飲食店を「3年後も続く店」にするための準備術|USEN開業支援チーム

【専門家に聞いてみた】現場目線で解説——資金・物件・集客の落とし穴

飲食店の開業を夢見る方は多い一方、3年以内に撤退してしまう店舗も少なくありません。

その差を生むのは才能でも運でもなく、「準備」の質です。

資金計画の盲点から居抜き物件の注意点、スタッフ定着のコツ、SNS集客まで——年間多くの開業をサポートしてきたUSEN開業支援チームに、初めて開業を目指す方が押さえるべきポイントを徹底的に聞きました。

株式会社USEN(U-NEXT.HD) 開業支援チーム
営業企画統括部 マーケティング部 開業サポート課
元政府系金融機関の融資審査担当者、銀行出身者、元飲食店オーナー、店舗の課題を解決してきた提案型営業担当者など、店舗開業に通じた専門家で構成。物件探し、資金調達、各種業者の紹介などを無料でサポート。
USENの開業支援サイト|canaeru(カナエル)

「開業はゴールではなくスタート」——失敗しないための資金準備の心構え

ー飲食業界の現状を踏まえ、これから開業を目指す方へのアドバイスをお聞かせください。

USEN 開業支援チーム:よく飲食店は「開業から3年後に残るのは30%、10年後に残るのは10%」と言われています。10年後というのは、店主も高齢化のためとか、ほかの方に譲ったりとかいろいろあるとは思うのですが、この数字から分かるのは3年後に残っている店舗はその後も続けている可能性が高いということです。

それでは3年以内に撤退する方はどういったことを失敗したのかというと、本来は開業がスタートにも関わらずゴールになってしまっている。よくあるのが開業後の運転資金を十分に確保していなかったケース。飲食店をはじめるときには物件取得費や内装費などの設備資金が大きいため、どうしてもそちらに目が行きがちで、運転資金をおろそかにしているケースが意外に多いんです。

飲食店は基本的に現金商売なので売掛は発生しませんが、最初から計画どおりの売上が計上できるなんてレアケースです。しかしながら、家賃や人件費や光熱費は待ってはくれません。経営が安定するまでには1年程度はかかると思うので、その間の経費をしっかりと払える程度の運転資金を開業時には確保する必要があります。具体的には販管費の3ヵ月分、できれば6ヵ月分くらい用意したいところです。

それから消費税の支払いというのも見落とされがちです。新規開業で最初のうちは消費税の支払いが免除されるケースもあるので忘れやすいですが、課税事業者になれば支払いが発生します。売上分のうち必ず10%は消費税分としてストックしておかないと、3年後の確定申告で慌てて資金手当てに奔走するということになりかねません。

これらは税理士さんや公認会計士さんと当初から契約しておけば回避できることだと思うので、準備と言っていいか分かりませんが、早い段階での専門家との契約もぜひ検討していただきたいですね。

ブレない「コンセプト設計」と「資金計画」の極意

ー「こんなお店にしたい」という理想のコンセプトと、現実的な資金計画を両立させるために、開業前にこだわるべきポイントを教えてください。

USEN 開業支援チーム:よく公庫で融資を受けるには「自己資金は初期投資額の30%程度」と言われますが、おおよそ間違ってないんですよね。金融機関から融資を受けるために必要というのもありますが、自己資金が少なければどうしても不足分を融資等で賄わなければなりません。

融資額が大きいと月々の返済額も大きくなってしまい経営上の足枷になりかねない。設備にお金をかけるなと言っているのではなく、メリハリをつけるべきと捉えて下さい。

お店のセールスポイントや拘り部分については費用をかける、逆にそうではない部分はコスト削減をするといった感じです。提供する料理や人員などを考慮するとどうしてもスチコン(スチームコンベクションオーブン)が欲しい、だけど予算がオーバーしてしまいそうなので、その他の厨房機器は中古品で揃える、クロスの張替は自分でやるとか、何に費用をかけるかを明確にしておくことが重要だと思います。

それから最近は皆さんよく勉強しているので「FL比率」や「FLR比率」の質問もよく受けます。これらはあくまでも指標であって、絶対的なものではありません。もちろん経営上の指標を気にかけることは悪いことではないですが、これらに縛られないようにしてください。

一番大切なのは売上から原価と販管費を引いて、いくらの利益が上げられるかということです。利益がきちんと確保できてこその経営だということをしっかりと理解してください。

こうしたことってお店のコンセプトがしっかりと決まっていないとできないんですよね。だからまずは自店の立ち位置と言うか、強み・プッシュしていく部分をきちんと整理して大きく投資する部分と節約する部分を見極めていくことが必要なんだと思います。

一番ダメなのは業者さんの指示のままに全て進めてしまうこと。必要か不要か?オーバースペックではないか?といったことを常に考えながら準備を進めていくことが必要だと思います。

ーコンセプトは一度決めたら守り続けるべきでしょうか?

