売上低迷は何が問題?原因の見つけ方と改善策をわかりやすく解説
売上低迷は「頑張り不足」ではなく、原因を切り分けることが重要

売上が落ちている時には、多くの経営者が「もっと頑張らなければ」と奮起します。しかし、頑張る方向が間違っていれば状況は改善しません。
売上低迷には必ず原因があり、原因を正しく特定しないまま施策を打っても、コストと時間が無駄になってしまうことがあります。
この記事では、売上低迷の原因の見つけ方と、原因ごとの具体的な改善策をわかりやすく解説します。
この記事の目次
売上低迷は「何が問題か」を分解して考えるのが基本

売上の低下はひとつの問題から起きるとは限りません。まず売上を構成する要素を分解し、どこに異常があるかを把握することが改善の起点です。
どのように考えればいいのか、筋道に沿って解説します。
売上は「客数 × 客単価 × 購買頻度」で考える
売上は「客数・客単価・購買頻度」の3要素の掛け算で決まります。どれか1つが下がるだけで全体の売上に影響が出ます。
例えば、客数が同じでも客単価が10%下がれば売上も10%減少してしまうということです。
それぞれの要素ごとに数値を把握して、売上に影響を与えている要素を明確にすることが不可欠です。
要素を分けて見ることで、「集客の問題なのか」「商品設計の問題なのか」と事業戦略まで遡って正確に特定できます。
感覚ではなく数字で原因を特定することが重要
「最近お客が来ない気がする」といった自分の感覚だけで売上低迷を把握するのは危険です。
主観に頼りすぎると実際の数字と乖離(かいり)していて信頼できないケースがあります。
前月比・前年比などの実績データを参照することで、いつから・どの指標が・どの程度落ちたかを客観的に把握できます。
数字に基づいて原因を特定して、打つべき施策の優先順位を明確にしてください。無駄なコストを抑えるためにも、数字で原因を特定することが重要です。
売上低迷でまず疑うべき5つの問題

売上が落ちている時、原因は大きく5つのパターンに分類できます。
前半の4つは自社の内部要因、最後の1つは競合や市場といった外部環境の変化です。どういった問題があるのかまとめました。
新規顧客が減っている
売上をチェックする時、わかりやすいのが新規顧客の増減です。
新規顧客数が減少している場合は、認知不足・ターゲットのズレ・広告効果の低下など集客の仕組みに問題があるかもしれません。
新規が減っているのにリピーターで補えていない場合は、売上の構造的な縮小が起きているため早急に対応が必要です。
新規顧客の獲得数を月次で記録していない場合には、まず計測の仕組みを整えることが原因特定に必要です。
来店・問い合わせはあるのに成約率が低い
問い合わせや来店数は確保できているのに売上につながらない場合は、売上までの導線や提案、営業トークに課題があると考えられます。
成約率が低い原因としては、価格説明の不足・競合との差別化不足・クロージングの弱さなどが代表的です。
接客や提案内容を見直すだけで成約率が改善されるケースも多いので、広告費を増やす前に優先して確認するようにしてください。
リピーターが少ない
リピーターが少ない場合は、顧客満足度の低さや購入後のフォロー不足が主な原因として疑われます。
新規顧客の獲得コストは、既存顧客の維持コストの5倍以上かかるとされており、リピート率の改善は費用対効果が高い施策です。
購入後のアフターフォローや定期的な接点づくりがないと、顧客は次の購入先として自社を思い出しにくくなってしまいます。
顧客との関係性を維持できるような施策を心がけてください。
客単価が下がっている
客単価の低下の原因として多いのが、値引き対応の常態化や上位商品の提案不足、商品ラインナップの問題です。
単価が下がると同じ売上を維持するために必要な客数が増えるため、長期的には経営効率が悪化していきます。
客単価を上げるにはセット販売・上位プランの提案・オプション追加など、販売設計の見直しを行ってください。
市場や競合の変化に対応できていない
ここまでは自社の内部要因を挙げてきました。最後の1つは競合や市場といった外部環境の変化です。
自社の努力とは無関係に、競合の新規参入や価格競争・顧客ニーズの変化によって売上が落ちるケースがあります。
市場の変化に気が付かず従来の施策を続けると、対応が遅れて競争上の優位性を失うリスクが高まります。
自社のポジションを把握するためには、定期的にシェア率や競合の動向、業界トレンドを確認しなければいけません。
売上低迷の原因を見つけるためのチェックポイント

