小口零細企業保証制度とは?対象者・利用条件・メリットなどを解説
信用保証協会の便利な融資保証制度を知っておこう

小規模事業者や個人事業主にとって、資金調達は経営を左右する重要な要素です。
しかし、実績が少ない場合や担保・保証人の準備が難しい場合は、金融機関から融資を受けにくいケースもあります。
そのような事業者を支援する制度として設けられているのが、「小口零細企業保証制度」です。
信用保証協会が保証を行うことで、一定の条件を満たす小規模事業者の資金調達を後押しする仕組みとなっています。
この記事では、小口零細企業保証制度の概要をはじめ、対象者や利用条件、メリット、注意点まで詳しく解説します。
小口零細企業保証制度を活用して資金調達を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
小口零細企業保証制度とは?
小口零細企業保証制度とは、信用保証協会が実施する保証制度で、責任共有制度の対象外となっています。
責任共有制度は、借入額に対する一定のリスクを金融機関も負担する制度です。
責任共有制度の対象に含まれている場合、信用保証協会が8割、残りの2割を金融機関が負担する形となります。
しかし、小口零細企業保証制度ではリスクを全額信用保証協会が保証するため、金融機関の審査に通りやすくなるのです。
制度の概要は以下のとおりです。
| 項目 | 概要 |
| 対象者 | 常時使用する従業員数が20人以下(商業・サービス業は5人以下)の小規模事業者・個人事業主で、中小企業信用保険法施行令第1条第1項に定める特定業種に属している人など |
| 融資限度額 | 2,000万円(既存の信用保証協会保証付き融資残高と合わせて2,000万円以内) |
| 資金用途 | 事業資金(運転資金・設備資金) |
| 保証割合 | 100% |
| 保証期間 | 各信用保証協会が定める保証期間 |
| 返済方法 | 一括または分割返済 |
| 融資利率 | 各金融機関が定めた利率 |
| 保証料率 | 各信用保証協会所定の保証料率 |
| 担保 | 原則不要 |
| 連帯保証人 | 原則不要(法人の場合は代表者保証が必要となる場合もあり) |
利用できる対象者
小口零細企業保証制度を利用できる対象者は、中小企業信用保険法第2条第3項に定める小規模事業者が該当します。
小規模事業者の基準となってくるのが、従業員数です。常時使用する従業員数が20人以下の場合、小規模事業者に当てはまる場合があります。
ただし、業種によって違いがあるため注意が必要です。例えば卸売業や小売業、サービス業は5人以下で小規模事業者に該当します。
表にある「特定業種」とは、中小企業信用保険法施行令第1条で規定されている事業です。
商工業におけるほとんどの業種が特定業種に分類されますが、農業や漁業、性風俗関連特殊営業、金融業、宗教法人、非営利団体(NPOを除く)、LLPなどは含まれません。
なお、この対象者には小規模企業だけでなく、個人事業主も含まれています。
利用条件で知っておきたいポイント
小口零細企業保証制度を活用する際に知っておきたいポイントとして、保証料が挙げられます。
金融機関から融資を受けやすくなる一方で、信用保証協会に保証料を支払う必要があります。
また、金利は金融機関によって異なるため、場合によっては低金利で受けられることもあるでしょう。
担保や保証人は原則不要であり、不動産などの資産を持たない企業やIT企業などは小口零細企業保証制度を活用するメリットがあると言えます。
ただし、保証限度額は2,000万円と定められていますが、すでに保証協会の保証付き融資を受けていた場合、合計2,000万円以下で設定しなくてはなりません。
例えば、保証付き融資で800万円を借りていた場合、小口零細企業保証制度で借りられるのは1,200万円までです。
小口零細企業保証制度を利用する流れ

制度の概要を理解できたら、次に実際の利用方法をチェックしてみてください。小口零細企業保証制度は、信用保証協会だけでなく金融機関とも連携して手続きを進めます。
大まかな流れを把握しておけば、申し込みもスムーズに行えるでしょう。
申し込みから融資までの流れ
申し込みから融資が実行されるまでの流れは、以下のとおりです。
| 手順 | 内容 |
| ①相談 | 金融機関や信用保証協会に相談し、利用できるか確認する |
| ②申し込み | 必要書類を提出し、保証付き融資を申し込む |
| ③保証審査 | 信用保証協会が事業内容・返済能力などを審査する |
| ④融資審査 | 金融機関が融資の可否を判断する |
| ⑤融資実行 | 保証承諾後、金融機関から融資が実行される |