USEN 開業支援チーム:今まで話したことと逆の内容になってしまいますが、コンセプトというのはその店のおかれたステイタスによって少しずつ変わっていってもいいのかなとも感じています。

例えば①準備から開業まで、②開業直後から軌道に乗るまで、③リピーター定着期。根底に流れる店のコンセプトや各ステイタス内での方向性は変えないんだけど、各時期によって店舗の運営方法は柔軟に対応していく。

ある和食店の例ですが、当初は8000円のコースをメインにアラカルトを少々という方針で開業し、そこそこ来店があったのですが、しばらくすると客足が途絶えてきた。そこでコースはミニコースとして残しつつ、アラカルトに軸足を移すと徐々に客足が戻ってきて、今ではリピーターも増え経営も安定してきたそうです。

開業前に想定していた客層とは違う客層が多かったり、近くに別のマンションが出来たりと色々と要因がありそうですが、走り出してはじめて見える部分が多いので、頑固に守り続ける部分と柔軟に対応していく部分をきちんと分けて考えることが大切だとそのオーナーさんはおっしゃっていました。

明暗を分ける「立地・物件選び」の注意点

ー「家賃が高い=良い立地」とは限らない中、物件選びで意識すべきポイントを教えてください。

USEN 開業支援チーム:「良い立地」の定義が難しいですよね。家賃が高い物件は概ね人流が多く集客力の高い物件なのですが、周辺には競合も多いでしょうし、何よりも固定費が大きいというのはそれだけでリスクです。

個人が初めて飲食店を開業するときは、資金力や経験など考慮するとそんなに大きなお店を借りることは難しい。だいたい20席以下の店舗で始めることが多いのではないでしょうか?

要するに20席を埋めることを考えればいいわけで、極端に人流の多い立地の物件を狙う必要はありません。

ターゲットとなる属性の方が多く集まるエリアを狙うのはもちろんですが、大通り沿いじゃない裏道だったとしても、その通りが駅と住宅街を結ぶ動線上にあり、地元民の通勤路として機能しているのであれば20席を埋めるのに十分でしょうし、良い立地と言えるのではないでしょうか?

立地に関してもう一つ。個人事業主の場合、いわゆる一等地に出店するのは厳しいというのであれば、戦い方も大手のような「衝動型来店」を狙うのではなく、「目的型来店」を狙うべきです。自店のコンセプトに共感する方を呼び込むようにすれば(探してでも来店したい店をつくれば)立地による影響は少なくなるはずです。

エリアを絞り込んだら、現地を訪れてそこに集う人たちがどんな動きをしているかよく観察すべきでしょうね。同時にエリア内のお店にどれくらいお客さんが入っているか、価格帯はどうかなども併せて調べておくと具体的に事業計画を進めるときの参考になると思います。

ー初期費用を抑えるために「居抜き物件」を選ぶ際、後悔しないための確認ポイントを教えてください。

USEN 開業支援チーム:居抜き物件でまず確認しなければならないのは電気、ガス、水道の容量。これらを拡張する工事はかなりの費用が掛かるので自分が開業しようとしている業態に適合するかは非常に大切です。

居抜き物件の場合、何が使えて何が使えないのかまたは不要なのか、店内の設備をどれくらい変更できるのかが素人では分からないですよね。なのでできれば内装業者さんに現地へ来ていただき、早めに概算の見積もりを上げてもらう必要があります。

居抜きと言ってもすべてをそのまま使う方は多くなくて、やはり自分の思ったとおりの店づくりをしたいじゃないですか。カウンターを少し切って欲しいとか、入り口を少し広げて欲しいとか、こうした費用がいくらかかるかは素人では全くわからないですよね。

さらに居抜きの場合は造作譲渡費がかかることが多いため、工事費用を加えるとスケルトン以上に費用が掛かってしまうこともあります。場合によっては諦めざるを得ない費用だったりすることもあるわけで・・・・・・。その場所で開業するか別を探すか、その判断を早めに下すためにも内見時は早い段階で内装業者さんと一緒に現地へ行く必要があるんです。

