控除とは?意味をわかりやすく解説|所得控除・税額控除の種類と節税への活かし方
控除の種類や申告方法、節税の仕方をご紹介

「控除ってよく聞くけど、正直よくわからない……」
給与明細や確定申告書に並ぶ「控除」という言葉。税金の話になると必ず出てくるのに、意味がよくわからないまま流している方も多いのではないでしょうか。
控除とは、かんたんに言えば「税金の計算において、一定の金額を差し引いてもらえる仕組み」のことです。控除を正しく申告すれば、その分だけ納める税金を少なくできます。
この記事では、控除の意味・種類・計算方法・申告のしかたまでをわかりやすく解説します。個人事業主・フリーランスの方に役立つ節税ポイントも紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。
この記事の目次
控除とは?意味や目的についてわかりやすく解説

控除とは、税の計算を行う際に登場する考え方で、節税に生かせる仕組みです。控除を利用すれば、納付する税金の額を抑えられます。
控除の基本的な仕組みを理解できると、税額が決まる流れやルールも分かり、税額計算もしやすくなりそうです。
控除とはどんなものか、その概念や目的について解説します。
控除の意味
控除とは、「一定の金額を差し引く」という意味の言葉です。
税金について使われる場合には、課税対象となる所得金額や納付すべき税金の額から一定の金額を引く制度を示します。
具体的には、年末調整や確定申告で所得税を計算する際に使いますが、その書類をもとに計算される住民税にも関係するものです。
所得税や住民税などの税金の計算では、収入から必要経費を引いた「所得」と呼ばれる金額がもとになります。
その金額が低ければ低いほど納税額も低くなり、高ければ高いほど納税額も高くなります。しかし、自分勝手な判断では必要経費を差し引かれません。
そこで、必要経費として認められる出費の種類を限定し、一定の金額を引いて良い制度を作りました。それが控除です。
所得から差し引いても良いものを「所得控除」、さらに、税額から直接差し引いても良いものを「税額控除」として認められています。
現金が手元に戻ってくるわけではない
控除は納税額を抑えられる制度ですが、たまに「控除で現金(税金)が戻ってくる」と表現する人がいます。
確かに、所得税の年末調整などでは、控除を受けたことで還付金が得られる場合もありますが、厳密には控除は「税金が戻ってくる」ことを示しているわけではありません。
還付金が戻ってきたのは結果であり、そもそも還付金は、自分の給料から天引きされていた税額の一部です。
控除を受けると課税される所得や納めるべき納税額は減りますが、それによって現金が手元に入るとは限りません。
控除の目的
控除の目的は、納税者の事情を考慮して税金の負担を調整することにあります。
生活や労働のために使う(であろう)金額を、個々の事情に合わせて差し引いて負担を軽減するのが控除の役割です。
同じ金額を稼いだ人同士でも、個々の生活の仕方や家族構成によって経済事情は異なります。
独身の人と配偶者や子どもを持った既婚者では、後者のほうが必要経費は多くなると想像できます。
そのため、2人とも同じ金額の税金を徴収されたら、後者の生活への負担は大きくなるでしょう。
そこで、一人ひとりの事情に応じて配偶者控除や扶養控除といった控除を行い、負担を抑えます。
控除で生活が大変な人の税金を抑えて、個々の事情ベースで公平に税負担を課すことができます。
控除の種類は所得控除と税額控除の2種類

控除には、所得控除と税額控除の2種類があり、この2つを使い分けるとより高い節税効果が望めます。
それぞれの控除の項目について意味や目的、どんな時に使えるかを理解しましょう。
所得控除とは
所得控除は、税額を計算するベースとなる所得から差し引ける控除です。項目は多く、全部で14種類もありますが、全部の項目に当てはまることはありません。
それぞれ、自分が適用となる項目の控除だけを選んで控除を受けます。
サラリーマンの給与所得は年末調整で控除を受けられますが、所得控除の中には別途確定申告が必要となるものもあります。
控除は自己申告制なので、申告をしないと控除は受けられません。
税額控除とは
