商品のネーミングはどう決める?商品名の付け方と成功事例を解説

商品のネーミングは売れ行きや認知に影響する


商品のネーミングは、単なる“名前付け”ではなく、売れ行きやブランドイメージも左右する重要な要素です。
どれだけ品質や機能に優れていても、名前が魅力的でなければ手に取ってもらえない可能性もあります。
反対に、印象に残るネーミングを付けることで、消費者の記憶にも定着しやすく、口コミ・SNSでの拡散につながりるのです。

本記事では、売れる商品のネーミングに共通するポイントや商品名の付け方、成功事例などをまとめて解説します。
商品名をどう付けるか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

商品名・ブランド名・サービス名の違い


商品やサービスに名前を付ける際に、まず「何に対して名前を付けるのか」を整理することが大切です。
商品名やブランド名、サービス名はそれぞれ似ているものの、役割が異なっています。
混同したまま名前を付けてしまうと、後から展開しにくくなることもあるため、注意が必要です。

ネーミングの方向性を定めるためにも、商品名・ブランド名・サービス名の違いについて理解しておいてください。

商品名は単品を指す名称

商品名とは、個別の商品を識別するために付けられた名前です。
例えば、同じ企業が複数の商品を展開している場合でも、特徴や用途に合わせて別の商品名が名付けられます。

商品名は、消費者が店頭やインターネット上でその商品を探したり、比較したり、指名して購入したりする際の目印にもなるものです。
そのため、商品名を付ける際はどのような商品で、どのような特徴があるのかが、ある程度イメージしやすい名前にすると、消費者にも伝わりやすくなります。

ブランド名は世界観やシリーズ全体を支える名称

ブランド名は、個別の商品ではなく、商品群や企業全体に共通する価値観・世界観を表すための名称です。
同じブランド名で複数の商品を展開することで、消費者は品質やイメージの統一感を出しやすくなります。

例えば、新商品を発売するたびに一から認知を広げるのは時間と手間がかかるものですが、すでに知られているブランド名から新商品を発売することで、これまでブランドが築いてきた信頼感を活かすことが可能です。
長期的にシリーズ展開やラインの拡張を検討している場合は、商品名だけでなくブランド名の設計も重要になります。

サービス名は提供内容や体験を伝える名称

サービス名は、形のある「モノ」ではなく、提供する仕組みや体験、支援内容などに付ける名前です。
例えば、オンライン講座や予約システム、家事代行サービス、コンサルティングなどは商品名よりもサービス名として考えたほうが整理しやすくなります。

サービスは利用する前に実物を手に取れないため、名前だけで提供されるサービスの内容や価値がある程度伝わることが大切です。
何をしてくれるのか、サービスを受けることでどのようなメリットがあるかを想像しやすい名前にすると、利用のハードルも下げやすくなります。

売れる商品のネーミングに共通するポイント


売れる商品を生み出すには、機能性やデザインに加え、ネーミングにも力を入れることが大切です。
これまでにヒットした商品のネーミングにはいくつか共通するポイントがあるので、どのような共通点があるか把握し、名前を付ける際に活用してください。

シンプルで覚えやすい

売れる商品名を見ると、シンプルで覚えやすいものが多いという特徴があります。商品名が長く、複雑なものだと印象に残りにくく、検索性も低くなってしまう傾向にあります。
シンプルであればあるほど、誰もが簡単に思い出して会話や検索につながるため、広まりやすいです。

また、無駄な部分をそぎ落とした商品名は、時代が変化しても古臭く感じないという魅力もあります。

発音しやすく響きがいい

売れる商品名の共通点には、語感の良さや響きがいい点も挙げられます。語感や響きがいい商品名は思わず口にしたくなるような魅力を持つのです。
例えばCMで軽快な音楽と商品名を組み合わせた楽曲が広まり、商品自体の認知度が高まり成功したケースも少なくありません。
逆に発音しづらい名前は覚えるのが難しく、話題にも上がりにくくなってしまいます。自然と口に出せるような響きのいいネーミングにすることが重要です。

