開業・独立のお知らせの書き方や文例、マナーを徹底紹介!

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開業のお知らせを出すタイミングや送付方法、複数パターンの文例を紹介

開業のお知らせ
開業のお知らせは開業の挨拶を行うためだけではなく、これまでお世話になった方々への感謝の気持ちを表し、関係性をより深めていくための有効なツールとしても活用できます。

この記事では取引先や関係者などに開業・独立のお知らせを出す上で、知っておくべきマナーや注意点のほか、具体的な文例についてご紹介しています。

記事を読むことで、マナーや文例を参考にオリジナルの挨拶状を作成することができます。参考にしながら進めてみてください。

開業のお知らせを出すのに最適なタイミングは?

開業のお知らせを出すのに最適なタイミングは?
開業のお知らせを送る際の悩みとして、「開業前と開業後のどちらのタイミングで送ればいいのかがわからない」という人も多いのではないでしょうか。

一般的には、開業前にお知らせを出すのが礼儀とされています。

開業前といっても、数カ月前から送る必要はありません。開業日の1カ月前に相手に届くよう送るのが理想的なタイミングです。

開業前の準備や打ち合わせなどの多忙を極めるなかで、開業の挨拶状を送らなければならないため、思うように時間が取れないという方もいらっしゃるでしょう。

しかし、開業後に挨拶状を送ることは失礼にあたるため、遅くても開業日の1~2週間前までには、相手の手元に到着するように準備しましょう。

とくに、法人として開業する場合は、既存の取引先との再契約などの手続きが必要になるため、なるべく早いタイミングで送ることをおすすめします。

余裕をもって開業のお知らせをすることは、自社のためだけでなく、連絡を受け取る側への配慮にもつながります。たとえば、早めに開業のお知らせをもらえれば、受け取った側は開業祝いの準備も余裕をもって行えるでしょう。

逆に、開業直前や開業後に挨拶状を送れば「配慮が足りない」「うちの会社は重要視されていない」などのように、ネガティブな印象を与えかねません。

些細なことではありますが、こういった対応の仕方から契約の白紙や信頼関係を失う可能性もあるため、お知らせを送るタイミングを逃さないように注意しましょう。

開業のお知らせはWEBとハガキどちらがいい?

開業のお知らせはWEBとハガキどちらがいい?
開業や独立をするとなれば、本来は取引先や関係各社への挨拶回りを行うのがビジネスマナーとされています。

しかし、取引先や関係者が多い場合、一件ずつ挨拶周りを行うのは現実的ではありません。

また、昨今は感染症対策による三密(密集・密接・密閉)を避けなければならないため、挨拶回りよりも「書面での挨拶」のほうが好意的に捉えられる可能性も高いです。

そのため、開業のお知らせには「本来であれば、直接訪問させていただき、挨拶をすべきところですが、今回は書面で失礼いたします」などのお詫びの文章を入れる必要があります。

