フリーランスで失敗するとどうなる?悲惨な末路を回避するためのポイントを解説
フリーランスになって成功する人もいれば失敗する人もいる
独立してフリーランスとして活躍する人もいます。しかし、すべての人が成功の道をたどっているわけではありません。
中には失敗してしまい、悲惨な末路をたどってしまった人もいます。
そこで今回は、フリーランスの失敗事例や悲惨な末路を回避するためのポイントを解説します。
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この記事の目次
よくあるフリーランスの失敗事例
会社員から独立してフリーランスになると、様々な問題が発生する場合もあります。
うまく切り抜けられる人もいますが、中にはその問題を解決できず、失敗する人も少なくありません。ここからは、フリーランスの失敗事例について解説していきます。
【金銭面】貯金がなく、収入の波に耐えられない
フリーランスの失敗事例として起こりがちなことは、金銭面の問題です。
独立して案件をこなしているものの、単価が上がらなかったり受注までに時間がかかったりして、収入が不安定になってしまうこともあります。
特に、フリーランスを始めたばかりの頃は案件の獲得を優先し、利益を度外視する人もいます。
しかし、低単価のまま仕事を受けていれば、生活ができなくなる可能性が高いです。
また、仕事を請け負ったとしても、入金のタイミングによっては収入が不安定になる恐れもあります。
一般的には翌月末に報酬を支払う企業が多いものの、中には翌々月末まで支払われない場合もあります。
キャッシュフローが回らなくなることも考えられるため、入金のタイムラグを考慮することが大切です。
【スキル面】自己管理や営業力が不足している
フリーランスは自由度が高い反面、すべて自分で管理・コントロールする必要があります。
多くの案件を同時に請け負った結果、自分で捌ききれない量になってしまい、取引先からの信用がなくなる場合もあります。
フリーランスとして活躍するためには、スケジューリングやタスク管理なども考えた上で仕事に取り組まなくてはなりません。
また、プログラミングなどの専門的なスキルは持っているものの、営業力が不足していることで新規開拓や取引先との交渉がうまくいかないケースもあります。
この場合、新しい案件を受注できなかったり単価が上がらなかったりするなどの問題を抱えやすいです。これまで営業経験が少ない人は注意してください。
【対人面】取引先とトラブル対応が甘い
フリーランスは「今後も継続して仕事をもらいたい」という気持ちから、取引先とトラブルに陥っても対応が甘い場合があります。
例えば、報酬が期日を超えても支払われなかったり、報酬の減額を後から要求されたりすることなどです。場合によっては悪質なハラスメントを受けてしまうこともあります。
2024年11月1日にフリーランス新法が制定されたことから、取引きの公正化と就業環境の整備が進みましたが、契約書を確認していなかったり口約束をしたりすればトラブルに発展するかもしれません。
取引先と良好な関係を構築していくためにも、毅然とした態度でトラブル対応に臨むことも重要です。
【信用面】社会的信用が低く、住宅ローンなどで不利
フリーランスは会社員と比べて社会的信用が低いことから、住宅ローンの審査に通らなかったり申請できるクレジットカードが限られるケースがあります。
大きな要因として、収入が不安定になりやすい点が挙げられます。
毎月決まった給料が振り込まれる会社員と比べて、フリーランスは急に案件を切られたり、新規の案件を獲得できなかったりする可能性が高いです。
そうなれば支払いが滞るリスクがあるため、住宅ローンやクレジットカードの審査で不利になってしまいます。
安定した仕事を獲得できていたとしても、リスクの大きさから審査に通らない場合もあります。
【健康面】健康管理が疎かになり、体調を崩しやすくなる
フリーランスはすべて自分で仕事を管理することになります。会社員であれば、1日の実働時間が決まっており、定時になる前に仕事を終わらせようと努めます。
一方、フリーランスは就業時間が決まっておらず、自分の好きな時間に仕事をしても問題ありません。
