郵便料金の値上げが検討!事業者への影響とやっておきたい対策方法

改正郵政民営化関連法(郵便法)の可決・成立で2027年度にも郵便料金の値上げを検討


2026年6月12日、改正郵便法と改正信書便法が参議院の本会議で可決・成立し、総務省は2026年度内での施行を考えています。
日本郵便の親会社である日本郵政は、2027年度内に郵便料金を値上げする見通しを立てており、今回の可決・成立によって料金を引き上げる見込みが強まったと言えます。

郵便料金の値上げによって、事業者はどのような影響を受けてしまうのでしょうか。
この記事では、郵便料金の値上げが検討されている背景や値上げ幅の予測、事業者への影響などを解説します。
事業者が事前にやっておきたい対策や、値上げ以外にもチェックしておきたいポイントなども紹介しているため、特に業務で郵便を使う機会が多い人は、ぜひ参考にしてください。

郵便料金の値上げが検討されている背景


郵便料金は徐々に値上げが実施されており、2019年に63円だったはがき料金は、2024年に85円まで値上げされています。
さらに2027年度内に値上げが検討されているのには、どのような背景が影響しているのでしょうか。ここで、郵便料金の値上げが検討されている背景を解説します。

郵便物の減少

値上げが検討されている背景の1つに、郵便物の減少が挙げられます。
インターネットが普及したことで、メールやSNS、チャットツールなどを介して遠方にいる人とも気軽に連絡が取れるようになりました。
その結果、手紙やはがきなどを活用する機会が大幅に減少しています。

また、企業間でのやり取りでも近年はペーパーレス化が進んでおり、郵便の需要はさらに低迷しています。
日本郵政の2026年3月期における決算説明資料によると、取扱数量は年々減少しており、前年同期比で5%の減少が見られました。
郵便物の減少によって1通あたりにかかる配達コストが上昇し、採算が取れなくなってきたため、値上げが検討されています。

運営コストの増加

郵便物の減少に加え、運営コストが増加している点も値上げが検討されている背景に影響しています。
最低賃金の上昇に伴う人件費の増加に加え、物流業界全体が直面した2024年問題の影響で、輸送コストも増えています。
また、世界情勢の影響で燃料価格の高騰や、郵便局の運営に必要な交通費の値上がりなども日本郵便にとって大きな痛手です。

その結果、2026年3月期の経営成績は、営業収益が2兆2,975億円だったのに対し、営業費用が2兆3,094億円(うち人件費1兆3,493億円、経費9,601億円)で、営業損益は118億円の赤字となりました。
前年同期の383億円の赤字に比べれば改善されているものの、未だに赤字が続いている状況です。

ユニバーサルサービスの維持

郵便事業で赤字は続いているものの、日本郵便および日本郵政はユニバーサルサービスを提供する責務があります。
ユニバーサルサービスとは、全国どこにいても利用でき、国民が生活する上で基本的なサービスのことです。郵便局では以下のユニバーサルサービスを提供しています。

ユニバーサルサービス 業務内容
郵便窓口業務 郵便物の引受け・交付、郵便切手などの販売
銀行窓口業務 通常貯金の受入れ、定額貯金・定期貯金の受入れ、為替・払い込みおよび振替
保険窓口業務 普通終身保険・特別終身保険、普通養老保険・特別養老保険の保険募集、満期保険金・生存保険金の支払請求の受理

これらのサービスを全国どこでも、都市部・過疎地を問わず同じ料金で提供しなくてはなりません。
郵便の需要は減っているものの、生活に欠かせないサービスを守るために料金の値上げが検討されているのです。

郵便料金の値上げ幅はどれくらいになるのか?


郵便料金は2024年10月に一度引き上げられましたが、2027年度の値上げではどれくらいの値上げ幅となるか気になる人も多いかもしれません。
ここでは、2026年7月時点での郵便料金と、2027年度に想定される値上げ幅を紹介します。

【2026年7月】郵便料金一覧

2026年7月現在の郵便料金は以下のとおりです。

種類 重量 料金
通常はがき 85円
往復はがき 170円
定形郵便物 50g以内 110円
定形外郵便物(規格内) 50g以内 140円
100g以内 180円
150g以内 270円
250g以内 320円
500g以内 510円
1kg以内 750円
ミニレター 25g以内 85円
レターパックライト 4kg以内 430円
レターパックプラス 4kg以内 600円
スマートレター 1kg以内 210円
速達 250g以内 基本料金+300円
1kg以内

