【やってみた】Claudeで資金繰り表・売上シミュレーションは作れる!明細を渡すだけで完成

漠然としたお金の不安が数字で見えた。売上シミュレーションとExcel出力の全記録

Claudeで資金繰り表作成
「なんとなくお金が不安だけど、資金繰り表を作るのは難しそう」というフリーランスや個人事業主の方もいるのではないでしょうか。今回は、Claudeで資金繰り表と売上シミュレーションを作成した手順を紹介します。

用意するのは、通帳・カード明細のCSVと固定費メモだけです。日本語で頼むだけで、AIが自分の商売に合わせた表を組んでくれます。漠然とした不安が具体的な数字に変わる体験を、実際のプロンプトつきでお届けします。

合同会社 柴田人事労務オフィス 代表社員 柴田 充輝(しばた みつき)
日本大学文理学部卒業後、厚生労働省や不動産業界、保険業界で実務経験を積む。ハローワークで10年間の勤務経験があり、求職者・求人者双方の相談業務やマッチング支援を行う。ハローワークでの実務経験を活かして、社会保険や人事労務などの分野を中心に、これまで1200記事以上の執筆・監修実績あり。保有資格は1級ファイナンシャル・プランニング技能士(FP1級)、社会保険労務士、行政書士、宅地建物取引主任士など。金融財政事情研究会会員。noteでも情報発信中。

そもそも資金繰り表とは


資金繰り表とは、毎月の「入ってくるお金(収入)」と「出ていくお金(支出)」を並べ、月末に現金がいくら残るかを見える化した表のことです。具体的には、縦に「売上入金・借入」などの収入項目と「仕入・家賃・人件費・返済」などの支出項目、横に月を並べ、最下段で繰越残高(前月から持ち越した残高に当月の収支を足した金額)を追いかけます。

損益計算書が「儲かったか」を示すのに対し、資金繰り表は「現金が足りるか」「資金ショートは起こらないか」を確認できる点が決定的な違いです。

売上が立っても入金が2カ月後であれば、その間の仕入れや家賃、人件費などは手持ちの現金で支払わなければなりません。特に事業規模が小さいうちは資金に余裕がないケースも多く、現金が不足すれば、帳簿上は黒字でも資金ショートを起こしてしまうおそれがあります。こうした「黒字倒産」を防ぐためにも、資金繰り表を作成して現金の動きを把握することが重要です。

資金繰り表の作成で挫折しやすい理由

資金繰り表で挫折する原因は、大きく次の2つに集約されます。

  • 銀行や商工会議所の無料テンプレートを落としても、自分の商売のどの数字をどの欄に入れるか分からず手が止まる
  • 初回はなんとか作れても、毎月の明細の転記と更新が面倒で続かない

無料テンプレートには「営業収入」「経常支出」といった、見慣れない項目が並びがちです。

クラウドソーシング経由の入金やクレカ払いの経費をどこに書くべきか、判断に悩むケースもあるでしょう。また、月初の忙しい時期に1時間の転記作業が入ると、2〜3ヶ月で更新が止まるのが典型パターンです。

Claudeで作る強み

そこで、資金繰り表を作成する際に頼れるツールがAIです。

AIの中でも「Claude」の強みは、様式や埋め方を自分が一切覚えなくてよい点にあります。手元のCSVやメモをそのまま渡して日本語で頼むだけで、AI側が「この入金は売上、この引落は固定費」とデータを読み取り、資金繰り表の形式に沿って埋めてくれるからです。

項目名も、自分の商売に合わせてくれます。「制作費入金」「サーバー代」など、実際の取引に即した名前で表が組まれたため、完成した瞬間から自分の表として読めました。テンプレートに自分を合わせるのではなく、AIが自分の商売に合わせてくれるため、「とても気が利く経理担当者」という印象を持ちました。

Claudeで資金繰り表の作成を実際にやってみた


ここからは、筆者が実際に行った作業を時系列で再現します。データ準備からExcel納品まで初回は約20分で、検算も正確でした。

手順1:準備するデータ

用意したのは次の3点だけです。

  • 通帳・クレジットカード明細のCSV(直近3ヶ月分)
  • 売掛の請求書一覧(請求先・金額・入金予定日)
  • 家賃・サブスクなど固定費のメモ(金額と支払日)