問題のパターンが絞れたら、次は具体的な数字を確認して原因の所在を特定します。以下の4つの切り口で自社データを点検してください。
前年同月比・前月比で変化を確認する
売上の変化を正確に把握するには、季節変動の影響を除けられる前年同月比と直近の傾向を見る前月比の両方が必要です。
「いつから売上が落ちはじめたか」を時系列で確認することで、原因となった出来事や施策の変化と紐づけやすくなります。
月次での定点観測を習慣化していない場合は、まず過去12カ月分のデータを集計することからスタートしてください。
商品別・サービス別に売上を分けて見る
全体の売上だけを見ていると、好調な商品が不調な商品の問題を隠してしまい、原因の特定が遅れてしまいます。
商品・サービスごとに売上と販売数を分けて集計すれば、どの品目が低迷しているかを明確に把握できます。
特定の商品だけ落ちている場合は市場ニーズのズレを疑い、全体的に落ちている場合は集客や営業に問題があるかもしれません。
新規・既存顧客の比率を確認する
新規と既存の比率を把握することで、売上低迷が「集客の問題」なのか「リピートの問題」なのかを判別可能です。
新規比率が高いにもかかわらず売上が伸びない場合は、成約率やリピート率に課題があると考えられます。
既存顧客の購買頻度が下がっている場合には、顧客満足度やフォロー体制の見直しを優先的に行うようにおすすめします。
問い合わせ数・来店数・成約率を分けて見る
問い合わせ数・来店数・成約数をそれぞれ個別に計測することで、どのフェーズで離脱が起きているかが明確になります。
問い合わせは多いのに来店が少ない場合は訴求内容や対応スピードに課題があり、来店後の成約が低い場合は提案力が課題です。
各指標を分けて管理していない場合は、簡単なスプレッドシートで記録を始めるだけでも改善の手がかりになります。長期的に記録して分析の精度を高めてください。
売上低迷の主な改善策

原因が特定できたら、対応する施策を優先順位をつけて実行してください。
以下の5つの改善策は、原因のパターンごとに対応しています。原因のパターンから自社に合うものを見つけましょう。
集客を見直す
売上を向上させ続けるためには、集客施策が欠かせません。
顧客ニーズや競合環境は常に変化しており、既存顧客だけの売上に頼ってしまえば、いずれ成長は頭打ちになってしまいます。
近年は競争が激しく、新規顧客を積極的に開拓しなければ競合他社に遅れてしまいます。
集客の施策は、店舗で行うオフライン施策とインターネットを活用したオンライン施策があり、オフラインとオンラインの両面で集客することで相乗効果を狙ってください。
オフライン施策としては、チラシや店頭のイベント、オンライン施策にはSEOやMEO施策のほか、SNSを活用した認知度向上があります。
新規顧客を積極的に増やす目的であれば、お試しキャンペーンのように新規顧客が不安なく利用できるキャンペーンも効果的です。
売れる導線を整える
集客が成功しても、その後の問い合わせや来店後に成約につながらない場合は、LP・店頭レイアウト・営業トーク・提案内容のいずれかに問題があると考えられます。
顧客が購入を決断するまでのステップを可視化し、どこで迷いや離脱が発生しているかを特定することが導線改善の起点です。
提案内容を顧客のニーズに合わせて再設計するだけで成約率が改善するケースも多くあります。
例えば、SNSから誘導されるページが見やすいか、購入までのクリック数が最小限になっているかをチェックします。
顧客が商品やサービスを認知してから、購入や契約するまでの流れをスムーズに設計できているか見直してください。
リピート施策を強化する
既存顧客へのフォローを強化するには、LINE・メルマガ・会員化など継続的に接点を持てる仕組みを整えることが重要です。
購入後のフォローメールや定期的な情報提供は1回の利用だけで終わらせず、顧客との関係を維持し次の購買行動を促す効果が期待できます。
リピーターを増やすためには、会員制度やポイント制度、オンラインコミュニティの導入も有効な手段です。
ブランドのエンゲージメントを高められる施策で、顧客が特別な価値を実感できます。
顧客の囲い込みと購買頻度の向上を同時に実現できるので、ターゲットに合わせた形のリピート施策を検討してください。
単価を見直す
商品やサービスの単価は、定期的に見直さなければいけません。単価の見直しは、企業の利益最大化や競争力強化に貢献します。
単価を見直す基準は、競合他社の動向や顧客が受け取る価値、商品やサービス提供にかかるコストです。こうした要素を踏まえて価格を値上げするか値下げするかを検討します。
高品質であることをアピールするのであれば高価格帯、市場シェアを拡大させるなら低価格帯の価格に設定するといった戦略的な価格設定が必要です。
商品・サービスそのものを見直す
売上低迷が長期化してしまっている場合には、商品やサービス自体が顧客ニーズとズレている可能性を検討する必要があります。
顧客へのヒアリングや口コミ・レビューの分析を通じて、実際に求められている価値と自社の提供内容のギャップを把握するようにしてください。
顧客のニーズと合っていない場合には、商品ラインナップの整理・価格帯の再設計・ターゲット層の変更など、根本的な見直しが必要なケースもあります。
顧客のニーズを正確に把握して満足度を高めるようにしてください。
売上低迷時にやってはいけない対処法

