データビジネスとは?種類やはじめ方、成功事例などをわかりやすく解説

データビジネスが新たな価値の創出につながる理由


データを活用するデータビジネスは多くの企業で注目されています。その理由としては、データ分析によって顧客理解や業務効率化、サービスの創出につながるためです。
膨大なデータの中から知見を抽出し、意思決定や業務プロセスへと反映することで、価値を生み出すことができます。
しかし、データビジネスに関する知識が乏しければ実行に移すことは難しいです。

そこで今回は、データビジネスの概要や種類、はじめるためのステップなどを解説していきます。
成功させるためのポイントや注意点についても紹介するので、データビジネスの活用を検討している人は、ぜひ参考にしてみてください。

データビジネスとは?


売上や顧客情報など、企業が収集し蓄積したデータを活用して価値を生み出し、収益を上げるビジネスモデルをデータビジネスといいます。
具体的には、自社内や自社外にある顧客データや販売データ、生産データなどを分析し、活用することで新しい製品やサービスを生み出すほか、意思決定や業務効率化に役立てる取組みです。

マーケティングや営業活動の精度アップにつながるため、データビジネスは様々な業界で注目されています。
予測分析を活用して在庫や需要管理の最適化も可能となっており、近年では人工知能や機械学習といった最新の技術を活用することで、より効率的なビジネスモデルの創出が可能です。

また、自社で蓄積したデータを他社に向けて販売することで、新たな収入源を得る企業も増えています。

データ活用との違い

データビジネスはデータを収集して分析するだけではなく、共有や販売をすることで利益を生み出すビジネスモデルです。
具体例を挙げるとすれば、マーケット調査データの販売や信用情報サービスなどが挙げられます。

一方、データ活用は社内にあるデータを分析することで、業務改善や付加価値の向上を行う手段です。
主に自社組織に向けた活動となり、自社のマーケティング施策や在庫最適化などにつなげることが可能です。
そのため、「ビジネスそのもの」と「手段」が大きく異なる点だと考えられます。

データビジネスが今、急激に注目されている理由

データビジネスが注目されている理由のひとつにニーズの多様化が挙げられます。
近年、インターネットが普及したことでスマートフォンをひとり1台持つ時代となりました。
世の中には多くの情報が溢れているため、消費者の価値観やニーズも同様に多様化しています。その多様化するニーズに対応するためにもデータの活用が重要です。

また、製品やサービスのサイクル短期化も理由のひとつです。
ニーズの移り変わりや情報伝播の高速化、さらには口コミやSNSにおける情報伝達のスピード化などによって、製品やサービスのライフサイクルが年々早まっています。
市場の変化に合わせたビジネス展開をしなければ、企業の成長は難しいです。
変化する市場の動向や顧客インサイトの把握のためにも、データを活用したビジネスモデルの展開が企業にとって重要です。

データビジネスの主な種類4つ


データビジネスといっても種類があります。ここでは、代表的な4つのビジネスモデルを紹介していきます。

マーケティング活用型

マーケティング活用型は、顧客の行動パターンや好みといったデータを収集して製品やサービスの販売促進につなげる手法です。
例えば、ECサイトであればユーザーが閲覧した履歴や購入履歴などを収集し、分析することでユーザーに合った製品のプロモーションができるほか、キャンペーンの実施も可能です。

SNS広告であれば、消費者の属性や行動データを活用することで、ニーズに合った広告配信ができるようになります。
顧客満足度の向上や売上増加につながる点が大きな特徴です。

分析活用型

企業が持っているデータを分析してビジネスに役立てるタイプが分析活用型になります。
販売データや業務プロセスデータなどを活用することで、ビジネスにおける課題を炙り出し、改善に導ける手法です。