所得控除とは違って、課税所得を元に算出した所得税から直接控除できるのが税額控除です。
税額控除はその金額がそのまま差し引かれるため、所得控除よりも節税効果が大きいと言われています。
【一覧】所得控除の種類(15種類)

所得控除は全部で15種類あり、所得から直接差し引くことで課税対象額を小さくする役割があります。
特に令和7年度の税制改正では、基礎控除額の引き上げに伴い、配偶者控除や扶養控除、勤労学生控除などの「所得要件」も従来の基準から緩和(引き上げ)されました。最新のルールに基づいた、各控除の対象者と控除額を詳しく見ていきましょう。
人的控除・物的控除の分類表
所得控除は、人的控除と物的控除の2種類に分けられます。
人的控除とは、人に対する控除のことです。人とは、納税者本人やその家族を示します。人的控除には、以下の8種類があります。
| 基礎控除 | すべての人が対象。 |
| 配偶者控除 | 生計を一にする配偶者の所得が58万円以下。かつ納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下。 |
| 配偶者特別控除 | 生計を一にする配偶者の所得が58万円~133万円以下。かつ納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下。 |
| 扶養控除 | 生計を一にする16歳以上の親族の合計所得が58万円以下。 |
| 障害者控除 | 障害者の納税者本人・生計を一にする障害者の配偶者・障害者の親族。 |
| 寡婦控除 | 合計所得金額500万円以下の納税者が配偶者と死別または離婚。 |
| ひとり親控除 | 合計所得金額500万円以下の納税者が、生計を一にする子どもがいるひとり親。 |
| 勤労学生控除 | 合計所得金額85万円以下の勤労学生。 |
物的控除とは、社会政策的な配慮から設けられている控除のことです。以下の7種類があります。
| 雑損控除 | 災害、盗難などの損失。 |
| 医療費控除 | 1年間の医療費が10万円以上の場合。 |
| 寄附金控除 | ふるさと納税などの寄附金。 |
| 社会保険料控除 | 納税者の社会保険料、同一生計の親族の社会保険料。 |
| 小規模企業共済等掛金控除 | 確定拠出年金、小規模企業共済などの掛け金。 |
| 生命保険料控除 | 生命保険、介護医療保険、個人年金保険の保険料。 |
| 地震保険料控除 | 地震保険の保険料または掛金。 |
基礎控除
基礎控除とは、所得が2,500万円以下の人すべてに適用となる控除です。
以前は誰でも無条件に受けられる控除でしたが、2020年から所得要件が加えられました。金額も、一律で控除されていたところ、所得金額に応じて段階的に金額が定められています。令和7・8年分の基礎控除の金額は以下の通りです。
| 合計所得金額 | 控除額 |
| 132万円以下 | 95万円(住民税43万円) |
| 132万円超 336万円以下 | 88万円(住民税43万円) |
| 336万円超 489万円以下 | 68万円(住民税43万円) |
| 489万円超 655万円以下 | 63万円(住民税43万円) |
| 655万円超 2,350万円以下 | 58万円(住民税43万円) |
| 2,350万円超 2,400万円以下 | 48万円(住民税43万円) |
| 2,400万円超 2,450万円以下 | 32万円(住民税29万円) |
| 2,450万円超 2,500万円以下 | 16万円(住民税15万円) |
| 2,500万円超 | 0円(住民税0円) |
合計所得金額とは、事業所得や給与所得、雑所得などを合計した金額です。
配偶者控除
合計所得が58万円以下(給与収入のみの場合123万円以下)の配偶者がいる人が対象です。
ただし、2018年から納税者の合計所得金額が1,000万円を超えると適用されないことになりました。
控除額は本人の合計所得金額によって違いますが、配偶者が69歳以下の場合、最高で38万円、70歳以上の場合、最高で48万円となります。
配偶者特別控除
配偶者の年間合計所得金額が給与所得控除後58万円超133万円以下の場合、給与収入123万円超約201万円以下の場合、対象となります。
