合同会社でも法人口座開設できる!必要書類や審査のポイントを解説

合同会社でも法人口座開設は可能!ただし注意点もある

合同会社が必要書類を準備して法人口座を開設するイメージ
合同会社でも、銀行などの金融機関で法人口座を開設することは可能です。
合同会社だからという理由だけで法人口座開設ができないわけではなく、株式会社と同様に審査を通過すれば口座を持つことができます。
ただし、必ず口座を開設できるとは限らず、審査に時間がかかったり、口座開設を断られたりするケースもあります。

本記事では、合同会社が法人口座開設の審査で慎重に見られやすい理由や、審査に通るためのポイント、口座開設に必要な書類などをまとめて解説します。
合同会社の設立前後で法人口座を開設しようと考えている人は、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次

合同会社が法人口座の審査で慎重に見られる理由

合同会社でも法人口座を開設することは可能で、合同会社だからという理由で審査に落ちることは原則ありません。
ただし、審査で不利に見られてしまう場合もあります。なぜ、合同会社だと法人口座の審査で不利に見られる場合もあるのか、その理由を解説します。

口座の不正利用防止のため

合同会社だと慎重に見られる理由のひとつに、口座の不正利用を疑われやすい点が挙げられます。
株式会社と比較すると、合同会社は設立にかかる費用を約10万~14万円抑えられ、定款認証も行う必要がありません。
株式会社より費用と手間がかからない分、手軽に設立できるというメリットがありますが、その一方で犯罪に活用されやすいというリスクもあります。

例えば、近年だと還付金詐欺やフィッシング詐欺などで振込先が法人口座だと、騙されてしまう人が出てきてしまう可能性もあります。
また、犯罪で得たお金をマネーロンダリングで口座を転々と移動させることで、出所を分からなくすることにも使われる場合も考えられます。
こうした理由から、合同会社の法人口座開設では慎重に審査を実施し、不正に利用されないかチェックしているのです。

資本金が少ない場合が多い

事業をはじめる上で起業家・創業者は「資本金」を準備することになります。資本金は現在1円でも設立できるようになりました。
しかし、実際に1円や少なすぎる金額で設定していると、社会的信用を得にくくなり、法人口座開設の審査に影響する可能性があるため注意が必要です。

もちろん、資本金が少ないだけで審査が不利になるわけではありません。
しかし、資本金は経営の安定性を示す指標のひとつでもあることから、ある程度の資本金を用意しておくと安心です。

事業実態が見えにくい

事業実態が見えにくい場合も、銀行側は慎重に審査を行うことになります。
例えば、連絡先の電話番号が携帯電話だったり、登記されている住所がバーチャルオフィスだったりする場合、銀行は「犯罪に使われてしまうのではないか」と考え、慎重に審査を実施する可能性があります。
また、一般的に会社を設立したら定款やホームページに事業目的などを記載しますが、目的や内容が曖昧で不明確だと、審査で不利になる恐れもあるでしょう。

合同会社が法人口座開設の審査に通るためのポイント

合同会社が法人口座の審査に備える資本金・事業内容・事業実態・会社情報のポイント
合同会社が法人口座を開設する際は、銀行から「実際に事業を行っている会社なのか」「安全に取引できる会社なのか」などを確認されます。
特に設立直後の合同会社は事業実態を確認できる情報が少ないため、審査に必要な情報はある程度整えておくことが重要です。
ここでは、法人口座開設の審査に通るために押さえておきたいポイントを解説します。

資本金を適切に設定する

会社の設立時に必要な資本金は、適切な金額を設定することが大切です。
上記でも紹介したように、資本金は1円から設定することが可能ですが、極端に少ないと銀行から「十分な運転資金を確保できていないのではないか」と判断されてしまう可能性があります。
特に合同会社は株式会社と比べて設立費用が低いため、資本金も低く設定されるケースが多く見られます。業種にもよりますが、100万円以上準備しておくと安心です。

一方で、法人口座の審査に通りたいからという理由で、必要以上に資本金を多く設定する必要はありません。
事業内容や初期費用、当面の運転資金なども考慮した上で、無理のない金額を設定することが大切です。

事業内容を明確にする

銀行側は口座がどのような事業に利用されているのかも確認します。
そのため、事業内容が曖昧だったり、定款に記載された事業目的と実際の事業内容が大きく異なったりしていると、審査の確認事項が増える可能性もあります。

