情報漏洩対策サービスとは?種類や導入のメリット、選び方を解説

リスクを防ぐためのサービス活用を検討しよう

顧客情報や機密データを端末・クラウドから守る情報漏洩対策サービス
企業が保有する顧客情報や従業員情報、営業資料などの重要なデータは、サイバー攻撃や誤操作、端末の紛失など、様々な原因で外部に流出する可能性があります。
情報漏洩が発生すると、顧客や取引先からの信頼を失うだけでなく、損害賠償や業務停止などにつながる恐れもあるため、事前の対策が重要です。
そこで活用したいのが、リスクを抑える「情報漏洩対策サービス」になります。自社の課題に合ったサービスを選ぶことで、情報漏洩対策を効率的に進められるでしょう。

本記事では、情報漏洩対策サービスの概要や種類、導入するメリットを解説します。
さらに、自社に適したサービスを選ぶ際のポイントも紹介しているので、情報漏洩対策サービスの導入を検討している人はぜひ参考にしてください。

情報漏洩対策サービスとは

マルウェアや不正アクセスなどの外部要因と誤送信や端末紛失などの内部要因
情報漏洩対策サービスとは、企業の顧客情報や機密データなどが外部に流出することを防ぎ、情報の安全性を確保するためのサービスです。
クラウド利用の拡大やテレワークの普及などにともない、情報漏洩のリスクも高まっていることから対策サービスを利用するケースが増えています。

そもそも情報漏洩とは

情報漏洩は法的に定義されたものではないものの、一般的には組織や個人が内部に留めておきたい情報が外部へ流出したり、第三者が不正に取得したりすることを指します。
特に情報漏洩の対象となるデータで重要なのが、個人情報と営業秘密です。

個人情報は、生存する個人に関わる情報で、特定の個人を識別できたり、個人識別符号が含まれていたりするものです。
例えば、マイナンバーや指紋などの個人情報の漏洩は、個人情報保護法でも厳格に規制されています。
営業秘密は不正競争防止法によって保護されている企業情報であり、社内で秘密に管理されており、会社にとって有用性が高く、公然と知られていない情報を指します。

情報漏洩が発生する要因

情報漏洩が発生する要因は、主に外部要因と内部要因の2つに分類できます。

【外部要因】
  • マルウェア
  • 標的型攻撃
  • ゼロデイ攻撃(OSやソフトウェアの脆弱性をついた攻撃)
  • 不正アクセス
【内部要因】
  • メールの誤送信
  • 記憶媒体の紛失や盗難
  • データの誤廃棄
  • データの不正持ち出し

情報漏洩を防ぐためには技術的な対策だけでなく、社内の人間が関与しているケースもあることから、社内教育や運用体制の見直し・整備などを図ることも重要です。

情報漏洩が企業に与える影響

万が一情報漏洩が発生した場合、企業は様々な影響を受ける可能性があります。特に影響を受けやすいのが「社会的信用の低下」です。

情報漏洩によって「管理がずさんだったのではないか」「再発するかもしれない」などの不信感が生まれ、ステークホルダー全体に広がる場合もあるでしょう。
たとえ故意ではなかったとしても、社会的信用の低下によって顧客や取引先が離れてしまい、業績の悪化につながる可能性も考えられます。

また、情報漏洩が発覚したことで損害賠償責任を負わなくてはならないケースもあります。
漏洩した情報や被害の規模・範囲によって異なりますが、件数が多ければ総額数千万円以上の損害につながるかもしれません。
さらに、サイバー攻撃などの影響で情報漏洩だけでなく、システム停止や業務の遅延、取引停止が発生することもあり、事業を停止せざるを得ない状況に追い込まれるリスクもあります。

情報漏洩対策サービスの種類

DLP・CASB・MDM・ログ監視・暗号化の5種類の情報漏洩対策サービス
情報漏洩のリスクを防ぐためにも、情報漏洩対策サービスは有効です。ただし、情報漏洩対策サービスにも様々な種類があるため、自社に適したサービスを選ぶ必要があります。
ここで、各サービスの特徴について解説します。

種類 主な目的 向いている企業
DLP 機密情報の持ち出し防止 顧客情報・機密データを扱う企業
CASB クラウド利用の監視・制御 SaaS利用が多い企業
MDM モバイル端末管理 スマートフォン・タブレットを業務利用する企業
ログ監視 操作履歴の把握 内部不正対策をしたい企業
暗号化 データの保護 PC紛失・盗難対策をしたい企業

DLP|重要データの持ち出しを防ぐ

DLP(Data Loss Prevention)とは、企業が保有する情報の漏洩・消失を防ぐためのサービスです。
すべてのデータではなく、漏洩・消失させたくない重要なデータの監視や識別、制御を実施し、外部への持ち出しや紛失のリスクを低減させます。