CSVデータは、ネットバンキングやカード会社の会員サイトから「明細ダウンロード」でCSV形式を選べば数分で取得できます。請求書一覧は請求書ソフトの一覧画面のコピペで十分で、固定費メモは「家賃12万円・毎月27日引落」程度の箇条書きで問題ありません。

完璧に揃える必要はなく、あるものから始めて後で追加すれば大丈夫です。精度を上げたいなら「請求の翌月末に入金される」といった入金サイト(締めから入金までの期間)を一言添えるのがコツです。なお、情報漏洩を防ぐためにも、個人情報をマスキングしておきましょう。

手順2:使ったプロンプト全文

実際にClaudeに渡したプロンプトは以下のとおりです。そのままコピペして、自分の数字に置き換えて使ってください。

あなたは中小企業の資金繰りに詳しい経理担当です。私はフリーランスのWeb制作業で、添付データから向こう6ヶ月の資金繰り表を作ってください。

【渡すデータ】
・通帳とクレカ明細のCSV(直近3ヶ月)
・請求書一覧(入金予定)
・固定費メモ(毎月5万円)
・変動費は平均的な数値を用いて構わない

【前提】
・売上の入金サイトは「請求月の翌月末」
・現在の口座残高は300万円

【依頼】
・月ごとに収入・支出・繰越残高を表にまとめて
・残高が少なくなる要注意月があれば理由付きで指摘して
・不明な取引があれば勝手に判断せず、私に質問して

主なポイントは以下の3つです。

  • 現在残高を伝えること(これがないと繰越計算の起点が作れません)
  • 固定費と変動費の目安を伝えること
  • 「不明点は質問して」と加えること

これにより、AIの勝手な推測を防げます。

手順3:完成した資金繰り表

送信から約2分で、月ごとの収入・支出・繰越残高が並ぶ6ヶ月分の表が返ってきました。

さらに、以下のようなアドバイスも添付されていました。

資金ショートの危険がある月はありません。 保守的に見ても毎月約92万円の黒字で、残高の最低点は期首の300万円です。ただし、次の3点には注意してください。

・7月末と11月末(所得税の予定納税) — 通知が来ていれば各期数十万円規模の支払いが発生し、表より残高が下振れします。特に7月は期首残高が最も薄いタイミングと重なります。
・収入の1社集中 — 経常入金の約3分の1を〇〇が占めています。この契約が終了すると月次黒字は半減します。新規案件の仕込みは早めが安心です。
・6月の大口159万円の扱い — もし継続案件なら各月の収入は約280万円に上振れし、逆に「たまたまの単発」なら本表のとおりです。どちらかで年末残高が900万円以上変わるため、最重要の確認事項です。

それまでの「なんとなく資金繰りが不安」という正体が具体的な数字に変わり、具体的な対策まで考えられる状態になりました。

手順4:数字の正確性を検証

AIの出力は必ず検算することが鉄則です。月ごとの収入合計・支出合計・繰越残高を電卓と元CSVで突き合わせた結果は次のとおりでした。

  • 検算した18項目のうち17項目が元データと完全一致
  • ズレた1項目:クレカ経費がカード明細と通帳の引落で二重計上され、支出が月4万円多い

原因ごと伝えて「カード明細と通帳引落の重複を除いて再計算して」と頼むと、約1分で修正版が返ってきました。この二重計上は、クレカと通帳を両方渡すと起きやすい典型パターンです。

最初のプロンプトに「クレカ利用分は通帳の引落と重複させない」と書いておくと予防できます。

結論として、鵜呑みは禁物ですが、検算というひと手間を挟めば実用に足る精度です。検算も「合計だけ電卓で叩く」程度なら5分で終わります。

Claudeで売上シミュレーションの作成を実際にやってみた


資金繰り表が完成した状態から、追加の一言だけで将来のシナリオを試せるのがAI活用の真骨頂です。Excelなら列を複製して計算式を組み直す作業が、会話だけで完結します。

3つのシナリオ比較

完成した資金繰り表に続けて、「売上が楽観(+20%)・現実(横ばい)・悲観(−20%)の3パターンで資金繰りを比較して」と一言送るだけで、3列並びの比較表が一度に出力されました。

この表の価値は、悲観シナリオでも資金が持つのか、持たないなら何月が危ないのかが一目で分かる点です。危険水準が見えれば、打ち手も具体化します。振れ幅の±20%に根拠が欲しい場合は、「過去3ヶ月の売上のブレをもとに現実的な振れ幅を提案して」と頼むと、実データに基づいた幅で設定してくれます。