開業のお知らせの3つの送付方法を確認しておきましょう。郵送・メール・SNSのそれぞれの方法で送付するときのルールについてご紹介いたします。

郵送

「郵送」は開業のお知らせを出す方法として広く利用されている手段です。とくに、目上の方や格式の高い取引先に出す際に向いています。

郵送にはさまざまな種類があります。格式が高い順番で4つご紹介していきますね。

・3つ折り(A4サイズの用紙)と長方形封筒の組み合わせ
・2つ折りカードと一般的な封筒の組み合わせ
・一般的なカードと封筒の組み合わせ
・ハガキ

ただし、ハガキにした場合は受け取る側に簡易的な印象を与えやすいため、できれば封筒にカードを入れて送る方法を選ぶようおすすめします。

メール

「メール」は郵送よりもカジュアルな挨拶を行う際に便利な手段です。とくに、親しい間柄の知人や元同僚などに開業のお知らせを送る際に用いられます。

また、取り急ぎの挨拶として取引先や関係者にメールを送信し、後日カードなどを郵送するというケースも多いです。

人にもよりますがメールだけで挨拶を済ませた場合は、「手を抜いている」と思われてしまうケースもあるため、メールの送信後は改めてカードを郵送するようにしましょう。

SNS

「SNS」の普及によって開業のお知らせを親しい友人やフォロワーなどに向け、SNSアカウントで発信するケースも増えています。

ただし、目上の方や取引先などに対してSNSで一斉に発信する方法は失礼にあたるため、おすすめできません。

また、取引先や関係者に挨拶状が届く前に発信しないよう注意しましょう。

開業のお知らせを出すときの差出人の名前について

会社名だけでいいのか連名にしてはいけないのかなどのように、差出人の名前を誰にすればいいのか悩む方もいらっしゃるかもしれません。

基本的に差出人の名前は、法人であれば「会社名」「代表取締役の名前」を記載する必要があります。

ただし、開業前に送付するため、個人事業主から法人成りする際の挨拶を行う場合でも、個人事業主や開業前の活動時の名称を差出人として記載しましょう。

とくに開業前の活動時の名称で知られている場合は、開業後の氏名で名乗ると相手に正しく認識されない可能性があります。どうしても開業後の氏名を記載したい場合は、併記するようにしましょう。

また、業種や共同経営者などによっては差出人を連名にしたり、従業員一同やスタッフ一同といった記載をしたりするケースもあります。

開業のお知らせを書くときの文章構成

開業のお知らせを書くときの文章構成
開業のお知らせをする挨拶状にはマナーや基本的な文章構成があります。「開業しました」という内容だけでは、礼儀に欠けた挨拶文となってしまうでしょう。

縦書きと横書きの選び方や基本的な文章構成について詳しく解説していきます。

縦書きと横書きどちらがよい?

挨拶文の書き方は大きく分けて「縦書き」と「横書き」の2種類です。なかには、日本語は縦書きが基本のため横書きだと礼儀に欠けるといった考え方もあります。

しかし、ビジネス文書などでは横書きを使用するケースも多いため、開業のお知らせも横書きで記載しても問題はありません。また、読みやすさを優先するなら、縦書きよりも横書きのほうがおすすめです。

縦書きは上から下へ、下から再び上へというように視線の大きな移動を繰り返す必要があり、読む人にとって負担になります。一方、横書きであれば左から右へ視線をずらすだけで読めるため、視線による大きな移動がなく読みやすくなります。

また、英語の店名やホームページのURL・メールアドレス・営業時間などの記載が必要な場合は、横書きのほうがわかりやすいです。

ただし、会社や店舗などのコンセプトや雰囲気などに合わせた演出を行いたい場合は、イメージに合った書き方を選びましょう。

たとえば、旅館や料亭などの和風のコンセプトがある店舗なら縦書きのほうが、より和のイメージを強調できます。このように、挨拶文の書き方によって会社や店舗のPRやコンセプト、雰囲気などを相手に印象づけることも可能です。

基本的な文章構成

上述したとおり、挨拶文は基本的な文章構成を用いて挨拶文を作成する必要があります。ここでは、開業のお知らせに記載すべき項目と構成の順序についてご紹介します。

基本となる文章構成は「前文・主文・末文・別記」の順番となっています。記載項目と構成の順序は以下のとおりです。

前文
・頭語
・時候の挨拶
・相手への気遣いの挨拶
主文
・日頃のご厚誼に対する、お礼の言葉
・皆様のおかげで開店できました等の感謝の気持ち
・開店の経緯や今後の抱負
・お店のPR
・ご来店のお願い
末文
・結びの挨拶
・結語
別記
つけたしたい情報がある場合

前文の時候の挨拶の「○○の候」には、季節などに応じて適した文言を記載するようにしましょう。インターネットで「時候の挨拶」のキーワードで検索すれば、候補となる文言を簡単に調べられます。

お礼と感謝の記載については、これまでお世話になった方への感謝はもちろん、開業までに協力してもらったり、相談にのってもらったりした際のお礼なども記載すると、挨拶状を受け取った側に良い印象を与えることができます。

また、自社や店舗のPRを入れることで、開業のお知らせを営業ツールとして有効活用することも可能です。店舗などの場合は、主文の最後に相手の行動を促すための「来店のお願い」をしっかりと記載しておきましょう。

挨拶文を記載する際の注意点は、文末に句読点を打たないことです。

一般的な文章には、文末に句読点を打つことが基本ルールですが、開業のお知らせなどの慶事を知らせる挨拶文では、句読点はマナー違反にあたります。誤って句読点を入れないように注意しましょう。

店舗情報は別記がおすすめ!

