起業家・経営者は生成AIをどう使っている?200人への独自調査で判明

77%が業務で利用!人気ツールや費用、実感した効果とは

生成AIは、起業家や経営者の仕事をどこまで変えているのでしょうか。活用が広がる一方で、「実際に使っている人はどのくらい?」「選ばれているツールは?」「どのような効果や課題がある?」といった実態は、意外と見えにくいものです。そこで創業手帳が起業家・経営者にアンケートを実施したところ、200人から回答が寄せられました。本記事では、生成AIの利用頻度や費用、活用業務、成果、課題など、リアルな活用状況を紹介します。

起業家・経営者の77%が生成AIを業務で利用

創業手帳が実施した生成AI活用状況アンケートによると、回答者200人のうち154人(77.0%)が生成AIを業務で「日常的」または「たまに」利用していると回答しました。
起業家・経営者の約4人に3人がすでに生成AIを業務に導入している状況です。

利用頻度の内訳は以下のとおりです。

日常的に利用している 39.5%(79人)
たまに利用している 37.5%(75人)
使ったことがない 22.0%(44人)
過去に使ったがやめた 1.0%(2人)

利用者の内訳は「日常的」と「たまに」がほぼ同数で、同じ利用者層の中でも頻度に違いが見られます。

また、会社の設立時期別の利用率は、以下のような結果となりました。

設立前 70.8%
設立後1年以内 88.5%
設立後1~3年 87.5%
設立後3年以上 77.0%

各層のサンプル数が限られるため、設立年数による差異の断定はできないものの、いずれの時期も7割以上の会社が業務で利用しています。

では、実際に利用している層はどのようなツールを選び、どの程度の費用を投じているのでしょうか。次章より、具体的な利用ツールと月額コストの実態を見ていきます。

業務で使われている生成AIは?ChatGPT・Geminiが7割超


業務で使われている生成AIを尋ねたところ、ChatGPTが74.3%、Geminiは70.4%と、上位2つが7割を超えました。ひとつの生成AIのみを使うのではなく、ChatGPTとGeminiともに主要ツールとして利用されている状況です。

生成AIツール 利用率(※複数回答)
ChatGPT(OpenAI) 74.3%
Gemini(Google) 70.4%
Claude(Anthropic) 25.0%
Copilot(Microsoft) 24.3%
Perplexity(Perplexity AI, Inc.) 6.6%

また、回答の合計が100%を大きく上回ることから、ひとつに絞らず複数を用途ごとに使い分けている利用者も一定数いると考えられます。

なお、ChatGPT・Gemini・Claude・Copilotは、いずれも文章作成や要約、調べ物などに使えるツールです。

得意分野や料金体系はツールごとに異なるため、自社の用途に合わせて選びましょう。

生成AIに毎月いくらかけている?約半数が有料で利用


生成AIへの月額支出を尋ねたところ「無料のみ」は48.4%にとどまり、有料は51.6%でした。

月額支出 割合
無料のみ 48.4%
月3,000円未満 19.6%
月3,000円以上~1万円未満 28.1%
月1万円以上~3万円未満 3.9%

利用者の約半数が有料で利用している傾向にあることから、生成AIが「無料で試すもの」から「費用を払ってでも使う実務ツール」へと位置づけを変えつつあることが考えられます。

日常的にAIを使う人ほど有料利用率が高い

有料利用の割合を利用頻度別にクロス集計すると「日常的に利用している人」は、68.4%「たまに利用している人」は、33.8%でした。日常的にAIを使う人ほど、有料プランを選択する傾向です。

利用頻度 有料利用率
日常的に利用している 68.4%
たまに利用している 33.8%

この結果から、業務での使用頻度が高まるほど無料プランの制限に達しやすいため、処理量や機能を確保する目的で有料プランを利用していると考えられます。

約3割が「AIをきっかけに商品購入・サービス契約」を経験

生成AIの利用者にAIツールを使用して、製品の購入やサービスの契約をした経験があるかを尋ねたところ、回答があった146人のうち、約3割にあたる30.8%(45人)が「ある」と回答しました。

生成AIは、文章作成や情報収集といった用途にとどまらず、製品やサービスの比較検討から購入の判断にまで関わり始めている傾向にあります。

法人では44.6%が購入・契約につながった経験あり

購入・契約につながった経験を法人と個人に分けて見ると、法人では44.6%、個人では23.3%でした。法人の割合は個人の約2倍にあたり、利用者の4割以上がAIをきっかけとした購買に至っています。

法人で割合が高い背景には、取引先の選定や業務ツールの比較など、導入を検討する際に情報収集と精査をおこなう機会が多いことが考えられます。

経営者の立場からは「自社がAIをどう使うか」という視点に加え、顧客がChatGPTやGeminiで商品やサービスを探す場面を想定した情報発信の重要性も高まっているといえるでしょう。

ただし今回のアンケートだけで、AIを使った検索や購買行動の全体像を断定できるわけではありません。

生成AIをどんな業務に使っている?1位は「アイデア出し・壁打ち」

AI利用者にどの業務で使っているかを複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「新規事業のアイデア出し・壁打ち」で73.0%でした。アイデア出し・壁打ちが最多だったのは、相談相手が社内に少なくなりがちな起業家・経営者ならではの結果といえるでしょう。

このほかの生成AIの活用方法は、以下のとおりです。

活用している業務 利用率(※複数回答)
新規事業のアイデア出し・壁打ち 73.0%
市場調査・競合分析・トレンド収集 55.3%
営業メール・議事録・要約など 43.3%
事業計画書・プレゼン資料の作成 41.8%
Web記事・SNS・メルマガなど 40.4%
ロゴ・イラスト・バナー・動画作成 31.9%
契約書のリーガルチェック・法務相談補助 19.1%
スケジュール・タスク整理 17.7%
請求書処理・経理・会計入力補助 9.2%
採用活動 5.7%

