副業でSaaS起業始めるには?アイデアから収益化までの流れを解説
特定の業種に特化したSaaSなら個人でも始められる

インターネットを通じてクラウド上のソフトウェアを利用できる仕組みをSaaSと言います。「Software as a Service」の略語で、サースやサーズと呼ばれています。
利用する際には、パソコンやスマホにソフトをインストールすることなく、月額や年額の費用を支払うだけで必要な機能をいつでも利用可能です。
近年は、SaaSビジネスを副業にする人も増えています。特定の業種に特化したSaaSであれば、個人でも始められる特徴があります。
この記事では、個人の副業でSaaS起業は可能なのか解説すると共に、SaaS起業に注目が集まる理由や必要なスキル、SaaS起業をする際のアイデアの見つけ方などを解説していきます。
SaaS起業を始めたいと考えている人や副業や起業に興味を持っている人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
個人の副業でSaaS起業は可能?

前述したように、SaaSはネット上で提供されるソフトウェアサービスのことを言います。GoogleドキュメントやDropbox、Slacksなどが事例として挙げられます。
個人だとソフトウェアビジネスを立ち上げることは難しいと考える人もいますが、限られたリソースでもスタートできるサービスが存在します。それが「マイクロSaaS」です。
マイクロSaaSとは、特定のニッチな市場や課題に特化した小規模なSaaSビジネスモデルです。
個人や少人数のチームで運営され、大手企業が見過ごしてしまうような狭くて深いニーズを解決するツールを提供する特徴があります。
そのため、個人の副業としてSaaSを立ち上げて起業することは十分に可能であると言えます。
SaaS起業に注目が集まる理由

なぜSaaSに注目が集まっているのか、その理由は以下の通りです。それぞれを具体的に解説していきます。
サブスク型で安定収入につながりやすい
SaaSは、ソフトウェアを購入するのではなく、利用期間に応じた料金(月額・年額)を支払うサブスクリプション型のビジネスモデルです。
新規顧客を獲得し続けなくても、既存のユーザーが継続利用することで収益が見込めるため、安定した収益の獲得につながります。
また、ユーザーが初期プランを契約後に、新規機能を追加する状況になればグレードの高いプランへの変更を考えられるため、より大きな収益獲得も目指せる仕組みです。
いかに既存顧客の離脱を防げるかが収益安定化のポイントとなります。
場所に捉われずサービスを提供できる
SaaSビジネスは、クラウド上でサービスを提供しているため、インターネットが利用できる環境であれば、どこからでも利用ができます。
自宅や外出先、移動中など、ユーザーのライフスタイルや環境に合わせられる点がメリットです。
また、サービスによってはパソコンだけではなく、スマホやタブレットにも対応しています。
アカウント管理によって安定したネット環境さえあれば、デバイスを選ばずにアクセスできるサービスを提供できる点もSaaSビジネスモデルならではのメリットです。
ノーコードツール・生成AIで開発ハードルが下がっている
アプリを作るとなればプログラミングが必須だと考える人は多いかもしれません。
しかし、今はノーコードツールや生成AIを組み合わせることで、コードが書けない人でもビジネスを始めることができます。
画面をドラッグ&ドロップするだけ、ブロックをつなげるだけなど、視覚的な操作で迅速にサービスを立ち上げられるため開発コストや期間だけではなく、開発ハードルも格段に下がっています。
副業や起業がしやすい分野だと考えられます。
自分の技術・業務知識を活かしやすい
経理や営業などの汎用的なツールだけではなく、医療や物流、建設や保育、不動産など、特定の業界に特化したサービスを提供することも可能です。
業界特有の深い課題解決に役立つことで顧客からの信頼を得られるため、高い顧客維持率の獲得や強い競争力を実現できる点が特徴です。
そのためにも、自分が持っている技術や業務知識をシステムに反映しましょう。
副業SaaSを始めるために必要なスキルとツール