開業のお知らせとともに、店舗情報などを記載する場合は本文と別に記載することをおすすめします。本文に店舗情報を入れてしまうと分かりづらくなってしまうため、記書き(※)にしたり、別の書面に記載したりするなどの工夫をしましょう。

※記書き・・・挨拶文のあとに「記」と記載して伝えたいことを箇条書きにする書式のこと

店舗情報を記載する際に必要な項目
・店舗名
・開店日、開店時間
・営業時間
・定休日
・所在地
・電話番号
・ホームページのURL etc…

独立・のれん分け

飲食店などで「のれん分け」してもらう場合は、これまでお世話になった店舗や会社などについても本文でふれることが大切です。たとえば、独立までの指導や支援などに対する感謝の気持ちを伝えます。

また、独立後も関係を深めていきたいという気持ちを表すために、「今後ともご指導ご鞭撻のほど、お願い申し上げます」などの文章も加えることをおすすめします。

工事中のお詫び

店舗の建築やリニューアルなどで工事を行った場合は、近隣の方への挨拶も欠かせません。挨拶文には無事に工事が終わった報告とともに「お詫びの言葉」を忘れずに入れましょう。

たとえば、「ご不便をおかけしておりました店舗の改装工事も、無事に竣工する運びとなりました」や「工事期間中はご不便をおかけいたしました」などが挙げられます。

一言だけでもお詫びの言葉を入れて近隣の方へ配慮すれば、末永く良好な関係を築くことができます。

地図は必ず載せる

会社や店舗の住所だけではなく、地図も入れておきましょう。地図があれば、所在地近辺の土地勘がない人でも自社や店舗をスムーズに訪れることができます。

また、地図もあったほうが「お店に行ってみよう」という気持ちになってもらいやすいです。

メールで送る場合はGoogleマップの挿入で済ませるケースも多いですが、最寄り駅からの地図を入れておくほうが相手にとって親切です。略式タイプの地図だけではわかりにくいため、最寄駅からの道順も文章で記載しておきましょう。

開業・独立別にお知らせの文例をご紹介!

開業・独立別にお知らせの文例をご紹介!
なかには「具体的にどのような文章を書けばいいのか分からない」という人もいらっしゃるでしょう。

開業する場合と独立する場合に分けて、代表的な業種や職種の文例をご紹介します。

1.開業する場合の文例

どの業種にも応用できるスタンダードな文例のほか、飲食店や会計事務所などの文例もあわせてご紹介します。前文と末文は共通する内容のため、以下の文例を活用してみてください。

   

    謹啓 ○○の候 皆様におかれましては ますますご清祥(ご清栄・ご健勝)のこととお慶び申し上げます
    平素は格別なるご高配を賜り、厚くお礼申し上げます

    次に、末文に活用できる文例は、以下のとおりです。

    まずは略儀ながら、書中をもってご挨拶とさせていただきます
    謹 白
    令和○年○月
    ○○○○(会社名や店舗名を記載)
    ○○○○○(役職と代表者のフルネームを記載)
       

   

結語は「謹啓と謹白」「拝啓と敬具」といったように、正しい組み合わせを用いましょう。また、結語と会社名・店舗名、差出人の氏名は右寄せで記載するのが一般的です。

つぎに、業種・職種ごとの主文と店舗情報を記書きした場合の文例もご紹介します。

スタンダード

さまざまな業種や職種で応用できる主文は下記の通りです。

   

    さて 私こと かねてから準備を進めて参りました「○○○○(会社名や店舗名を記載)」を開業する運びとなりました
    今後は一層 皆様からのご要望に添えるよう努めて参る所存でございます
    何卒よろしくご愛顧お引き立てを賜りますようお願い申し上げます
       

   

飲食店向けの文例

飲食店を開店する場合は、以下の文章にオープンの日時などを追記して「ぜひお越しください」といった来店のお願いを忘れずに記載しておきましょう。そうすることで、集客にもつなげることができます。

   

    さて 私こと この度「○○○○(店舗名)」を○○駅にオープンする運びとなりました
    皆様におくつろぎいただける空間を提供できる店づくりを目指して参る所存でございます
    何卒 今後も変わらぬお引き立てを賜りますようお願い申し上げます
    ご多用中 誠に恐縮ではございますが ご家族やご友人とお誘いあわせのうえ ぜひ一度お立ち寄りくださいませ
    皆様のお越しを心よりお待ち申し上げております