  • 販売ピークの予測
  • 在庫回転率の予測
  • 不良品発生原因の特定
  • クレームの傾向の把握

これらのインサイトを得ることができ、分析結果をもとにした施策を打ち出すことで生産性アップやコスト削減、新製品の開発など、新しい価値の創造に役立ちます。

データサービス提供型

自社の保有しているデータを整理・分析した後に外部に向けて提供するサービスがデータサービス提供型です。

  • 渋滞予測サービス
  • 気象データ提供サービス
  • 地図情報提供サービス
  • 店舗混雑状況可視化サービス

データを価値のあるサービスに転換することで、企業にとっては新たな収入源となり、ビジネス領域の幅を広げるチャンスとなります。

データ販売型

データを販売して収益を得るモデルがデータ販売型です。

  • 購買データ
  • 位置情報データ
  • 産業データ
  • 健康データ

企業が持っているデータを販売することで他社に役立ててもらう仕組みです。例えば、健康データは医療機関や研究機関が取得することで、医療の進歩に貢献できます。
ただし、顧客に関するデータが含まれるため、プライバシーやセキュリティなど、法的規制や厳格な契約が必須です。

データビジネスをはじめるためのステップ5つ


データビジネスをどのような手順で進めるべきなのか悩んでいる人に向けて、実践的なステップを5段階に分けて紹介していきます。

1.活用できるデータの洗い出し

まずは、自社で活用できるデータを洗い出す作業から進めていきます。どのようなデータがあるのかを収集して分析可能な形に加工するためのステップです。
具体的には、データの取得方法の検討やデータのクレンジング、データの統合といった作業です。

2.目的・KPIの設定

データ分析の目的が曖昧なまま作業を進めても、データ活用の方向性が定まらないため有効な結果が得られなくなってしまいます。
そのため、「何のためにデータを活用するのか」という課題を起点にして、具体的なゴールを定めてください。

  • 売上増加
  • コスト削減
  • 採用活動の最適化
  • ブランドイメージ向上
  • 新規事業創出

といった目的が挙げられますが、数字を用いて具体的に設定することが望ましいです。

3.必要なデータの収集・分析基盤の構築

目的を達成するために必要なデータを収集していくステップです。社内にある販売データや顧客データなどのほか、SNSや公的統計といった外部データの活用も検討します。
外部データを活用する場合には、信頼性のあるデータを選定するよう心掛けてください。
収集したデータは分析を行い、可視化ツールなどを活用して現状を把握します。グラフやマップ、チャートなどを用いるとわかりやすいです。

4.サービス設計・マネタイズ戦略

分析結果から得た情報をもとにして具体的な施策や計画を練るステップです。
例えば、特定の顧客セグメントにおいて離脱率が高いという分析結果が出れば、そのセグメントに対するキャンペーンを特別に実施することで、アクションにつなげられます。

実行した施策に関しては、どの程度の効果があったのかデータを計測・評価し、改善へとつなげてください。
PDCAサイクルを回すことで、データを起点としたビジネス改善が自社内で定着していきます。

データビジネスを成功させるためのポイント


データビジネスを成功させるためのポイントを解説していきます。

【人・組織】社員のリテラシー向上と「データ重視」の文化

データビジネスの主役はシステムではなく「人」です。
どれほど高価な分析ツールを導入しても、現場の社員がデータの意味を理解し、判断の根拠として活用できなければ宝の持ち腐れとなってしまいます。

一部の専門家だけが盛り上がるのではなく、営業や企画などあらゆる現場において「経験や勘だけでなく、数字に基づいて議論する習慣」を浸透させることが重要です。
まずは全社的なリテラシー教育を行い、データを共通言語化することからはじめてください。

  • 具体的なアクション:初歩的なデータ分析研修の実施、データ活用による成功事例の社内共有

【運用】データ管理を形骸化させないための継続体制

データビジネスにおいて最も避けたいのは、「集めたデータが古くて使い物にならない」という事態です。
データは「鮮度」が命であり、常に最新かつ正確な状態に保つ「データマネジメント」の継続的な仕組みが欠かせません。
「誰が、いつ、データを更新するのか」という責任の所在を明確にし、入力漏れや表記揺れを防ぐためのルール(データガバナンス)を整備してください。

