oVice ジョン セーヒョン|学生時代から起業!生粋の起業家精神を持つ oVice創業者にインタビュー
リモートワークを変える!?新しいコミュニケーションツール「oVice」創業者の、スピード感のある起業
みなさんは「oVice」をご存じでしょうか?
「oVice」は仮想オフィスサービスを指し、リモートワークを導入しやすくする新しいコミュニケーションツールとして多くの企業から注目を集めています。
リモートワーク以外のシーンでも幅広く活躍してくれる便利なツールです。
oVice株式会社代表のジョン セーヒョンさんは学生時代から起業しており、数回に渡る起業を重ねて「oVice」を生み出しています。
生粋の起業家精神を持つジョンさんは、どのような経験を経て起業をしたのか、具体的なエピソードをうかがいました。
1991年生まれ、オーストラリアで高校卒業後、韓国に帰国し、貿易仲介事業を起こす。東日本大震災をきっかけに日本の大学に進学し、IT企業の企画インターンを経て、大学在学中、大阪で起業し、越境関連IT事業を行う。複数のベンチャーキャピタルから資金調達を行い、2017年、東証一部上場企業に会社を売却。2019年からはAI・ブロックチェーン・RPAなど、先端のIT技術のコンサルティングを行っており、2020年において新たな技術を創造するためのNIMARU TECHNOLOGY(現在のoVice社)を設立。新型コロナウイルスの流行によってアフリカで足止めされたことをきっかけでoViceの開発を始める。創業手帳でもカンボジアにあるキリロム工科大学で紹介を受け、朝礼や会議時に利用中。
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
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この記事の目次
流動的なコミュニケーションが取れる「oVice」とは何か
大久保:まず、コミュニケーションツール「oVice」について教えていただいてもよろしいでしょうか。
ジョン:「oVice」は現実空間にあるオフィスをイメージしたオンラインコミュニケーションツールです。
リモートワークだけでなく、イベントスペースやコミュニティスペースとしても使えます。
仮想オフィスに各自のアバターが表示され、自身のアバターを話したい相手のアバターに近づけることで会話できるのが他のツールと違う点です。
アバターを移動させることで違うグループとも話ができ、流動的なコミュニケーションが取れるツールとなっています。
大久保:創業手帳の社内でもoViceは導入させていただいています。
IT人材育成施設でも有名な「キリロム工科大学」の猪塚大学長にインタビューさせていただいたことがあるのですが、猪塚大学長の紹介がきっかけでoViceを導入してみました。
朝礼でディスカッションをすることが多いので大変役に立っており、会議室機能と自由に話せる点が魅力的だと実感しています。
ジョン:キリロム工科大学さんから話を聞いて使ってくださっているのですね。ありがとうございます。様々な機能が使えますので、今後もぜひ使ってみてください。
起業のきっかけや1度目の起業との違い
大久保:大学在学中に起業したとのことですが、その時はどういった起業をされたんですか?また、その理由は何ですか?
ジョン:私の出身は韓国で、オーストラリアへ留学した後に日本に来たのですが、1度目の起業で成功したわけではないんです。起業と失敗を繰り返して今に至ります。
初めは貿易会社を起ち上げたのですが、当時からITの知識があったというわけではありません。ただ英語・日本語・韓国語が話せたため、それを活かせたらと思って起ち上げたのがきっかけです。
大久保:1回目と今回のoViceでの起業時の違いはどのようなところがありますか?
ジョン:一番実感しているのが「時代の流れに乗っているか」ですね。
以前起ち上げていた会社では時代の流れから少しズレがあったり、東日本大震災などの影響で予測不能な事態が生じてしまったりといまいち軌道に乗りませんでした。
今回のoViceは時代の流れに合った起ち上げができたと思っています。
大久保:どのような点を意識して時代の流れを予測していますか?
ジョン:時代の流れを読むのはやはり難しいです。
私は、自分自身が課題として感じているものを開発しています。
oViceは、自分が抱える課題を解決するためにはどのような機能が必要なのかを考え抜いて開発したツールです。
今では利用してくれているユーザーの話も取り入れながら開発を進めていますが、やはり「自身の課題を解決する」という考えは今も根強く残っています。
課題を解決するための熱意によって、良い物を生み出すことができます。
多くのユーザーにとって魅力的に感じるサービスができると自然に広がっていくため、時代の流れを予測するとともに熱意も大切だと実感しました。
大久保:なるほど。以前と今回の起業に違いはありますか?
