AIエージェントで中小企業が業務効率化するには?やり方・費用相場を解説

業務効率化を目指す中小企業はAIエージェントの活用がおすすめ


人手不足や業務量の増加を背景に、限られた人員で生産性を高めることが中小企業にとって重要な課題となっています。
こうした中で注目されているのが、業務を自律的に進められる「AIエージェント」です。
AIエージェントを活用すれば定型的な業務の一部を効率化できますが、実際に導入するとなるとどのような方法をとればいいのか、費用はいくらかかるのかと疑問に感じる人も多いかもしれません。

そこで本記事では、中小企業におけるAIエージェントの導入方法や費用相場、導入時の注意点などを解説します。
AIエージェントを自社の業務改善の一環として取り入れたい人は、ぜひ参考にしてください。

AIエージェントとは?

AIエージェントとは、人間が細かく指示を出さなくても、特定の目標達成に向けて自律的にタスクに取り組むサービスです。
業務に活用できるAIシステムには「AIアシスタント」もあります。
AIアシスタントはユーザーからの明確な指示を受け、ひとつのタスクを実行しますが、AIエージェントはユーザーが指示を出さなくても自律的に行動し、複数のタスクをこなすことが可能です。
AIエージェントに一部業務を任せることで、業務フロー全体の効率化につながり、人間は本来取り組むべきコア業務に集中できます。

AIエージェントについてより詳しく知りたい人は、以下の記事も参照してください。
【最新】AIエージェントとは?種類やメリット・活用例などをわかりやすく解説

AIエージェントの導入で期待される効果

AIエージェントを業務に取り入れることで、様々な効果が期待できます。具体的にどのような効果が期待できるのか紹介します。

定型業務を自動化して工数を削減できる

AIエージェントは、あらかじめ設定したルールや目的に沿って、複数の作業を自律的に進められます。
そのため、データ入力や情報収集、メール作成、議事録の整理、問い合わせへの一時対応など、手順がある程度決まっている業務の自動化に活用できます。

また、単純な作業をAIエージェントに任せることで、従業員は顧客との商談や企画、意思決定など、人による判断やコミュニケーションが求められる業務に時間を使いやすくなるでしょう。
人手不足の対応策としても、AIエージェントによる業務効率化は有効です。

属人化していた業務を標準化できる

特定の従業員だけが業務の進め方を把握している「属人化」の解消にも、AIエージェントは効果的です。
例えば、ベテラン社員が経験や勘をもとに実施していた情報整理・チェック作業などは、判断基準や手順を整理してAIエージェントに組み込むことで、一定のルールに沿って業務を進められるようになります。
これにより、担当者による作業品質のばらつきを抑えたり、業務を引き継ぎやすくしたりすることが可能です。

24時間365日対応が可能になる

AIエージェントは、人間の勤務時間に左右されずに稼働できるため、24時間365日の対応が必要な業務にも活用できます。
例えば、Webサイトからの問い合わせに対する一次回答や、社内からの質問への回答、情報の監視・収集などをAIエージェントに任せることで、営業時間外でも一定の対応が可能です。

特に中小企業は夜間や休日の対応を目的に、専任の担当者を配置することが難しい場合もあります。
AIエージェントを活用して一次対応や情報整理を自動化し、判断が必要なケースだけを従業員へ引き継ぐ仕組みにすれば、対応力を高めつつ従業員の負担を抑えられます。

AIエージェントで効率化しやすい業務とは?

AIエージェントを活用することで効率化しやすいのは、以下のような業務です。

  • 毎日・毎月繰り返している
  • 手順がある程度決まっている
  • データ入力や検索に時間がかかっている
  • 複数システムを行き来している
  • 担当者しか処理方法を知らない

毎日または毎月繰り返しているルーティン業務や、判断ルールが明確であり手順もある程度決まっている業務については、AIエージェントを活用することで業務効率化につながりやすいです。

AIエージェントによる業務効率化のパターン事例

AIエージェントによる受発注・経費精算、顧客対応、書類作成、在庫管理などの業務効率化事例
AIエージェントは、単純な作業を自動化するだけでなく、複数のシステムやデータを組み合わせて一連の業務を処理する用途にも活用できます。
ここで、具体的な業務効率化のパターン事例を紹介します。

受発注処理・経費精算の自動化

受発注処理や経費精算は、請求書・領収書などの情報を確認してシステムに入力する作業が多く、担当者の負担になりやすい業務です。
AIエージェントを活用すれば、書類から必要な情報を読み取り、内容を確認した上で基幹システムや会計システムの入力まで自動化できる場合があります。

また、AIエージェントが在庫データを監視し、一定の基準を下回ったタイミングで自動的に発注書を作成・送付することも可能です。
経費精算では、領収書の内容を読み取って勘定科目を判断し、申請内容を作成するところまで任せることもできます。