配偶者控除と同じく、納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合には適用されません。
扶養控除
合計所得金額が58万円以下(給与収入のみの場合123万円以下)の子どもや両親、兄弟姉妹などが控除対象扶養親族の場合、適用されます。生計を一にしている家族で、16歳以上が対象です。
| 年齢 | 控除額 |
| 16歳以上18歳以下 | 38万円 |
| 19歳以上22歳以下 | 63万円 |
| 23歳以上69歳以下 | 38万円 |
| 70歳以上(同居老親等以外) | 48万円 |
| 70歳以上(同居老親等) | 58万円 |
※同居老親等とは、納税者や配偶者の父母・祖父母などで、常に同居している人を指します。
雑損控除
災害、盗難、横領によって、自分や家族(※)の「生活に通常必要な財産」が被害を受けた場合に受けられる控除です。※家族の所得要件:合計所得金額58万円以下(給与収入のみなら123万円以下)
なお、詐欺や恐喝による被害、別荘などのぜいたく品、事業用の資産は対象外です。 下記の計算のうち、金額が多い方が控除額となります。
- 雑損控除額の算出方法
-
- (損害額+災害関連の支出額-損害により受け取った保険金額)-総所得金額の10%
- (災害関連の支出のうち、盗難・横領被害の原状回復を除く費用-損害により受け取った保険金額)-5万円
※災害関連支出には、盗難・横領による原状回復費用は含まれません。
医療費控除
1年間に10万円を超える医療費を払った人が受けられる控除です。生計を一にする配偶者や親族の医療費は対象となりますが、健康診断や美容整形、栄養ドリンクなどの費用は対象となりません。
- 医療費控除額の算出方法
-
- 総所得が200万円以上:1年間の医療費の合計-10万円
- 総所得が200万円以下:1年間の医療費の合計-総所得の5%
1年間とは、申告する年の1月1日~12月31日を意味します。
控除額の計算のベースは、医療費全額から保険金などで補填される金額を引いたもので、そこから10万円を引いたもの、もしくは総所得金額等が200万円未満の場合は総所得金額の5%が控除されます。なお、控除額の上限は200万円です。
なお、2026年12月31日までは「セルフメディケーション税制」も利用できます。こちらは健康診断や予防接種など健康促進の取り組みを一定程度行っている人およびその家族が、薬局で特定一般用医薬品等(指定の風邪薬など)を購入した費用が一定の条件で所得控除となる制度です。
年間12,000円以上該当する医薬品を購入した人が対象で、控除額は以下の様に計算します。
- セルフメディケーション税制の算出方法
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- 1年間の特定一般用医薬品等購入額-12,000円
※上限88,000円
セルフメディケーション税制と通常の医療費控除は選択制なので、どちらか控除額が大きくなる方で申告しましょう。
寄附金控除
寄付金控除は、国や公益法人などに特定の寄附金を払った人のための控除です。ふるさと納税などもこれに含まれます。
寄付金控除は、「(特定寄附金の合計額※と、総所得金額等の40%相当額のいずれか低い方の金額)-2,000円」が控除額となります。
※特定寄附金の合計額には、上限(800万円)が設けられているものもあります。
寄付金控除は、税額控除にも寄附金特別控除があります。
寄付金特別控除に当たるのは、政党や政治資金団体、認定NPO法人、公益社団法人などに対する寄付金の控除です。これらの寄付をした場合には、どちらかを選べます。
社会保険料控除
社会保険料を支払った金額が、全額所得から控除されます。次の通り、該当する保険料は多岐にわたります。
-
- 国民年金保険料
- 厚生年金保険料
- 健康保険料(健康保険税)
- 後期高齢者医療制度の保険料
- 船員保険料
- 介護保険料
- 雇用保険料
- 国民年金基金の掛金
- 農業者年金保険料
- 厚生年金基金の掛金
- 労働者災害補償保険の特別加入者が支払う保険料
生計を一にする配偶者や扶養親族の保険料を支払っている場合も控除が可能です。控除できる項目が多いので、支払った社会保険料を正確に把握し、控除忘れが出ないように注意しましょう。
