【2025年最新】新しい補助金が創設!最新の補助金・助成金動向を分かりやすく解説
中小企業の成長を推進するための補助金が新設!定番の助成金も予算UP
補助金制度は毎年新しくなり、2025年度にも新しい補助金制度が新設される予定です。具体的には、中小企業の成長を推進するために、「新事業進出補助金」や「中小企業成長加速化補助金」という補助金が新設されます。
また、「省力化投資補助金」では新しく個別発注方式という枠組みが追加され、使い勝手がよくなると見込まれています。2024年度に人気が高い業務改善助成金に関しても、制度が拡充する予定です。
新年度に事業投資や設備投資を検討している事業主の方は、自社に必要な投資を考えておきましょう。必要に応じて補助金や助成金を活用し、経済的な援助を受けながら企業投資をスムーズに進めてみてください。
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この記事の目次
新事業進出補助金
2025年より、新しく「新事業進出補助金」という補助金制度が開始する予定です。既存基金の1,500億円を活用する予定で、大きめの予算が用意されています。
新事業進出補助金は、中小企業・小規模事業者が新事業への進出・推進することの支援を目的としています。新事業の進出や事業転換を重点的に支援するために、補助金を支給する枠組みです。
なお、2024年12月現在でわかっている要件や補助対象経費は以下の通りです。
要件 | 企業の成長・拡大に向けた新規事業への挑戦(新規性)や賃金要件等 |
補助対象経費 | 建物費・機械装置費・システム構築費・技術導入費・専門家経費等 |
詳細は不明ですが、内容としては「事業再構築補助金」を踏襲すると考えられています。事業再構築補助金とは、新市場進出や事業・業種転換、事業再編など思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業を支援する補助金です。
参考までに、事業再構築補助金の概要は以下のとおりでした。
成長分野進出枠(通常類型) | コロナ回復加速化枠(通常類型) | サプライチェーン強靱化枠 | |
補助金額 | 中小企業:100万円~1億円 中堅企業:100万円~1.5億円 |
1,500万円 | 5億円 |
補助率 | 中小企業:2/3~3/4 中堅企業:1/2~2/3 |
中小企業:2/3 中堅企業:1/2 |
中小企業:1/2 中堅企業:1/3 |
新事業の進出や事業転換を検討している事業主の方は、新事業進出補助金の最新情報を確認しましょう。
中小企業成長加速化補助金
中小企業成長加速化補助金は、1,000億円の予算を用意し、意欲ある中小企業・小規模事業者の飛躍的成長を支援するための補助金です。2025年より、新しく始まる補助金制度の一つです。
具体的には、売上高100億円を目指す中小企業等への設備投資や、中小機構による多様な経営課題(M&A・海外展開・人材育成など)の支援を目的としています。中小企業を支援する公的機関である中小機構から、専門的な支援を受けられる予定です。
なお、2024年12月現在でわかっている要件や補助対象経費は以下の通りです。
要件 | 売上100億円を目指すビジョン・潜在力、賃金要件など |
補助対象経費 | 建物費・機械装置費・ソフトウェア費・外注費・専門家経費など |
売上100億円を目指すビジョンがあり、来年度に実現に向けた事業投資を行う予定がある事業主の方にとって、注視すべき補助金といえるでしょう。
省力化投資補助金で一般型が追加
2024年から始まっている「省力化投資補助金」に関して、新たに「一般型」という枠組みが設けられる予定です。
従来は「カタログ方式」で、登録されたカタログ製品の中から、自社に合った省力化製品を選択する必要がありました。省力化や省人化につながる設備投資をしたくても、カタログに自社に合った製品がなく、「使いづらい」という指摘がありました。
利便性の悪さや予算が余っている関係もあり、一般型という新しい枠組みが作られることになったのです。一般型では、カタログに登録されていなくても「このような製品を使いたい」という形で、各企業が申請できるようになる予定です。
イメージとしては、事業者の業務内容に応じて設計されたカスタマイズ機器、ソフトとハードを組み合わせたシステムの導入をしたとき、一般型を活用できるようになるようです。
具体的には、業務プロセスの自動化・高度化やロボット生産プロセスの改善、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、個別の現場の設備や事業内容に合わせた設備導入・システム構築に関する省力化投資が対象となります。
最新の資料では、補助上限額は従業員数に応じて以下のようになっています。
従業員数 | 補助上限額※カッコ内は大幅賃上げを行う場合 |
5人以下 | 750万円(1,000万円) |