ジョン:1度目とは違って、今回のoViceでは一通りのプロダクトがわかっており、スムーズに起ち上げることができました。
一連の流れがわかっていることによる差は大きいと実感しております。
起業を繰り返すことで、自分のやりたい課題に対してどのように行動をすればいいかの知識を得られたため、効率よく進められるようになりました。
複数の起ち上げから学んだ起業をする上で重要なこと
大久保:1回目の起業を振り返ってみて、特に効率が悪かったと感じる部分はどこですか?
ジョン:自分で会社を起ち上げたのが初めてということで、社会経験や知識が足りていなかったという点が効率を悪くしていたと感じます。
その後、IT企業を起ち上げたのですが、この時はITに関する市場規模などを気にしていませんでした。
2度目の起業ということもあり、力を入れて行動しました。
しかし大手と比べてしまうと勝てない部分も多くあり、最終的に断念した流れになります。
3度目以降の起業では調査をしっかりと行ったため、市場規模は良かったのですが、資金調達に関する点で失敗しました。
大久保:3度目以降は資金調達ができなかったのですか?
ジョン:資金調達自体は成功したのですが、たくさん資金が入った分、後先考えずに行動してしまい、資金不足に陥ってしまったことが失敗につながったと考えています。
今回のoViceでは、これまで経験してきた失敗を繰り返さないように行動できたので、順調に進められていると思います。
大久保:なるほど、資金不足に陥った点は売上げが原因ですか?
ジョン:KPI(重要業績評価指標)の設定が甘かったと実感しています。
売上げが期待していた通りには上がらなかったため、断念しました。
大久保:会社をなくしてまた新たに起業するのは大変だと思うのですが、ジョンさんは起業を繰り返すことについてどのように考えていますか?
ジョン:繰り返しの起業による莫大な損失がなかったという点が、私の場合は大きいと思います。
1度目の貿易会社では個人事業主という形で活動していたため、成果が出て失う前に辞められたので、リスクがありませんでした。
2度目以降の、資金調達ができた起業に関してはすごく悩みましたね。
色々悩んでいたのですが、経営者と関わることが多かったこともあり、困っていた時に関わっていた経営者からオファーをいただき売却をするような運びになりました。
コミュニティによる繋がりもありますが、会社をなくすときの損失などを最小限に抑えながら豊富な経験を得たため、起業を繰り返して良かったと思います。
働き方が変わってきている日本の今後について
大久保:日本の働き方が変わってきている中で、ジョンさんは今後のどのように変わっていく、あるいは変わってほしいと考えますか?
ジョン:新型コロナウイルスの影響もありますが、「東京の満員電車が解消されてほしい」と考えています。
東京の満員電車は海外でも異常だとメディアで取り上げられているほどです。
韓国の場合も一部は東京の満員電車のような状態になっていますが、日本は東京だけでなく、千葉や埼玉も同じような現象が起きているのでかなり異常だと思います。
大久保:確かに、日本は高範囲での渋滞になっていますね。
ジョン:oViceを利用している企業の中には出社率9割減を実現できています。
このように、リモートワーク化が進むと東京の満員電車が解消されて、別のアクティビティ・遊び場が東京にでき、新たな市場が切り拓かれるのではないかと考えています。
大久保:日本の会社で働きながら海外に住むのは夢のような話でしたが、今ではそれが現実化できつつありますよね。
ジョン:そうですね。リモートワークを導入することによって海外にいても円滑に仕事が進められるようになってきたので、これからさらに働き方やライフスタイルが変わってくると思います。
ジョンさんから起業家へのメッセージ
大久保:ありがとうございます。最後に起業家向けにメッセージをいただけたらと思います。
ジョン:起業を考えているのであれば、自身や周りの抱えている課題を解決することに対しての意欲を大切にしてください。
例えば女性の課題を解決しようと考えている場合は、自分自身が女性の気持ち・立場になって課題を汲み取れるかどうかが重要です。
時代の流れを読むことも必要ですが現実的にはなかなか難しく、すぐにヒットする場合もあればなかなか芽が出ない場合もあります。
自分や周りの課題を解決しようとする意欲があると率先して行動に移せるため、起ち上げで失敗することが少なくなるのではないでしょうか。
大久保:本日はありがとうございました。
日本では失敗することを恐れて行動できないという人も多いですが、ジョンさんの話からもわかるように、失敗をして損だけが残るというわけではありません。
失敗から得られる経験や知識がありますので、起業をしようと考えている人は周りの起業家の経験や知識を吸収しながら事業起ち上げへの挑戦をしてみてください。
(取材協力:
oVice株式会社 代表取締役 ジョン セーヒョン)
(編集: 創業手帳編集部)