DLPは情報そのものを監視対象として保護しているため、人的な要因による情報漏洩を防ぎやすいメリットがあります。
また、機密性の低い情報のやり取りは制限されないため、厳格なセキュリティ対策による通常業務への負荷も抑えることが可能です。
特に顧客情報や機密データを扱うことが多い企業は、DLPの導入を検討してみてください。

CASB|クラウドサービスからの情報漏洩を防ぐ

CASB(Cloud Access Security Broker)とは、2012年にアメリカのガートナー社が提唱したセキュリティ対策の概念であり、情報漏洩対策サービスとしても提供されています。
CASBはクラウドサービスの利用状況が可視化され、どのユーザーがどのような操作を行っているか把握できます。
これにより、企業の管理下にないクラウドサービスの利用(シャドーIT)を防ぎつつ、情報漏洩を防ぐことが可能です。

また、暗号化やマスキング、トークン化など様々な手法でクラウドサービス上のデータを保護し、重要なデータはユーザーのアクセス権限に基づいて制御することもできます。

MDM|スマートフォン・タブレットを管理する

MDM(Mobile Device Management)とは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を一元管理するためのシステムです。
例えば、社用スマートフォンを営業社員に1台ずつ提供する場合、MDMを活用することでネットワーク設定や業務に必要なアプリのダウンロードを一括で行えるようになります。

また、万が一紛失や盗難に遭ったとしても、端末の位置情報を把握できたり、遠隔操作で画面ロックやリモートワイプ(データ削除・初期化)を行ったりできます。
業務上スマートフォンやタブレットを使用する機会が多い場合は、MDMの導入がおすすめです。

ログ監視ツール|不審な操作を把握する

ログ監視ツールとは、PCやサーバー、アプリケーション、ネットワーク機器などから出力されるログ(記録データ)を監視できるツールです。
ログにも様々な種類がありますが、特にユーザーが操作した状況を記録する「操作ログ」やOSやアプリケーション上で発生した事象を記録する「イベントログ」、ファイルの更新やコピー、削除などの操作を記録する「ファイルログ」などは、監視対象になりやすいです。

ログ監視ツールを導入することで、24時間365日ログを監視でき、さらに膨大なログデータから必要な情報を素早く見つけることもできます。
また、あらかじめ設定した条件に一致するログをツールが検知した場合、担当者に通知するアラート機能が備わったツールもあります。

暗号化ソフト|盗難・紛失時の情報漏洩を防ぐ

暗号化ソフトとは、インターネット上でデータのやり取りを行う際に、不正にデータを見られないよう解読できないように加工するソフトウェアです。
暗号化されたデータは復号(暗号化したデータを元に戻すこと)しない限り、閲覧・編集はできません。復号はパスワード以外に、生体認証によってできるものもあります。

暗号化ソフトを活用すれば、社外にデータを持ち出さなくてはいけない場合に万が一紛失・盗難の被害に遭っても、復号する手段がないため情報漏洩を防ぐことが可能です。
また、ファイルを暗号化しておけば誤ってメール送信をした場合でも、相手は閲覧できず人的ミスによる情報漏洩も防ぎやすくなります。

情報漏洩対策サービス導入のメリット

情報漏洩対策サービスを導入することにより、企業はどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここで、情報漏洩対策サービス導入のメリットを紹介します。

機密情報を保護できる

情報漏洩対策サービスを導入することで、機密情報の不正なアクセスや持ち出しを防ぎやすくなります。
例えば、アクセス権限を設定して閲覧できる従業員を限定したり、ファイルの操作履歴を記録したりすることで、重要な情報を適切に管理することが可能です。

また、メールの誤送信やUSBメモリなど記録媒体へのデータコピーを制御できるサービスもあります。
自社で扱う情報の種類や業務上のリスクに合わせてサービスを選ぶことで、情報漏洩につながる様々な要因への対策が可能です。

内部不正の防止に役立つ

情報漏洩は外部からの攻撃だけでなく、従業員や退職者などによる内部不正によって発生することもあります。
情報漏洩対策サービスを活用すればアクセス権限を設定したり、PCやクラウドサービスの操作ログを取得したりすることで、不正行為の抑止につながる効果が期待できます。

特に、誰が・いつ・どの情報にアクセスしたかを確認できる環境に整えることで、不審な操作を早期に把握することも可能です。
従業員による意図的な持ち出しだけでなく、誤ってルールに反した操作の発見にも役立ちます。

企業イメージの保護に役立つ

機密情報が外部に漏洩したことが発覚すると、顧客や取引先からの信用を失い、企業イメージが低下する可能性があります。
一度失った信頼を回復するには時間がかかるため、情報漏洩が発生する前から対策しておくことが重要です。