6~20人 | 1,500万円(2,000万円) |
21~50人 | 3,000万円(4,000万円) |
51~100人 | 5,000万円(6,500万円) |
101人以上 | 8,000万円(1億円) |
従業員数が5人以上の企業でも最大で1,000万円、101人以上の企業では最大で1億円の補助を受けられます。
- 自社が抱えている課題は何か
- どのような省力化製品を導入すれば効果を見込めるのか
- 機械に置き換えられる業務プロセスは何か
以上のような点を明確にして、必要に応じて省力化投資補助金を活用しましょう。
業務改善助成金の予算が2.5倍に
厚生労働省が行っている「業務改善助成金」について、2025年度は2024年度よりも予算が2.5倍に増える予定です。具体的には、8.2億円から22億円に予算が増え、厚生労働省としても力を入れていることがわかります。
これにより、対象となる企業の幅が広がったり、助成額が拡充される予定です。
なお、厚生労働省が業務改善助成金の拡充を進めている大きな理由は「業務改善助成金が人気だから」です。2024年は多くの企業から申請を受けており、予算が早々になくなってしまうのではないか、という声も上がっていました。
しかし、政府としても従業員の賃上げや設備投資を通じた生産性の向上・省力化を推進したい考えがあるため、業務改善助成金が拡充されることになりました。
具体的に、2025年4月から行われる主な制度変更は以下のとおりです。
- 最低賃金が1,000円未満の事業場に関して、助成率を4/5へ引き上げ(従来は3/4が上限)
- 生産性要件の廃止
- 夏秋における賃上げ・募集時期の重点化
- 特定時期の追加募集枠を設ける(推進枠)
なお、業務改善助成金は毎年申請できます。2024年度中に受給しても、2025年度に改めて申請要件を満たしていれば、新しい年度においても申請できます。
2024年3月までの業務改善助成金に関しては、こちらの記事をご覧ください。
持続化補助金・IT補助金・ものづくり補助金の概要も公表!変更点は?
起業家・経営者の方々がよく利用される定番の補助金「小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)」や「IT導入補助金」、「ものづくり補助金」の概要についても続々と公表されました。
その内容をみると、いくつかの変更が2025年度はありますので、チェックしておきましょう。
小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)
小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)は、個人事業主でも利用できる補助金のため、起業して間もない方にもよく活用されている補助金です。
2025年度は、政策の原点回帰のため、経営計画作りを重点化することになり、2024年度あった特別枠が整理されます。
- 【2025年】小規模事業者持続化補助金の変更点
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- 1.経営計画の策定を重点化
- 2.申請枠の整理・簡素化
※参考:中小企業庁 中小企業対策関連予算 令和6年度補正予算・令和7年度当初予算関連 持続化補助金の概要
2024年までの申請枠を見直し、「卒業枠」「後継者支援枠」が廃止されますが、「ビジネスコミュニティ型」「共同・協業型」などが新設されます。
詳しくは以下の記事をあわせてお読みください。
IT導入補助金
ソフトウェアやハードウェア、クラウド型サービスなどIT機器の導入を検討している事業主の方に役立つIT導入補助金は、毎年人気な補助金のひとつです。
2024年も行われていましたが、2025年はいくつかの異なる点があります。
- 【2025年】IT導入補助金の変更点
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1.補助対象経費の拡充(通常枠、複数社連携IT導入枠、インボイス枠・インボイス対応類型)
2.最低賃金近傍の事業者の補助率の変更(通常枠)
3.補助額・補助率の変更(セキュリティ対策推進枠)
※参考:中小企業庁 中小企業対策関連予算 令和6年度補正予算・令和7年度当初予算関連 IT導入補助金2025
補助対象経費の拡充においては、今まで補助対象経費は、「ソフトウィア購入費、クラウド利用料(最大2年分)」でしたが、2025年では新たに「導入関連費(保守サポートやマニュアル作成等の費用に加え、IT活用の定着を促す導入後の“活用支援”も対象化)」が追加されています。
詳しくは以下の記事をあわせてお読みください。
ものづくり補助金
ものづくり補助金は、相次ぐ制度変更に対応すべく生産性向上に取り組む中小企業・小規模事業者等を支援するための補助金です。