基本料金+400円
4kg以内 基本料金+690円
一般書留 基本料金+480円
現金書留 基本料金+480円
簡易書留 基本料金+350円

定形外郵便物の規格内とは、長辺34cm以内、短辺25cm以内、厚さ3cm以内で、重さは1kg以内になります。
なお、規格外は長辺60cm以内で長辺+短辺+厚さの合計が90cm以内、さらに重さは4kg以内のものが該当し、料金は規格内よりも高く設定されています。

2027年度に想定される値上げ幅

2027年度に想定される値上げ幅は、20円または10円になる改定案が出ています。
2026年5月15日に公表されている日本郵便の「収支改善計画」の中で、郵便料金の改定を行った場合の効果額をシミュレーションしています。

施策 2027年度 2028年度
20円改定(2027年10月) 1,007億円 1,981億円
10円改定(2027年10月) 519億円 1,015億円

20円に値上げした場合、2028年度の効果額は約2,000億円となる見込みです。
2027年以降もコストはさらに増加していく可能性もあることから、20円の値上げ幅になるのではないかと予想されます。

郵便料金の値上げによる事業者への影響


郵便料金が値上げした場合、事業者にはどのような影響が出てしまうのか、詳しく解説していきます。

値上げによる経費の増加

直接的に影響を受けてしまうのは、経費の増加です。
例えば、毎月200通のDMを定形郵便物として発送していた場合、2026年7月現在のコストは200通×110円=22,000円となり、年間のコストは264,000円になります。

しかし、郵便料金が20円値上げした場合、200通×130円=26,000円で、年間のコストは312,000円です。
年間のコストに換算すると、5万円近くコストが増加していることがわかります。
特に、郵送を通して書類のやり取りをすることが多い士業や不動産業は注意が必要です。

経理・総務の負担増加

郵便料金の値上げによって経費が増加すれば、経理や総務の負担増加も懸念されます。
例えば、料金が値上げすることで経費精算のルールを変更しなくてはなりません。
これまでの料金から新料金に変更し、さらに社内規定の改定や従業員への周知も必要となります。

また、会計ソフト・販売管理システムなどは送料を自動計算している場合も多く、料金マスタを更新しなくてはなりません。
対応が遅れてしまうと、間違えた状態のまま請求書を発行してしまったり、経理処理で手戻りが生じやすくなったりするので注意してください。

郵便料金の値上げに向けて事業者がやっておきたい対策


郵便料金の値上げが検討されている中で、事業者は事前にどのような対策を取るべきなのか解説します。

電子請求書の導入

請求書を送る機会が多い企業は、郵便料金の値上げを機に紙から電子請求書に切り替えることで、郵便料金だけでなく印刷費や封筒代、発送作業にかかる人件費も削減できます。
近年はインボイス制度や電子帳簿保存法への対応から、クラウド型の請求書発行サービスを導入する企業も増えています。
特に取引先が電子請求書に対応している場合は、PDFなどを活用した送付に移行することで、継続的なコスト削減も期待できるでしょう。

ただし、すべての取引先が電子化に対応しているわけではありません。導入する前に取引先の状況を必ず確認し、紙と電子の併用も検討してみてください。

デジタル契約書の活用

契約書を郵送でやり取りしている企業は、デジタル契約書を活用するのがおすすめです。
デジタル契約書は、電子データに電子署名・電子サイン・電子印鑑などを入力することで、契約を締結させるデジタル状の書面を指します。

デジタル契約書を活用することで、契約書を印刷し、郵送する手間が省くことが可能です。
また、郵送にかかっていたコストの削減以外に、契約締結までの時間を短縮できるというメリットもあります。

ただし、契約内容や取引先によっては、紙の契約書を求められる場合があります。デジタル契約書と紙の契約書を使い分けられる体制を整えておくと安心です。

最適な発送方法の選定

郵便料金は発送するものの内容や重量、サイズによって最適な発送方法が異なります。
例えば、複数回に分けて送っていた書類を1つにまとめて発送したほうが郵便料金を抑えられたり、普通郵便ではなくレターパックを活用したほうがコストを抑えられたりするケースもあります。
定期的に発送状況を分析し、最適な発送方法を選べているか定期的に見直しを図ることで、料金値上げの影響を最小限に抑えられるでしょう。