特徴や価値がわかる

売れる商品のネーミングの中には、聞いただけでどのような商品なのか、どのような価値があるのかわかりやすいものもあります。
そのようなネーミングは十分な説明をしなくても直感的に伝わる良さがあり、商品の第一印象を決める要素にもなってきます。

また、価値が伝わりやすいネーミングだと、消費者はどのような体験ができるか、どのような感情になるかをイメージでき、手に取りやすくなるのもポイントです。

インパクトがあり独自性が強い

インパクトの強い商品名は、これまでその商品や関連するブランド・企業に触れてこなかった見込み客も興味を持ちやすくなり、手に取ってもらえる可能性が高まります。
また、インパクトと同時に独自性の強いネーミングにすることで、似たような商品が多いジャンルでも、ネーミングだけで差別化を図ることも可能です。

検索されやすいキーワードが含まれている

現代はパソコンだけでなく、スマートフォンからも商品について検索し、調べられる時代になりました。
そのため、検索性を高めるために、商品名の中に検索されやすいキーワードが含まれている場合も増えています。

逆に検索しにくい商品名は、検索しても出てこない可能性があるため、注意しなくてはなりません。
例えば、英単語よりも日本語(カタカナ)を用いたり、難しい漢字を使わないようにしたりするなどです。

商品のネーミングの決め方【5ステップ】


商品名は思い付きだけで決めるよりも、順番に整理しながら考えることで失敗しにくくなります。
大切なのは「誰に、どのような価値を、どう伝えたいか」を明確にした上で候補を出し、最後に読みやすさ・使いやすさまで確認することです。

ここで、魅力的かつ覚えてもらいやすい名前を付けるための、基本的な流れを紹介します。

ターゲットと利用シーンを整理する

まずは「誰に向けた商品なのか」、「どのような場面で使われるのか」を明確にしてくださいす。
例えば、若年層向けの商品と高齢者向けの商品では、親しみやすい言葉や伝わりやすい表現が違ってきます。

また、似たような商品でも、自宅で使用する商品と外出先で使用する商品、ギフト用の商品など、シーンによっては求められる印象や連想される言葉が変わります。
ネーミングの方向性をブレさせないためにも、ターゲットと利用シーンは最初に整理しておくことが重要です。

商品の特徴・強みを言葉にする

次に、その商品の「何が優れているのか」「どのような価値を提供できるのか」など、特徴や強みをできるだけ具体的な言葉にします。
例えば機能面(軽い、速い、長持ちする)だけでなく、感情的な価値(安心感、高級感、楽しさ)まで含めて洗い出すのがポイントです。

ここで抽出した要素を軸にネーミングを考えていきます。できるだけ具体的な言葉に落とし込むことで、伝わりやすいネーミングにつながるでしょう。

キーワードを広げて候補を出す

商品の特徴や強みを言語化して抽出したら、さらに関連・連想するキーワードをできるだけ多く挙げていきます。
商品の用途やデザイン、素材、利用する人の気持ち、得られる効果、印象など、連想できる言葉を幅広く出していくのがポイントです。
この段階では質よりも量を重視し、とにかくたくさんのキーワードを挙げて候補を出していきます。

日本語以外にもカタカナ語や英語、擬音なども含めると、後に組み合わせや比較がしやすいです。

言葉を組み合わせて絞り込む

たくさんのキーワードを出せたら、それらを組み合わせながら商品名の候補を作っていく作業に入ります。
さらに、シンプルで覚えやすいものを意識しつつ、商品の特徴が伝わるか、他社の差別化ができているかなどを考慮しながら候補を絞り込んでいきます。