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済掛金や確定拠出年金などを支払っている人が受けられる控除です。次の掛金が控除されます。
-
- 自営業者向けの小規模企業共済
- 企業型確定拠出年金
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
- 心身障害者扶養共済
小規模企業共済は個人事業主の退職金制度のようなもので、サラリーマンには関係ありません。一方で、個人型確定拠出年金(iDeCo)はサラリーマンの加入者も多い制度です。加入している方は忘れずに所得控除を受けてください。
なお、控除金額は1年間に払った全額ですが、控除対象は加入者の掛金のみで扶養者などの掛金は控除できません。
生命保険料控除
生命保険・個人年金・介護医療の保険料を支払っている人が受けられる控除です。
控除額の最高は生命保険が「新契約」が含まれる場合は、各項目4万円ずつの12万円です。旧契約のみの場合は生命保険・個人年金は各項目5万円まで控除できますが、3項目の控除総額の最高額は同様に12万円となります。
新契約(2012年1月1日以降の契約)の生命保険料・個人年金保険料控除
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
| 2万円以下 | 支払保険料等の全額 |
| 2万円超~4万円以下 | 支払保険料等×1/2+1万円 |
| 4万円超~8万円以下 | 支払保険料等×1/4+2万円 |
| 8万円超 | 一律4万円 |
旧契約(2012年1月1日より前の契約)の生命保険料・個人年金保険料控除
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
| 2万5,000円以下 | 支払保険料等の全額 |
| 2万5,000円超~5万円以下 | 支払保険料等×1/2+1万2,500円 |
| 5万円超~10万円以下 | 支払保険料等×1/4+2万5,000円 |
| 10万円超 | 一律5万円 |
なお、新旧双方に加入している場合は、いずれか控除額の大きな方を任意で選択できます。
介護医療保険料控除(2012年1月1日以降に締結した新契約の場合)
2011年以前の旧契約の場合、介護・医療保険は「一般の生命保険料控除」の枠で計算します。
| 年間の支払保険料等 | 控除額 |
| 2万円以下 | 支払保険料等の全額 |
| 2万円超~4万円以下 | 支払保険料等×1/2+1万円 |
| 4万円超~8万円以下 | 支払保険料等×1/4+2万円 |
| 8万円超 | 一律4万円 |
また、個人年金保険料については、保険料の払込期間および年金受取期間が10年以上(もしくは終身)の契約が対象です。生命保険料控除は、支払い人が本人であれば家族名義でも申告できます。ただし、保険金等の受取人が本人・配偶者・親族でなければなりません。
地震保険料控除
地震保険などの損害保険料を払っている人が受けられる控除です。次に該当する住宅・家財の地震保険契約が控除の対象となります。
-
- 所得税の確定申告/年末調整をする本人が所有・居住している自宅
- 生計を一にする親族が所有・居住家
- 本人/生計を一にする親族が保有する家財
地震保険には「地震保険料」と「旧長期損害保険料」の2種類があり、どちらに該当するかによって計算式が異なります。なお、旧長期損害保険は2006年12月31日以前に契約して、その後契約変更がない保険が対象です。
控除額は以下の要領で計算します。
- 地震保険料:
-
- 年間に支払った保険料の全額(上限5万円)
- 旧長期損害保険料:
-
- 年間の保険料額が1万円以下の場合:全額
- 年間の保険料額が1万円超2万円以下:支払った金額×1/2+5,000円
- 年間の保険料額が2万円超:一律15,000円
- 地震保険料と旧長期損害保険料の両方がある場合:
- 別々の契約で両方の保険料を支払っている場合は、それぞれの方法で計算した金額を合計(最高5万円)して控除を受けられます。 ただし、1つの保険契約の中で両方の保険料を支払っている場合に限り、どちらか一方の控除(額が大きい方など)を選択することになります。
