【最新2024年】介護報酬改定についてわかりやすく解説!注目ポイントや準備すべきことなど
2024年介護報酬改定で処遇改善加算など大幅改定が行われると予想される
2024年度は介護報酬改定が実施される年です。介護報酬改定が行われると現場にも様々な影響がもたらされるため、早めに準備しておくことが重要です。
特に2024年度の改定は処遇改善加算など、大幅な改定が行われると予想されており、現場への影響も大きいと考えられます。
そこで今回は、2024年度の介護報酬改定で注目されるポイントや、準備すべきことなどを詳しく解説していきます。
2024年介護報酬改定に関する最新情報を知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
介護報酬改定とは?
まずは介護報酬改定の基本についてご紹介します。
介護報酬改定がなぜ行われるのか、改定を実施するスパン、介護報酬改定によって現場にどのような影響を与えるのかを解説していきます。
介護報酬改定の理由
介護報酬改定を行う理由として、社会情勢や環境の変化に対応することが挙げられます。
介護保険制度は2000年にスタートし、保険者・利用者・サービスを提供する事業者間で成り立っています。
利用者は収入に応じて1~3割の負担金を支払い、事業者は残りの金額を保険者(国・地方自治体)へ請求する仕組みです。
日本は以前から少子高齢化が進んでおり、1950年~2022年の年齢区分別人口の割合推移を見ると、65歳以上(29.0%)・75歳以上(15.5%)の割合が年々増加傾向です。
2025年になると団塊世代が75歳以上の後期高齢者に到達することから、より一層医療や介護の需要が増えると予想されています。
医療や介護の需要が高まれば、その分保険料も増加します。介護保険の財源や医療・介護業界における人材の確保が困難になる可能性が高いです。
こうしたリスクを回避し、介護保険制度を持続させるためにも介護報酬改定が行われます。
介護報酬改定のスパンは?
介護報酬改定が行われるスパンは、3年に1回です。3年ごとに調査結果や専門家の意見などを参考にしつつ、介護サービスの形態や報酬の追加・廃止を行います。
なお、2024年は2年に1回実施される診療報酬改定も行われる年です。さらに3年に1回実施される障害福祉サービス等報酬も併せて行われます。
そのため、2024年はトリプル改定の年とも呼ばれています。
2018年度に診療報酬・介護報酬のダブル改定が行われましたが、当時は医療と介護の連携を目的とした改定が中心となっていました。
そのため、2024年に実施されるトリプル改定でも、医療・介護・障がい福祉の連携強化に注目が集まっています。
介護報酬改定が与える影響
介護報酬改定による影響は経営者だけでなく、実際に現場で働く従業員にも影響するものです。
例えば、介護報酬の引き上げによって介護報酬点数が増加すると、利用者の自己負担割合が増え、事業者側の収入が増えます。
事業者にとって介護報酬は貴重な収入源のひとつであり、介護士の待遇改善も期待できます。
また、2021年の介護報酬改定では新型コロナウイルスの感染拡大を受け、介護サービス事業者に感染症対策に向けた取組みの強化が義務付けられました。
取組みの内容としては、研修の実施や指針の整備、委員会の開催などに加え、訓練の実施も義務付けられています。
こうした時代の変化に合わせて新たな取組みが義務付けられた場合、現場の仕事にも直接影響が出てくるでしょう。
2024年介護報酬改定はいつ?スケジュールについて
2024年1月に実施された介護給付費分科会では介護報酬改定のスケジュールについては以下のように提示されています
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6月1日施行とするサービス
• 訪問看護
• 訪問リハビリテーション
• 居宅療養管理指導
• 通所リハビリテーション4月1日施行とするサービス
• 上記以外のサービス
4月1日からは訪問介護や訪問入浴介護、通所介護などについては新制度が開始されます。
2024年介護報酬改定で注目のポイントとは?
2024年介護報酬改定の中で注目すべきポイントが5つあります。それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
1.介護報酬1.59%引き上げによる処遇改善
2024年度の介護報酬の改定率が2023年12月に正式決定しました。
今回の改定率は+1.59%で、そのうち0.98%を介護職員の処遇改善に、0.61%を各種サービスの基本報酬やほかの加算などに配分されます。
また、処遇改善に関連する3つの加算を一本化した際の賃上げ効果や、水道光熱費の基準費用額の増額による介護施設全体の増収効果などもあり、+0.45%相当の改定が見込まれています。
そのため、改定率と合わせて実質+2.04%相当の引き上げとなりました。
2.月額平均6,000円の補助金
厚生労働省は介護報酬改定でプラス改定になることを見据え、改定されるまでの2024年2月~5月までの期間は介護職員の収入2%程度の補助金を支給します。
収入2%程度は月額平均6,000円相当で、約4カ月間支給されることになります。
今回の対象職種は介護職員のみですが、事業所の判断でほかの職種の処遇改善にも充てられるよう柔軟な運用が可能です。
例えば、ケアマネジャーや相談員、看護師、リハビリ関連の職種、調理員、事務員なども補助金による収入の引き上げが期待できます。
補助金を申請するためには窓口となる都道府県に処遇改善計画書などを提出し、申請する必要があります。ただし、補助金の交付後には処遇改善実績報告書の提出も必要です。
もし報告書の提出がない場合、補助金の返還を求められる可能性もあるため注意してください。
3.認知症に対する対応力の強化
2024年度の介護報酬改定では認知症に対する対応力の強化も重視されています。
「平成29年版高齢社会白書」では、65歳以上の認知症患者数と有病率の将来推計を発表しており、2025年には高齢者のうち5人に1人が認知症患者になっていると予測されています。
過去の介護報酬改定でも認知症専門ケア加算が追加され、認知症に対する対応力を強めてきました。