見込み顧客のスコアリングとフォローアップの自動化

営業活動では、問い合わせや資料請求などの見込み顧客が増えるほど、一人ひとりの状況を確認して優先順位を付ける作業が大きな負担になりやすいです。
AIエージェントを活用すれば、顧客情報やWebサイトの閲覧状況、問い合わせ内容などをもとに見込み顧客を分析し、成約につながる可能性が高い顧客を優先的に抽出・スコアリングができます。

さらに、顧客の属性や行動に応じてフォローメールを作成・送信したり、営業担当者へ対応を促したりすることも可能です。
営業担当者はすべての見込み顧客を手作業で確認する必要がなくなり、商談につながる可能性の高い顧客へのアプローチに集中しやすくなります。

提案書・報告書など書類の自動作成

提案書や営業報告書、会議資料などの書類作成も、AIエージェントによって効率化しやすい業務です。
例えば、過去の提案書や顧客情報、商談内容などをAIエージェントに参照させ、目的に応じた提案書のたたき台を作成するという活用方法があります。
営業担当者が入力した商談メモから、報告書を自動でまとめることも可能です。

ゼロから書類を作成する必要がなくなるため、担当者の作業時間の削減にもつながりやすいです。

カスタマーサポートの自動化・対応履歴の要約

カスタマーサポートでは、問い合わせへの回答だけでなく、過去の対応履歴を確認したり、担当者向けに内容を整理したりする作業にも時間がかかります。
AIエージェントの導入により、よくある質問への回答や問い合わせ内容の分類、担当部署への振り分けなども自動化することが可能です。

複雑な内容の問い合わせでも、過去の対応履歴や社内マニュアルなどを参照して回答案を作成し、必要に応じて担当者に引き継ぐといった運用もできます。

在庫管理・商品レコメンドの自動化と需要予測

小売業や卸売業などでは、在庫状況の確認や発注量の判断、顧客に合わせた商品の提案などにもAIエージェントを活用できます。
例えば、販売実績や現在の在庫数、季節変動などのデータを分析して需要を予測し、在庫が不足しそうな商品を検出して発注候補を作成するといった使い方です。
また、顧客の購入履歴・閲覧履歴などを分析し、興味を持つ可能性が高い商品をレコメンドすることで、客単価の向上も期待できます。

中小企業がAIエージェントを導入するやり方・手順

AIエージェントを導入する際は、いきなりツールを導入するのではなく、自社の業務課題を整理した上で、適切なサービスを選ぶことが重要です。
ここでは、中小企業がAIエージェントを導入する基本的な手順を紹介します。

1.業務内容や課題の洗い出し

まずは、自社でどのような業務が行われているのかを整理し、AIエージェントによって効率化できそうな業務を洗い出します。
例えば、「毎日発生するデータ入力に時間がかかる」「問い合わせ対応が担当者の負担になっている」「営業担当者によって顧客フォローの方法にばらつきがある」など、具体的な課題を整理します。

導入後の効果を確認できるように、現在どの程度の時間や人員を業務に費やしているのかも把握しておくことが大切です。

2.AIエージェントの選定

課題を整理したら、自社の目的や業務内容に合ったAIエージェントを選定します。
AIエージェントには営業やカスタマーサポート、バックオフィスなど、特定の業務に特化したものから、複数の業務に活用できる汎用的なものまで種類は多岐にわたります。
そのため、「AIを導入すること」自体を目的にするのではなく、「どの業務をどこまで自動化・効率化させたいのか」を基準に選ぶことが重要です。

また、既存のシステムやツールと連携できるか、セキュリティ対策は十分か、導入後もサポートを受けられるかなどを確認しておくと安心です。

3.テスト運用・概念実証(PoC)

AIエージェントが決まったらいきなり全社規模で導入するのではなく、対象業務や部署を限定してテスト運用からはじめます。これを概念実証(PoC)と呼びます。
例えば、営業部門の顧客フォローだけ、経理部門の請求書処理だけというように、範囲を限定して試しましょう。
その上で作業時間はどれくらい減ったか、AIの回答や処理にどの程度の精度があったのか、従業員にとって使いやすいツールかどうかを確認してください。

4.ルール策定・社内体制の整備

AIエージェントを安全に利用するためにも、社内ルールの策定や社内体制の整備を行うことが重要です。
例えば、AIエージェントに入力していい情報や禁止する情報、AIが作成した文章や判断を人が確認する範囲、問題が発生した場合の報告先などを事前に決めておきます。
特に個人情報や顧客情報、機密情報を扱う際は、情報管理やアクセス権限について慎重に検討してください。