申し込み時に必要書類を提出しますが、どんな書類が必要になるかは金融機関ごとに異なります。
ただし、一般的に求められることが多いのは、決算書や確定申告書、事業計画書などです。
審査で確認されるポイント

上記の申し込みから融資までの流れでも紹介したように、小口零細企業保証制度を活用する場合は信用保証協会による「保証審査」と、金融機関による「融資審査」で2回審査が行われます。
信用保証協会と金融機関で共通する審査項目があるかもしれませんが、役割が異なるためそれぞれ確認されるポイントが異なります。
- 【信用保証協会が確認すること】
-
- 制度の対象となる事業者か
- 返済能力はあるか
- 資金を適切に使用するか
- 経営者に信頼性や経営意欲はあるか
- 【金融機関が確認すること】
-
- 安定した売上・利益を生み出す見込みがあるか
- 返済計画に無理はないか
- 財務状況は健全か
- これまで誠実に取引をしてきたか
信用保証協会の保証承諾が得られても、金融機関の審査結果によっては融資が実行されない場合もあります。
そのため、保証協会と金融機関の双方で審査が行われることを理解しておきましょう。
小口零細企業保証制度を活用するメリット
小口零細企業保証制度は、小規模事業者や個人事業主が金融機関から融資を受けやすくするための制度です。
ここでは、小口零細企業保証制度を活用する主なメリットを紹介します。
小規模事業者でも資金調達をしやすくなる
創業間もない企業や小規模事業者の場合、実績や財務基盤が十分でないことから、金融機関の融資審査で不利になる可能性があります。
しかし、小口零細企業保証制度を活用すれば、信用保証協会がリスクを保証してくれるため、金融機関は融資を実行しやすくなります。
その結果、事業の立ち上げや運転資金の確保、新たな設備投資に必要な資金の調達などが行いやすくなり、事業成長のチャンスを逃しにくくなるのは大きなメリットです。
担保や保証人に依存しない資金調達が期待できる
小口零細企業保証制度は、原則担保なしでも利用できるほか、第三者の連帯保証人も原則不要です。
そのため、不動産などの担保資産を持っていない事業者や、保証人を確保することが難しい事業者も利用しやすくなっています。
担保や保証人に依存することなく資金調達の選択肢を広げられることから、事業資金の確保に向けてハードルを下げられる点も魅力の1つです。
ただし、保証人に関しては原則不要となるものの、法人の場合は代表者(実質的な経営権を持つ人などを含む)が連帯保証人となります。
運転資金と設備資金の両方に活用できる
小口零細企業保証制度は、日々の事業運営に必要な運転資金だけでなく、設備資金にも利用することが可能です。
例えば、仕入れ資金や人件費、家賃などの運転資金はもちろん、店舗や事務所の改装、機械設備の導入、車両購入など、幅広い用途に利用できます。
資金用途に応じて柔軟に利用できることから、事業の維持だけでなく事業拡大や生産性の向上を目的とする投資にも役立つ制度です。
小口零細企業保証制度を活用する際の注意点
小口零細企業保証制度は小規模事業者や個人事業主にとって利用しやすい資金調達制度ですが、利用する際にはいくつか注意すべきポイントがあります。
制度の仕組みや審査内容などを事前に理解しておくことで、スムーズに手続きを進められるはずです。ここで、小口零細企業保証制度を活用する際の注意点を紹介します。
保証料が発生する
小口零細企業保証制度を利用する場合、融資とは別に信用保証協会に対して保証料を支払う必要があります。
保証料率は各信用保証協会が定める基準などによって異なります。
ただし、自治体の中には保証料の一部を補助しているケースもあるため、各自治体のホームページなどをチェックしてみてください。
また、融資金額や返済期間だけでなく、保証料も含めた総支払額を確認した上で返済計画を立てることが重要です。
信用保証協会と金融機関の審査がある
「小口零細企業保証制度を活用すれば必ず融資が受けられる」というわけではありません。
融資が実行されるかどうかは、信用保証協会による保証審査と金融機関による融資審査の両方を通過する必要があります。
上記でも紹介したように、返済能力や資金の使い道、財務状況などを総合的に見て判断されるため、決算書や確定申告書、事業計画書などの必要書類を不備なく準備することが重要です。
また、審査には一定の期間を要するだけでなく、融資が実行されるまでさらに時間がかかります。資金が必要になる直前ではなく、余裕を持って申し込むようにしてください。
保証枠の利用状況によっては他の融資に影響する場合がある
