法人税の納税証明書を発行してもらうには?取得する流れや請求に必要なものを紹介

資金調達手帳

法人税の納税証明書は税務署から発行してもらえる!


金融機関から融資を受けたい場合、法人税の納税証明書を提出するよう求められるケースがあります。
法人税の納税証明書を発行してもらうには、税務署への問い合わせが必要です。
融資以外の場面でも納税証明書の提示が必要となる場合もあるため、取得する流れや請求する際に必要なものをあらかじめ把握しておくことで、スムーズに発行してもらえます。

そこで今回は、法人税の納税証明書を発行する方法や流れ、請求書の書き方などもご紹介します。
併せて発行する際の注意点も解説しているので、これから法人税の納税証明書を発行したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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法人税の納税証明書とは納税額の証明書


法人税の納税証明書とは、法人税を納めたことを証明してくれる書類です。
冒頭でもご紹介したように、金融機関から融資を受けたい場合だけでなく、住宅ローンの融資審査や自治体のサービスを利用したい場合などでも提出を求められることがあります。

納税証明書で証明されること

納税証明書で証明できるのは、法人税を確実に納めたことと所得金額、そして「税金の未納はない」という事実です。
納税証明書には納付すべき金額と実際に納付した金額、未納額の項目があります。
納付すべき金額と納付した金額が一致しており、なおかつ未納額がゼロになっていることで、確実に法人税を納めていることの証明が可能です。

なお、法人税は国税に該当するため、税務署で証明書を発行してもらえます。税務署では、所得税や消費税を納めた証明書の発行も可能です。

納税証明書の種類


納税証明書は種類ごとに証明できる内容が異なります。

種類 証明できること
納税証明書 その1 納めるべき税額、納めた税額、未納税額など
納税証明書 その2 所得金額
納税証明書 その3 未納している税金がないこと
納税証明書 その3の2 申告所得税及び復興特別所得税と消費税及び地方消費税が未納でないこと(個人)
納税証明書 その3の3 法人税と消費税及び地方消費税が未納でないこと(法人)
納税証明書 その4 証明を受けようとする期間に滞納処分を受けていないこと

金融機関から納税証明書を求められた場合、その1またはその2を求められることが多いです。
両方求められるケースもあるため、事前にどの種類が何枚必要になるのか確認してください。

法人税の納税証明書を発行する方法


法人税の納税証明書を発行する方法は、主に4種類あります。それぞれの方法について詳しく解説していきます。

オンラインで請求する場合

法人税の納税証明書はe-Taxを活用してオンラインから請求し、発行してもらうことが可能です。e-Taxへの登録が済んでいればPCから手軽に請求できます。
オンラインで請求した場合、書類の取得方法は以下の3つから選べます。

電子納税証明書を取得する

e-Taxで請求し、PDFまたはXMLのファイル形式で電子納税証明書を取得する方法があります。
電子納税証明書による取得方法を選べば、すべてオンライン上で手続きを完結させることが可能です。

ただし、電子ファイルを受け取る際には電子署名を付与する必要があります。
電子納税証明書の取得は申請後すぐに行えるわけではありません。ネットバンキングから手数料が納付されると納税証明書がダウンロードできるようになります。
90日間の保存期間内であれば何度も発行できるため、発行手数料を抑えたい場合にもおすすめです。

電子納税証明書で発行すると、電子ファイルの状態でそのまま提出することになります。
提出先の条件が書面だった場合、電子納税証明書だと受け取ってもらえない可能性もあるため注意してください。

書面の納税証明書を郵送で取得する

オンライン請求は書面の発行にも対応しています。税務署の窓口まで行く時間がない方には郵送での取得がおすすめです。
郵送で取得する場合も電子署名を付与し、電子証明書を添付した状態で交付請求を行うことになります。

ただし、郵送で取得する場合には手数料のほかに郵送料に相当する金額も支払わなければなりません。支払い方法はネットバンキングのみに対応しています。
請求後に通知が届いたら、手数料と郵送料に相当する金額を電子納付することで、納税証明書を郵送してもらえます。

書面の納税証明書を税務署窓口で取得する

オンライン請求でも電子証明書が不要となるのが、税務署窓口で取得する方法です。
電子納税証明書や郵送での取得はWeb版のe-Taxソフトを利用する必要がありましたが、窓口で取得する方法ではスマートフォン・タブレットからも請求できます。
窓口で直接手続きするよりもあらかじめ必要な情報を送信しておけば、短時間で納税証明書を発行することも可能です。
ただし、e-Taxで受け取りたい日の当日に申請した場合、時間がかかってしまうこともあるため注意してください。