一度構築して終わりではなく、運用フェーズのコストと人員をあらかじめ確保しておくことが成功の鍵となります。

  • 具体的なアクション:データ管理責任者の任命、データ入力ルールのマニュアル化、定期的なデータのクレンジング(整理)

【手法】PoC(小規模な検証)で効果を確かめながら進める

いきなり全社規模の巨大なシステムを構築するのは、投資リスクが非常に高くなります。
まずは「PoC(概念実証)」、つまり特定の小さな課題に対して、短期間でデータ活用の効果を確かめるステップを踏むのが定石です。
「まずはひとつの部署、ひとつの商品ラインから」というようにスモールスタートし、そこで得られた小さな成功(クイックウィン)を積み重ねることで、社内の協力や次なる予算を得やすくなります。
失敗した際も、小規模であれば軌道修正が容易です。

  • 具体的なアクション:特定の課題に絞った1〜3カ月程度のテストプロジェクトの実施、明確な成功基準の設定

【技術】専門家や最新テクノロジーを賢く活用する

すべてのシステムを自社で開発・完結させようとする「自前主義」は、スピード感の欠如やコスト増を招くリスクがあります。
現在は優れたクラウドサービスやAIツールが豊富にあるため、これらを組み合わせて「いかに速く、低コストで実現するか」という視点が重要です。

自社に足りない専門知識は、外部のコンサルタントやエンジニアなどの「プロの知恵」を借りることで、学習コストを大幅に削減できます。
最新テクノロジーを「道具」として賢く使いこなし、自社は「意思決定」と「価値創造」に集中できる環境を整えてください。

  • 具体的なアクション:SaaS(外部サービス)の導入検討、外部パートナーとの連携体制の構築

データビジネスに取り組む際の注意点


データビジネスには大きな可能性がありますが、同時に特有のリスクや注意点も存在します。
プロジェクトを停滞させないために、あらかじめ理解しておくべき3つのポイントを解説します。

個人情報・プライバシーへの配慮

データを扱う上で特に重要なのが、法令遵守と倫理的な配慮です。
氏名や住所などの個人情報はもちろん、行動履歴などのパーソナルデータを取り扱う際は、個人情報保護法やGDPR(欧州一般データ保護規則)などの規約を厳守しなければなりません。

万が一、データ漏洩や不適切な利用が発覚すれば、企業の社会的信用は失墜し、多額の賠償金が発生する恐れもあります。
技術的なセキュリティ対策だけでなく、利用規約の整備や、ユーザーに対する透明性の確保を徹底してください。

  • 具体的なアクション:プライバシーポリシーの改定、データ暗号化の実施、法務部門との連携強化

データの正確性と更新性の確保

「データがあれば何でもできる」というのは誤解です。
分析のもととなるデータに誤りがあったり、内容が古かったりすれば、そこから導き出される結論も誤ったものになります(GIGO:ゴミを入れればゴミが出てくる)。

データビジネスを成功させるには、データの「質」を維持するプロセスが不可欠です。
収集したデータをクレンジング(洗浄)し、常に最新の状態に保つための仕組みを構築しなければ、誤った意思決定による損失を招くリスクがあります。

  • 具体的なアクション:データクレンジングの自動化、データソースの定期チェック、異常値の検知システムの導入

初期投資と回収期間の見極め

データビジネスは、収益化までに時間がかかる傾向があります。
データの蓄積、分析基盤の構築、専門人材の確保など、初期段階でまとまった投資が必要になる一方で、明確な利益が出るまでには数年のスパンを要することも少なくありません。

目先の利益だけを追い求めると、収益化の前にプロジェクトが中止に追い込まれるリスクがあります。
「いつまでに、どの程度の収益(またはコスト削減効果)を目指すのか」というロードマップを明確にし、中長期的な視点で投資判断を行うことが重要です。