口座開設時には、事業内容や提供する商品やサービス、ターゲットとなる顧客層などを具体的に説明できるようにしておいてください。
事業内容を説明する資料や事業計画書を準備しておくと、銀行側も事業内容を把握しやすくなります。
複数の事業を行っている場合は、現在主力とする事業も明確にしておくことが大切です。

事業実態を証明する

設立したばかりの合同会社だと、まだ十分な取引実績や売上げがないケースもあるでしょう。
その場合でも、実際に事業を開始する準備を進めていることを示すことができれば、事業実態も説明しやすくなります。

例えば、取引先との契約書や発注書、見積書、請求書などの書類があると、事業活動を裏付ける資料になります。
また、許認可が必要な事業の場合、許認可証などの書類を提出することで、事業実態の証明につながります。
合同会社を設立したという事実だけでなく、どのような事業を誰に向けて、どのように行っているのか具体的に説明できる状態にしておくことが大切です。

事務所やホームページを整備する

銀行が会社の事業実態を把握する際、事務所の所在地やホームページなども判断材料として用いられる場合があります。
法人登記上の住所だけ設定されており、事業の実態がわかりにくい場合は、自社のホームページを作成し、事業内容や所在地、代表者名、問い合わせ先などを掲載しておくと、会社の情報を伝えやすくなります。

また、事務所を構えている場合は、実際に事業を行える環境を整えておくことも重要です。
もしバーチャルオフィスなどを利用している場合は、銀行によって問題ない場合と不可の場合に分かれるため、事前に口座開設の条件を確認しておいてください。

代表者個人の信用情報を確認する

法人口座の審査では、会社だけでなく代表者の信用情報も確認される場合があります。特に設立直後の合同会社は会社としての取引実績が少ないため、代表者の情報が判断材料のひとつになることもあります。

例えば、代表者の本人確認書類や事業経歴などを確認する書類、さらに個人の信用状況(返済の遅延記録、債務整理・多重債務の事実など)が審査に影響する可能性もあります。
日頃からローンやクレジットカードなどは適切に活用し、代表者個人の信用情報を良好に保つことが大切です。

合同会社におすすめの法人口座|ネット銀行・メガバンク・地方銀行の特徴を比較

合同会社向けのネット銀行・メガバンク・地方銀行および信用金庫の特徴を比較した図
合同会社でも、ネット銀行やメガバンク、地方銀行・信用金庫などで法人口座を開設することは可能です。
ただし、各金融機関でそれぞれ強みが異なるため、事業内容や利用目的に合わせて選ぶことが大切です。
例えば、設立直後でコストを抑えたい場合はネット銀行、信用力や将来的な融資を重視したい場合はメガバンク、地域密着型のサポートを受けたい場合は地方銀行・信用金庫が向いています。

ネット銀行(GMOあおぞらネット銀行・住信SBIネット銀行・PayPay銀行など)

ネット銀行は、口座の維持手数料や振込手数料が比較的安く、オンラインで口座開設から取引まで完結できる点が魅力です。
会計ソフトと連携できるサービスも多く、設立間もない合同会社や、経理業務を効率化させたい事業者に適しています。
また、審査期間も比較的短く、なるべく早めに銀行口座を開設したい人にもおすすめです。

メガバンク(みずほ銀行・三井住友銀行・三菱UFJ銀行など)

メガバンクは知名度が高く、取引先からの信用力を重視したい場合に適しています。将来的に融資や経営支援を利用したい場合にもメリットがあります。
また、メガバンクでは窓口で対面のサポートを受けられる点も魅力です。困りごとがあっても直接相談できるのは、メガバンクのメリットと言えます。

一方で、審査は他の金融機関よりも慎重に行われる傾向にあります。特に設立間もない合同会社は事業内容や事業実態を説明できる資料を準備しておくことが大切です。

地方銀行・信用金庫

地域で事業を展開する合同会社には、地方銀行や信用金庫もおすすめです。
地方銀行や信用金庫は、地域の経済発展や産業の活性化などを目的に経営していることから、中小企業との関係性や個別対応を重視する傾向にあります。
地元企業への支援に力を入れているところも多いため、創業時の相談や融資など、対面でサポートを受けられる場合があります。