代替サービスの活用

郵便以外の配送サービスを利用することで、コスト削減につながる場合もあります。
例えば、配送会社が提供する小型荷物向けサービスや、法人向けの配送サービスなどは、荷物のサイズや発送頻度によって郵便よりも費用を抑えられる場合があります。
特にはがきではなく、小さい荷物や大きめのカタログを送る際には、他の代替サービスを検討するのも1つの方法です。

また、請求書や契約書以外に、社内文書や営業資料などはクラウドストレージやビジネスチャットを活用することで、会社の拠点間で書類を共有したい場合に便利です。
郵便だけに依存せず、用途に合わせて複数の配送・デジタルサービスを組み合わせることが、郵便料金値上げへの効果的な対策と言えます。

郵便料金以外にも事業者がチェックしておきたいポイント


日本郵便では、郵便料金の値上げだけでなく、コスト削減や収益の増加に向けて様々な取り組みを実施しています。
その中の取り組みには、郵便を利用する事業者に影響する可能性が考えられる部分もあります。
ここで、郵便料金以外に事業者がチェックしておきたいポイントを解説しましょう。

窓口の昼休止・半日営業の実施

日本郵便の「収支改善計画(2026年)」を確認すると、郵便窓口事業において人件費の削減を目的に、窓口の昼休止・半日営業が実施されます。
基本的に郵便局では昼の時間帯も利用できていました。
しかし、今後は昼休止や半日営業の郵便局が増えるため、郵便局を利用する際には窓口が休止していないか事前に調べておく必要があります。

また、「大事な書類を送付したいのに、半日営業で休みになってしまった」というケースが出てしまう可能性も考えられることから、窓口から郵送を依頼したい場合は早めに郵便局を利用するようにしましょう。

郵便サービス水準の見直し

日本郵便では徹底的なコスト削減・収益拡大に取り組むために、現在法令で求められている郵便サービス水準について、ニーズやコストを踏まえた見直しの要望を検討しています。
現行のサービス水準では、配達頻度は週5日、送達日数は4日以内、ポストは18万本としていますが、このサービス水準を保ったままコスト削減と収益拡大を目指すのは苦しい状況です。

もし郵便サービス水準の見直しの要望が通った場合、配達頻度の減少や送達日数の延期、ポストの減少などが起きる可能性があります。
特に事業者にとっては早く送付してほしくても、配達頻度の減少や送達日数の延期によって、配送が遅れてしまう可能性があるため、最新の動向に注目していきましょう。

国内外における企業間物流の強化

日本郵政グループの「JPプラン2028」の新中期経営計画における重点戦略の中で、日本郵政グループは、今後国内外の企業間物流を強化し、総合物流企業への転換を目指していることが発表されています。
国際物流と国内物流を一体で事業運営できる起用を目指し、利便性の高い物流サービスの提供を計画しています。
今後国内外の企業間物流が強化されれば、物流サービスの選択肢がさらに広がる可能性が高いです。

ゆうパック・ゆうパケットの利便性向上

日本郵便は、収益拡大策としてゆうパック・ゆうパケットの利便性向上を目指しています。
例えば、送達日数のスピードアップや差出条件(時間・場所)の緩和など、サービスレベルの改善を通じ、EC市場で荷物の獲得に取り組むとしています。
また、日本向け越境ECに対応した商品の開発や、郵便局アプリの改善、デジタルアドレスの利用拡大も個数拡大に向けた取り組みとして挙げています。

ゆうパック・ゆうパケットの利便性が向上することで単純に使いやすくなり、頻繁にゆうパック・ゆうパケットで荷物を送付することが多い事業者にとっては、メリットのある取り組みだと言えるでしょう。

まとめ・郵便料金が値上げする前に自社への影響を試算しよう

郵便料金の値上げは、郵送を利用する機会が多い事業者ほどコストや業務効率に大きな影響を与える可能性があります。
電子請求書やデジタル契約書の活用、発送方法の見直し、代替サービスの活用などを進めることで、負担を軽減できる可能性があります。
郵便料金が値上げする前に、一度自社の郵送に関する業務を棚卸しし、削減できるコストや改善できる業務フローがないか見直したり、自社への影響を試算したりすることが大切です。

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今回のように将来的な値上げへの対策なども紹介しているので、ぜひ創業手帳をお役立てください。

(編集:創業手帳編集部)