    (末文・結語を記載する)

    所在地 〒○○○-○○○○ 店舗の住所を記載
    電話 店舗の電話番号を記載
    営業時間 ○~○時
    定休日 ○○○○(定休日や年末年始などの休日の営業について記載)
       

   

会計事務所向けの文例

開業の挨拶とともに今後の抱負を加えると、熱い心意気を感じさせる文章になります。

   

    さて この度○○○会計事務所を設立することとなりました
    「業務を通じて経営に強い人材を育て 企業の成長や拡大とともに安定した経営に貢献すること」を理念とし なお一層研鑽努めて参る所存でございます
    何卒よろしくご愛顧お引き立てを賜りますようお願い申し上げます
       

   

病院向けの文例

開業医として病院を開業する場合は、以下の文例を参考にしてみてください。

   

    さて 私こと この度○○医院を辞し「○○クリニック」を○月○日より開業することとなりました
    在職中(勤務医時代などの記載も可)は格別のご高配を賜り深い感謝とともにお礼申し上げます
    これまで培ってきた医療技術や経験をもとに地域医療に少しでも貢献できますよう 一層努力していく所存です
    何卒 ご指導ご支援を賜りますよう よろしくお願い申し上げます
       

   

共同出資で会社設立する場合の文例

共同出資で会社を設立する場合は以下の文例を活用しましょう。

   

    さて この度 ○○○○と○○○○○との共同出資において 新会社「○○○○○○」を設立する運びとなりました
    次世代にて必要とされるニーズにも対応できるサービスを提供する新しい○○会社として業界に貢献するべく努力して参る覚悟でございます
    何卒 今後も変わらぬお引き立てを賜りますよう よろしくお願い申し上げます
       

   

株式会社を設立する場合の文例

株式会社の創業においては以下の文例が参考になります。

   

    さて これまで新会社の設立準備を進めておりましたが この度「○○○○(会社名を記載)」を設立し創業いたすこととなりました
    今後は皆様のご要望にお応えできるよう誠心誠意努めて参る所存でございます
    何卒よろしくご愛顧お引き立てを賜りますようお願い申し上げます
       

   

2.独立する場合の文例

どの業種でも活用できるスタンダードな文例と、独立の代表格である税理士の文例をご紹介します。

スタンダード

独立開業となると、開業前にお世話になった方や会社に対する感謝の気持ちはもちろん、「今後もよろしくお願いいたします」といった関係性を深めるための文言を入れることも大切です。

   

    さて この度 ○○○○会社の○○社長のご支援のもとに独立開業をいたしました
    この日を迎えられましたことは ○○社長ならびに皆様の温かいご厚意の賜物と深く感謝するとともに心より厚くお礼申し上げます
    今後はさらなる発展を目指して誠心誠意努めて参る所存ですので
    何卒よろしくご愛顧お引き立てを賜りますようお願い申し上げます
       

   

税理士

税理士が独立開業する場合は、これまでお世話になった税理士事務所への感謝の一文を入れることをおすすめします。

   

    さて この度 「○○○○税理士事務所」を独立開業いたしました
    これもひとえに皆様方の温かいご指導とご支援の賜物と深く感謝し厚くお礼申し上げます
    今後は業務を通じて社会に大きく貢献できますよう一層努力して参る所存でございますので 何卒 倍旧のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます
       

   

まとめ

開業や独立のあいさつが開業間際や開業後となってしまうと、相手に不快な思いをさせるだけでなく、マナーが守れない事業者と認識されてしまいます。

法人の設立や独立開業などを控えている場合は、開業日の1カ月前には開業のお知らせを取引先や関係者などに送るようにしましょう。

記事のポイント
・「挨拶状」は案内や挨拶を行うためだけでなく、取引先やお世話になった方との関係をより深めるための重要なツール
・メールだけで済ませば労力や時間をかけずに行えるが、あわせてカードも送る
・句読点を打たない、会社名や店舗名だけでなく代表者の氏名も記載するなどの基本的なルールを把握しておく
・正しい情報を適切に伝えられる言葉を用いる
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(編集:創業手帳編集部)

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