また、AIエージェントの管理担当者や各部署の責任者を決め、従業員向けの利用方法・注意点に関する研修を実施することも大切です。

5.本格運用・効果測定・改善

PoCで特に問題がなければ、対象となる部署や業務を広げて本格運用を開始します。運用を開始したら、継続的に効果を測定して改善を図りましょう。
例えば、「作業時間を何分削減できるか」「処理件数はどの程度増えたか」「AIによる誤処理は何件発生したか」「従業員の満足度はどう変化したか」といったKPIを設定し、導入前後の変化を確認します。
AI技術やサービスの変化も起こり得るため、定期的に運用状況を確認し、自社にとってより効果的な活用方法へ改善していくことが大切です。

AIエージェントの導入費用の目安

AIエージェントを導入するとなると、どれくらいの費用がかかるのか気になる人もいるでしょう。
AIエージェントは、それぞれのタイプによってかかる費用が違ってきます。
各タイプの費用相場は以下のとおりです。

  • SaaS型:月額数千円~数十万円程度
  • ノーコードのAIワークフロー型:初期費用10万円~数百万円、月額数千円~数万円程度
  • カスタム開発型:初期費用300万円~1,800万円、月額30万円~100万円以上

ただし、AIエージェントによって人数や利用回数(トークン)、機能による課金が生じる可能性もあります。
初期費用と月額費用以外に、従量課金がどれくらいかかるのかも事前に把握することが大切です。

中小企業がAIエージェントを導入する際の注意点

AIエージェントは業務効率化などに役立つ一方で、導入方法を誤ってしまうと期待した効果が得られなかったり、現場の負担が増えたりする可能性があります。
導入前に、AIエージェントを導入する際の注意点を確認しておくことが大切です。

いきなり高額ツールの導入・全社展開をしない

AIエージェントを導入する際は、最初から高額なサービスを契約したり、全社で一斉に利用を開始したりするのは避けましょう。
AIエージェントが自社の業務にどの程度適しているのか、どの程度の効果が得られるのかは、実際に使ってみなければわからない部分があります。
高額なツールを導入したものの、現場で十分に活用されずコストだけが発生するケースも考えられます。

まずは特定の部署や業務に限定して導入し、費用対効果などを確認することが大切です。効果が確認できてから対象範囲を広げることで、導入リスクを抑えられます。

難易度の低い業務から導入を進める

初めてAIエージェントを導入する場合は判断の難易度が低く、失敗した場合の影響も比較的小さい業務からはじめるのがおすすめです。
例えば、議事録の要約や社内文書の整理、定型的なメールの作成、データの分類などが挙げられます。

一方、顧客との重要な契約判断や人事評価、金銭に関わる最終的な意思決定など、誤りが大きな損失につながる業務を最初からAIに任せるのは避けたほうが良いでしょう。

現場に定着させるための環境づくりを意識する

AIエージェントを導入しても、従業員が使い方を理解していなかったり、従来の業務フローが変わらなかったりすると、十分な効果を得られません。
そのため、導入前に「AIエージェントを何のために使うのか」「どの業務をAIに任せるのか」を明確にし、現場の従業員へ共有することが重要です。
操作方法の研修やマニュアルの整備はもちろん、実際に利用する従業員から意見を集め、使いにくい部分を改善していくことも必要となります。

情報漏洩やセキュリティ面に注意する

AIエージェントに顧客情報や従業員情報、機密情報などを入力すると、情報漏洩につながる可能性があります。
導入するサービスについて、入力したデータがどのように保存・利用されるのか、第三者への提供やAIモデルの学習に利用されるのか、アクセス権限を細かく設定できるかなどを確認してください。

また、社内ルールで「AIエージェントに入力できる情報・禁止する情報」を明確にすることも重要です。
特に個人情報や機密情報を取り扱う場合には、情報管理部門や専門家にも相談しながら、安全な運用方法を検討してください。

最後に必ず人間が確認する

AIエージェントは業務を自動化できる一方で、誤った情報を生成したり、状況に応じた判断を誤ったりする可能性があります。
そのため、AIが処理した内容をすべて無条件に採用するのではなく、最後に必ず人間が確認するプロセスを組み込むことが大切です。

例えば、AIが作成した顧客向けメールを送信前に担当者が確認する、経費処理の内容を承認者がチェックするなど、業務の重要度に応じて確認プロセスを設けます。
AIエージェントに任せる範囲と人間が判断する範囲を明確にすることで、業務効率化とリスク管理を両立しやすくなるでしょう。

まとめ・自社に適したAIエージェントで業務効率化を実現しよう

AIエージェントは、業務の目的に応じて自律的にタスクをこなしてくれるサービスです。
中小企業がAIエージェントを導入することで、業務効率化や深刻な人手不足問題の解消、属人化の解消に役立つ可能性があります。
AIエージェントを導入する際は、まず自社の業務フローを洗い出し、時間がかかっている定型業務の中でAIエージェントに任せられるものをピックアップしてみてください。

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(編集:創業手帳編集部)