また、語感やリズムの良さも重要なポイントです。複数の案を比較しながらバランスの良い名前を選んでください。

声に出し、見た目と検索性を確認する

最後に、候補に残った名前を実際に声に出してみて、発音のしやすさや聞き取りやすさなどを確認していきます。
声に出すことでほかの単語や商品名と似ていたり、発音が難しかったりしないか気づきやすいです。
併せて、文字として見た時の印象や読みやすさもチェックする必要があります。

また、検索エンジンで調べて既存の商品と重複していないか、競合に埋もれないかなども確認してみてください。
これらを総合的に見て特に問題がなければ、実用的なネーミングとして完成です。

商品のネーミングで失敗しやすい例


商品名は自由に決められるように見えますが、実際には避けたほうが良いパターンがあります。
方向性を間違えて失敗しないように、実際によくある失敗例も押さえておいてください。

意味が伝わりにくい名前

作り手にとっては意味があったり、思い入れがあったりする言葉でも、初めて見る人に意味が伝わらなければ商品の魅力は届きにくくなってしまいます。
特に造語や抽象的すぎる表現は印象に残ったとしても、初見ではその商品の価値や用途がわかりづらく、購入のきっかけを逃してしまう可能性もあるため注意が必要です。

新規ブランドや無名の商品ほど、何を提供したいのかを直感的に理解できるネーミングにする必要があります。

読みにくく覚えにくい名前

難しい漢字や長すぎる単語、発音しづらい言葉などを使ったネーミングは、ユーザーにストレスを与えてしまう可能性があります。
読み方がわからなければ検索もしづらく、口コミや紹介などで広がりにくいのもデメリットです。

商品名は一目見ただけである程度読むことができ、口に出しやすいものにすることが大切です。
特に覚えやすさ・言いやすさは認知拡大に大きく影響する要素のため、シンプルで親しみやすいネーミングを意識してください。

似た名前が多く埋もれやすい名前

わかりやすさを重視するあまり既存の商品や競合と似たネーミングを付けてしまうと、検索結果や店頭で埋もれてしまう原因になります。
商品の特徴をただ並べだけだったり、よくある単語の組み合わせだったり、流行語に寄せたりすると、差別化が難しいです。
どれも同じに見える状態から脱却するためにも、ネーミングを考える際は事前にリサーチを行い、競合と被らない独自性を確保することが重要となります。

効果効能を強く言いすぎる名前

商品の魅力を伝えたいからといって、名前の中に効果効能を強く打ち出すのは注意が必要です。

例えば、「絶対に痩せる」「完全に防ぐ」などの言葉をネーミングで使うと、信頼性を損なうだけでなく、広告表現として問題になる可能性があります。
特に健康食品や化粧品などは表現規制もあるため、誇張しすぎず、適切で信頼感のある言葉選びを心がけてください。

商品のネーミングをする際の注意点


ネーミングはアイデアだけでなく、法的・戦略的な観点からも慎重に検討する必要があります。
後から変更しなくてはいけなくなった場合、企業・ブランドの信頼やコスト面で大きな損失につながるため、事前に押さえておくべきポイントを確認してください。

商標登録の有無を必ず確認する

候補となる商品名がすでに商標登録されていないかは、必ずチェックするようにしてください。
既存の商標と同じ、または類似するネーミングを付けてしまうと、商標権侵害として刑事罰が科される可能性があります。
また、刑事罰に科されなかった場合でも、商標登録済みの企業・個人から使用の差し止めや損害賠償を請求されるリスクがあります。

商標を確認する際は、特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」を活用しましょう。
このプラットフォームには国内外の商標や特許、実用新案、意匠の出願状況などを検索・閲覧することが可能です。
誰も無料で使えるので、ネーミングを決定する前に確認し、問題がなければ自社でも商標登録を検討しておくと安心です。

薬機法などの関連法規を確認する

医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器、健康食品などの分野では、薬機法をはじめとした法規制に注意が必要です。

