AIスロップとは?企業がAI生成コンテンツを大量公開するリスクと対策

AIスロップで企業の信頼低下につながるリスクがある

AIスロップによる低品質コンテンツの大量公開リスクと対策
インターネットで検索した時、検索結果や内容に違和感を覚えたり満足する検索内容ではなかったりした経験を持つ人が増えています。
近年、AIが発展していき使用される場面が増えたことによって、生成AIが大量に作成された品質の低いコンテンツが目立つようになってきました。
これをAIスロップと呼びますが、きちんと学んでいない状態で使ってしまうと企業としての信頼を落としてしまう可能性があります。

そこで、この記事ではAIスロップが何かに加えて、リスクになり得る理由や正しい理解と使い方について解説します。

この記事の目次

AIスロップとは?

AIスロップとは、どのような意味を持つ言葉なのでしょうか。
これはネット上で作られた造語であり、AIによって作成された自動生成コンテンツや価値が感じにくい低品質コンテンツに対して使われています。

英語で「Slop」は家畜に与える残りご飯、泥水、粗末なものといった意味を持つ言葉であり、このマイナスな言葉とAIを組み合わせて「AIスロップ」と呼んでいます。
今までインターネット上で公開されてきた記事は、読者にとっての価値を考えたり、満足度が得られるように内容を充実させたりすることを考えて作られていました。

しかし、現在は読者が満足度や価値を感じることよりも、クリック数や広告収入を得ることだけを考えたコンテンツが蔓延している状態です。
コンテンツの質よりも量を満たすことが優先されるようになったことで、AIスロップという言葉が誕生したという経緯があります。

AIスロップとハルシネーション・スパムの違い

AIスロップと似ている言葉として、ハルシネーションやスパムというものがあります。
ハルシネーションは、AIが事実とは全く無関係や事実ではない情報を正解かのように生成している現象です。
もっともらしい嘘をいかにも真実かのように答えることから、英語で幻覚や幻影を意味する「hallucination(ハルシネーション)」に由来しています。

一方のスパムは、検索順位などを不正に操作する目的で作成されたコンテンツです。
ランキングの上位を目指すことが目的であり、低品質で無関係なジャンルのサイトでキーワードが不自然に集まっている傾向となっています。
スパムは、検索順位やペナルティなどの面でSEOにダメージを与えることが多いです。
AIスロップと似ていると思われているかもしれませんが、根本は全く異なるものとなります。

AIスロップに該当しやすいコンテンツの例・特徴

AIスロップに見られる根拠不足・独自性不足・大量生成の3つの特徴
どのようなコンテンツがAIスロップに該当しやすい傾向なのか紹介します。以下の傾向がある場合は、AIスロップと判断しやすいので参考にしてください。

根拠や出典がなく誤情報を含んでいる

生成AIは、学習データを中心に文章や内容などを作成していきます。そのため、自分自身の体験したことや情報源に関する出典がないことも特徴です。
生成AIで作成したコンテンツは、人間が間に入って文章や内容をチェックすることはないものの、文法やレイアウトなどの形式は整っていることが多いです。

しかし、実際に読み進めていくと文脈や理解の無い内容になっていたり、独自性を感じないものに仕上がっていたりします。
言い方を変えれば、「よくある、どこかで見た文章や内容」ということです。
さらに文章内には根拠を示すものがないので「専門家は○○と言っています。」や「ある研究者からは~」などと記載されていても専門家や研究者についての詳細は記載されておらず、曖昧な表現が多くなりやすいです。
このような内容のコンテンツは、AIスロップである可能性が高まります。

独自性・データが乏しく一般論である

生成AIが作成した文章は、データに乏しい一般論になりやすい傾向です。
構成が整いすぎていたり、完全にテンプレートと分かりやすい内容や文章になっていたりするケースもあります。
喜びや感動など、感情に関係する文章がないうえに独自性にも欠けているため、冷静な内容で書かれている場合も多い傾向です。

文章・画像・動画が似た形式で大量生成されている

文章・画像・動画が似た形式で大量生成されている場合、AIスロップに多い傾向なので注意してください。
人間の手を使うことなく自動でAIが生成している内容なので、量産型と呼ばれるような内容などに仕上がっています。
まさに「どこかで見かけた内容」「よくある文章」と感じやすいため、このような感想を抱いた場合はAIスロップに該当する可能性があります。