ただし、全国各地に支店・ATMが少ないこともあるため、出張した際に利用したくてもできない可能性がある点には注意が必要です。

合同会社が銀行を選ぶ際のポイント

法人口座は、一度開設すると日常的な入出金や振込などで継続して利用することになります。
そのため、口座開設のしやすさだけでなく、手数料やサービス内容なども比較して自社に合う金融機関を選ぶことも大切です。
ここで、合同会社が銀行を選ぶ際のポイントを解説します。

手数料などランニングコストをシミュレーションする

法人口座を利用する際は、振込手数料や口座維持にかかる費用などを確認してください。
金融機関によって手数料体系は異なるため、単純にひとつの手数料だけを比較するのではなく、毎月の取引件数をもとに年間のランニングコストをシミュレーションすることがポイントです。

例えば、取引先への振込が多い会社では、振込手数料が安い銀行を選ぶことで継続的なコスト削減につながります。
ATMの利用頻度が高い場合は、入出金手数料や利用できるATMの数なども確認してみてください。

スタートアップ・中小企業へのサポートが充実しているか

合同会社の設立直後は、資金調達や融資、経営に関する相談など、銀行のサポートを利用する機会が増える可能性もあります。
そのため、スタートアップや中小企業向けのサポートが充実しているかも確認しておきたいポイントです。

銀行ごとに提供するサポート内容は異なります。例えば、創業期向けの融資制度や相談窓口、経営支援サービス、補助金・助成金に関する情報提供などが挙げられます。
将来的に融資を受ける可能性がある場合は、「長期的に相談しやすい銀行か」という視点でも比較しておくと安心です。

会計ソフト・アプリと連携できるか

会計ソフトや業務アプリと連携できるかどうかも、銀行を選ぶ際の重要なポイントです。
銀行口座と会計ソフトを連携できる場合、入出金明細を自動で取り込めるようになるため、手入力の手間が減らしやすくなります。

特に設立直後は、経理や事務作業を代表者が兼任するケースも少なくありません。銀行口座の入出金も、会計ソフトとの連携で記帳や帳簿管理の負担も軽減されるでしょう。
利用したい会計ソフトやアプリが決まっている場合は、口座開設前に対応状況を確認してみてください。

法人口座開設に必要な書類

合同会社の法人口座開設で準備したい法人書類・本人確認書類・事業実態資料の一覧
法人口座開設の申請時に、銀行から書類の提出を求められる場合があります。
銀行によって必要書類は異なるものの、代表的な書類・確認されることがある資料とその取得先は以下のとおりです。

必要書類 取得先
履歴事項全部証明書 法務局
印鑑証明書(法人) 法務局
本社確認書類(登記事項証明書・賃貸借契約書など) 法務局、不動産会社など
事業内容の確認書類(事業計画書、パンフレットなど) 自社で作成・準備
事業実態の確認書類(契約書、請求書など) 自社で作成・準備
法人設立届出書 税務署
法人番号指定通知書 国税庁
銀行印 自社で準備
本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど) 代表者が準備
許認可証(飲食業や建設業、宿泊業など一部業種で許認可が必要な場合) 各行政機関

合同会社で法人口座を開設する流れ

法人口座の開設は、銀行を選んだ上で必要書類を準備し、申し込みと審査を受けるのが一般的な流れです。
ここで、合同会社が法人口座を開設する際の流れを把握しておきましょう。

1.法人口座を開設する金融機関を選ぶ

まずは、法人口座を開設する金融機関を選びます。銀行や信用金庫、ネット銀行など、金融機関によって手数料やサービス、融資・経営支援の内容などが異なります。

振込の頻度や利用するサービスなど、自社の事業スタイルを踏まえて比較することが大切です。
また、法人口座の開設条件や必要書類、申し込み方法も金融機関ごとに確認してください。

2.必要書類の準備と審査対策を行う

利用する金融機関を決めたら、口座開設に必要な書類を準備します。
一般的には、履歴事項全部証明書や法人の印鑑証明書、代表者の本人確認書類などが必要になりますが、金融機関によって異なるため、事前の確認が必要です。

また、事業内容や取引先などを説明できる資料、事業計画書、会社案内、契約書などを準備しておくと、事業実態を伝えやすくなります。
申し込み前に書類の有効期限や記載内容に不備がないかも確認してください。

3.申し込み・書類審査

必要書類を揃えたら、金融機関へ法人口座の開設を申し込みます。申込方法には、窓口だけでなく、Web上で手続きを完結できる方法などもあります。

申し込み後は、提出した書類をもとに会社の事業内容や所在地、代表者などについて審査が行われます。
追加の資料提出や確認事項への回答を求められる場合もあるため、連絡があった場合は速やかに対応してください。