寡婦控除・ひとり親控除
婚姻をしていない、または配偶者と死別した人で、本人の合計所得金額が500万円以下の場合に受けられる控除です。
-
- ひとり親控除(35万円): 生計を一にする子(※)がいる人が対象です。
- 寡婦控除(27万円): ひとり親に該当しない女性で、離婚して扶養親族がいる、または死別した人が対象です。
※事実上の婚姻関係にある人がいる場合は対象外です。
障害者控除
納税者本人や控除対象配偶者、扶養家族が障害者の場合に受けられる控除です。扶養控除の対象とならない16歳未満の扶養親族がいる場合でも、この控除は受けられます。
控除額は、ひとりにつき27万円、特別障害者はひとりにつき40万円、同居特別障害者はひとりにつき75万円となっています。
勤労学生控除
納税者が勤労学生の場合に適用となり、控除額は一律27万円です。
条件は、以下の3つの要件を満たす必要があります。
-
- アルバイトなどの勤労による所得があること
- 合計所得金額が85万円以下(給与収入のみの場合、年収140万円以下が目安)で、かつ給与以外の所得が10万円以下であること
- 大学、高校、専修学校などの特定の学校の学生・生徒であること
控除額とは?計算方法をわかりやすく解説

「控除額」とは、課税所得または税額から差し引くことができる具体的な金額のことです。控除の種類ごとに上限額や計算方法が定められています。
控除額の計算例
給与収入500万円の会社員Aさんが、次の所得控除を受けた場合を例に見てみましょう。(令和8年度分として)
| 控除の種類 | 控除額 |
|---|---|
| 給与所得控除 | 144万円 |
| 基礎控除 | 68万円 |
| 社会保険料控除(年間約70万円) | 70万円 |
| 生命保険料控除 | 4万円 |
| 合計控除額 | 286万円 |
給与収入500万円 ー 控除額合計286万円 = 課税所得214万円
この214万円に税率をかけて所得税額が計算されます。控除が多ければ多いほど、課税所得は下がります。
控除額は多いほうが節税になる?
基本的には控除額が多いほど節税効果は高まります。ただし、いくつか注意点があります。
-
- 各控除には上限額があります(例:生命保険料控除は最大12万円)
- 所得要件や対象者の要件を満たさなければ適用されません
- 課税所得がゼロを下回ることはなく、課税所得が低い方は効果が頭打ちになるケースもあります
- 所得控除と税額控除では節税効果の大きさが異なります(税額控除のほうが税金そのものを直接減らせるため有利)
むやみに支出を増やして控除を増やしても、支出が節税額を上回れば本末転倒です。まず自分が受けられる控除をもれなく申告することが最優先です。
【一覧表】税額控除の種類

税額控除は、主に以下のようなものがあります。納めるべき税額から控除額を差し引けるのが特徴です。それぞれの控除対象者や、控除額について詳しく見ていきましょう。
| 控除の種類 | 概要 | 主な控除額 |
|---|---|---|
| 住宅ローン控除 | マイホーム購入・リフォーム時に適用 | 年末ローン残高×0.7%(最大) |
| 住宅特定改修特別税額控除 | バリアフリー・省エネリフォームが対象 | 工事費用の一定割合 |
| 住宅耐震改修特別控除 | 耐震改修工事が対象 | 工事費用の10%など |
| 配当控除 | 国内法人から配当を受けた場合 | 配当金額×一定率 |
| 外国税額控除 | 海外で納めた税額の二重課税を防ぐ | 外国で支払った税額 |
| 災害減免額 | 住宅・家財に甚大な損害を受けた場合 | 所得税額の一定割合 |
住宅ローン控除
住宅ローンを組んでマイホームを新築、購入した人、家の増改築をした人が所得税の減税を受けられる制度です。住宅ローンの年末残高の0.7%を、最大13年間(既存住宅等は10年間)にわたって所得税額から直接控除できます。
住宅ローン控除を受けるための条件は以下の通りです。
-
- 所得制限:合計所得金額が2,000万円以下
- 返済期間:ローン返済期間が10年以上
- 入居時期:住宅取得後6カ月以内に住む