なお、窓口で納税証明書を取得する際には本人確認書類が必要です。

郵送で請求する場合

郵送で納税証明書を請求する場合、以下の書類を同封して納税地を所轄している税務署へ提出する必要があります。

  • 必要事項が記入された納税証明書交付請求書
  • 手数料相当の収入印紙
  • 所要の切手が貼られた返信用封筒(返信先は法人住所)

手数料は収入印紙で納付する形となり、ネットバンキングの口座は必要ありません。
切手に関しては納税証明書が1枚あたり約5gなので、希望する枚数に応じた切手を選んでください。

書留郵便などでの受領を希望する場合は、通常の郵便料金に加えて書留郵便料金、または簡易書留郵便料金を加算した金額に相当する切手を用意する必要があります。

税務署窓口で請求する場合

所轄の税務署窓口で直接請求し、取得する方法もあります。窓口での請求には以下の書類が必要となるので持参してください。

  • 必要事項が記入された納税証明書交付請求書
  • 手数料相当の収入印紙または現金
  • 本人確認書類

窓口では手数料の支払いを収入印紙または現金から選べます。また、法人の場合は代表者本人または代理人であることを確認できる本人確認書類も必要です。
本人確認書類として1枚で足りるものと、2枚提示しないといけないものの2種類に分かれます。

1枚で足りるもの ・個人番号カード
・運転免許証
・住民基本台帳カード(写真付き)
・パスポート
・海技免状
・小型船舶操縦免許証
・電気工事士免状
・宅地建物取引主任者証
・教習資格認定証
・船員手帳
・戦傷病者手帳
・身体障害者手帳
・療育手帳
・在留カードまたは特別永住者証明書
・国または地方公共団体の機関が発行した身分・資格証明書(顔写真付き、氏名・生年月日または住所が記載されたもの)
2枚提示しないといけないもの ・写真が貼り付けされていない住民基本台帳カード
・被保険者証(国民健康保険、健康保険、船員保険、介護保険)
・共済組合員証
・国民年金手帳(2022年3月31日以前に交付されたもの)
・基礎年金番号通知書
・年金証書(国民年金、厚生年金保険、船員保険)
・共済年金または恩給の証書
・上記以外で国または地方公共団体の機関が発行した身分・資格証明書(顔写真なし)
・学生証、法人が発行した身分証明書(顔写真付き)

代理人に請求を委任する方法

郵送や窓口で納税証明書を受け取る場合、代理人に請求を委任することも可能です。請求を委任する際は、委任状と代理人の本人確認書類が必要となります。
納税証明書交付請求書にも代理人について記入する項目があるため、書き漏れがないように注意してください。

委任状を作成する場合、書式は特に決まっていないため自由に作成できるものの、国税庁のサイトからダウンロードすることも可能です。
委任状を自作する際は、以下の項目を含めて作成してください。

  • 代理人の署名、住所、捺印
  • 委任する年月日
  • 委任事項(必要な納税書)
  • 委任者(法人代表者)の署名、住所

納税証明書交付請求書の項目別の書き方


法人税の納税証明書を発行する場合、納税証明書交付請求書の提出が求められます。請求書を作成する際は記入漏れがないよう作成してください。
ここでは、項目別の書き方についてご紹介します。

住所・法人名(代表者指名)・法人番号

請求書の右上に住所・法人名および代表者氏名・法人番号を記載する項目があります。法人の場合、住所は納税地(本店または主たる事務所の所在地)を記入します。
法人番号は、法人番号指定通知書や国税庁の法人番号公表サイトから確認することが可能です。

もし代理人に請求を委任している場合は、左上の【代理人記入欄】に代理人の住所と氏名を記載します。
なお、委任状を用意していたとしても請求書の代理人記入欄は埋める必要があるため、忘れずに記入してください。

証明書の種類・証明を受けようとする税目

次に、証明書の種類と証明を受けようとする税目を記入します。それぞれ項目ごとにチェック欄が設けられているため、必要な証明書の種類にチェックを付けてください。
証明を受けようとする税目も該当する税目にチェックを入れていきます。法人税の納税証明書を取得したい場合は「法人税」にチェックを入れます。