副業SaaSを始めるにあたって、「プログラミングができないと無理では?」と感じる人も多いです。
しかし、現在はコードを書かずにWebサービスを構築できるノーコードツールや、生成AIを活用した開発支援が普及しており、技術的なハードルは大きく下がっています。
プログラミングなしで始められるノーコードツール
代表的なノーコードツールとして、データベース型アプリを作れる「Bubble」、スプレッドシートからアプリを生成できる「Glide」、フォームや業務フローの自動化に強い「Notion」などがあります。
これらを活用すれば、画面上の操作だけでSaaSの基本機能を構築することが可能です。
まずは無料プランで試作し、ユーザーの反応を見ながら有料プランへ移行するという進め方が、副業スタートには向いています。
生成AIを活用した開発・運用の効率化
ChatGPTやClaudeなどの生成AIは、コードの自動生成・修正だけでなく、マーケティング文章の作成やユーザーサポートの自動化にも活用できます。
例えば、ある程度プログラミングの知識がある人であれば、AIにコードを書いてもらいながら開発スピードを数倍に上げることも可能です。
副業という限られた時間の中でSaaSを運営するうえで、生成AIは強力な「もう一人の自分」として機能します。
副業でSaaS起業をする際のアイデアの見つけ方

SaaS起業をする際のアイデアは、日常の不満や不便、既存サービスの不満点、業界特有の課題、小規模なニーズといった点を深掘りすることで見つけられます。
需要のあるアイデアを導き出すためにも、下記を参考にしてください。
自分の業務で不便に感じる部分はないか洗い出す
日常業務での不満や不便さを起点に起業アイデアが生まれるケースもあります。
多くの場合、小さな違和感を個人の愚痴として流してしまいますが、不満や不便さが継続するようであれば、「需要がある」と判断できます。
-
- 手間が多く面倒
- 時間がかかる
- やり方がわからない など
これらの不満には、事業アイデアが豊富に隠れています。特に、他の人にも同じ相談を受ける場合や自分が何度も困ったことがある場合は事業の種になりやすいです。
-
- 誰が困っているのか
- どんな場面で困りやすいのか
- 今は解決しているのか
上記の点も考えながら観察してみてください。
既存サービスの不満点を探す
既存サービスの不満点からアイデアを見つけることも可能です。探し方としては、レビューや口コミが役立ちます。
大手SaaSや競合アプリのアプリストアやChrome拡張機能ストアなど、星の数が低い低評価レビューには、今のサービスでは満足できない人たちのリアルな声が詰まっています。
「この部分が惜しい」「○○がないと不便」「ここが使いにくい」など、色々な人たちの不満が詰め込まれているため、よく確認してみてください。
同じような内容の不満があれば、アイデアとして活用できます。
業界特有の課題を深掘する
業界によって様々な悩みがあるでしょう。例えば医療や介護現場では、慢性的な人手不足に悩んでいる施設も多いです。
その場合、事務作業の負担が考えられるため、現場のスタッフが直感的に使えるようなシンプルな音声入力やAI記録システムなどは、大いに活用できると考えられます。
また、飲食や小売業では、高い離職率に伴うスタッフ教育のコストや発注や在庫管理などが属人的になりやすい点が課題です。
その場合は、動画を活用したマニュアルの作成や共有ツール、AI需要予測による自動発注システムなどがあると、負担軽減に役立ちます。
汎用的なSaaSではカバーしきれない深い課題を見つけることがポイントです。
小規模なニーズを狙う
アイデア出しでは、規模が小さい市場を狙うのもおすすめです。ニッチな市場は競争が少なく、高い収益性が期待できる特徴があります。
例えば、スニーカー市場の中には、左右の足のサイズが違う人向けのスニーカーブランドがあります。
顧客数は限られてしまいますが、一定のニーズがあるため、安定した収益の確保が可能です。
SaaSビジネスにおいても、こうした小規模なニーズに注目することで成功を収めることができます。
ニッチ市場を見つける方法としては、Googleトレンドが挙げられます。キーワードの検索数の推移を過去5年から直近1時間まで、細かくチェックできるツールです。
参入を考えている市場があれば検索し、検索数がそれほど多くなければニッチ市場である可能性が高いと判断できます。
副業SaaSの具体的なアイデア例
副業SaaSで成功しやすいのは、大手が参入しにくい特定業種の細かい課題を狙ったものです。
例えば、飲食店向けのシフト自動作成ツール、フリーランス向けの請求書管理ツール、学習塾向けの生徒進捗管理ツールなどが挙げられます。
自分の業務経験や業界知識を活かせるジャンルから探すと、アイデアが見つかりやすいです。
SaaS起業の始め方