- 床面積:原則として住宅の床面積が50㎡以上(計所得金額が1,000万円以下の場合は、40㎡以上から適用可能)
- 中古住宅:昭和57年(1982年)以後に建築された住宅、または現行の耐震基準に適合することが証明された住宅であること
- 店舗併用: 店舗・事務所などとの併用住宅の場合、床面積の2分の1以上が専ら自己の居住用であること
会社に勤めるサラリーマンも、最初の年は確定申告が必要ですが、2年目からは年末調整で控除できます。
住宅特定改修特別税額控除
自己所有の住宅に一定の改修工事(省エネ、バリアフリー、子育て対応など)を行った場合に、ローンの有無に関わらず所得税額から直接控除を受けられる制度です。
住宅特定改修特別税額控除を受けるための主な要件は、以下の通りです。
-
- 適用期限:令和8年1月1日〜令和10年12月31日までに居住
- 所得制限:合計所得金額が2,000万円以下
- 床面積:原則として40平方メートル以上(合計所得金額が1,000万円超の場合は50平方メートル以上)
- 工事費:標準的な工事費用の額から補助金等を差し引いた額が50万円超
- その他の条件:改修工事の日から6カ月以内に居住し、床面積の2分の1以上が専ら自己の居住用であること
対象となる改修工事の標準的な費用の額(上限あり)の10%、その他のリフォーム費用については5%が所得税から控除されます(最大60万〜80万円)。
住宅耐震改修特別控除
昭和56年5月31日以前に建築された(旧耐震基準の)住宅を、現行の耐震基準に適合させるための改修工事をした場合に、所得税額から直接控除を受けられる制度です。
主な適用要件は以下の通りです。
-
- 対象となる住宅:昭和56年5月31日以前に建築された家屋
- 所得制限:納税者本人の合計所得金額が2,000万円以下
- 主たる住居:本人が主として居住する住宅(2以上の住宅を所有する場合はメインの自宅)
- 耐震基準: 改修後の家屋が、現行の耐震基準に適合することが証明されている
- 所有要件:原則として自己の所有する家屋である
標準的な工事費用の額をもとに計算した金額が控除されます。
配当控除
確定申告で「総合課税」を選択した配当所得がある場合に受けられる控除です。日本国内に本店のある法人から受ける利益の配当や、証券投資信託の利益の分配が対象となります。
※外国法人からの配当や基金利息などは対象外
控除金額は配当所得の金額をもとに計算した金額(10%または5%など)が控除されます。
※控除額は、算出された税額が限度
外国税額控除
日本と外国の両方で二重に税金がかかるのを防ぐための控除です。日本で課税される所得の中に外国で生じたものがあり、その外国の法令で所得税に相当する税金が課されている場合に適用されます。
控除額は納付した外国所得税額をもとに計算した金額(控除限度額まで)です。以下の様に計算します。
その年分の所得税額 ×(その年分の調整国外所得金額 / その年分の所得総額)
災害減免額
震災、風水害、火災などの災害によって、住宅や家財に大きな損害を受けた場合に、その年の所得税額が軽減または免除される制度です。損害金額が時価の2分の1以上の場合に対象となり、その年の所得税額をもとに、合計所得金額に応じて控除(軽減または免除)されます。
ただし、災害にあった年の合計所得金額が1,000万円を超える場合には対象となりません。その際には、所得控除の雑損控除が利用できます。
確定申告・年末調整での控除の申告方法

サラリーマンや個人事業主が控除を受けるためには、主に年末調整や確定申告の際に申告を行います。
タイミングを逃してしまうと、控除が受けられなくなったり、二度手間になったりするため、慎重に準備を進めましょう。
所得税の控除の手続きを行うと、翌年の住民税にも反映されます。
所得控除と税額控除の流れ
所得税の計算は、大きく分けて2つの段階で控除が行われます。
まず「所得控除」を差し引いて税金を計算するための基準となる金額(課税所得)を決め、そこに税率をかけて税額を算出します。さらに、その算出された税額から「税額控除」を直接差し引くことで、最終的な納税額が決まります。
所得控除は「課税される所得金額」を小さくするのに対し、税額控除は「算出された税金」から直接差し引くため、同じ金額の控除でも節税の効果が大きく異なります。