情報漏洩対策サービスで万全なセキュリティ環境を整備することは、顧客や取引先から預かっている情報の適切な管理にもつながります。
また、セキュリティ対策を行っていることを社内外に示すことで、取引先からの信頼確保や新たな取引先の選定時にもプラスに働くこともあります。

早期対応・影響の最小化を目指せる

情報漏洩対策サービスの中には、不審なアクセスや異常な操作を検知し、管理者に通知する機能が備わっているものもあります。
この機能を活用すれば、問題が発生した際にもすぐに状況を把握でき、原因の調査やアクセス停止などの初動対応につなげられます。

情報漏洩は発生そのものを防ぐことはもちろん、いかに早く被害を把握して拡大しないようにするかも重要です。
ログの記録や監視、アラート機能などを活用し、万が一の事態に備えておいてください。

災害時の損害を抑えられる

情報漏洩対策サービスによっては、データのバックアップやクラウド上での保管など、災害や障害に備えられる機能を持っているものもあります。
地震や水害、火災などによって社内のサーバーやPCが利用できなくなった場合でも、事前にバックアップが取れていてクラウド上に保存されていれば、重要な情報を復旧することが可能です。

また、データを複数の場所に保管することで、1台の端末・サーバーが故障した場合でも影響を抑えやすくなります。
情報漏洩だけでなく、データの消失や業務停止などのリスクも考慮し、自社の事業継続に必要な機能を備えたサービスを選ぶことが大切です。

情報漏洩対策サービスの選び方

情報資産と漏洩リスクを整理して自社に合う対策サービスを選ぶ4つの手順
情報漏洩対策サービスを導入する場合、自社の課題解決につながるサービスを選ぶ必要があります。
自社にとって大きなメリットを得られるサービスを利用できるように、ここで選び方を解説していきます。

情報資産の洗い出しとリスクの明確化を徹底する

まずは、自社が持つ情報資産をすべて洗い出すことが大切です。例えば、顧客情報や従業員の個人情報、経営に関わる資料、システムなどの設計情報などがあります。
それぞれのデータは企業において重要度が異なるため、あらかじめ情報を洗い出し、優先して保護すべきデータはどれか確認しておきます。

また、情報資産だけでなく、情報漏洩がどのような経路で起きるリスクがあるのか明確にすることも重要です。
サイバー攻撃や従業員による内部不正、メールでの誤送信など、起こり得るリスクを明確にすることで必要な対策が可視化され、情報漏洩対策サービスを選びやすくなります。

業務に合うツールを選ぶ

業務内容に合わせて情報漏洩対策サービスを選ぶことも重要です。例えば、社内ネットワークを主体に業務を行っている企業と、テレワークを中心にクラウド上でデータを管理する企業では、セキュリティ対策の内容も変わってきます。
モバイル端末を活用して外部に持ち出す機会が多い場合はMDM、クラウドでのデータ利用が多い場合はCASBを導入するなど、業務に合わせたツールを選ぶことで、セキュリティ効果を高めつつスムーズな運用も可能となります。

既存環境との整合性をチェックする

情報漏洩対策サービスを選ぶ際には、既存環境との整合性もチェックしておくと安心です。
例えば、新たに導入する情報漏洩対策サービスと、すでに使用している既存システムや別のセキュリティ製品などと連携が取れるか確認することで、統合運用もスムーズになります。
担当者の管理負担が軽減する場合もあるため、より使い勝手のいいサービスを導入したい場合は、既存環境と整合性があるか確認することが大切です。

情報漏洩対策サービスだけに頼らないことも重要

情報漏洩対策サービスを導入したからといって、必ずしも情報漏洩リスクがなくなるわけではありません。
できる限り情報漏洩のリスクを抑えるためには、サービスの活用に加え、自社での取組みも必要となってきます。

例えば、重要な情報・データの取り扱いに関する従業員向けのルールを整備したり、定期的に従業員教育を実施して情報管理に関するリテラシーを高めたりすることが大切です。
また、定期的にアクセス権限を見直すことで、データの安全性を確保することもできます。
特に、退職時や人事異動、組織改変で担当者が変更される場合には、速やかにアクセス権限を見直すことが重要です。

まとめ・考えられるリスクを知り、自社に合うサービスを導入しよう

情報漏洩は、顧客や取引先などのステークホルダーからの信用が低下する恐れがあります。
このリスクを回避するためにも、情報漏洩対策サービスの導入を検討することが大切です。
情報漏洩対策サービスを導入する際は、情報資産やリスクを洗い出した上で、自社の業務内容や既存環境に合わせて最適なサービスを導入してください。

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(編集:創業手帳編集部)