  • 具体的なアクション:中長期的な収益シミュレーションの作成、段階的な投資計画(フェーズ分け)の策定

【業界別】データビジネスの成功事例


最後に、データビジネスでの成功事例を業界別に紹介していきます。

【飲食】株式会社あきんどスシロー

回転寿司店を運営する株式会社あきんどスシローでは、経営や店舗運営にITを積極的に活用しています。
寿司皿にICタグが貼り付けられており、「どの商品がいつレーンに流れて消費されたのか」がわかる仕組みです。
また、タッチパネルでは「どのテーブルで、いつ・どの商品が注文されたのか」という情報を得ることができます。

そのほかにも、POSの売上や来店状況、食材の在庫や納品予定量、従業員のシフトデータなど、あらゆる情報が収集・蓄積されています。
そのデータをもとにして、店舗オペレーションの改善を図ることで、それぞれの店舗に合った営業ができるようになる仕組みです。

適切なタイミングで適切な商品を提供することができれば、顧客満足度の向上につながり、無駄な商品の提供や在庫過多も防げるためコスト削減にも役立ちます。

【食品】株式会社Mizkan

大手食品メーカーの株式会社Mizkanでは、他社サービスによるビッグデータを活用した新商品開発で成功を収めています。
これまで、株式会社Mizkanは経験や定形の調査結果をもとにして開発を進めてきました。
しかし、類似したテーマになることも多く、多様化する消費者のニーズに応えられるような商品展開ができず課題を感じていたようです。

そのような中、活用したのが数年分の検索キーワードデータです。
生活者の興味関心といった本音が詰め込まれた情報の宝庫といえる検索キーワードデータを活用することで、これまでの調査では見えてこなかった生活者の潜在的なニーズを導き出すことに成功し、新しい視点での新商品開発が可能になりました。

【製造・IT】シスメット株式会社

シスメット株式会社は、独自開発の気象・海象システムを提供している会社です。気象総合プラットフォームの「ZEROSAI X-AI」は、建築現場で活用できるサービスです。
ピンポイントな気象予測や観測データを閲覧・管理することができ、騒音や振動、濁度や粉じんといった環境データもクラウドで一元管理できます。

警報が出た際には電光掲示板や回転灯で知らせることができるため、現場で働く作業員にもすぐに周知できます。
また、メールやビジネスチャットに自動で気象情報を共有することも可能です。実際に、ダム工事や鉄道系建築などへの提案実績も豊富です。

【日用品】花王株式会社・日清食品株式会社

日清では、栄養最適化テクノロジーで「好きなものを好きな時に好きなだけ食べられる世界」と「未病対策が進む世界」を目指しています。
様々な栄養学的見地を参考にして、日清がこれまでに培った技術を応用しながら「完全栄養食」の研究を進めているのです。

そのような中、花王株式会社による「仮想人体生成モデル」に着目し、共同で栄養バランスや量をパーソナライズ化した商品やサービスの開発を目指し、取組みを開始しています。
仮想人体生成モデルは、花王が有している体に関する統計データです。ある項目のデータを入力すると、別の項目の推測データの出力が可能になっています。

日清では、仮想人体生成モデルを活用することで完全栄養食が健康状態に与える影響を、利用者が具体的かつすぐに把握できると考え、花王と共に検証を進めています。

まとめ:データビジネスはこれからの企業成長の「核」となる

データビジネスは業界を問わず可能性を秘めたビジネスです。
企業はビジネスを通じて様々なデータを保有しているため、これらを有効に活用すれば新たなビジネスチャンスの獲得につながります。
しかし、自社が持っているデータや活用する目的を明確にしなければ、効果的な施策を打ち出すことができません。
今回紹介した内容を参考にデータビジネスについての理解を深め、取組みを進めてみてください。

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(編集:創業手帳編集部)