- 【例:所得10万円・税率5%・控除額1万円の場合】
-
- 所得控除の場合
- 税額控除の場合
所得10万円から1万円を引いた「9万円」に税率5%をかけるため、税額は4,500円になります。控除がない場合(5,000円)と比べて、安くなる税金は500円です。
所得10万円に税率5%をかけた税額5,000円から、1万円を直接差し引きます。この場合、税額は0円になり、税金5,000円分すべてを減らす効果があります。
※所得税の税率は、課税される所得金額に応じて5%から45%の7段階に区分されています。
基本的に自己申告が必要
基本的には所得控除も税額控除も自己申告が必要です。
ただし、サラリーマンの場合には、個人事業主のように自分で収入と控除の計算をしたり、税務署に書類を持って行ったりしなくても良い人が多くなります。
サラリーマンの場合には、ほとんどの控除は年末調整で行い、一部の控除のみ自分で確定申告することが必要です。
サラリーマンは、年末調整で申告
サラリーマンの控除は、多くが年末調整で行えます。年末調整は、会社が控除の手続きを代行してくれるため、自分で行うのは簡単な書類記入と提出だけです。
年末調整の書類とともに控除証明書などを提出すると、会社が税計算をして、還付金などの対応をしてくれます。
ただし、控除しても天引きされた所得税が余らなければ、還付金はないので注意してください。
個人事業主や一部のサラリーマンは、確定申告で申告
個人事業主だけでなく、サラリーマンも一部の控除を受けるためには確定申告が必要となる場合があります。
サラリーマンで確定申告が必要な所得控除は、主に雑損控除・医療費控除・寄附金控除などです。
また、税額控除では寄附金特別控除・外国税額控除・配当控除が確定申告をしないと受けられません。住宅ローン控除の開始の年も、確定申告が必要です。
控除に必要な書類
所得控除と税額控除、年末調整と確定申告、それぞれのために必要な書類は違います。確定申告に使う書類を年末調整に提出しないように注意しましょう。
- 年末調整で必要な書類
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- 給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
- 給与所得者の保険料控除申告書
- 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書
- 給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書兼(特定増改築等)住宅借入金等特別控除計算明細書
- 年末調整に使う主な証明書類
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- 保険会社などが発行する支払額などの証明書
- 住宅取得資金などに係る借入金の年末残高等証明書(2年目以降)
- 個人事業主の確定申告で必要な書類
-
- 確定申告書B
- 青色申告決算書
- 個人事業主の確定申告に使う主な証明書類
-
- 保険会社などが発行する支払額などの証明書
- 住宅取得資金などに係る借入金の年末残高等証明書(2年目以降)
- 所得控除の確定申告に使う主な証明書類
-
- 災害関連支出の金額の領収を証する書
- 医療費・薬代等の領収書
- 寄附した団体などから交付を受けた領収書など
- 税額控除の確定申告に使う主な証明書類
-
- 配当金支払計算書
- 外国所得税を課されたことを証する書類
- 寄附金(税額)控除のための書類
- 住宅取得資金等に係る借入金の年末残高等証明書(初年)
ワンストップ特例制度で控除とは
ふるさと納税のワンストップ特例制度を使う場合には、控除の方法が少し異なります。
ワンストップ特例では、所得税が還付されるのではなく、翌年の住民税が減額される形で控除されます。
個人事業主・フリーランスが活用したい控除

起業家・個人事業主にとって特に活用したい控除をまとめました。これらをもれなく申告するだけで、節税効果は大きく変わります。
青色申告特別控除(最大65万円)