時々勘違いされている方がいるのですが、すべての設備を使おうとは思わないこと。何年か営業している店舗ですから劣化している設備も多いはずです。ダクトやグリストラップなど費用が掛かりそうなものが使えれば良しとする割り切りが必要です。

最後に細かいことですが、厨房機器など店内設備のリース契約が残ってないかも念のため確認しておいてください。残っている場合は前店舗オーナー、不動産会社、ビルオーナー、リース会社などと協議し、方向性を決める必要があります。

人材難を乗り越える「採用・教育」と「省力化ツール」の活用

ー良いスタッフを採用し定着させるための「教育・マニュアルづくり」のコツを教えてください。

USEN 開業支援チーム:マニュアルはできるだけ文字ではなくビジュアルで分かるようにして、誰もがいつでも手に取れる場所に置いておく必要があると思います。

店内のバックヤードには紙に印刷したもの、さらにみんながアクセスできるクラウド上にデータで保存。店外からマニュアルの記入箇所を指定することもできるので便利です。もしも可能であるならば動画で作成したほうが分かりやすいと思います。若い方は動画の撮影や編集に慣れていますので、スタッフと一緒に作成すれば一体感も生まれます。

またマニュアルではやることをただ説明するだけではなく、なぜそれをやるのか?も必ず説明するようにしてスタッフの意識づけを高めるようにすべきです。こうした意識づけにより、店舗運営の目的を共有でき、結果として定着率の向上にもつながります。

ー省力化・省人化ツールを導入しつつ、サービスの質を落とさないための工夫はありますか?

USEN 開業支援チーム:省力化・省人化という点ではDXの活用で店舗の経営とオペレーションを効率化すべきだと思います。

セルフオーダーシステム(タブレットオーダーやモバイルオーダー)の活用により注文業務を自動化、POSレジと連動させた予約・顧客管理システムの最適化によってスタッフがさらに高度な接客対応が可能になるほか、集客やプロモーションに時間を割けるようにしていくべきです。

飲食業界は本当に人材不足で、少ない人数で店舗を回さなければなりません。オペレーションの効率化は避けては通れない壁だと思います。

開業直後から実践できるインバウンド対策と「集客術(SNS・写真)」

ーSNSで「行きたい!」と思わせる情報発信のコツや、インバウンド対策のアドバイスをお聞かせください。

USEN 開業支援チーム:外国人の場合はどうしても言葉の壁があるので、視覚でお店や料理の魅力を伝える必要があります。撮影のテクニックなどは私たちが運営する開業支援サイト『canaeru』の開業セミナーでも時々発信しているのでそちらを参考にしていただくとして、どんなコンテンツを発信したらいいかについてお話しします。

お店で得られる体験を発信することで、具体的には①日本ならでは、②シズル感、③親近感の3点が重要ではないかと考えています。

「①日本ならでは」
せっかく日本に来たのだから思いっきり日本に浸ってみたいと考える外国人は多いはずです。寿司を握ったり天ぷらを揚げたりといった和食ならではの職人の技や手さばきは来店を動機づけるプロモーションになると思います。実際にこういったことを体験したいというインバウンドの方も多いみたいですし。

それから少し角度を変えると「お通し」という文化は海外にはないので、そういった情報も興味を惹かれると思いますし、トラブル防止にもなると思います。

「②シズル感」
日本に限ったことではないですが、肉の焼ける音や湯気が立ち上る動画があると見入ってしまうように、出来立てのおいしそうな料理はそれだけで優良なコンテンツとなります。

静止画よりも断然動画の方が優位だと思います。

「③親近感」
異国の地に来てお店に入るというのはどうしても構えてしまうものだと思うので、多言語のメニュー表などの画像をアップすることで心理的なハードルを下げることができます。

可能であれば過去に来店された外国の方と一緒に撮影した画像などもあればさらに親近感が湧くと思います。それからクレジットカードをはじめとしたキャッシュレス決済のブランドなどもお店の情報として発信すれば安心感も増すはずです。

ーどのツールで発信するかも重要になりますね。

USEN 開業支援チーム:いくら良いコンテンツや情報を発信しても相手に届かなければ何にもならないので、どんなツールで発信するかもよく考える必要があります。

絶対に欠かせないのはGoogle マップ。海外旅行客が最も多く使っているそうで、できれば英語のコメントにも返信したいところです。その他エリア別によく利用されるツールがあるのでターゲットによって使い分ける必要があります。

USENの開業支援サービスを活用するメリット

ーUSENの開業支援サービスには、どのような取り組みがあるのでしょうか?