企業にとってAIスロップがリスクになり得る理由

AIスロップが企業にもたらすSEO評価・誤情報・信頼・著作権のリスク
企業にとってAIスロップがリスクになる可能性があります。理由は以下のとおりです。

検索順位・SEOに悪影響を与える可能性がある

生成AIについて深く理解しないまま使ってしまうと、検索順位やSEOへ悪影響を与える可能性があります。
コスト削減を考えて生成AI任せにしたことで効率化を高めることはできますが、付加価値の低いコンテンツはスパムと判定される可能性が高く、検索順位の大幅な低下やSEOへ影響を及ぼすので注意しなくてはなりません。

特にAIで大量生成された同じような構成・言い回しのコンテンツは、検索エンジンから重複・低品質なコンテンツと判断されやすく、インデックス削除や評価の低下につながる恐れがあります。

誤情報や古い情報を発信するリスクがある

生成AIによって大量に生成されたコンテンツは不自然な内容になりやすく、ハルシネーションを含んでいる可能性も高くなります。

AIを信頼しすぎたり、頼りすぎたりした結果、事実に基づかない誤情報や古い情報を発信するリスクが高まります。
ハルシネーションはビジネスにおいて大きなリスクになり、AIスロップと認定されてしまえば今までの信用を一気に失うかもしれません。

企業やブランドへの信頼を損なう可能性がある

生成AIが発展し、利用の幅が広がっていくことでAIスロップについても様々な場面で出てきます。
企業の記事やブログでは、検索からの流入を考えて似た内容のコンテンツを大量に作成したり、商品を利用したことがないのに利用したかのようなレビューやブログ、口コミを作成したりした場合、企業やブランドに対しての信頼を一気に失う可能性が高いです。

便利なAIであってもAIスロップとなれば、単なる企業の評価を落とすものとなってしまいます。

著作権・肖像権などの問題につながる可能性がある

生成AIを業務に取り入れることは問題ありませんが、学習したAIが生成した内容が著作権や肖像権などの問題に触れる可能性があることを知っておく必要があります。

著作権法では、人の思想や感情を創作的に表現したものは「著作物」として保護され、その著作権は創作した人(著作者)に帰属します。
写真、絵などの芸術的作品に限らず、文章や音楽、プログラムなどビジネスで日頃扱うものでも著作権に該当することが多いです。
特にAIでは、これらの権利が問題になることも多いので慎重に考えなくてはなりません。

生成AIを使うこと自体が問題なのか?

生成AIは簡単に取り入れやすい反面、気を付けたい部分もありますが、そもそも企業が取り入れること自体が問題になるのか気になるところです。
ここでは、生成AIに対する意識について解説します。

AIを使っただけでAIスロップになるわけではない

そもそも、生成AIで作成したコンテンツ全てがAIスロップに認識される訳ではありません。
生成AIが問題視されているのは、作成した内容の事実確認を怠ったり加筆することなくそのまま使用したりすることで、価値の低いコンテンツを大量に作成して公開することです。

検索エンジンのGoogleでも生成AIの使用を禁止していることはありません。
ユーザーに対して付加価値を与えることなく、大量のページを生成する行為がスパムポリシー違反に該当する可能性を含んでいるだけなので、AI使用=AIスロップと認定されることではないのです。
いかに価値、正確性、独自性があるかどうかが重要になると覚えておいてください。

AIを補助ツールとして使い人が価値を加えることが重要

生成AIを中心に文章やコンテンツを作り、そのまま発信するなどの使い方ではなく、人間が行う作業において補助やサポートという立ち位置でAIを使うことが大切です。
特に文章作成などでは、人とAIの行う業務を別々に考える必要があります。

用途 AIが行う業務 人が行う業務
SNS投稿 ・投稿文案
・表現などの作成
・正確さ
・独自性
・ブランドとの整合性
SEO記事 ・構成案
・下書き
・検索意図
・事実確認
・独自性
メール ・文面の下書き ・宛先確認
・事実確認
・機密情報の扱い
営業資料 ・情報の整理
・文章の要約
・表現
・数値
・顧客情報

上記のように、AIで出力された内容をそのまま使うのではなく、内容や目的に応じて確認や修正を行い、最終的には人間の判断と品質管理が必要です。

検索・SNSプラットフォームでも低品質コンテンツへの対策が進んでいる

現在、検索エンジンのGoogleやX、FacebookなどSNSコンテンツを扱う各社は、「AIスロップ」という名称で規制は行っていません。
しかし、低品質・スパム・反復的なコンテンツに対する対策は確実に進んでいます。
ここでは、各コンテンツの対策について解説します。

