スタートアップ企業が、上手に広報活動を行うためのノウハウ
株式会社ニューズ・ツー・ユー朝火英樹氏インタビュー
(2016/1/18更新)
スタートアップや中小企業は専任の広報担当がいないことも多く、社長が仕事の合間に広報活動を行うといったケースをよく耳にします。また、広報活動の経験者がいない会社では、どのように広報活動をやって良いのか、どこから手を付けて良いのか分からず、広報活動を後回しにしてしまうことも。そこで、ニュースリリース・プレスリリース配信などのネットPR事業を展開する株式会社ニューズ・ツー・ユーの朝火英樹マネージャーに、上手に広報活動を行うためのノウハウについて伺いました。
株式会社ニューズ・ツー・ユー
マーケティングコミュニケーション部 マネージャー
視覚で訴え、ストーリー性を大切に
朝火:これまで広報活動と言うと、広報文を書いてマスコミ記者に渡すものの、ニュース性がないとなかなかメディアには掲載してもらえませんでした。ところがWebが普及し、現在はソーシャルメディアなども併用しながら直接情報発信することで、発信すること自体が1つの広報活動、PRになっています。広報はハードルが高いという認識をお持ちの方も多いと思いますが、今は「まずは自分たちがやっていることを情報発信することから始めよう」という流れに変わってきています。
朝火:Web上の記事は多くの人に認知されやすく、広がりやすいというメリットがあります。また、他のメディアと比較して、検索性が高く、情報を探している方に届けやすいという点がメリットとして挙げられます。我々がやっているようなWebを活用したPRを上手く活用すれば、リリースを出すだけでもある程度効果が見込めますし、さらにソーシャルメディアと組み合わせることでさらに情報が広がっていきます。まずは情報をWebに公開して、リリースで広げ、さらにソーシャルメディアで展開するという流れが最近の主流なのではないでしょうか。
朝火:ニュース記事の場合、今はほとんどがスマホ対応になっていて、弊社のリリースポータル「News2u.net」でのアクセスにおいてはPCとスマホでほぼ半々です。BtoCやBtoBに関わらず、スマートフォンで情報を探して見るというアクションは、ごくごく当たり前のことになっています。
朝火:今は情報がソーシャルメディアに流れるということを想定しているため、画像が非常に重要になっています。昔のリリース文はテキストで事実を書き綴るだけでしたが、今は必ず商品やサービスをイメージさせる画像を入れています。また最近では、動画を活用する企業も増えてきました。YouTubeにあらかじめ動画をアップしておいて、リリースで「商品紹介/サービス紹介動画を公開しました」とお知らせしたり、記事内に直接動画をリリースに埋め込んで紹介するといった使い方も多いですね。
朝火:タイトルは非常に重要になってきます。結局タイトルで記事を読むか読まないかを決められてしまいますし、タイトルの善し悪しは検索にも関わってきます。興味がありそう、面白そう、役に立ちそうかどうかということを判断する基準は、タイトルと写真でほぼ決まると言っても過言ではありません。ですから、自社のサービスや商品がどう検索されるかを想定して、タイトルを決めていく必要があります。また最近は、広報文の書き方も若干変わってきていて、商品やスペックなどの事実関係だけでなく、そこにどうストーリーを絡めるかということが重要視されるようになってきました。なぜこの商品を作ることになったのか、作る段階でどんな点を工夫したか、それによって何を解決したいのか、といった背景を上手く入れると、それによって興味を持つ人が増え、メディアでの取り上げられ方もかなり変わってきます。また、弊社のサービスを利用してくださる方には、リリースは重要なところから書きましょうとお伝えしています。例えばWebの場合は記事の最初の方に商品サービスの詳細ページのURLを記載し、タイトルと写真を見て面白そうだと思ったら、下まで読まずにURLをクリックしてそのまま商品購入へ進んでもらう。リリース文の最後に「詳しくはこちらへ」と書くよりずっと効果的です。
朝火:自分たちでどんなに素晴らしいサービスや商品だと思っていても、決して自画自賛しないこと。リリースを出す側は商品について知って欲しいので、どうしても「こんなに素晴らしい商品を開発しました」と自ら言ってしまいがちです。ところがそうなると、押し付けられている感じが相手に伝わってしまいますよね。ですから、その代わりに「こんな賞をいただきました」「こういう活動をして評価を受けています」「販売件数が***を突破しました」という「FACT(事実)」や、営業パートナーや代理店と一緒にきちんとビジネスとして機能している、という客観的な面を打ち出していくべきではないでしょうか。
最終的なゴールは「自社サイトを訪れる人の数」
朝火:イベントやセミナーを開催するのであれば、イベント前に募集開始のリリースを出し、イベントの直前に「今なら間に合います」やイベントでの詳細の出展内容など直前の追い込みの情報を発信します。そしてイベント終了後は、会場で使用した資料や映像をWebで見られるようにしておきます。会場に来られなかった方にも同等の情報を発信することで、興味を持っていただくのです。タイミングを見て複数回情報を発信することによって、認識や理解が深まります。
