会社設立後いつから法人口座を作れる?開設時期・必要書類・審査のポイントを紹介
法人口座開設のタイミングと手順を把握しよう

会社設立後、「法人口座はいつから作れるのか?」と疑問に感じる人も多いかもしれません。
事業をスムーズにスタートさせるためには、できるだけ早く法人口座を開設したいところです。
しかし、実際には設立直後に申し込めるのか、どのような準備が必要なのかわかりにくい部分もあります。
法人口座の開設は、登記が完了した時点で申請自体はできますが、金融機関後に審査基準や必要書類などが異なるため、タイミングや事前準備によってはスムーズに進まないケースもあります。
そのため、口座開設の適切なタイミングと具体的な手順は事前に把握しておくことが重要です。
本記事では、法人口座を開設できるタイミングや必要書類、審査落ちを防ぐためのポイントなどをわかりやすく解説します。
この記事の目次
法人口座は会社設立の直後から開設可能

原則として、法人口座は会社を設立した直後から開設が可能です。具体的な開設のタイミングや法人口座を作るのにかかる期間の目安などを紹介します。
「登記事項証明書」の発行後から法人口座は作成できる
法人口座の開設は、会社設立直後からできますが、より具体的に説明すると「登記事項証明書」を発行してから法人口座を作成できるようになります。
これは、法人口座を開設しようとする企業が本当に存在しているか、銀行側で確認する必要があるためです。
会社の存在を確認する方法として、登記簿謄本や定款などを確認していきます。
これらの書類は登記が完了しないと取得できないため、登記事項証明書を発行してから口座開設ができるようになります。
また、登記事項証明書を発行してから、できるだけすぐに法人口座を開設できるように動くことも大切です。
口座開設が遅れ、しばらく個人口座を使っていると、事業用と個人用のお金が混ざってしまい、現金の流れや収支がわかりづらくなってしまいます。
法人口座を作るためにかかる期間の目安

法人口座の開設は申し込んですぐにできるものではありません。どれくらいの期間が必要になるのかも把握しておくと安心です。
法人口座は2週間~1カ月程度で開設できる
法人口座の開設にかかる期間の目安は、2週間~1カ月程度といわれています。
個人口座だと店頭窓口で約30~60分(キャッシュカードの発行は1週間後になる場合もある)、インターネットで口座開設を行う場合は約1~2週間程度が目安となります。
個人口座より法人口座を開設するまでの期間が長いのは、審査に時間がかかっているためです。
法人の口座開設における審査では、事業内容や健全性などを確認する必要があり、書類による一次審査や面談を受けなくてはなりません。
ネット銀行なら最短即日〜、店舗型銀行は2週間〜1カ月が目安
法人口座を開設できる期間の目安は2週間~1カ月程度になりますが、実は銀行の種類によって開設できる期間の目安が変わってきます。
例えば、店舗型銀行だと2週間~1カ月程度が一般的となりますが、ネット銀行なら最短即日~1週間程度で開設できる場合もあります。
ネット銀行は対面でやり取りをする必要がありません。審査も一部システム化されている部分があるため、審査時間が短縮されており開設までの期間も短くなっています。
一方、メガバンクは審査が厳しく、開設までに時間がかかってしまう場合もあります。
1カ月程度が目安となりますが、「1カ月以内」というわけでなく、1カ月を超えてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
どこで開設する?新設法人が選ぶべき金融機関のポイント

創業直後は法人口座を「審査の通りやすさ・スピード・手数料」で選ぶ人も多いでしょう。
将来の融資や相談体制を重視するなら地銀・信金も有力であり、“どれが絶対正解”とはいえません。
各金融機関のポイントを把握し、自社に合う金融機関で法人口座を開設してください。
審査の通りやすさと利便性なら「ネット銀行」
ネット銀行は、インターネットバンキングでの取引きに特化しており、24時間365日利用できる銀行です。
いつでも利用できることから利便性に優れており、またインターネットバンキングの手数料や口座維持手数料などもかからないため、コストを抑えたい場合にも安心です。
また、ネット銀行は審査スピードがほかの金融機関よりも非常に早く、必要書類の提出もオンラインで完結するため、なるべく早く口座を開設したい法人にも適しています。
将来的な融資や対面サポートを重視するなら「地銀・信用金庫」
地銀や信用金庫は、地域経済を担う金融機関であり、同じ地域に属する法人は口座が開設しやすいです。
ネット銀行に比べると審査にかかるスピードは遅く、開設まで2週間~1カ月程度となります。
しかし、各地域に店舗を設置しているため対面サポートを受けたい人には地銀・信用金庫が向いています。
また、将来的に融資を受けたい場合も地銀・信用金庫であらかじめ口座を開設し、信頼関係を構築しておくのがおすすめです。
企業のステータスや海外送金を重視するなら「メガバンク」
メガバンクは、全国規模のネットワークと高い信用力を誇る企業です。手数料は店舗型だと比較的高めに設定されており、口座開設の審査も厳しい傾向にあります。
しかし、「メガバンクで法人口座を開設できた」という事実によって、企業のステータスは大きく異なり、取引先なども安心材料として判断するケースが多いです。
また、メガバンクは海外への振り込みに対応しているケースが多く、海外企業との取引きを検討している法人にも適しています。
会社設立後すぐに法人口座を作るメリット

