際のセキュリティ設備を確認し、不明点はビル管理会社に直接問い合わせることをおすすめします。

契約条件を確認する

契約期間・更新条件・途中解約時の違約金・原状回復の範囲など、契約条件は事前にしっかりと確認することが重要です。
家具付きオフィスは短期契約に対応している物件もある一方、最低契約期間が設けられているケースも多く、途中解約には違約金が発生する場合があります。

退去時に独自で加えた変更に対して修繕費用を請求されるケースもあるため、契約書の原状回復条項は細部まで確認しましょう。

家具付きオフィスに関するよくある質問


家具付きオフィスを検討するうえで、多くの方が疑問に思うポイントをQ&A形式でまとめました。契約前の参考にしてください。

家具付きオフィスと普通のオフィスはどちらがお得?

短期利用や少人数のチームであれば、家具付きオフィスの方がトータルコストを抑えられるケースが多いです。
一般的な賃貸オフィスは月額賃料こそ安い傾向がありますが、家具・什器の購入費や内装工事費、原状回復費用などを含めると初期・退去時の費用が大きくなりがちです。

一方、長期利用や大規模なオフィスの場合は、月額賃料の割高分が積み重なるため、一般賃貸の方がコストを抑えられる場合もあります。
利用期間や規模に応じてトータルコストで比較することをおすすめします。

家具付きオフィスは個人事業主でも借りられる?

物件によっては個人事業主でも契約できる家具付きオフィスがあります。
ただし、法人契約を前提としている物件も多く、個人事業主の場合は審査が厳しくなったり、保証人や保証会社の利用が求められたりするケースがあります。
個人事業主の方は、事前に契約条件を確認したうえで、柔軟に対応している物件を選ぶようにしましょう。

なお、シェアオフィスやコワーキングスペースであれば、個人事業主でも利用しやすいプランが充実しているため、併せて検討してみるのもひとつの選択肢です。

まとめ・利便性の良い家具付きオフィスで快適な環境を手に入れよう

家具付きオフィスは、初期費用の大幅な削減・スムーズな入居・デザイン性の高い環境の実現という3つのメリットを兼ね備えた、起業家にとって魅力的な選択肢です。
一方で、デザインの自由度が低い点や月額賃料が割高になりやすい点も理解したうえで、利用期間・規模・予算を踏まえてトータルコストで判断することが大切です。
立地・セキュリティ・契約条件をしっかり確認し、自社に最適な家具付きオフィスを選びましょう。

創業手帳(冊子版)では、起業に必要な知識・手続き・資金調達のノウハウ情報を多数ご紹介しています。オフィス選びのほかにも起業前の準備から軌道に乗るまでの各ステージで役立つ情報内容となっているので、ぜひ参考にしてください。

(編集:創業手帳編集部)