アイデア出しに続いて、市場調査や競合分析、営業メールや議事録の作成などが並び、考える・調べる・整理する・資料にするという一連の工程で幅広く使われています。

一方、契約書のリーガルチェックや経理・会計入力の補助、採用活動は2割を下回りました。高い正確性や専門性が求められる業務では、人力でおこなっていることが多いと考えられます。

生成AIで得られた効果は?約8割が「業務時間の削減」を実感

生成AIで得られた効果を複数回答で尋ねたところ、最も多かったのは「業務時間の削減」で77.8%、約8割にのぼりました。

次いで「スキル補完・内製化」が60.7%で約6割を占め、時間とスキルの不足を補う効果を多くの利用者が実感している状況です。

得られた効果 割合(※複数回答)
業務時間の削減 77.8%
スキル補完・内製化 60.7%
外注費・人件費の削減 25.2%
事業成長・売上貢献 22.2%

一方で「外注費・人件費の削減」や「事業成長・売上貢献」は2割台にとどまっています。

売上を押し上げる効果よりも、人手や予算が限られる少人数の事業者の「時間・人手・スキル」の不足を補う手段として機能している可能性が高いといえるでしょう。

日常的に使う人ほど「コスト削減」「売上貢献」を実感

効果を利用頻度別にクロス集計すると「スキル補完・内製化」「外注費・人件費の削減」「事業成長・売上貢献」のいずれも、日常利用者の割合が高くなっていました。

得られた効果 日常利用 たまに利用
業務時間の削減 78.1% 77.4%
スキル補完・内製化 69.9% 50.0%
外注費・人件費の削減 32.9% 16.1%
事業成長・売上貢献 30.1% 12.9%

ただし、すべての効果で同じように差がついたわけではありません。

「業務時間の削減」は、使い始めてすぐに実感できるためか「日常利用」と「たまに利用」でほぼ同じ水準です。

AIを時々使う段階でも時間削減は実感しやすい一方、日常的に業務へ組み込んでいる層では、スキル補完やコスト削減、売上貢献など、より幅広い成果を感じている傾向が見受けられます。

生成AI活用の課題は?半数以上が「回答精度・プロンプト」に苦戦

成果が広がる一方、課題として最も多かったのは「期待通りの精度・回答が得られない(プロンプト作成の難しさ)」で、54.6%でした。半数以上が、AIから望む回答を引き出すこと自体に苦労している状況です。

これは、AIの性能自体より、使い手の指示の出し方が成果を左右していることを示しています。

活用の課題 割合(※複数回答)
期待通りの精度・回答が得られない(プロンプト作成の難しさ) 54.6%
機密情報・セキュリティへの懸念 42.0%
どの業務にAIを活用すべきかわからない 25.2%
費用がかさむ 16.0%
社員・チームへの定着、教育が難しい 6.7%

「機密情報・セキュリティへの懸念」も42.0%で、4割を超えました。業務で使う際は、便利さだけでなく、入力する情報の管理も欠かせません。

利用頻度によってAIに対する悩みも変化

課題を利用頻度別にクロス集計すると、悩みの中心が利用段階によって入れ替わっていました。

「たまに利用」する層では回答精度・プロンプト作成が70.4%と突出する一方、日常利用者ではセキュリティや費用への懸念が相対的に高くなっています。

活用の課題 日常利用 たまに利用
回答精度 41.5% 70.4%
セキュリティ 47.7% 35.2%
どの業務に使うかわからない 23.1% 27.8%
費用 21.5% 9.3%

背景には、AIを使いこなす段階の違いがあると考えられるでしょう。使い始めの時期は「どう指示すれば望む回答を得られるか」が中心でも、業務に定着すると関心は「安全性やコストをどう管理するか」へと移っていきます。

利用が進むほど課題がなくなるのではなく、向き合うテーマそのものが変わっていくと考えられます。

生成AIは「使うかどうか」から「どう使いこなすか」へ

今回のアンケート全体を通じて見えてくるのは、生成AIがすでに「使うかどうかを問う段階を越えつつある」という変化です。

業務で利用する人は77.0%に達し、約半数が有料で使うなど、導入自体は珍しいことではなくなりました。多くの利用者が時間削減(77.8%)やスキル補完(60.7%)を効果として挙げ、人手や予算が限られる事業者ほど、足りない部分を補う手段としてAIが根づいています。

ただし、実感する成果の幅は利用者によって差がありました。日常的に業務へ組み込んでいる層ほど、時間削減だけでなくコスト削減や売上への貢献まで挙げる傾向があります。

課題の中心も、使い始めの「プロンプト」から定着後の「セキュリティ・コスト」へと移っています。

このような結果から、次に問われるのは「導入するかどうか」よりも、「自社のどの業務に、どう組み込むか」だといえます。

とくに人手や予算、専門スキルが限られやすい創業期・小規模事業者にとっては、生成AIをどう使いこなすかが業務効率化や内製化を左右するテーマになってきました。

今後は、この問いにどう向き合うかを考える事業者が、さらに増えていくでしょう。

【調査概要】

調査対象:創業手帳の会員(起業準備中の方、個人事業主、法人経営者など)

調査期間:2026年9月1日~9月30日

調査主体:創業手帳株式会社(自社調査)

調査方法:インターネットによるアンケート調査(任意回答)

有効回答数:200人

(編集:創業手帳編集部)