会社設立後は、できるだけ早い段階で法人口座を開設しておくことが重要です。
事業運営において資金の流れを明確にし、信用力を高めるためにも、法人名義の口座は欠かせません。ここでは、設立直後に法人口座を作る主なメリットを解説します。
事業用のお金を個人資金と分けて管理できる
法人口座を開設するメリットのひとつに、事業資金と個人資金を明確に分けて管理できる点があります。
個人口座を使い続けてしまうと、どの支出が事業に関係するのかわかりづらくなり、資金管理が煩雑になるからです。
法人名義の口座を用意することで、売上や経費の流れが一目で把握できるようになり、経営状況の見える化にもつながります。
結果として、資金繰りの改善や無駄な支出の発見にも役立つでしょう。
請求・入金・経理処理がしやすくなる
法人口座があることで、請求書の振込先として法人名義を記載できるため、取引先に対しても信頼感を与えられます。
また、入出金の履歴が事業専用で記録されるため、経理処理の効率化にも大きく貢献します。
特に会計ソフトと連携することで、自動で仕訳が行われるなど、日々の経理業務の負担を大幅に軽減可能です。
決算や確定申告の際にもスムーズに対応できるようになるでしょう。
融資や補助金申請で必要になる場面がある
金融機関からの融資や各種補助金・助成金の申請において、法人口座の提出が求められるケースは少なくありません。
法人としての資金の流れを確認するためにも、専用口座は重要な役割を果たします。
また、事業の実態を証明する材料のひとつとしても活用されるため、早めに開設しておくことで、いざという時の手続きがスムーズになります。
法人名義カードや各種サービス連携がしやすい
法人口座を開設すると、それに紐づく法人名義のクレジットカードやデビットカードの発行が可能です。
これにより、広告費や仕入れなどの支払いを法人として一元管理できるようになります。
さらに、決済サービスやサブスクリプションサービス、各種ビジネスツールとの連携もしやすくなり、業務の効率化や自動化が進みます。
結果として、事業の成長スピードを高める環境づくりにもつながるでしょう。
法人口座の開設手順と必要書類

法人口座を開設するには、必要書類を準備して以下の流れで手続きを進めていく必要があります。
1.口座を開設する金融機関を選ぶ
まずはどの金融機関で法人口座を開設するか決めます。会社設立の準備を進めながら、自社に合う金融機関を探してみてください。
なお、法人口座は複数の銀行で開設することも可能です。候補にひとつに絞るのが難しい場合は、複数の銀行に開設の申し込みを行ってください。
2.必要書類を準備する
口座開設を申し込む際には、必要書類の提出が必要となってきます。金融機関によって必要書類が若干異なるため、必ず確認してから用意するようにしてください。
主に必要とされることが多い書類の種類は、以下のとおりです。
-
- 履歴事項全部証明書(登記事項証明書)
- 法人印鑑証明書(銀行による)
- 代表者の本人確認書類
- 定款
- 事業内容がわかる資料(HP・契約書・請求書・事業計画書など)など
なお、飲食業や建設業、宿泊業など、一部業種に必要な許認可証の提出が必要な場合もあります。
3.口座開設の申し込みを行う
必要書類が準備できたら、口座開設の申し込みを行います。法人登記が完了したらなるべく早めに口座開設の申し込みを行うようにしてください。
口座開設の申し込み後、銀行側に事業内容や事業計画について、代表者の経歴・実績などの詳しい説明が求められることもあります。
そのため、会社情報を説明できる資料なども準備しておくと安心です。
4.審査通過後、開設手続きを行う
申し込みが完了すると、銀行側が口座開設の審査を実施します。この審査に通過すれば、開設手続きに移行可能です。
手続きも完了すれば、晴れて法人口座を開設できます。
審査落ちを防ぎ法人口座をスムーズに作るためのポイント