値上げした場合の試算

さらに「単価を10%上げて客数が1割減ったら?」と一言追加すると、全シナリオが再計算されました。結果は「売上はほぼ横ばいだが、案件数が減る分だけ稼働に余裕が生まれる」というもので、値上げへの心理的ハードルが大きく下がりました。

これがいわゆるwhat-if分析(前提を変えたら結果がどう変わるかを試す手法)です。Excelで同じ試算をするなら単価×客数の計算式を組み直す必要がありますが、Claudeなら会話1往復で終わります。「外注費が月5万円増えたら」「家賃を下げて引っ越したら」など、気になる前提は思いつくたびに投げるのがおすすめです。

予測との付き合い方

AIは優秀とはいえ、未来の売上は当てられません。シミュレーションは「予測を当てる道具」ではなく、「最悪ケースでも資金が耐えられるかを確かめる道具」と捉えるのが正しい使い方です。

理由はシンプルで、AIが計算しているのはあくまで「渡した前提を変えたら数字がどうなるか」であり、前提そのものの的中を保証する仕組みではないからです。

だからこそ、悲観シナリオに価値があります。最悪の想定でも耐えられる備えができていれば、現実がそれより良い分にはすべてプラスに働くからです。期待値をここに置けば、AIの試算は経営判断の材料として十分に実用的です。

ClaudeとExcelを連携させるとより便利


Claudeは画面上の表で終わらず、Excelファイル(xlsx形式)でも出力できます。ファイル作成機能は無料プランを含む全プランで使えますが、通常のチャットより利用枠の消費が大きいため、明細を渡して毎月運用するなら有料プランが現実的です。

Excel形式で出力を依頼する

やることは「この資金繰り表をExcelファイルで出力して」と頼むだけです。Google Driveに直接保存する選択肢もあるため、使いやすい方法で保存しましょう。

Excelファイルなら融資相談で銀行に見せる資料の下敷きになり、税理士とのやり取りでは「いつものExcelで」共有でき、印刷して壁に貼ることも可能です。チャット画面のスクリーンショットでは務まらない場面を、すべてカバーできます。

関数・グラフも自動生成される

出力されたファイルは「数字が貼り付いただけの表」ではありません。合計欄にはSUM関数、繰越残高には前月残高+当月収支の計算式が入った状態で納品されました。つまり受け取った後に自分で数字を1ヶ所差し替えれば、合計も残高も自動で再計算される「生きたExcel」です。

依頼すれば、残高推移の折れ線グラフも付けてもらえます。要注意月が視覚的に谷として見えるため、銀行や税理士に見せる資料としてそのまま通用する仕上がりでした。「グラフは残高の推移を折れ線で、危険水準の50万円に赤い基準線を引いて」のように具体的に頼むと、より実用的なグラフになります。

毎月の更新は一言で終わる

一度作成したデータは、引き続き利用できます。翌月は先月分の明細CSVを同じチャットに渡して「実績で更新して」と頼むだけで、予定の数字が実績に置き換わり、将来分の予測も引き直されます。

転記作業そのものが消えるため、月初のルーチンとして無理なく続けられます。

さらに楽をしたい方には、デスクトップアプリで使えるClaude Coworkという選択肢もあります。明細を保存しているフォルダの読み込みからファイルの更新までのエージェント作業を任せられる機能で、「渡す」手間すら省きたい方は検討してみてください。

Claudeの活用でかかった時間と費用


導入を判断する材料として、実測時間と料金を総括します。

作成時間の実測


Claudeの初回20分の内訳は、データ準備10分+やり取り5分+検算5分です(筆者の場合)。一方、Excelで一から自作すると様式の設計と計算式の構築だけで数時間かかり、筆者のように途中で挫折するケースも珍しくありません。

しかも自作Excelでは計算式のミスに自分で気づく必要がありますが、Claudeなら「検算して合わない箇所を探して」とAI自身にチェックさせる使い方もできます。

必要なプランと料金

Claudeの料金は次のとおりです(2026年7月時点、米ドル建て・税別)。

プラン 月額 資金繰り表づくりでの目安
Free 無料 表の作成・相談からExcel出力まで一通り試せる。ただし利用枠が小さく、明細アップロードやファイル作成ですぐ上限に達しやすい
Pro 20ドル(約3,000円、年払いなら実質17ドル) 利用枠が大幅に拡大。月次の更新運用やClaude Coworkなどの機能も使える