売上低迷は、企業にとって存続を揺るがすインパクトがあります。しかし、改善しようとして焦るのは禁物です。
改善を急ぐあまりに、逆効果になる対処法を取ってしまうケースも少なくありません。以下の4つは特に陥りやすい失敗パターンなので、特に注意してください。
原因不明のまま値下げだけをする
売上が低迷したからといって、すぐに値下げして回復を狙うのはおすすめできません。
原因を特定しないまま値下げをすると、同じ利益を得るためにより多くの顧客を獲得しなければいけない状況になり、結果として、利益率だけが下がり売上の根本的な問題は何も解決されないままになってしまいます。
値下げによって一時的に客数が増えたとしても、価格競争に巻き込まれると継続的なコスト圧迫を招くリスクがあります。
結果として経営状況が徐々に悪化してしまうのです。
値下げを検討する場合は、まず原因分析を先に実施してください。価格が本当に障壁になっているかを確認してから、価格を改定する判断をすべきです。
広告費だけ増やして検証しない
売上が下がった時には新規顧客の獲得が必要です。しかし、新規顧客獲得のために広告費を増やすのは効果的とは言い切れません。
成約率や導線に問題がある状態で広告費だけを増やしても、集客コストが上がるだけで売上への貢献は限定的です。
広告投資を増やす前に、現状の成約率・顧客単価・リピート率を確認し、改善余地のある箇所を特定します。
広告施策は必ず目標数値と検証期間を設定し、効果測定を行いながら予算配分を調整する運用が求められます。
やりっぱなしにならないように検証と分析、実行のサイクルを回し続けてください。
数字を見ずに感覚だけで施策を決める
売上低迷を脱却するための施策は早めの実行が求められます。しかし、場当たり的な感覚だけで施策を行っても効果は期待できません。
例えば、良さそうだからとSNSや動画サイトで広告しても、中身がともなわなければ無駄になってしまいます。
施策は感覚ではなく、客観的な数字や事実から考えるようにしてください。売上低迷が導線の悪さにあるのに広告費を増やしても見込み顧客が増えるだけです。
データを収集、分析してから行動につなげることが重要です。
既存顧客へのフォローを後回しにする
売上低迷時に新規獲得ばかりに集中すると、既存顧客との関係が疎かになりリピート率がさらに下がる悪循環に陥ってしまいます。
アフターフォローが手薄になって顧客満足度が下がれば競合他社への流出にもつながります。
既存顧客は自社を一度選んでいるため信頼関係があり、適切なフォローを行えば再購入や紹介につなげることが可能です。
新規顧客の獲得コストは既存顧客の維持コストよりも高いです。売上低迷時こそ既存顧客への感謝や情報提供を優先し、安定した売上基盤を守るようにしてください。
まとめ|売上低迷は「何が問題か」を数字で分ければ改善しやすくなる
売上低迷の原因は客数・客単価・購買頻度のどこに問題があるかを数字で切り分けることで、打つべき施策が明確になります。感覚や思い込みで対処するのではなく、前年同月比・成約率・新規比率などの指標を定点観測する習慣を持つようにしてください。
原因を正確に把握した上で、集客・導線・リピート・単価・商品設計のいずれかに絞って施策を実行することが売上改善の近道です。
まずはデータを収集するところから始めましょう。
創業手帳(冊子版)は、売上低迷時の企業にとって役立つ施策を多数掲載しています。起業や事業成長のサポートに創業手帳を活用してください。
(編集:創業手帳編集部)
創業手帳
飲食開業手帳
補助金ガイド
創業手帳カレンダー