年末調整を税理士に依頼する費用はいくら?相場や業務内容、メリットなどを紹介

年末調整を税理士に依頼するなら費用と業務範囲を確認しよう

年末調整の費用について税理士と見積書を確認する経営者
年末調整は、毎月の給与から源泉徴収されている所得税と、1年間の給与総額などをもとに計算した本来の所得税額との差額を精算する手続きです。
従業員一人ひとりの扶養状況や保険料控除、住宅ローン控除などを確認する必要があるため、従業員数が増えるほど会社側の事務負担も大きくなります。

そこで選択肢になるのが、税理士への外注です。
税理士に依頼すれば、年末調整の計算だけでなく、源泉徴収票や法定調書合計表などの作成まで対応してもらえる場合があります。
そこで今回は、年末調整を税理士に依頼する場合の費用相場や依頼できる業務内容、費用が高くなる要因や費用を抑えるポイントなどを解説していきます。ぜひ、参考にしてみてください。

年末調整を税理士に依頼する場合の費用相場


年末調整を税理士に依頼する場合、気になる部分といえば費用でしょう。どの程度かかるのか不安になる人も多いかもしれません。
ここでは、年末調整を税理士に依頼する場合の費用相場を解説していきます。

年末調整の税理士費用の内訳

年末調整の税理士費用は、主に「基本料金+従業員数に応じた料金+オプション」という形で設定されることが一般的です。
基本料金には、年末調整全体の管理や必要書類の確認、年税額の計算、源泉徴収票の作成などが含まれるケースがあります。
そこに従業員1人ごとの計算・確認費用が加算される仕組みです。

従業員数に応じた料金が設定されるのは、年末調整では従業員一人ひとりについて扶養親族の状況や保険料控除などを確認する必要があるためです。
人数が多くなれば、それだけ作業量も増えます。
さらに、法定調書合計表や給与支払報告書、支払調書などの作成・提出を依頼する場合は、オプション料金が発生することがあります。
見積もりを比較する時は、単純に「基本料金が安い事務所」を選ぶのではなく、最終的に必要となる業務をすべて含めた総額で比較するようにしてください。

従業員数別の費用目安

年末調整の費用は従業員数によって変わります。以下は、複数の税理士事務所が公表している料金例を参考にした目安です。
実際の料金は、依頼する業務範囲や書類の整理状況、顧問契約の有無などによって異なります。

従業員数 費用の目安 依頼時のポイント
1~5人 2万~4万円程度 自社対応との費用・時間を比較
6~10人 3万~6万円程度 書類確認まで依頼するか確認
11~20人 5万~10万円程度 法定調書などの料金を確認
21~50人 10万円前後~ 人数単価による増加に注意
51~100人 20万円前後~ 給与計算との一括依頼も検討

例えば、従業員10人程度であれば、数万円程度から依頼可能です。
一方、50人、100人と従業員数が増えると、書類の回収・確認だけでも相当な作業量になるため、費用も高くなる傾向があります。

また、同じ従業員数でも、会社側で書類を整理してデータ化している場合と、資料がばらばらになっている場合では、税理士側の作業量が変わります。
見積もりを依頼する際は、従業員数だけでなく、給与計算を誰が行っているか、必要書類の回収状況、クラウド給与ソフトを利用しているかなども伝えると良いでしょう。

年末調整だけ税理士に依頼できる?


年末調整は、税理士との顧問契約がなくても、単発で依頼できる場合があります。
「決算や確定申告は別の税理士に頼んでいる」「普段は自社で経理をしているが、年末調整だけ外注したい」といった会社でも、スポット依頼を検討できます。

スポットで年末調整だけ依頼することも可能

税理士事務所によっては、年末調整だけをスポットで受け付けています。
顧問契約を結ぶ必要がないため、年末の繁忙期だけ専門家の力を借りたい企業にとって使いやすい方法です。

特に、従業員数が少ない会社では、年間を通して税理士に依頼するほどではないものの、年末調整の時期だけ担当者の負担が大きくなることがあります。
このような場合、年末調整に必要な書類を自社で回収し、整理した状態で税理士に渡せば、依頼範囲を限定して費用を抑えられる可能性があります。

ただし、年末調整の時期は税理士事務所にとって繁忙期です。
12月になってから突然依頼すると、そもそも新規のスポット依頼を受け付けてもらえない場合もあります。
早めに問い合わせて、対応可能かどうかを確認しておくことが大切です。