まずは無料で今回の流れを1回体験し、続けられそうならProに上げる、という順番がおすすめです。判断軸として意識したいのは、Proの3,000円を「資金繰り表単体の料金」と考えないことです。

同じ契約で経費仕分け・請求書の下書き・契約書のチェックなど経理業務全般に使い回せるため、「経理まわり全部の月額」として見ればペイしやすくなります。

Claude使用時の注意点と限界


Claudeは優秀である一方で、鵜呑みにしてはいけない部分も存在します。実際に筆者が使ってみた中で感じた注意点を押さえておけば、安心して実務に組み込めるはずです。

渡す情報が少ないと精度が落ちる

Claudeは渡されたデータの範囲でしか計算できません。入金サイトを伝えなければ入金月がズレる可能性があり、年1回の税金や保険料を伝え忘れれば、その月の残高は実際より多く見えます。

ただし、最初から完璧に揃える必要はありません。表を見て「この月おかしいな」と感じたら前提を追加して作り直す、という往復を前提に使うのが現実的です。AIとの共同作業は一発勝負ではなく、対話で精度を上げていくものだと考えてください。

予測は保証されない

シミュレーション結果の的中は保証されません。運用ルールとしては、入金サイト・固定費・受注見込みといった前提が変わったタイミングで表を作り直し、資金判断の最終責任は自分にあるという原則を忘れないことが大切です。

AIは判断材料を高速に用意してくれる相棒であり、判断の代行者ではありません。

銀行提出前には必ず確認する

融資申込みなどで金融機関に提出する場合は、指定様式の有無を確認しましょう。銀行によっては所定フォーマットへの転記を求められます(この転記もClaudeに任せられます)。

数字の根拠を、自分の言葉で説明できる状態にしておくことも重要です。審査担当者が見ているのは表の見た目ではなく、経営者自身が資金繰りを把握しているかどうかです。「この月の支出増は外注費で、理由は〇〇案件」と即答できるまで表を読み込んでから提出しましょう。

データの取り扱いには注意する

通帳明細や売上データは機密情報として扱うのが大前提です。具体的には次の2点を実施してください。

  • 設定のプライバシー項目で、入力内容をAIの学習に使わせない設定になっているか確認する
  • 口座番号・カード番号・取引先の実名は、渡す前に削除するか「A社」「B社」に置き換える

マスキングはCSVを開いて列ごと削除するだけなので、1〜2分で終わります。

よくある質問

最後に、検討段階で残りやすい細かい疑問を紹介します。

簿記知識がなくても大丈夫?

簿記や会計の知識がなくても、資金繰り表は作れます。様式への当てはめや計算はClaudeが担当するため、人間側に専門知識は不要だからです。

ただし、完成した表から「どの月が危ないか」を読み取るのは、経営者である自分の役割です。

法人でも使える?

一人社長や小規模法人でも、まったく同じ手順で使えます。役員報酬・借入金の返済・社会保険料・納税予定といった法人特有の項目も、プロンプトに「役員報酬は月50万円、借入返済は月8万円」のように書き添えるだけで表に反映されます。

最初に「株式会社で従業員2名」など事業形態を伝えるのが精度を上げるポイントです。

経費仕分けもできる?

同じClaudeで、日々の経費仕分けや帳簿整理もできます。レシートや明細を渡して勘定科目ごとに整理してもらう使い方も可能です。

仕分け済みの帳簿データは、そのまま資金繰り表の元データに使い回せます。仕分け→資金繰り表→シミュレーションと、経理の流れを1つのAIで完結できるのが強みです。

まとめ

Claudeを使えば、簿記の知識がなくても手元の明細を渡すだけで資金繰り表が完成し、売上シミュレーションやExcel出力まで会話で完結します。初回20分・月次更新5分と、Excel自作に比べ圧倒的な時短が可能です。

ただし、AIの出力は必ず検算し、予測を鵜呑みにせず、機密データのマスキングも忘れずに行いましょう。資金判断の最終責任は自分にあると心得れば、AIは経理を支える頼れる相棒になります。

(編集:創業手帳編集部)