4.店舗で面談

金融機関によっては、書類審査に加えて店舗などで代表者との面談が行われることがあります。
面談では、事業内容や事業をはじめた経緯、主な取引先、今後の事業計画などについて確認される場合があります。
事業内容について質問された際に、定款に書いてあることだけではなく、自社が実際にどのようなサービスを提供しているのか、具体的に説明できるよう準備しておくことが重要です。

なお、すべての金融機関で店舗面談が行われるわけではありません。オンラインで手続きが完了するケースもあるため、申し込み先の流れを事前にチェックしてみてください。

5.審査・口座開設の完了

審査を通過すると、法人口座の開設が完了します。
キャッシュカードやインターネットバンキングの利用開始方法などを確認し、取引先への振込先として口座を利用できるよう準備してください。
ただし、審査にかかる期間や口座開設までの手続きは金融機関によって異なります。事業開始直後から口座を利用したい場合は、余裕を持って申し込むことが大切です。

法人口座開設にかかる期間の目安

法人口座開設にかかる期間は金融機関によって異なるものの、主にメガバンクや地方銀行では2週間~1カ月程度かかります。
申し込んでから時間がかかってしまうのは、法人情報以外に代表者やキャッシュフローの状況なども審査するためです。

ただし、ネット銀行だと1~2週間程度と口座開設にかかる期間がメガバンク・地方銀行より短い場合もあります。中には最短即日で法人口座を開設できる場合もあります。

個人口座を合同会社用として使っても良い?

個人口座を合同会社用として使用するのはおすすめできません。個人口座をそのまま事業用として使っても違法性はなく、使用すること自体は可能です。
しかし、口座の中に個人の出費と法人の出費が混在してしまうため、税務調査の際に「税金逃れをしているかもしれない」と疑われてしまう可能性があります。

また、取引先や顧客に振込先口座を開示した際、合同会社なのに個人口座を指定されると、不審に思われる可能性も考えられます。
こうした理由から、個人口座と合同会社用の口座は分けて使用したほうが良いでしょう。

なお、個人口座を法人口座に変更することはできず、新たに法人口座を開設する必要があります。これは、個人事業主が法人成りで合同会社を設立した場合でも同様です。

合同会社の法人口座についてよくある質問

最後に、合同会社の法人口座についてよくある質問にお答えします。

Q.合同会社でもメガバンクの法人口座は開設できますか?

合同会社でも、みずほ銀行や三井住友銀行、三菱UFJ銀行などのメガバンクで法人口座を開設することは可能です。
法人形態だけで審査に落ちることは基本的にありませんが、事業内容や事業実態、提出書類などを総合的に判断した結果、審査に落ちる可能性はあります。
そのため、事前に会社のホームページや事業計画書などを準備しておくと、事業実態を伝えやすくなります。

Q.資本金が少なくても法人口座は開設できますか?

資本金が少ないことだけを理由に、口座開設を断られるようなことはありません。
ただし、資本金が1円など極端に少ない場合、事業の継続性について慎重に確認されることもあります。
資本金だけでなく、事業内容や取引予定、事業実態なども含めて審査されるため、必要書類をしっかり準備することが大切です。

Q.設立直後でも法人口座を申し込めますか?

合同会社を設立した直後でも、すぐに申し込むことは可能です。
ただし、登記事項証明書や印鑑証明書などの必要書類に加え、ホームページや事業計画書などの資料提出を求められる場合があります。
事前に必要書類を確認しておくと、手続きもスムーズに進められるはずです。

Q.個人口座をそのまま事業用として使っても問題ありませんか?

個人口座を事業用として利用することは可能ですが、プライベートのお金と事業資金が混在し、経理や確定申告の際に煩雑になる原因となります。
また、取引先からの信用面においても、法人口座のほうが安心感を与えられるため、個人口座があっても法人口座の開設をおすすめします。

まとめ・合同会社は必要書類と事業実態を整えて法人口座を開設しよう

合同会社でも法人口座を開設することはできます。
ただし、金融機関によっては審査で慎重に見られるケースもあることから、事業内容や事業実態を明確にできる資料・ホームページ作成などを行っておくことが大切です。
自社に適した金融機関を選定し、必要書類と事業実態を整えた上で口座開設を申し込みましょう。

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(編集:創業手帳編集部)