ギグワーカーとは?フリーランスとは違う!企業活用のメリットや注意点について解説

創業手帳

ギグワーカーは単発や短期の仕事を請け負って働く人のこと


働き方が多様化し、単発や短期で仕事を請け負うワーカーが増えました。そのような働き方をする人を、ギグワーカーと呼びます。
ギグワーカーの魅力は、組織や人間関係に縛られず柔軟に働けることです。また、企業にとっても活用するメリットがあります。

今回は、ギグワーカーの定義や他の雇用形態との違い、企業活用のメリット、注意点などについてご紹介します。

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ギグワーカーの定義と特徴


ギグワーカーは、単発を意味する「ギグ」と労働者を意味する「ワーカー」を組み合わせた造語で、単発・短期で仕事を請け負う労働者を指します。
ギグワーカーは企業と雇用契約を締結せず、単発で仕事を受けることが大きな特徴です。欧米から始まった働き方であり、日本でも増加傾向にあります。

日本におけるギグワーカーの現状と規模


日本のギグワーカー人口は約100万人といわれ、市場規模は1兆円を超えると推計されています。
ギグワーカーが増えた理由には、新型コロナウイルスの影響が挙げられます。
コロナ禍で長期的に社員を雇うことが困難になったことで、単発・短期で働けるギグワーカーの需要が高まりました。

また、副業の解禁と、インターネットやテレワークの普及も増加要因のひとつです。最近はギグワーカーと企業をつなぐプラットフォームも増えています。
ギグワーカー市場は今後さらに拡大する見込みです。

ギグワーカーの代表的な職種


ギグワーカーの代表的な職種は以下のとおりです。

  • 配達員
  • ライター
  • デザイナー
  • プログラマー
  • ITエンジニア
  • 動画編集
  • 翻訳
  • コンサルタント
  • 家事代行 など

ギグワーカーの職種は多種多様です。身近なものでいえば、「Uber Eats」などのフードデリバリーサービスの配達員がギグワーカーに該当します。
また、ライターやデザイナー、プログラマー、ITエンジニア、動画編集など、テレワークでできる仕事を請け負うギグワーカーも多くみられます。

ギグワーカーと他の雇用形態の違い


ギグワーカー以外にも、アルバイト・パートやフリーランスなど様々な働き方が存在します。ギグワーカーと他の雇用形態の違いは以下のとおりです。

ギグワーカーとアルバイトやパートとの違い

アルバイト・パートは、企業と直接雇用契約を締結して働く形態です。フルタイムの正社員と比べて、所定労働時間数・日数が短い特徴があります。
また、アルバイト・パートは直接雇用されているため、企業の福利厚生や制度を利用することが可能です。
さらに、労働時間数によって、厚生年金や健康保険など社会保険への加入が義務となることもあります。

一方、ギグワーカーは企業と直接雇用契約を結ばず、業務を請け負う働き方です。そのため、発注企業の社会保険や福利厚生などは適用されません。

ギグワーカーと日雇い労働の違い

日雇い労働は、企業と日々雇用契約を締結して働く形態です。雇用保険法での定義では、日々雇用される者、または30日以内の期間を決めて雇用される者とされています。
日雇い労働は、1日単位で企業と雇用契約を締結していることが特徴です。一方のギグワーカーは、雇用契約を結ばず、数時間程度の仕事を単発で請け負います。

ギグワーカーと派遣との違い

派遣は、派遣会社と雇用契約を締結し、他の企業に出向して働く形態です。
実際に働く企業とは雇用契約を結んでおらず、派遣元の企業から労働者派遣法や最低賃金法によって定められた賃金が支払われます。
また、派遣会社は派遣に対して、教育や福利厚生を提供することが義務となっています。

ただし、ギグワーカーには、企業から教育や福利厚生を提供されません。
さらに、労働者派遣法や最低賃金法による規制も受けないため、ギグワーカーの報酬は、仕事内容や個人の能力などに応じて企業の裁量で決まります。

ギグワーカーとフリーランスの違い

フリーランスは、クライアントから仕事を請け負って働く形態です。企業と雇用契約を締結しない点は、ギグワーカーと共通する要素です。

しかし、ギグワーカーは基本的にプラットフォームを通じて仕事を受注し、報酬はプラットフォーマーから支給されます。
一方、フリーランスはクライアントと直接契約を締結するケースが多くあり、報酬は発注企業から支払われます。

また、フリーランスは専門性が高く、長期案件を受注するケースが多くあるのに対し、ギグワーカーは単発かつ比較的簡単な仕事が中心です。

ギグワーカーに社会保障はある?


