漫画編集者から起業家へ。佐渡島庸平氏の、人生を”7/7”まるごと楽しむ極意

創業手帳

株式会社コルク代表 佐渡島庸平氏の、仕事を楽しむ極意を徹底取材

(2016/04/26更新)

高学歴、講談社入社、数々の大ヒット漫画の編集者と、出版界の誰もが憧れる超エリートコースを歩んできた佐渡島庸平氏。天職とも言える出版編集者を辞め、自ら起業し、クリエーターエージェント業を日本に根付かせる挑戦を決意。漫画で人を楽しませてきた様に、起業家となった今も、仕事を楽しむマインドは変わらない。編集者から経営者とへと転身した佐渡島氏の仕事観、その軸となっている経験を全二回に渡ってお届けしたい。

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佐渡島 庸平(さどしま ようへい)
1979年生まれ。中学時代を南アフリカ共和国で過ごす。帰国後、灘高等学校、東京大学文学部を卒業。2002年、講談社に入社。週刊モーニング編集部に所属し、井上雄彦『バガボンド』、三田紀房『ドラゴン桜』、小山宙哉『宇宙兄弟』、安野モヨコ『働きマン』など、数々の大ヒット漫画の編集を務める。TVアニメ、映画実写化も実現。2012年に講談社を退社し独立。作家のエージェント会社、株式会社コルクを設立した。

どうやったら、毎日が楽しくなるだろう?

ー著書「ぼくらの仮説が世界をつくる」の中で、「仮説・検証は、ビジネスマンだとやったほうがいいのに案外できていない」と書かれていますが、仮説を立てる効果についてお話いただけますか? 

佐渡島:何かについて「これって、もしかしたらこうなんじゃないか?」と予想して、どうだったかと見ると、違った場合に「何で予想が違ったんだろう」と考えて、軌道修正したりしていると楽しいものです。

些細な楽しいことを積み重ねていくと、他の人が達成できないような大きな目標を達成できたりします。

毎日淡々と仕事を続けるのは、すごく難しいことです。

起業する時、多くの人は「誰もやったことのない、特別なことを特別なアイディアでやるぞ!」と思うわけです。

けれども、大成功している会社のほとんどは、絶対に誰も思いつかないアイディアを出しているというよりも、特別なことは無いけれども、正しいことを正しくできている会社です。

ですから、仮説と検証というのは、単に「どうしたら毎日が楽しくなるかな?」ということを格好良く言っているだけなのです。

ー毎日楽しく仕事が出来ている人は少ない様に感じますね。

佐渡島:多くの人たちは、ノルマをこなすだけでいっぱいいっぱいになっていて、自分が楽しむことをほとんどやっていないですよね。

でも、物事を変えていく時は、アドオンで何かやらない限りは変わらないという、すごくシンプルな話だと思います。

人生の7/7、仕事も含めて全部楽しもう

ー起業の際には、周りを巻き込める様な目標があった方が良いでしょうか?

佐渡島:そうですね。

ある意味、「超ちゃらんぽらん」に考えた方が良いと思っています。

人生なんて無意味だし、人間のやっていることなんてちゃんちゃらおかしいことなのです。

あっても無くても良いことやっているんだから、だったら楽しい方が良い!という考え方です。

でも、楽しい方が良い!となった時に、収入ゼロでダラダラしていて、適当なものを食べていて楽しいのかというと、そうではないですね。

今の社会で楽しい事というと、ある程度資本主義社会の中に合わせてやらないといけないわけです。

ですから、仕事もゲーム化した方が良いなという結論になっているという感じです。

「仕事は仕事」と割り切って土日だけ楽しむことは、人生の7分の2しか楽しまないということですよね。

「そんなにすぐに簡単に決めちゃっていいの?7分の7を楽しむ方法を一回模索しよう」ということが、僕が思っていることですね。

辛いことをしていると、正しいことをしていると思えたりしますよね。

仕事を「仕事だからしんどくて当たり前」とか「我慢して当たり前」というのは嘘だと思うんです。

「ファンの貯蓄」という投資で、勝てる土壌を創る

ー面白いものを作って発信する方法は、既存のルート以外にも試行錯誤されているのでしょうか?

佐渡島:最近は、コンテンツを発信する際のディストリビューションが楽になったというメリットと、一方で見つけてもらいにくくなったというデメリットがあります。

そこで、フォロワーの様な形でファンをストックすることが必要になります。

これが出来ると、沢山あるディストリビューションの中で一気に見つけてもらい易くなり、すごく価値になります。

ですので、フォロワーを「貯める」為の投資を何年か試行すれば、コンテンツクリエーターは勝ち易くなります。

そこで投資をしないで、作ったコンテンツをすぐ課金してしまったり、マネタイズしてしまったりしていると、ストックとして何も貯まらず、しんどくなっていくのだろうと思っています。

ー創業者の方に、メッセージをお願いします。

佐渡島:初めはがむしゃらにやるんですよね。車輪は動き出したら勝手に回ります。

でも、動き出すまではすごく大変で、その車輪を押すのは自分しかいない。それが、「起業する」ということです。

回り出すと、みんながついてくる。

大きい車輪の1回転目は、たった1人でやらないといけません。

創業して会社に誰かが入ってきてくれて手伝ってくれたとしても、回すのは社長しかいないと思います。

「誰かがやってくれれば回るのに」とか、他人のせいにしてしまうと、起業は失敗します。

また、ゆっくりしていると、車輪は動き出しません。

「今だ」という時に「エイヤッ」と力を入れないと動き出しません。加速のスピードは遅いですから。

それから、粘れることをやるのがいいですね。

「思い付いた、やってみた、違う」ではなく、粘れることを早く見つけた方がいいです。

粘れることが見つかるまでは、副業しながらやる方が良いですね。

それでキャッシュフローを回した方が良いです。

既存の企業は安定しかしていないわけです。

「起業するから不安定だけをやるんだ」と言う様な無謀な挑戦はしない方良いのです。

大成功している人の様にリスクを取ることと、無謀とは意味が違います。探検家ほど準備をしっかりしています。

最大限の準備をしないと探検には出ていけないです。

(取材協力:株式会社コルク 代表/佐渡島庸平
(編集:創業手帳編集部)

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