顧問税理士でも別料金になる場合がある

すでに顧問税理士がいる会社でも、年末調整が顧問料に含まれているとは限りません。
税理士事務所によっては、毎月の顧問料とは別に「年末調整料」として請求する場合があります。
また、従業員数に応じて追加料金が発生したり、法定調書合計表や給与支払報告書の作成をオプションとして扱ったりすることもあります。

そのため、顧問契約を結んでいる会社は、まず契約書や料金表を確認してください。
「年末調整は顧問料に含まれていますか」「従業員が増えた場合は追加料金がありますか」「給与支払報告書まで対応してもらえますか」といった点を事前に確認しておくと安心です。
顧問税理士がいる場合は、年末調整だけ別の事務所に依頼するよりも、現在の税理士にまとめて相談したほうが情報共有しやすいケースもあります。

税理士に年末調整を依頼した場合


税理士に年末調整を依頼する場合、年末調整の計算だけでなく、源泉徴収票や法定調書合計表、給与支払報告書などの作成・提出まで依頼できる場合があります。
ただし、どこまでが基本料金に含まれるかは税理士事務所によって異なります。主な業務と料金上の扱いの目安は、以下のとおりです。

業務内容 一般的な料金上の扱い 追加料金のポイント
必要書類の確認・年末調整の計算 基本料金に含まれることが多い 従業員数に応じて料金が加算されることがある
源泉徴収票の作成 基本料金に含まれることが多い 発行人数などによって追加料金が発生する場合がある
法定調書合計表の作成・提出 オプションの場合がある 作成・提出を別料金としている税理士事務所もある
給与支払報告書の作成・提出 オプションの場合がある 従業員数や提出先の市区町村数などによって料金が加算される場合がある

特に、法定調書合計表や給与支払報告書の作成・提出は、年末調整とは別のオプション料金が設定されていることがあります。
見積もりを比較するときは、金額だけでなく「どの業務まで含まれているか」も確認することが重要です。

必要書類の収集や確認

年末調整では、従業員から必要な申告書や控除証明書などを回収し、記載内容に不備がないかを確認します。
自社で年末調整を行う場合、この「書類を集めて確認する」という作業だけでも担当者の負担になります。
提出漏れや記入ミスがあれば従業員へ確認し、再提出してもらわなければなりません。

税理士に依頼する場合は、必要書類をまとめて渡し、内容の確認を依頼できる場合があります。
ただし、従業員への提出依頼や書類回収まで税理士が行うのかは事務所によって異なります。
会社側があらかじめ従業員へ案内し、期限までに書類を回収しておくことで、税理士側の作業をスムーズに進めることが可能です。

源泉徴収票の作成

年末調整後には、従業員ごとに源泉徴収票を作成します。
源泉徴収票には、その年に支払った給与の金額や源泉徴収税額、各種控除など、所得税の計算に関係する情報が記載されます。
従業員が転職したり、確定申告を行ったりする際にも必要となる重要な書類です。

税理士に年末調整を依頼する場合、源泉徴収票の作成まで基本料金に含まれるケースが多いものの、人数によって追加料金が発生する場合があります。
見積もり時には、「年末調整の計算だけなのか」「源泉徴収票の作成まで含まれているのか」を明確にしておいてください。

法定調書合計表の作成

法定調書合計表は、税務署へ提出する法定調書を集計するための書類です。
年末調整の時期には、給与に関する源泉徴収票などの法定調書とあわせて提出するケースがあるため、年末調整と関連性の高い業務のひとつです。

税理士に依頼すれば、法定調書合計表の作成・提出までまとめて任せられる場合があります。
ただし、年末調整の基本料金とは別にオプション料金が設定されていることもあります。
依頼前には「法定調書合計表の作成・提出まで含まれるか」を確認することが大切です。

給与支払報告書の作成

給与支払報告書は、従業員の給与に関する情報を市区町村へ報告するための書類です。
年末調整に関連して作成する書類ですが、税務署へ提出する書類とは提出先が異なります。
そのため、税理士へ依頼する時には、給与支払報告書の作成・提出も対応範囲に含まれるかの確認が必要です。

特に従業員が複数の市区町村に住んでいる会社では、提出先が分かれるため、会社側の事務負担も大きくなります。
年末調整の計算、源泉徴収票、法定調書合計表、給与支払報告書まで一括して依頼できれば、担当者が個別に処理する業務を減らせます。