実際に、認知症患者への介護サービスの提供している事業者は通所介護で93.1%、地域密着型通所介護で90.0%となっています。
しかし、認知症加算の算定率は2022年時点で通所型が2.6%、地域密着型通所介護で1.1%と低く、減少傾向です。
認知症加算を算定していない理由として、算定要件の難しさが挙げられています。
今回の改定で要件の見直しが実施されれば、算定のハードルも下がり認知症に対する対応力の強化も期待できます。
4.医療や障がい福祉と介護の連携
上記でもご紹介したように、2024年度は診療報酬と障害福祉サービス等報酬も改定が行われる「トリプル改定」の年です。
これまでに制度を横断する意見交換会も実際に開催されています。その中で審議された内容は以下のとおりです。
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- 地域包括ケアシステムを推進させるための医療・介護・障がいサービスの連携
- リハビリ、口腔、栄養
- 要介護者などの高齢者に対応する急性期入院医療
- 高齢者施設や障がい者施設などにおける医療
- 認知症
- 人生の最終段階における医療・介護
- 訪問看護
特に2025年は地域医療構想の最終年でもあることから、地域包括ケアシステムのさらなる推進に向けて連携強化が図られると予測できます。
また、人生の最終段階における看取り・ターミナルケアといった報酬評価も近年引き上げられているため、今回も引き上げの傾向が続くかもしれません。
5.新たな通所+訪問の複合型サービスの創設は見送り
新たな複合型サービスでは通所介護と訪問介護を組み合わせることで、より柔軟な対応での介護サービスの提供を目指しています。
複合型サービスが創設されれば在宅介護の体制強化につながり、さらに都市部などの課題でもある訪問介護サービスの不足についても解消が期待できます。
2024年の介護報酬改定において、新たな複合型サービスが創設される予定でした。
しかし、2023年12月4日に行われた社会保障審議会 介護給付費分科会の中で、さらに検討を深めていくことが提案され、2024年度からの創設は見送りとなっています。
2024年介護報酬改定までに介護事業所が準備すべきこと
2024年の介護報酬改定によって様々な影響が出てきますが、管理者は早めに対応できるよう今のうちから準備したいと考える方もいるかもしれません。
そこで、介護事業所が改定までに準備すべきことを4つご紹介します。
業務継続計画(BCP)の 策定
業務継続計画(BCP)は2021年の介護報酬改定において、未曾有の災害や緊急事態が発生した場合でも事業を継続できるよう、計画書を策定することが決められました。
しかし、経過措置も取られていたため、まだ策定していない介護事業所もあるかもしれません。
この経過措置は3年間設けられており、2024年4月1日で終了してしまいます。つまり、4月1日までにどの介護事業所でも事業継続計画を策定しなくてはなりません。
事業継続計画を策定しておくと、現状の介護現場におけるリスクを洗い出せたり、緊急時における優先順位を明確にできたりするなど、様々なメリットがあります。
2024年1月時点で具体的な罰則規定はないものの、策定しなかったことで利用者や職員が死亡し遺族から訴えられた場合、安全配慮義務違反となる可能性が高いです。
策定するメリットもあることから、4月1日までに必ず事業継続計画を策定してください。
科学的介護情報システム(LIFE)などのICT導入や活用
科学的介護情報システム(LIFE)とは、介護サービスを利用する人の状態や実施されているケアの計画・内容などを入力し、厚生労働省へ送信すると分析結果がフィードバックされるシステムです。
このシステムを活用するとデータが蓄積されていき、分析が進めば質の高い介護を実現できます。
介護現場でもフィードバックの情報をもとに計画の見直しを図り、PDCAサイクルを組み込んだ介護を実施することが可能です。
以前から厚生労働省では介護現場でのICT導入・活用が推進されていました。
2024年の介護報酬改定でもこれまでと同様にICT導入・活用を推進する動きになることが考えられます。
ICTを導入することで、介護スタッフの業務負担が軽減したり、事業コストの削減により生産性の向上が期待できたりします。
2024年の介護報酬改定に向けてICT導入・活用を検討してみてください。
労働力を確保
介護業界で問題となっている「人手不足」に対して、介護報酬改定率の引き上げを含め様々な取組みが行われています。
例えば、2021年度の介護報酬改定ではユニットの定員や夜勤の職員体制が緩和されました。
介護サービスは現場で働く人員が減ることで、提供されるサービスの質が低下する恐れもあります。
介護サービスの質を維持・向上させるためには、労働力の確保が重要となります。
新たな人材を取り入れるために採用活動や外国人職員の受け入れなど、人材確保の仕方にも様々な工夫が必要です。
また、従業員の離職率低下を目指すことも大切です。
離職率の低下を防ぐためにも、改定前に職場環境の改善や人事評価制度の導入・見直しを図り、働きやすい施設づくりを目指してください。
サービスの展開体制の整備
2024年の介護報酬改定後も定期的に制度は見直され、変更されます。場合によっては時代の流れを受けて突発的に改定が実施される場合もあります。
こうした改定に対して柔軟かつ迅速に対応できるよう、サービスの展開体制を整備しておくことも重要です。
展開体制を整備しておけば、臨時で改定が行われた場合でも焦らず対応できます。
上記でもご紹介したICTの導入・活用や労働力の確保を取り入れていると、サービスの拡張などもしやすくなるでしょう。
まとめ・介護事業所は2024年の介護報酬改定を要チェック!
2024年度に、介護報酬改定が実施されます。現場にも直接影響する可能性があることから、改定内容について理解し、早い段階で備えておくことが重要となってきます。
ぜひ当記事も参考にしつつ、介護報酬改定に向けた準備を進めてください。
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(編集:創業手帳編集部)