メリットのように感じるかも知れませんが、仕事とプライベートのメリハリがつきにくくなってしまい、人によっては常に仕事をしている状態になってしまうこともあります。
セルフブラック化に陥って、体調を崩してしまうこともあるでしょう。
また、会社員には健康診断の受診が義務付けられていますが、フリーランスには義務付けられていません。
そのため、病気や不調の発見が遅れてしまうケースもあります。
【精神面】相談相手がいないままひとりで抱え込む
業種によって大きく異なりますが、プログラマーやエンジニア、イラストレーターなどは常に孤独な職場環境で仕事をすることになります。
「何とかしなくては」という考えから、困ったことがあっても誰にも相談できず、ひとりで抱え込み、メンタルヘルスを悪化させてしまう可能性が高いです。
また、不規則な生活習慣もメンタルに影響するといわれています。
自由度の高いフリーランスだからこそ、食事や睡眠時間が不規則になりやすかったり、運動不足に陥ってしまったりする可能性も高いです。
フリーランスが失敗や悲惨な末路を回避するための対策
フリーランスとして失敗しないために、事前に押さえておきたいポイントがあります。ここでは、失敗や悲惨な末路を回避するための対策を7つ紹介します。
キャリアプランを明確にする
フリーランスになる前にまず考えておきたいことは、キャリアプランです。
フリーランスとして独立する前に、将来どうなりたいのか、どのようなことをやりたいのかなどの目標を立てて、その目標を達成するためのステップを逆算して行動計画を策定します。
キャリアプランを明確にすることで道筋がはっきりとわかり、目標に向けて具体的な行動を起こすことが可能です。
独立後の迷いも少なくなることから、キャリアプランを事前に考えておいてください。
生活資金を貯金しておく
フリーランスとして独立した場合、すぐに収入が安定するケースは少なく、ほとんどの人は収入が安定するまでに時間がかかります。
一方、収入が不安定でも住民税などの支払いや生活費は生じることに注意が必要です。
不安要素をなくすためには、フリーランスになる前に生活資金を貯金しておきましょう。
生活資金の目安は、半年~1年分とされています。毎月の生活費が20万円の場合は120万円~240万円ほど用意しておくと安心です。
専門的なスキルを磨き続ける習慣をつける
スキルが不足した状態で独立すると低単価の案件しか受けられず、収入が安定するまでに時間がかかってしまいます。
独立後の収入を早く安定させるためには、専門的なスキルを身に付けておくことが大切です。
また、スキルを磨き続けていくことも重要なポイントになります。
スキルアップすることで自分の市場価値が高まり、他のフリーランスとの差別化にもつながるためです。
開業届・確定申告・契約書などの準備をする
フリーランスとして独立するにあたって、提出書類を準備しておく必要があります。
事業を開始した日から1カ月以内に開業届(個人事業の開業・廃業等届出書)を税務署へ提出しなければなりません。
開業届を提出しなくても違法ではありませんが、開業届を提出することで青色申告承認申請書を提出できるようになります。
青色申告承認申請書を開業から2カ月以内に提出すれば、初年度から青色申告が可能です。青色申告では最大65万円の特別控除が受けられ、税金の負担が軽減されます。
また、開業届を提出すると屋号入りの銀行口座が開設できたり事業融資を受けられたりするため、おすすめです。
なお、フリーランスは取引先と業務委託契約を結ぶことが基本となります。
フリーランス側が契約書を作成して提示する場合もあるため、事前に準備しておくと安心です。
営業・広報をルーティン化する仕組みを作る
フリーランスは、案件や雑務をひとりでこなす必要があります。
すべての作業を丁寧にこなせば時間がかかるため、営業や広報などをルーティン化する仕組みを作っておくことが大切です。
例えば、案件獲得のための営業メールを作ったり、SNSやブログで発信する文章を作成したりしてください。
営業や広報などの本業ではない部分をルーティン化させることで、モチベーションに左右されにくくなり、一定のパフォーマンスを出せるようになります。