商品名やキャッチコピーに効果・効能を過度に示唆する表現を使ったり、ただの健康食品・サプリメントであるにも関わらず医薬品と誤認される可能性があるネーミングを付けたりした場合、行政指導や広告規制の対処になる可能性があります。
薬機法などの関連法規を確認し、誤解を招かない表現にすることが重要です。

将来的なシリーズ展開も見据える

商品単体だけでなく、将来的にシリーズ化やラインナップを増やす可能性も考慮し、拡張性のあるネーミングを設計することも大切です。
ベースとなるブランド名に対して、機能や用途ごとに派生しやすい構造にすると、後から商品を追加しやすくなります。

例えば、洗剤を使わなくても汚れを落とせるメラミンスポンジとして知られる「激落ちくん🄬」は、激落ちくん以外にも「激落ちママ」や「激落ちパパ」、「激落ちキング」など、同じシリーズにたくさんのラインナップが登場しています。
ただし、特定の機能・特徴に寄りすぎてしまうと、展開の幅が狭くなってしまうこともあるため、長期的なブランド戦略を踏まえた設計にするのが重要です。

商品のネーミング成功事例


実際に商品の魅力が伝わるネーミングを付けたことで成功した事例もあります。ここでは、3つのネーミング成功事例を紹介します。

鼻セレブ

王子ホールディングス株式会社と王子ネピア株式会社が手がける「鼻セレブ」は、ネピアのトリプル保湿と植物由来スクワランを配合し、うるおい感となめらかな肌触りを実現したティシュです。

鼻セレブはもともと「モイスチャーティシュ」という名称で発売していましたが、ウェットティシュと勘違いする人も多かったそうです。
そこでネピアは「鼻に使う、高級ティシュ」をコンセプトに、ネーミングとパッケージデザインを考え、「鼻セレブ」に決まりました。
鼻セレブにリブランディングされてからは取り扱い店舗が急増し、モイスチャーティシュ時代より10倍以上の売上につながっています。

ごはんですよ!

株式会社桃屋の「ごはんですよ!」は、海苔の佃煮を子どもにもよりおいしく食べてもらえる商品をつくろうという思いから開発された商品です。

「ごはんですよ!」という名前は、従来の商品との差別化を考えた時、社長夫人が子どもに向かって「ごはんですよ!」と声をかけたことがきっかけで、このネーミングが付けられました。
老若男女を問わず親しみやすい言葉であり、呼びやすい商品名です。

会話調のネーミングが付けられた商品は今でこそ数多く存在しますが、「ごはんですよ!」が発売された1973年当時は非常に珍しく、面白いネーミングの先駆けともいわれています。
実際、発売後すぐに桃屋の売上の中枢を担う存在にまで一気に拡大しており、工場の建設と福岡・名古屋に出張所を開設しています。

ルンバ

アイロボット・コーポレーションは、もともと産業用ロボットの開発を手がけていましたが、2002年に初の家庭用ロボット掃除機「ルンバ」を発売しました。

「ルンバ」は部屋の「Room(ルーム)」と踊りの「ルンバ」を掛け合わせた造語であり、親しみやすい発音と家族の一員として可愛がってもらえるネーミングを協議した結果、ルンバと名付けられています。
世界中の人がわかる単語を組み合わせたことで、どの国の人も共通のイメージを持つことができ、またシンプルな名称で覚えやすいという点が魅力です。
その結果、ルンバを含むアイロボットの家庭用ロボットの累計販売台数は、世界で5,000万台を突破しています(2024年4月時点)。

まとめ・ネーミングは商品の価値を伝える大切な要素

ネーミングは商品の第一印象を左右し、売れ行きや認知拡大にも直結する重要な要素です。
ターゲットや利用シーンを踏まえ、特徴や強みを適切に言語化することで、魅力が伝わりやすい名前を設計可能です。
一方で、伝わりにくさや法規制、商標リスクなどの注意点も見逃せません。戦略的にネーミングを行い、長く愛される商品づくりにつなげてください。

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