年末調整の税理士費用が高くなる要因


年末調整の費用は、単純に従業員数だけで決まるわけではありません。
依頼する業務の範囲や資料の状態、依頼時期などによって料金が変わる場合があります。
特に見積もり金額が高くなりやすいポイントをあらかじめ把握しておけば、不要な追加費用を抑えやすくなります。

対象となる従業員数が多い

最もわかりやすい要因は従業員数です。
年末調整では従業員一人ひとりについて給与額や扶養状況、保険料控除などを確認するため、人数が増えれば作業量も増加します。
そのため、基本料金に加えて「1人あたり○円」という従量制を採用している税理士事務所が多くあります。

パートやアルバイトを含めて対象者が多い場合には、誰を年末調整の対象とするのかを整理してから見積もりを依頼することが大切です。

給与計算から依頼する

年末調整だけでなく、毎月の給与計算も税理士に依頼すると、その分の費用が加わります。
一方で、給与計算から年末調整まで同じ事務所にまとめて依頼することで、給与データをそのまま年末調整に利用できるというメリットがあります。

年末調整だけを単発で依頼するか、給与計算も含めて継続的に外注するかは、費用だけでなく社内の担当者の負担も考慮して判断してください。

資料の整理や確認に手間がかかる

従業員から回収した資料が整理されていなかったり、記入漏れが多かったりすると、税理士側の確認作業が増えます。
例えば、控除証明書が不足している、扶養親族の情報が確認できない、前職の源泉徴収票が提出されていないといったケースでは、追加確認が必要です。

会社側で書類の回収・整理をきちんと行い、税理士へ渡すデータを整えておけば、作業時間を減らせる可能性があります。

年末間際に依頼する

年末調整は11月から12月に業務が集中するため、年末間際の依頼は税理士事務所にとっても負担が大きいです。
急ぎの案件として扱われることで、通常料金とは別に特急料金が発生する場合もあります。
また、繁忙期には新規のスポット依頼そのものを受け付けていない事務所もあります。

費用面だけでなく、希望する税理士に依頼できなくなるリスクを考えても、早めの相談がおすすめです。

費用を抑えるポイント


税理士への外注費を抑えるには、すべての業務を丸投げするのではなく、自社で対応できる部分と専門家に任せる部分を分けることがポイントです。
また、早い段階から準備を進めることで、急ぎの対応による追加料金を避けられる可能性があります。

自社で対応可能な業務を処理してから依頼する

税理士に依頼する前に、会社側でできる作業を済ませておくと、費用を抑えられる可能性があります。
例えば、従業員への書類提出依頼、書類の回収、提出状況の確認、給与データの整理などです。
これらを会社側で行い、必要な資料をまとめた状態で税理士に渡せば、税理士側の確認・整理作業を減らせます。

ただし、単純に作業を自社へ戻せば良いというわけではありません。担当者が対応するための時間や人件費も発生します。

「税理士へ支払う費用」と「社内担当者が対応する時間」を比較し、費用対効果を考えることが重要です。
特に従業員数が多い会社では、多少費用をかけても専門家にまとめて任せたほうが、担当者の負担を大幅に減らせる場合があります。

スケジュールには余裕をもって依頼する

年末調整を依頼するなら、できるだけ早く税理士へ相談してください。
年末調整の時期は税理士事務所にとって繁忙期なので、依頼が遅くなるほど選択肢が少なくなります。
急ぎの案件として対応してもらう場合、追加料金が発生する可能性もあります。
10月~11月ごろには税理士への相談を始め、必要な書類やデータを確認しておくと安心です。

また、従業員への案内も早めに行い、提出期限を社内で設定しておいてください。書類が期限までに集まらなければ、税理士へ依頼する場合でも作業が進みません。
早めに準備することは、費用を抑えるだけでなく、年末調整をスムーズに終えるためにも重要です。

顧問契約を検討する

毎年の年末調整だけでなく、記帳や給与計算、確定申告・決算などの税務業務にも負担を感じているのであれば、顧問契約を検討してください。
顧問契約を結んでいる場合、年末調整が顧問料に含まれていたり、スポットで依頼するよりも料金が抑えられたりするかもしれません。
また、日頃から会社の経理状況を税理士に把握してもらえるため、年末になってから資料を一から説明する必要がなくなるというメリットもあります。