ギグワーカーは企業と雇用契約を結ばないため、一般的な社員とは社会保障が異なります。ここで、ギグワーカーの社会保障事情について紹介します。

労働基準法や最低賃金法は適用されない

ギグワーカーは、企業と業務委託契約を締結し、報酬を得ます。
そのため、雇用契約を締結する労働者を対象とした労働基準法や最低賃金法は適用されません。

最低賃金法が適用されないことから、報酬の単価が最低賃金以下となってしまう可能性があります。
また、仮に残業が発生しても企業から残業代は支払われません。有給休暇の付与もないため、働かなければ無給となってしまいます。

ギグワーカーは増加傾向にある一方で、労働条件や報酬の保護に関する法整備が大きな課題となっていることが現状です。

健康保険や年金は個人で入る必要がある

ギグワーカーは、原則として社会保険の加入義務がなく、個人で国民健康保険や国民年金に加入する必要があります。
正社員の場合であれば、社会保険料は社員と企業で折半して支払うため、負担を軽減することが可能です。
しかし、ギグワーカーは国民健康保険料や国民年金保険料を全額個人で支払わなければならず、その負担は大きいといえます。

このことから、ギグワーカーの社会保障の充実が今後の課題のひとつとされています。
政府は「働き方に中立的な社会保障制度等」の構築を目指しており、ギグワーカーの社会保険適用のあり方について検討していくようです。

労災保険の適用範囲が限られる

労災保険に関しては、一部のギグワーカーは特別加入制度によって加入できます。しかし、対象は限定的となっています。
特別加入制度の対象者は、ギグワーカーが多い自転車・原動機付自転車を使った配達員やフリーのITエンジニア・プログラマー、Webデザイナーなどです。

特別加入制度を通してギグワーカーが労災保険に加入すれば、業務上の事由による事故やケガに対して補償が適用されます。
ただし、保険料の負担や手続きに煩わしさがある点に注意が必要です。

ギグワーカーの権利保護に関する政策動向


ギグワーカーは労働者と認められず、労働条件や報酬に決まりがない状態です。
政府は、働き方を問わない中立的な社会保障制度の構築を目指し、労働者と認められにくいギグワーカー保護に向けた指針の策定・ルール整備を検討しています。

公正な報酬や安全衛生の確保など、ギグワーカーに対する待遇改善が課題と認識されるようになりました。
そのため、今後はギグワーカーが働きやすい環境に改善されることが期待されます。

企業がギグワーカーを活用するメリット


企業がギグワークを活用することには、様々なメリットがあります。そのメリットは以下のとおりです。

必要な人材を必要な時に確保できる柔軟性

人手不足といわれる現代では、新規採用を行っても確実に人材を確保できるとは限りません。
しかし、ギグワークは単発で仕事を請け負うため、企業側は必要な時に必要な人材を柔軟に確保できます

また、ギグワーカーの多くは、即戦力となるスキルを有しています。採用のミスマッチを回避しやすく、採用や教育にかかる時間を大幅に短縮できる点がメリットです。

人件費や採用コストの大幅な削減効果

ギグワーカーの活用は、人件費や採用コストの削減効果にも期待できます。
企業が社員を雇えば、固定的な人件費が発生します。しかし、ギグワーカーの場合、業務単位で報酬が支払われるので、固定的な人件費を抑えることが可能です。

また、社員の採用では採用コスト、雇用後は教育コストがかかってしまいます。一方のギグワーカーなら仕事を発注するのみで、採用コストを抑えることが可能です。
また、教育コストも不要なため、教育コストも抑えられます。

業務の効率化とスピーディーな対応力の向上

ギグワーカーの活用によって、企業側は業務の繁閑に合わせて柔軟に人材を調整できます。
繁忙期でも十分な人材を確保できるため、業務効率やスピードの低下を防ぐことが可能です。
また、ギグワーカーには高いスキルを持つ人材が多い傾向にあります。時間をかけずに質の高い成果を得られる可能性があることもメリットです。

社員の業務負担軽減と生産性アップ

社員の負担を軽減し、生産性をアップできることもギグワーカーを活用するメリットです。
特に人手不足の状況では、社員1人あたりの仕事量が多くなってしまいます。そこでギグワーカーに業務を任せることで、社員の業務負担を軽減することが可能です。
効率を低下させていた業務がなくなれば、社員は本来の業務に集中できるようになり、生産性の向上にもつながります。