ツールなどを活用して事務作業の効率化を図る
事務作業の負担を減らして本業に集中するためには、各種ツールを活用することがおすすめです。
例えば、会計ソフトを導入すれば、日々の経理業務から確定申告の準備まで効率化を図ることも可能です。
また、スケジュールやタスクを管理できるツールを導入すれば、複数の案件を受けていたとしても優先順位を明確にでき、納期を忘れてしまうといったリスクも回避しやすくなります。
適度な休日を設けて、健康を保つ
フリーランスとして独立すると、収入や将来に対する不安感から多くの案件を受けてしまい、休日が取れなくなる傾向にあります。
フリーランスは働き方が自由に設定できるため、休日を設けなくても違法にはなりません。
しかし、働きすぎて体調を崩せば、長期間仕事ができず収入がゼロになるリスクが高まります。
リスクを回避するためには、適度な休日を設けて健康を保つことが重要です。
案件の都合上どうしても休日が取れない場合でも、なるべく受注頻度を減らし、休日を設けられるように調整してください。
いざという時のフリーランスにおすすめの相談先
フリーランスは孤独に陥りやすく、困ったことや悩みを抱えた時にどうすればいいのかわからなくなる人もいるかもしれません。
もしフリーランスになって困ったことがあれば、以下に紹介する相談サービスを活用してみてください。
フリーランス・トラブル110番
フリーランス・トラブル110番は、第二東京弁護士会が運営し、厚生労働省や公正取引委員会などの関係省庁と連携している相談サービスです。
発注事業者から仕事を委託した際に発生したトラブルを無料で相談することができます。
契約書を作成してもらえなかった、パワハラやモラハラなどのハラスメント行為を受けた、報酬の未払いや一方的な減額を受けた、といった自分ではどうにもできない問題に対して弁護士が相談に乗ってくれます。
法テラス
法テラスは、様々な法的トラブルに対して相談に乗ってくれる機関で、幅広い法的トラブルに対応しています。
1回30分程度の無料相談を実施していたり、弁護士費用の立替えを行ったりしています。
ただし、これらの制度を活用するためには、収入・資産が一定基準以下であることなど、条件や審査が必要になってくることに注意が必要です。
下請かけこみ寺
下請かけこみ寺は、下請取引の適正化を図るために経済産業省と中小企業庁によって全国に設置された相談機関です。
取引きで発生した問題に対して、専門の相談員や弁護士からアドバイスをもらえます。業種を問わず無料で相談に応じてもらえるため、安心です。
公益財団法人日本税務研究センター
公益財団法人日本税務研究センターは、研究者や実務者、税理士などをはじめ、一般国民に向けて税務に関する情報を提供している機関です。
日本税務研究センターには「税務相談室」を設けられており、一般納税者なら誰でも無料で税務に関する相談ができます。
民間でも税務に対しての相談ができるところもありますが、日本税務研究センターは非営利団体です。
なお、あくまで法律上の規定に関する対応のみとなることに注意してください。
よろず支援拠点
よろず支援拠点は、独立行政法人中小企業基盤整備機構が運営する相談機関です。
様々な分野に精通する専門家が在籍し、経営課題などの悩みに対して適切にアドバイスしてくれます。
何度でも無料で相談に乗ってくれる点や、全国に拠点が設けられている点など、メリットも多いです。
また、これから創業しようと考えている人の相談にも応じていることから、フリーランスになる前に気軽に相談してみてください。
まとめ・フリーランスで失敗する末路を回避するコツは「準備と学び」が重要!
フリーランスとして独立すると、案件を獲得できず収入が不安定になることで、精神的な苦痛を感じることもあります。
このような事態を避けるためにも、フリーランスとして働く前にしっかりと準備することと、経営や営業、税務などに関して学んでおくことが大切です。
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(編集:創業手帳編集部)