一方で、年末調整だけを目的として顧問契約を結ぶと、かえって割高になる可能性もあります。
決算や記帳、税務相談など、年間を通してどのようなサポートが必要なのかを整理してから判断してください。

年末調整を税理士に依頼するメリット


年末調整を税理士へ依頼する最大のメリットは、社内担当者の負担を減らしながら、専門的な知識が必要な業務を任せられることです。
特に従業員数が増えた会社や、年末調整を担当できる人材が社内に少ない会社では、外注による効果が大きくなります。

担当者の負担が軽減する

年末調整では、従業員への案内、書類回収、内容確認、計算、源泉徴収票の作成など、多くの作業が発生します。
普段から経理や総務を担当している従業員がこれらをすべて行うと、年末の業務負担が集中してしまいます。

税理士に依頼すれば、専門的な計算や書類作成などを任せられるため、社内担当者は本来の業務に集中しやすいです。
また、年末調整の時期だけ残業が増えるといった問題の解消にもつながります。

法令に遵守した正確な計算、書類の作成ができる

年末調整では、所得税に関するルールを正しく理解した上で計算する必要があります。
税制や控除の仕組みは変更されることもあるため、毎年同じ方法で処理すれば良いとは限りません。

税理士は税務を専門とするため、年末調整に必要な計算や税務書類の作成について専門的な知識を持っています。
国税庁も、税務代理・税務書類の作成・税務相談を税理士業務として位置づけています。
専門家に依頼することで、計算や書類作成におけるミスを防ぎやすくなり、担当者が税務上の判断に悩む場面も減らすことが可能です。

年末調整以外の税務相談もできる

税理士との顧問契約を結ぶ場合、年末調整だけでなく、日常的な税務相談を行えることもメリットです。
例えば、経費として計上できるかどうか、設備投資をどのように処理するか、法人税や消費税に関する疑問など、会社経営では様々な税務上の判断が必要になります。

年末調整をきっかけに税理士との関係を構築し、必要に応じて税務相談や決算・申告なども依頼することで、会社の税務業務を一元化できる場合があります。
ただし、顧問契約の料金やサービス内容は事務所によって異なるため、自社に必要なサービスが含まれているかを確認することが重要です。

年末調整を税理士に依頼する際のよくある質問


年末調整を税理士に依頼する場合によくある疑問と、その回答を紹介していきます。

年末調整は社労士にも依頼できる?

社労士と税理士では、法律上の専門領域が異なります。
給与計算や社会保険手続きなどは社労士が得意とする分野ですが、税務代理、税務書類の作成、税務相談については税理士の専門領域です。

特に法定調書など、税務署へ提出する税務書類の作成を外部へ依頼する場合は、税理士に相談するのが基本です。
実際に国税庁も、税務代理・税務書類の作成・税務相談を税理士業務として説明しています。
そのため、給与計算や社会保険手続きは社労士、年末調整などの税務業務は税理士というように、業務内容に応じて依頼先を使い分けるのがポイントです。

従業員が少なくても税理士に依頼したほうがいい?

従業員が少ない会社の場合、年末調整を自社で行うことも十分可能です。ただし、「従業員が少ない=外注する必要がない」とは限りません。
社内に税務に詳しい担当者がいない場合や、経営者自身が年末調整を担当している場合には、数人分であっても大きな負担になることがあります。

判断する時は、税理士への依頼費用だけでなく、自社で対応する場合に必要となる時間や人件費も考慮してください。
年末調整以外の税務相談や記帳、決算なども必要なら、顧問契約を含めて検討するのもひとつの方法です。

まとめ・税理士選びでは費用の目安や依頼できる業務内容を確認することが大切

年末調整を税理士に依頼する場合、費用は「基本料金+従業員数に応じた料金+オプション料金」という形で決まることが一般的です。
基本料金だけで判断するのではなく、源泉徴収票や法定調書合計表、給与支払報告書など、どこまでの業務が含まれているのかを確認することが重要です。
また、年末調整だけをスポットで依頼できる税理士事務所もあります。
顧問税理士がいる場合でも、年末調整が別料金となるケースがあるため、事前に契約内容を確認してください。

創業手帳(冊子版)では、年末調整に関する様々な情報を紹介しています。業務負担を軽減する方法なども解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。

(編集:創業手帳編集部)