EBITDAとは? キャッシュベースの”本業の儲け”を確認するには

資金調達手帳

木村さきの【新米社長のための会計講座】

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(2016/08/23更新)

とある大手企業の経理部に勤める木村さきが、起業したての父親に、“知らなきゃヤバい”会計のイロハを教える本シリーズ。今回は、「EBITDA」ついてレクチャーします。

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【登場人物】

木村さき(26)
上場企業の経理部に勤務するかたわら、公認会計士を目指して専門学校に通うOL。大学で現代会計のゼミに所属したことをきっかけに、会計の世界にのめり込む。

パパ(55)
出向してきた上司と反りが合わず、長年勤めた県庁を勢いで退職してしまい、妻の父親が経営する会社のサポートを受けて起業。アイデアには富んでいるが、考えるより先に行動するタイプで、なかなか会社経営を軌道に乗せられずにいる。

さき

ただいまー

パパ

おかえり……って、なんだ、さきか。

さき

なんだはないでしょ。たまには一緒に食事でもどうだって呼び出したのはパパの方なんだから。

パパ

そうだったな、ハハ。それで、何を食べるか決めたのか?

さき

やっぱりお寿司でしょ。

パパ

あいかわらず好きだな。

さき

トロにウニに穴子に……いっぱい食べるんだから。早く行きましょうよ。

パパ

その前に、一つ相談があるんだが……。

さき

どうせそんなことだろうと思った。今回はどうしたの?

パパ

新しい事業を思いついたんだけどな。

さき

またー!?

パパ

ただ、自己資金じゃ無理だから、お金を借りようと思うんだが、その返済も考えると、ちゃんとキャッシュが回るのかどうか心配でね。

さき

事業計画は作ってあるの?

パパ

コレだよ。利益は少ないが、一応黒字の計画にはなってる。

さき

始めてしばらくは、利益はほぼゼロね。でも、パパが心配してるのは、キャッシュが回るか回らないか、なんでしょ。そういうときは、利益よりもEBITDAを見た方がいいわね。

パパ

エ、エビと何だって!?

さき

エビじゃなくて、EBITDA。「いーびっとでぃーえー」と読むの。利息と税金と減価償却費を引く前の利益という意味ね。当期純利益は、売上から、原価や経費、利息、税金などの様々な費用を差し引いた後の残りのことでしょ。この当期純利益に、利息と税金と減価償却費だけ戻してあげるの。

パパ

ということは、つまり

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だな。で、このEBITDAが何の役に立つんだ?

さき

EBITDAは、企業の収益力を分析したり比較したりするのに適した指標と言われてるの。例えば、税金は、国によって税制や税率が違うでしょ。それに、利息は、金利水準や借入の大きさによって異なるし、減価償却費も、税制や企業の選択で、償却方法や耐用年数が違ってくるじゃない。だから、それらの影響を受けない指標としてEBITDAが使われるのよ。

パパ

なるほど、EBITDAが大事な指標であることはわかった。ただ、パパの会社は、まだ外国の企業と比べるほど大きくないってこと知ってるだろ。

さき

早とちりしないで。EBITDAには、もう一つ大事な意味があるんだから。ちょっとコレを見ながら聞いて。

 売 上 高

原価・経費

  営業利益

利   息

  経常利益

税   金

  当期純利益

パパ

よくある損益計算書だな。

さき

特別損益や支払利息以外の営業外損益が小さい場合には、当期純利益に税金と利息を足し戻したものは営業利益と考えることができるの。すると、さっきパパの言ったEBITDAの計算式は、こう書き換えることができるのよ。
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営業利益が何を表しているのかは、前に話したよね。

パパ

本業でどれだけ儲かっているのかを表す利益だったよな。

さき

その通り。ただし、営業利益は、実際のキャッシュアウトを伴わない減価償却費が差し引かれた後の利益だから、稼いだキャッシュの額とは一致しないのよね。そこで、減価償却費を調整することによって、利益をキャッシュベースの指標に変換しているの。つまり、営業利益に減価償却費を足し戻したEBITDAは、“キャッシュベースの本業の儲け”を表していると言えるのよ。

パパ

ということは、利息の支払いプラス借入の返済がEBITDA以下なら、キャッシュは回ると考えることができるのか。

さき

そうなの。計算も簡単だし、なかなか便利な指標でしょ。

パパ

覚えておいて損はなさそうだな。

さき

ただし、正確なキャッシュフローは、在庫や売掛金の増減とか設備投資なんかも考慮する必要があるから、EBITDAだけで資金繰りを考えてちゃダメなんだけどね。

パパ

よし。キャッシュフローの話も気になるところだが、それはまたこんどにして、寿司を食いに行くとするか。

さき

もちろん今日は、回らない方だからね。

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(監修:監査法人A&Aパートナーズ)
(編集:創業手帳編集部)

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