朝火:発売前後に一度リリースを出し、その後はキャンペーンやイベントと絡めたり、「早くも何万件達成」というように売れている感、盛り上がっている感を出します。アイディアやネタを見つけては、情報発信を継続していくということが非常に重要になってきます。まとめて一度で大きい情報を出すというよりは、タイミングを見て「自分たちは今こういう活動に力を入れている」ということを小出しにしていく方が気軽にできますし、情報発信の仕方としては多いですね。
朝火:実質月1、2回出すのが平均です。本当はもう少し出してもいいと思います。ただし、今は質のいい情報でないとなかなか検索にも引っかからず、リリースを出せばいいというものではなくなってきているので、週1回ぐらいが程良いペースだと思います。
朝火:リリースを継続することによって、自然と自社サイトのニュースリリースの閲覧数も増えていくはずです。そのアクセス数で効果を計るというのが1つではないでしょうか。リリースによってどのぐらい情報が広がったか、1つ1つのリリースがどのぐらい読まれたかというのは1つの効果指標にはなりますが、最終的なゴールはやはり自社サイトを訪れる人の数だと考えています。結局は、自社サイトを訪れた人に興味関心を持っていただけたか、きちんと情報を理解いただけたかが重要になってきます。1回のリリースに対して情報が広がった広がらないだけではなくて、もう少し中長期的なスパンで効果を見ていただくと非常に分かりやすいと思います。
朝火:情報発信は「何かを書いて外に出さないといけない」という印象を持たれる方が多いですが、一番の基本は自社のホームページをしっかり作ることです。それはお金をかけてカッコ良く作るということではなく、まずは企業としてのきちんとした一次情報、ソース情報を企業サイトに載せるということ。例えばソーシャルメディア上で情報を得て、その真偽が気になる人はすぐに企業サイトを調べますよね。情報を求めている方は必ず検索してきてくれるので、たとえ忙しくても自社のサイトをしっかり構築していくということが重要になってきます。それに加えて、今はソーシャルメディアの活用も外せません。先ほどから申し上げている通り、TwitterやFacebookを上手く活用して、企業サイトに掲載した情報を拡散していくというのが有効的な広報活動だと思います。ビジネス案件の場合は比較的Facebookとの相性が良く、コンシューマ向けに発信する小売の商品やグッズなどの情報発信に関しては、拡散性という意味ではTwitterの効果が期待できます。
朝火:創業手帳さんにも取り上げていただいたBAKEという洋菓子メーカーさんは、創業直後に上手くPRを使いながら話題を集めてメディアへの露出などに成功されました。もちろんリリースの効果だけではありませんが、そういった企業さんも出始めています。創業直後はマスコミとのパイプがないため、記者の方と関係を築くのは難しいですが、我々のようなネットのPRサービスを使っていただければ、比較的障壁が低く情報発信しやすいので、広げられるということはありますね。
迷わず遠慮せず、まずは情報発信を
朝火:たとえ自社でソーシャルメディアのアカウントを立ち上げてファンを獲得して広げていくという場合でも、我々は配信のプラットホームを持っているので、お任せいただければ企業の情報発信をお手伝いさせていただきます。もちろんリリースの書き方や、タイトル、画像についてもアドバイスやご提案させていただきます。ニュースリリースは慣れてくればご自分でどんどん作れると思いますが、最初のところはそういったご支援もさせていただいています。
朝火:広告は出稿している間は瞬発力が出ますが、それが終わると蓄積されずに露出はゼロになってしまいます。その代わり、リリースは出したら半永久的に掲載が残り、検索にも対応できる。そこの違いですね。出せば出すほど情報が蓄積され、それが企業の情報の資産になっていきます。ですからリリースを出しつつ、ここぞという時には広告で急速に認知やアクセスを増やしたい時に組み合わせて使っていただくのがベストなのではないでしょうか。広告だけに頼ってしまうと資産が残らないので、永遠にやり続けないと予算が途切れた時にすべての情報発信が終わってしまう。その違いだと思います。
朝火:起業したばかりの方は、リリースを出す際におそらく「こんな小さなニュース出していいのかな」と迷われることもあると思います。ですが少しでも自分たちの会社やサービスを知ってもらいたいのであれば、迷わず遠慮せず情報発信してみてください。その時に商品やサービスに込めた思いを知っていただけるような工夫をきちんとすれば、どんな案件でも上手くPRできるのではないでしょうか。
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(取材協力:株式会社ニューズ・ツー・ユー)
(編集:創業手帳編集部)