Google検索におけるAI生成コンテンツの扱い

Googleは生成AIの利用自体を禁止していませんが、ユーザーに価値を与えず大量にページを生成する行為は「大量生成されたコンテンツの不正使用」としてスパムポリシー違反になり得るとしています。
またAIでコンテンツを作成した場合は、正確性・品質・関連性を優先することに加え、どのように作成されたかという背景情報を読者に示すことも推奨されています。

YouTube・SNSにおける大量生成コンテンツの扱い

YouTubeでは、コンテンツの規制、収益化の規制、広告出稿の規制を設けています。
合成コンテンツに対してはクリエイター側からのラベル表示の義務を徹底したことで、いかにも専門家が話しているようなニセ動画などで未申告の場合はペナルティの対象になります。
収益化についても審査基準を設けて独自性のないAIなどは収益化はく奪の措置が取られるのです。

特に社会問題、政治、選挙などに関連する広告では、明確な開示義務が取られていて、発覚した場合は即座に停止されます。
YouTube以外にもInstagramやFacebookでも社会問題、政治、選挙などに関連した内容は厳しく扱われていますが、さらにXではAIの自動ツールとなるボットなども規制の対象です。

企業がAIスロップを生み出さないための対策

AIスロップを防ぐための事実確認から人による編集・承認までの公開前フロー
企業がAIを取り入れたコンテンツを作成する際に、意識したい対策を解説します。

AIの利用目的と品質基準を決める

企業がAIを取り入れる際には、利用目的と品質基準を決めることが大切です。
単純に「バズりたい」などの理由で取り入れると、企業としての品質や価値を落としかねません。
AIスロップにならないための品質維持、基準の設定など一定のルールを設ける必要があります。

事実確認・一次情報のチェックを怠らない

生成AIで作成したコンテンツでは、必ず内容の事実確認に加えて一次情報のチェックが重要です。
多くの情報から成り立つ生成AIだから最新情報が反映されていると安易に考えず、必ず事実かどうかを一次情報からチェックしなくてはなりません。

自社独自の経験・データを加える

生成AIで生み出した内容や文章では独自の視点や経験、データなどの情報がなく、一般的な当たり障りのない内容になりがちです。
コンテンツの差別化という意味でも、自社独自の経験やデータを加えることが大切です。

人による編集・承認を経てから公開する

生成AIがどんなに優れていても、必ず人による編集や承認を経てからの公開が適しています。
正確性、関連性、説得力、差別化などの意味でも、人によるチェックがなくてはAIスロップと認識される可能性があるので注意してください。

AIスロップに関するよくある質問

ここからは、AIスロップに関するよくある質問をまとめてみました。

AIを使ってSEO記事を作成しても問題ない?

AIを使ってSEO記事を書くことは全く問題ありません。
ただし、作った記事をそのまま投稿するのではなく、必ず人間がチェックしてから投稿する方法が適しています。
AIに任せきりではなく、情報の信頼性を維持するためにも最終的には人の目で確認が必要です。

AIスロップかどうかを見極めるには?

AIスロップかどうかの見極めで使われる方法は、具体性の欠如、ぼかし表現の有無、結論を避ける、AI特有の言い回し、段落の均一性などです。
これらに加えて、実体験の有無などをチェックして不自然さを感じればAIスロップの可能性が高いです。

公開済みのコンテンツがAIスロップだった場合はどうする?

AIスロップを作成して公開しても違法になることはありません。
しかし、虚偽の内容や情報が含まれていたり著作権侵害に該当したりする場合は、法的な問題に発展する可能性が高いです。
AIはサポートする側であることを意識し、公開済みのコンテンツをチェックして再投稿もしくは再作成します。
必ず、人間が最終的なチェックを行ってから投稿することを含めた基準を設けることが重要です。

まとめ・生成AIは「大量生産」より業務効率化に活用しよう

勘違いしないで欲しいのは、生成AIを使うことではありません。
実際の問題は生成したコンテンツの質なので、AIを活用しながら独自の意見や視点、また一次情報を含んだ品質の良いコンテンツに仕上げることです。
ついAIに任せてしまいがちですが、そのままにしておくのではなく業務効率を目的とした活用を意識することが重要です。

創業手帳(冊子版)では、生成AIを含めた業務効率に役立つ様々な情報を発信しています。事業運営に役立つ内容となっているので、ぜひ参考にしてみてください。

(編集:創業手帳編集部)