USEN 開業支援チーム:USENの開業支援サービスは2つの側面で開業希望者を支援しています。

一つ目は開業サポート課で行っている開業までをお手伝いする取り組み。こちらは開業支援サイト『canaeru』での情報発信、毎月12~13回実施している無料開業セミナー、それから開業プランナーによるリアルなサポートなどです。

無料開業セミナーは事業計画の立て方や物件探しのコツ、さらに店舗運営やプロモーションなど多岐にわたるテーマで行っています。公庫の審査担当者や飲食業界メディアの記者の話が無料で視聴できるとあって、毎回多くの方にご出席いただいております。

開業プランナーによるサポートでは公庫で融資を受ける際に提出する創業計画書作成のお手伝いなどを行なっています。

一般的に創業計画書の作成をコンサルタントなどに依頼した場合、融資額の3~5%程度が手数料としてかかりますが、私たちは無料でお手伝いをしています。お手伝いをするプランナーは金融機関出身者や元店舗経営者なので、かなり信頼性のある内容に仕上げています。そのほか、物件探しのお手伝いや、内装業者や税理士をはじめとしたいろいろな業者の紹介なども好評です。

ー開業後の店舗運営においては、どのようなサポートが受けられますか?

USEN 開業支援チーム:二つ目はUSENが提供するDXソリューションで店舗のさまざまな課題を解決します。店舗の開業時には、通信回線の開通、店舗の保険、レジの導入などやるべきことがたくさんあります。これらを一つひとつ別々の業者に依頼するのは本当に大変なことです。

USENは6月1日で創業65年を迎えまして、現在は店舗DXのリーディングカンパニーとして、店舗に必要なあらゆるソリューションを提供しています。

音楽配信サービスをはじめ、POSレジやセルフオーダーシステム、キャッシュレス決済、配膳・清掃ロボット、デジタルサイネージ、クラウドカメラなど60商材以上を展開し、ひとつの窓口ですべて課題を解決できるんです。しかもUSENは全国に約140拠点あるので、対面対応が可能ですし、何かトラブルがおこった際もUSEN&U-NEXT GROUPのフィールドエンジニアが現地に駆け付けてサポートします。

また、開業に必要なソリューションがセットになった「開業おまかせプラン」も提供しています。店舗のオープン時は事務的な手続きも含めてとにかくやることが多いので、店内のソリューション関係だけでもひとつの窓口で対応できるというのはものすごく便利だし、心強いと思います。

完璧じゃなくていい。学び続ける姿勢こそが、長く愛される店の土台になる

ー最後に、これから自分の飲食店をオープンさせようと奮闘している読者に向けて、メッセージをお願いします。

USEN 開業支援チーム:飲食店経営で成功する人は特別な才能よりも、学び続ける姿勢と数字を管理する習慣を持っています。日々の営業の中で数字と向き合い、小さな改善を愚直に積み重ねていくことこそが、長く愛されるお店を作る確かな土台なんですよね。最初から完璧を目指す必要はありません。

開業の準備は、やるべきことが山積みです。事業計画を立てるにしても、ひとりで考え込んでいると、どうしても客観性を欠いた「独りよがり」なものになりがちです。

特に難所となるのが金融機関からの融資です。いくら自分の中で画期的なビジネスモデルだと思っていても、金融機関は独自の厳格なデータを基に審査するため、「見通しが甘い」と判断されてしまうケースは少なくありません。この「金融機関の目線」は、経験のない方がひとりで掴むのは非常に難しいものです。

だからこそ、100%開業者一人で対応するのではなく、客観的な意見をくれる第三者、専門的なアドバイスをくれるパートナーの存在は、あなたの夢を実現するために絶対に必要な要素です。

そんな不安や課題は、私たちにご相談ください。皆さんの夢を叶えるために無料の開業サポートを行っています。対面・オンラインでの相談はもちろん、全国にセールスやフィールドエンジニアを配置しているため、開業後の店舗サービスのフォローもしっかり実施可能です。

「一人で抱え込まずに、まず相談してください」

開業はゴールではなく、あくまでスタート。あなたの理想のお店が形になり、たくさんの笑顔であふれる場所になるよう、私たちは全力で応援していますので、一緒に一歩を踏み出しましょう!

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