革新的サービスや試作品の開発、生産プロセスの改善に向けた設備投資などが支援の対象となります。
2025年も引き続き、ものづくり補助金は継続されることになり、以下のような主な変更点が発表されました。
- 【2025年】ものづくり補助金の変更点
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・足下の賃上げ状況等を踏まえ、基本要件を見直し。
・中小企業等の企業規模に応じた投資ニーズに対応するため、補助金額に係る従業員規模区分を見直し、補助金上限額を一部拡充。
・力強い賃上げの実現に向けて対応する中小企業等の取り組みを支援し、賃上げ環境を整備するため、最低賃金引上げ特例を創設。
・収益納付は求めない
出典:令和6年度補正予算案「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」の概要
基本要件の見直しにおいては、第18回公募時において「給与支給総額の年平均成長率が+1.5%以上増」だったのが「+2.0%以上増加」または「事業実施都道府県における最低賃金の直近5年間の年平均成長率以上」という内容に変更となっています。
詳しくは以下の記事をあわせてお読みください。
企業が補助金を利用するときの注意点
補助金制度は、企業の積極的な事業投資や設備投資を後押しするためのありがたい制度です。
経済的な援助を受けられる補助金制度ですが、利用するにあたって注意すべき点があります。
必要な投資のみ行う
今回紹介した新事業進出補助金や中小企業成長加速化補助金などは、設備投資資金や事業投資資金の一部を補助する制度です。補助を受けられるのは全額ではない以上、補助金を申請する際には、「必要な投資のみ行う」という点を意識しましょう。
たとえば、投資資金の2/3の補助を受けられた場合、1/3は自己負担です。本当に必要な投資であればよいのですが、不要な投資だと結果的に1/3の費用が無駄遣いで終わってしまいます。
そのため、補助金制度を利用する際には「必要な投資を行う→そのうえで、申請できそうな補助金制度がないか検討する」という順序で考えてみてください。
補助金ありきの投資はしない
補助金ありきの投資は危険です。補助金は先に全額投資したあとに、投資額の一部が補助される流れとなっているため、一時的に多額のキャッシュアウトが生じます。
企業によっては、一時的なキャッシュアウトが資金繰りの悪化を招きかねません。また、補助金ありきで事業投資を行った結果、思うような成果を挙げられずに「赤字の状態から抜け出せないから、もう新規事業をやめたい」という状況になる恐れもあります。
さらに、補助金を申請しても、そもそも採択されるとは限りません。予算がなくなってしまったり、事業計画が補助金事業の指針に沿っていなかったりすると、補助金を受け取れずに終わります。
そのため、事業投資をする際に、補助金ありきで楽観的に考えるべきではありません。「補助金を受け取れるから投資する」のではなく、「自社に必要な投資だから行う」という考えで、投資判断を下しましょう。
賃上げを行う
政府としては、企業に対して積極的な賃上げや生産性のアップを求めています。今後ますます生産労働人口が減少すると見込まれているうえに、国際的な競争力が低くなっていることを憂慮しているためです。
また、経済状況を改善するためには、雇用改善の状況や賃上げに伴う消費の活性化が欠かせません。
基本的に、申請する補助金の種類に関係なく、補助金を採択してもらうためには賃上げを実行する必要があると考えるべきでしょう。賃上げをせずに補助金を受け取る、というのは、政府の意向を踏まえると非現実的です。
そのため、補助金を申請する際には、従業員の賃上げは避けられないことを覚悟しましょう。事業投資や設備投資に関する資金計画だけでなく、賃上げに伴う人件費の増加も織り込んだうえで、資金繰りを考えてみてください。
申請準備は早い段階で進めておく
補助金の申請は、早い段階で進めておきましょう。補助金の申請をする際にはさまざまな下準備をする必要があります。
事前に下準備を進めている企業が多い中で、準備が遅れると補助金を受け取れない可能性が高まります。補助金を採択されるための事業計画書を綿密に作成したり、自社の将来的なビジョンや事業内容、賃上げを実現するための具体的な施策を考えておきましょう。
まとめ
2025年度に新しく補助金制度が新設されたり、既存の補助金・助成金制度が拡充されたりする予定です。政府としても、中小企業の生産性向上や省力化、従業員の賃上げに伴う経済の活性化に期待していることがわかります。
事業主にとっては、補助金を助成金を活用することで、賃上げや事業投資を行いやすくなるでしょう。業務生産性の向上や優れた人材の定着などのメリットが期待できるため、補助金に関する最新情報に注目してみてください。
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(編集:創業手帳編集部)