企業がギグワーカーを活用する際の注意点


ギグワーカーの活用はメリットがある一方で様々なリスクがあります。そのため、どのようなリスクがあるのか理解した上で活用することが大切です。
ここで、企業がギグワーカーを活用する際の注意点をご紹介します。

情報漏洩などセキュリティ対策をする

ギグワーカーは社外の人材であるため、単発・短期的な仕事であっても機密情報の取り扱いには十分に注意する必要があります。
なお、すべてのギグワーカーにセキュリティーリテラシーがあるとは限りません。情報漏洩を避けるために守秘義務契約を締結し、セキュリティ教育の実施が必要です。
また、社内でしっかりセキュリティ体制や教育を行い、組織全体で情報漏洩に気を付けてください。

ノウハウの社内蓄積の停滞を防ぐ

ギグワーカーに業務を任せると、社内でノウハウが蓄積されない可能性があります。そのため、ノウハウの蓄積の停滞を防ぐことが求められます。
重要な業務は社員が関与して、ノウハウの継承を図ってください。

また、ギグワーカーからフィードバックを受けることもおすすめです。具体的には、面談やアンケートによってギグワーカーから情報やノウハウを得ることが可能です。

トラブル発生時の責任の所在を明確にする

ギグワーカーとトラブルが発生した際、責任の所在があいまいになるリスクがあります。最終的には企業側がトラブルの責任を負わなければならない可能性もあります。

このようなリスクを避けるためには、トラブル発生時の責任の所在を明確にすることが大切です。
ギグワーカーとの契約内容を明確にして、ケースごとにトラブル発生時の対応について取り決めておくことで、企業側の負担を抑えられるでしょう。

作業品質の担保を心がける

作業品質はギグワーカーごとにばらつきがあるため、品質の担保が難しい場合があります。
一定の作業品質を保つためにも、ギグワーカー選定時に経験やスキルを十分に確認することが大切です。

また、スキルがある人物だからと任せず、定期的にモニタリングを実施することも品質管理に重要なポイントとなります。
ギグワーカーには教育する時間がないため、業務マニュアルを用意し、それに基づいて仕事を行ってもらうことも一定の作業品質を保つことには有効です。

プラットフォーム選定や契約内容を重視する

ギグワーカーを探せるプラットフォームとして、求人アプリやスキルシェアサービス、クラウドソーシングサービスが挙げられます。
幅広い人材を探せるプラットフォームもあれば、特定の職種・仕事内容に特化したプラットフォームもあります。
自社に必要なギグワーカーを見つけるためには、プラットフォーム選定が重要です。
求める職種やスキル・能力を明確にした上で、理想のギグワーカーが見つけられるプラットフォームを選んでください。

また、ギグワーカーとの契約内容を明確にすることも大切です。
契約内容を巡ってギグワーカーとの間で相違が発生しないように、契約内容を文書化することがトラブル防止につながります。

適切な報酬設定とコミュニケーションを意識する

単発・短期とはいえ、ギグワーカーには適切な報酬を設定し、積極的にコミュニケーションを取ることが大切です。
最低賃金が保証されていないギグワーカーは、収入が不安定な傾向にあります。
そのため、仕事内容や能力・スキル・実績などに応じた適切な報酬を設定すれば、ギグワーカーのモチベーション維持につながります。

なお、コミュニケーションを疎かにすると、プロジェクトの進行や作業品質に影響が出る恐れがあるので注意が必要です。
チャットシステムや進捗管理ツールなどを活用し、ギグワーカーと密にコミュニケーションを取ることで、作業品質の向上や納期の厳守につながります。

ギグワーカー活用で企業の働き方改革を推進しよう

様々な業界で人手不足が懸念されています。単発・短期で仕事を発注できるギグワーカーを活用すれば、必要な時に柔軟に人材を確保できます。
ほかにも、採用・教育コストの削減、社員の負担軽減など企業にとってメリットが多く、働き方の改善につなげることが可能です。
ただし、ギグワーカーには情報漏洩のリスクや作業品質にばらつきがあるなどデメリットとなる部分もあります。
注意点を理解し、十分に対策を行った上でギグワーカーを活用してください。

創業手帳(冊子版)では、働き方改革や業務効率化など経営課題の解消に役立つ情報をお届けしています。起業・開業時のサポートに活用してみてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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