青色申告を選択し、複式簿記で帳簿をつけてe-Taxで申告すると、所得から最大65万円を控除できます。単式簿記での申告は10万円控除にとどまるため、できるだけ複式簿記に対応した会計ソフトを活用することをおすすめします。
小規模企業共済等掛金控除(iDeCo・小規模企業共済)
iDeCo(個人型確定拠出年金)や小規模企業共済の掛け金は、支払った全額が所得控除の対象になります。老後の資産形成と節税を同時に行える、個人事業主にとって最も優先度が高い控除のひとつです。
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- iDeCo:月額最大6.8万円(国民年金第1号被保険者の場合)
- 小規模企業共済:月額最大7万円
※令和8年12月から上限額が7.5万円にアップ
社会保険料控除
国民健康保険・国民年金などの社会保険料は、支払った全額が所得控除の対象です。家族の保険料を自分が支払っている場合も、まとめて控除できます。
医療費控除・セルフメディケーション税制
1年間に支払った医療費が10万円を超えた場合(合計所得200万円以下の場合は所得の5%を超えた額)に適用されます。家族分の医療費も合算できます。また、特定の市販薬の購入費用を対象とする「セルフメディケーション税制」との選択適用も可能です。
生命保険料控除・地震保険料控除
生命保険・介護医療保険・個人年金保険の保険料は、年間最大12万円まで控除できます。地震保険料は最大5万円です。保険会社から秋頃に証明書が届くので、確定申告までに確認しておきましょう。
控除についてよくある質問
Q. 控除と経費はどう違うのですか?
A. 控除と経費は、税金を計算する過程で「差し引く対象」が異なります。「経費」は、商品の仕入れや家賃など、売上を得るために直接必要だった支出を「売上」から差し引くものです。一方、「控除」は、売上から経費を引いた後の「所得」から、家族構成や社会保険料などの個人的事情を考慮してさらに差し引く制度です。
Q. 個人事業主が利用しやすい所得控除には何がありますか?
A. 全員に適用される「基礎控除」のほか、健康保険や年金の支払額に応じた「社会保険料控除」、青色申告者に認められる最大65万円の「青色申告特別控除」が代表的です。また、「小規模企業共済」や「iDeCo(個人型確定拠出年金)」の掛金は全額が所得控除の対象となるため、将来の備えをしながら現在の税負担を減らす非常に有効な手段となります。
Q. 控除を受けるために領収書や証明書は必要ですか?
A. はい、多くの控除で証明書類の提示や保管が義務付けられています。例えば、生命保険料控除や社会保険料控除を受けるには、秋頃に送られてくる「控除証明書」が必要です。また、医療費控除を受ける場合は領収書に基づいた明細書の作成(領収書自体は5年保存)が求められます。最近ではマイナポータル連携による電子データでの申告も普及しており、管理方法の確認が重要です。
Q. 青色申告特別控除を受けるには何が必要ですか?
A. 主に2つの条件があります。まず、その年の3月15日までに(新設の場合は開業から2カ月以内)「青色申告承認申請書」を税務署に提出していること。そして、日々の取引を「複式簿記」で記帳し、貸借対照表と損益計算書を申告書に添付することです。ハードルが高く感じられますが、現在は会計ソフトを活用することで、初心者でも比較的スムーズに必要書類を作成できるようになっています。
Q. 控除は多いほうが節税になりますか?
A. 基本的には多いほど節税効果が高まりますが、控除には上限額や所得要件があります。
ただし、所得控除と税額控除では効果の大きさが異なり、税額控除のほうが1円あたりの節税効果は高くなります。
まとめ・控除を上手に活用して節税につなげよう
控除は所得税などを節税する際に使える便利な制度です。控除の目的も税徴収の公平性にあるため、可能な控除は全て活用し、節税しましょう。
手続きの方法は、控除の種類やその人の状況によって異なるため、注意してください。また、控除のためには必要書類を整えることも必要となります。
毎年の年末調整や確定申告では忘れずに控除を活用し、納税額を抑えましょう。
(編集:創業手帳編集部)
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