ここからは、SaaSを始める方法を解説していきます。
1.ターゲットや課題を明確にする
まずは、SaaSを活用することが見込まれるターゲットや、その課題を明確化させます。
課題を明確にするための方法として挙げられるのが、ターゲット層に直接ヒアリングを行う「インタビュー」です。
彼らが抱えている課題や、悩み、不満などを聞き出し、既存のサービスで欠けている部分を見つけていきます。
そして、その課題を解決できるような策を考え、サービス化できるか検討してみてください。
2.最小限の機能だけで開発する
最初から完璧なシステムを作る必要はありません。コアとなる1~2個程度の機能を実装したMVPの作成をまずは進めてみてください。
MVPとは、サービスを開発する際に、顧客に価値を提供できる「実用最小限の製品」です。
必要最小限の機能のみを備えた状態でリリースすることで、ユーザーの反応やフィードバックを元に改善を重ねていく手法となります。
3.テストユーザーを集める
MVPの開発後には、検証フェーズへと進んでいきます。ニーズのないサービスを提供しないためにも、テストユーザーに実際にサービスを利用してもらいます。
テストユーザーを集める方法としては、XやInstagramのフォロワーに協力を呼びかける方法やコミュニティや勉強会でターゲット層に直接アプローチする方法などが挙げられます。
クラウドワークスやランサーズといったサービスを活用して対象条件に合うユーザーを募集することも可能です。
4.フィードバックをもとに改善する
テストユーザーを集めて実際に触れてもらった後には、フィードバックを通じて問題点や改善点がないか検証していきます。
否定的な意見こそが大切で、改善の優先順位をつけて、次のフェーズへとつなげていきます。
テストは実施することが目的ではありません。改善につなげることがポイントです。
5.課金モデルを設計する
次に、ターゲット層やサービスの特性に合わせて収益構造を作っていきます。主な課金モデルは以下の通りです。
| 課金モデル | 特徴 |
| サブスクリプション | 月額や年額で一定の料金を支払うモデル |
| 従量課金 | 使用したデータ量や回数に応じて料金が変動するモデル |
| 段階制料金 | 利用した分だけ料金が増えていくモデル |
| フリープレミアム | 基本機能は無料で提供し、高度な機能は有料化するモデル |
| ユーザー単位の料金体系 | 利用者数に応じて料金が変動するモデル |
決済業者と連携し、簡単に決済できる仕組み作りも大切です。
収益化までの現実的な期間と金額の目安

副業SaaSで収益が発生するまでの期間は、サービスの規模や集客方法によって異なりますが、一般的にはリリースから3~6カ月程度を目安にすることが多いです。
最初の数カ月は無料ユーザーを集めてフィードバックを得る期間と割り切り、改善を重ねながら有料転換を狙う流れが現実的です。
収益の目安としては、月額1,000~3,000円のプランで有料ユーザーが30人集まれば月3万~9万円、100人で月10万~30万円程度の副収入になります。
副業としての目標であれば、まず月5万円を最初のマイルストーンに設定するとよいでしょう。大きく稼ごうとするより、小さく確実に積み上げることが長続きのコツです。
副業でのSaaS起業を成功させるポイント