小口零細企業保証制度で利用した保証額は、信用保証協会の保証枠に含まれます。
そのため、保証枠を多く利用している場合は、新たな保証付き融資を受ける際に利用可能額が少なくなることがあります。
今後の設備投資や事業拡大などで追加の資金調達を予定している場合は、将来の資金計画も踏まえて保証枠を活用することが大切です。
必要に応じて金融機関や信用保証協会へ相談し、自社に適した資金調達方法を検討してください。
その他にも色々!小規模事業者が活用しやすい融資制度
小口零細企業保証制度について解説してきましたが、その他にも小規模事業者が活用しやすい融資制度はあります。ここで、4つの融資制度について紹介します。
新規開業・スタートアップ支援資金
日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」は、新たに事業を始める人や事業を開始してからおおむね7年以内の人を対象に、設備資金・運転資金を融資する制度です。
創業時は実績が少ないため民間の金融機関から融資を受けるのが難しい場合もありますが、この制度は創業支援を目的としていることから、資金調達で有力な選択肢となります。
融資限度額は7,200万円で、返済期間は設備資金だと20年以内(うち据置期間5年以内)、運転資金だと10年以内(うち据置期間5年以内)です。
また、利率に関しては、女性や35歳未満または55歳以上、特定外国人起業家、創業塾・創業セミナーなどを受け、認定市区町村が発行する証明書を取得している人などは、特別利率が適用されます。
小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)
小規模事業者経営改善資金融資制度(マル経融資)は、商工会議所や商工会の経営指導を受けている小規模事業者を対象とした融資制度です。
日本政策融資金庫が無担保・無保証人かつ低利で融資をしてくれるため、小規模事業者の経営改善のサポートにつながります。
融資額は2,000万円以内で、返済期間は設備資金・運転資金で10年以内(うち据置期間2年以内)です。
幅広い用途に活用できる融資であり、事業の成長や経営改善を目指す事業者に適しています。
ただし、原則6カ月以上商工会議所などで経営指導を受けている人を対象にしているなど、条件もあるため、利用したい人はまず商工会議所や商工会に相談してみてください。
経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)
経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)は、物価高騰や原材料価格の上昇、売上の減少など、外部環境の変化によって経営に影響を受けた事業者を支援するための融資制度です。
自治体や金融機関ごとに制度の内容は異なるものの、通常よりも低い金利や保証料の補助を受けられる場合があります。
融資限度額は直接貸付で7億2,000万円であり、返済期間は設備資金だと20年以内(うち据置期間3年以内)、運転資金だと10年以内(うち据置期間3年以内)です。
急激に経営環境が変わったことで資金繰りが悪化した事業者にとって、有効な資金調達手段となるでしょう。
各自治体の制度融資
制度融資とは、地域の小規模事業者を支援することを目的に、自治体が信用保証協会・金融機関と連携を取り資金調達をサポートしてくれます。
事業者が直接金融機関から資金調達を行うプロパー融資に比べて、制度融資では信用保証協会による保証を受けられるため、金融機関から資金を借りやすくなります。
また、自治体は保証料や利子を一部補助するなど、事業者の負担を軽減してくれる役割を担っているのが特徴です。
利用できる制度や対象者、融資条件などは各自治体によって異なるため、事業所がある自治体や取引金融機関の窓口などで確認することが大切です。
まとめ・小口零細企業保証制度を活用して資金調達を円滑に進めよう
小口零細企業保証制度は、小規模事業者や個人事業主にとって金利面・保証面で有利になりやすい融資制度です。
小口零細企業保証制度を活用しても必ず融資を受けられるわけではありませんが、直接金融機関に相談するよりも、融資を受けやすくなる可能性はあります。
自社の状況に合わせて、小口零細企業保証制度やその他小規模事業者が利用しやすい融資制度を活用し、スムーズな資金調達につなげてください。
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(編集:創業手帳編集部)
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