設立直後の法人は実績が少ないため、金融機関の審査が慎重になりがちです。
しかし、事前にポイントを押さえて準備しておくことで、審査通過の可能性を高め、スムーズな口座開設につながります。
会社のホームページを用意しておく
金融機関は、会社の実態や事業内容を確認するためにホームページをチェックすることが多いです。
ホームページがない場合、「実態が不透明」と判断され、審査で不利になる可能性があります。
立派なサイトである必要はありませんが、会社概要や事業内容、所在地、連絡先などの基本情報は明確に掲載しておいてください。
簡易的なものであっても、事業の実在性を示す重要な材料になります。
事業内容が具体的にわかる資料(事業計画書など)を準備する
設立直後は売上実績がないため、今後どのように収益を上げていくのかを説明できる資料が重要になります。その際に役立つのが事業計画書です。
提供するサービスやターゲット、収益モデル、今後の見通しなどを具体的にまとめておくことで、金融機関に対して「継続性のある事業」であることを伝えやすくなります。
口頭説明だけでなく、書面で提示できるようにしておくと安心です。
資本金や所在地の実態を説明できる状態にしておく
資本金の額や会社所在地も、審査において重要なチェックポイントです。
極端に少額の資本金や、実態のない住所(バーチャルオフィスのみなど)の場合、事業の信頼性を疑われることがあります。
そのため、資本金の出どころや使途、所在地で実際にどのように事業を行っているのかを説明できるようにしておくことが大切です。
必要に応じて、賃貸契約書やオフィスの写真など、実態を裏付ける資料も用意しておくと、よりスムーズに審査が進みやすくなります。
法人口座開設に関するよくある質問(Q&A)

設立時に資本金を入れた個人口座のお金はどうすればいい?
会社設立時は、法人口座がまだ存在しないため、発起人や代表者の個人口座に資本金を払い込むのが一般的です。
登記完了後に法人口座を開設したら、その個人口座にあるお金を法人口座へ移します。
この時は、単なる「個人から法人への入金」ではなく、設立時に払い込んだ資本金を法人口座へ移したものとわかるよう、通帳の履歴(コピー)や払込証明書の控えなどを保管しておくと安心です。
会計処理や振込名義の扱いに迷う場合は、税理士や司法書士に確認しましょう。
会社設立前(登記前)に法人口座を申し込むことはできる?
原則として、会社設立前(登記前)に法人口座を申し込むことはできません。
法人口座の開設には、会社が正式に成立していることを示す「登記事項証明書(履歴事項全部証明書)などが必要です。
設立前の段階では法人そのものがまだ存在していないため、銀行側も法人口座を受け付けられません。
そのため、まずは登記を完了させ、必要書類をそろえた上で申し込む流れになります。
資本金が少額(1円など)でも法人口座は作れる?
1円会社でも法律上は会社設立が可能です。そのため、資本金が少額という理由だけで法人口座が作れないわけではありません。
ただし、銀行の審査では、事業の継続性や実態、資金計画などを総合的に判断することから、資本金が極端に少ないと審査でも慎重に判断される可能性があります。
とはいえ、審査は資本金の額だけで決めるものではありません。資本金以外にも事業内容がわかる資料やホームページの作成、所在地の実態なども重要となります。
「資本金は多いほど有利」といわれることもありますが、絶対条件ではないことを把握しておいてください。
もし法人口座の審査に落ちてしまったらどうすればいい?
法人口座の審査に落ちた場合でも、すぐに会社運営ができなくなるわけではありません。
まずは必要書類の不足や記載ミスがなかったか、事業内容を十分に説明できる資料がそろっていたかを見直してください。
ホームページや事業計画書、契約書、請求書など、事業実態を示す資料を補強することで、再申し込みもしやすくなる場合があります。
また、銀行ごとに審査基準は異なるため、別の金融機関に申し込むのも選択肢のひとつです。
特に創業直後は、ネット銀行や信用金庫、地方銀行なども含めて、比較しながら進めてみてください。
まとめ・会社設立後は優先的に法人口座の開設を進めよう
法人口座の開設は、登記が完了してからできるようになります。
口座開設を後回しにしてしまうと、個人用のお金と一時入金していた資本金や事業資金が混ざってしまうケースもあります。
そのため、会社設立後は法人口座の開設を優先して行うようにしてください。
また、スムーズに申し込み・開設手続きが行えるよう、事前に準備しておくことも大切です。
創業手帳(冊子版)では、会社設立で必要なもの・手続きなどをわかりやすく解説しています。スムーズな会社設立・法人化に必要なノウハウも紹介しているので、ぜひお役立てください。
(編集:創業手帳編集部)
創業手帳
飲食開業手帳
補助金ガイド
創業手帳カレンダー