SaaS起業を成功させるためにも、以下のポイントに注目してください。それぞれ具体的に解説していきます。
小さな課題解決から狙っていく
SaaS起業は、小さな課題の解決から狙うことが成功するポイントの1つです。
いきなり業界の構造自体を大きく変えようとするのではなく、小さくても確実な課題解決からスタートするのが成功パターンです。
-
- 継続
- 最適化
- 深いニーズへの理解
上記3つを意識し、自分が対応できる範囲と続けられる形であるかを基準に判断していきましょう。
継続率・解約率(チャーンレート)を重視する
継続率とは、一定期間における既存顧客の継続利用率を示す値です。例えば、月次継続率が95%であれば毎月5%のユーザーが解約していると判断できます。
継続率は、顧客ベースと売上ベースで算出方法が異なるため注意してください。
・顧客数ベース
(期末顧客数-新規顧客数)÷期首顧客数×100
・売上ベース
(期末MRR-新規MRR)÷期首MRR×100
MRRは、月間経常収益のことを指します。
また、解約率も重要な指標の1つです。サービスを利用してから解約に至った割合を示し、チャーンレートや顧客離脱率とも呼ばれています。
ユーザーがサービスを必要としているか、継続的に成長できるサービスなのかを図るためにも有効な指標です。
顧客数の減少に焦点を当てた、最も一般的なカスタマーチャーンレートの計算方法は以下の通りです。
当月解約ユーザー数÷前月末のユーザー数×100
数値が高ければ解約するユーザーが多いことを表しているため、その要因を探り、改善策を検討していきましょう。
ユーザーとの対話を続ける
SaaS起業を成功させるためにも、ユーザーとの対話は重要なポイントです。
サービスを利用していたとしても、ユーザーが求める成果を実現できなければ離脱する可能性があります。
しかし、対話を定期的に実施すれば、製品の使用状況や満足度、使用する上での不満点や課題などを深く理解することが可能です。
顧客に合わせたサービスの提供につながるため、顧客体験向上に役立ちます。
データを活用して改善に努める
SaaS起業では、顧客データを最大限活用することでサービスの改善やパーソナライズを進めることが可能です。
顧客行動や利用状況などを分析し、使用頻度や解約傾向を把握できれば、改善点の特定ができます。
また、嗜好に合わせた提案やコンテンツの提供を行えば長期利用の促進につながります。
副業でSaaS起業をする際の注意点

副業でSaaSを運営する場合、一般的な副業とは異なるSaaS特有のリスクや対応が必要になります。主な注意点は以下の通りです。
サービスをリリースする前に確認しておきましょう。
利用規約・プライバシーポリシーを整備する
SaaSはユーザーの業務データや個人情報を扱うケースが多いため、利用規約とプライバシーポリシーの整備が必須です。
「個人開発だから不要」と後回しにしがちですが、トラブル発生時に規約がなければ運営者側のリスクが大きくなります。
ひな形となるテンプレートが無料で公開されているので、リリース前に必ず用意しておきましょう。
決済・課金まわりの法的リスクを把握する
月額課金を設ける場合、資金決済法への対応が必要になるケースがあります。
StripeやPaddleなどの決済サービスを利用することで法的リスクを軽減できますが、自社で前払い式の料金体系を設ける場合は特に注意が必要です。
不安な場合は専門家への相談を検討してください。
サービス障害・セキュリティ対策を講じる
有料サービスである以上、障害発生時はユーザーへの説明責任が生じます。副業であっても「本業が忙しいから対応できない」は通用しません。
障害時の連絡フローを事前に決めておくこと、またパスワード管理や不正アクセス対策など最低限のセキュリティ対策を講じることが、サービスへの信頼維持につながります。
まとめ・副業でSaaS起業をするなら小さく作って改善を続けることが大切
SaaS起業は安定収入につながり、場所に捉われずにサービスを提供できるなど、魅力が多いビジネスです。
成功を目指すためには、小さな課題解決から狙っていき、改善を続けることが大切です。
その際には、継続率や解約率などを重視する他、ユーザーとの対話が重要です。今回紹介した内容を参考に、起業を目指してみてください。
(編集:創業手帳編集部)
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