証明を受けようとする国税の年度

納税証明書その1とその2を取得したい場合、証明を受けようとする国税の年度も記入する必要があります。法人税の場合は事業年度または連結事業年度を記入してください。
なお、連結申告における連結事業年度を記入する場合、「年分」の項目には「○連」も記載して連結事業年度であることを示します。

また、請求可能な年度は原則直前の事業年度・課税期間から3年前まで遡ることが可能です。

証明を受けようとする事項

年度を記載したら、次に証明を受けようとする事項を記入します。例えばその1を請求する場合、以下の3項目で証明が必要な事項があればチェックを入れます。

  • 法定納期限等
  • 源泉徴収税額
  • 未納税額のみ

その2を請求する際は以下3つの中から証明を受けようとする事項を選んでください。

  • 総所得金額の証明
  • 事業所得金額の証明
  • 上記以外の所得金額の証明

その4を請求する場合は証明を受けようとする期間を記入します。

請求枚数

次に発行したい納税証明書の枚数を記入します。1枚の請求書で複数枚の証明書を発行できますが、その1・その2(複数年度)または複数税目(その3)の証明書を請求する場合は、原則1枚の証明書で発行されます。
そのため、年度ごとまたは税目ごとで証明書が必要な場合は「各○枚」と書いてください。

証明書の使用目的

最後に納税証明書をどのような目的で使用するのか、該当する項目にチェックを入れます。選べる項目は以下のとおりです。

  • 資金借入
  • 入札参加指名願
  • 登録申請(更新)
  • 保証人
  • その他

 
「その他」にチェックを入れた場合は、括弧の中に使用目的を記入してください。

法人税の納税証明書発行にかかる手数料


法人税の納税書を発行する際には手数料がかかります。手数料はオンラインと窓口・郵送で若干異なるので注意してください。以下はそれぞれの手数料の求め方です。

【オンラインの場合】
  • その1・その2……税目数×年度数×枚数×370円
  • その3・その4……枚数×370円
【窓口・郵送の場合】
  • その1・その2……税目数×年度数×枚数×400円
  • その3・その4……枚数×400円

法人税の納税証明書を発行する際の注意点


法人税の納税証明書を発行する場合、いくつか注意すべきポイントもあります。どのようなことに気をつければ良いのか、事前に把握しておいてください。

確定申告直後だと発行できない可能性もある

法人税の納税証明書を発行するタイミングには注意が必要です。例えば、確定申告の直後や納税した当日は証明書を発行できない可能性もあります。
国税庁からは特に「確定申告や納税から何日経てば発行できるようになる」といった案内はありません。
噂として申告後10日~14日程度で発行できるといわれていますが、この情報は確かではないため、それ以上かかってしまう可能性もあります。
不安な方は、所轄の税務署へ事前に相談しておくと安心です。

送付先は原則本人または法人の住所になる

納税証明書を郵送で発行する際、送付先は原則本人または法人の住所(納税地)になります。そのほかの住所には送付できないので注意が必要です。
ただし、代理人に委託していて送付先も代理人の住所に送付してもらいたい場合、委任状と代理人本人であることが確認できる書類を、請求書などと一緒に同封する必要があります。
請求の委任について不備がなければ、代理人本人であることが確認できる書類に記載されている住所へ送付してもらえます。

納税証明書の手数料は「租税公課」で仕訳する

納税証明書を発行する際に支払う手数料は、勘定科目に分類できます。仕訳する際は「租税公課」の勘定科目に分類されることが多いです。

租税公課とは、国税や地方税などの「租税」と国・地方公共団体・そのほかの団体から課せられた公的な課金の「公課」を組み合わせた言葉です。
租税公課の主な対象は以下になります。

租税 ・印紙税
・登録免許税
・事業税
・自動車税
・所得税
・住民税 など
公課 ・印鑑証明書の発行手数料
・商工会の会費
・社会保険料
・定款認証の手数料 など

ただし、法人税や法人住民税、都道府県民税、市町村民税などは租税公課ではあるものの、経費として計上できません。

まとめ・法人税の納税証明書はオンライン・窓口のどちらでも可能!

法人税の納税証明書は金融機関から融資を受けたい場合や、自治体によるサービスを活用したい場合などで提出を求められることがあります。
証明書の発行はオンライン・郵送・窓口といった様々な方法から選べるので、自身に合った方法で発行してみてください。


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(編集:創業手帳編集部)

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