【2026年4月最新】資金繰り緩和に使える融資・保証制度とは?更新内容をわかりやすく解説
2026年4月時点の資金繰り支援策で何が変わった?

「物価高で仕入れコストが上がり続けている」
「このままだと数カ月先の資金繰りが心配」
昨今の物価高や中東情勢の影響を受け、上記のように今後の資金繰りへ不安を抱える経営者は少なくありません。こうした状況下で押さえておきたいのが、2026年4月に中小企業庁が更新した中小企業向けの資金繰り緩和に向けた支援措置です。
資金繰り支援の柱となるのは、「日本政策金融公庫による融資制度」と「信用保証協会による信用保証制度」の2つです。こうした制度は「知っているかどうか」「早く動けるかどうか」で結果が変わりかねません。
この記事では、資金繰り支援策の全体像から申込の手順、審査を通過するための具体的な準備までをわかりやすく解説します。今後の資金繰りに悩んでいる経営者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
参照:中小企業庁|「中東情勢等を踏まえた中小企業・小規模事業者向け支援について」
資金繰りについて更に詳しく知りたい方は創業手帳別冊「はじめての資金調達手帳」もあわせてお読みください。
この記事の目次
日本政策金融公庫の資金繰り支援策

政府系金融機関である日本政策金融公庫(以下、公庫)の制度から解説します。公庫は個人事業主や中小企業の経営者にとって、資金繰りで頼りになる存在です。
セーフティネット貸付の概要
セーフティネット貸付(正式名称:経営環境変化対応資金)は、外部環境の変化で一時的に業績が悪化した企業を支える「国のセーフティネット」です。
押さえておきたい融資対象や金利引下げの条件について解説します。
対象となる中小企業の条件
融資制度の対象は物価高や社会情勢、経済的環境の変化など外的な要因により、一時的に売上が減少し、業況が悪化している中小企業・小規模事業者です。
原則として「最近3カ月の売上高が前年(または前々年)同期比で5%以上減少していること」が基準となります。ただし、大規模災害や社会情勢の悪化などにより「特別相談窓口」が設置されるような事象の影響を受けた場合は、要件が緩和されます。
数値基準を満たさなくても対象となるケースがあるため、創業間もない企業でも柔軟な対応が期待できるでしょう。
金利引下げが適用される条件
単に借りられるだけでなく、条件を満たせば基準利率から金利引下げが受けられるのが大きな特徴です。現在では、以下のいずれかに該当すると適用されます。
-
- 原油価格上昇をはじめとした原材料・エネルギーコスト増の影響、またはウクライナ情勢の変化の影響を受けており、かつ最近の売上高総利益率または売上高営業利益率が前期に比し5%以上減少している場合
- 米国自動車関税措置等の影響を受けており、かつ、最近における売上高、売上高総利益率又は売上高営業利益率が前期に比し5%以上減少している場合
自社の試算表を事前に確認し、現状を把握しておくことが大切です。
信用保証協会で活用できる4つの保証制度

もう一つの柱である「信用保証協会」の制度を解説します。信用保証協会とは、民間の銀行や信用金庫からお金を借りる際に「公的な保証人」になってくれる機関です。
ここからは、4つの保証制度を詳しく見ていきましょう。
セーフティネット保証5号
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度概要 | 業況の悪化している指定業種の中小企業者に対し、通常とは別枠で保証を行い、金融機関からの融資を受けやすくする |
| 保証上限 | 2.8億円(通常の保証限度額とは別枠) |
| 保証割合 | 80% |
| その他 | 市町村発行の認定書(売上高5%以上減少等)が必要 |
セーフティネット保証5号は、国が指定する「業況の悪化している業種(指定業種)」に該当する中小企業者が対象です。
通常の保証枠とは別枠で資金を確保でき、借入金の80%を保証する制度になります。指定業種は定期的に見直されるため、申込前に最新の対象業種リストを必ず確認しましょう。
経営改善サポート保証
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度概要 | 経営改善サポート会議や経営改善計画策定支援事業等で策定した計画の実行に必要な資金を支援 |
| 保証上限 | 2.8億円 |
| 保証割合 | 80% |
| その他 | 100%保証の融資は100%保証で借換可能 |
経営改善サポート保証(経営改善・再生支援強化型)は、既存の借入返済負担が重い企業向けの制度です。保証期間も最大15年、据置期間も最大3年まで対応可能です。
本制度は、単なる延命資金の提供ではありません。「経営改善計画」の策定を条件とした、事業再建のための資金です。税理士や認定支援機関といった専門家と連携し、計画を作り込むことが前提となります。
小口零細企業保証
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度概要 | 小規模事業者向けに、融資の全額を保証することで、資金調達を円滑にする制度 |
| 保証上限 | 2,000万円(既存の保証付融資と合計で2,000万円の範囲内) |
| 保証割合 | 100% |
小口零細企業保証は、従業員数が20人以下(商業・サービス業は5人以下)等の小規模事業者が、日常の運転資金を少額でも安定して確保するための制度です。起業間もない会社でも相談しやすい制度と言えます。
モニタリング強化型特別保証
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度概要 | 認定経営革新等支援機関と連携し、月次で財務状況・資金繰り状況等を把握し、経営状況等を報告する制度 |
| 保証上限 | 2.8億円 |
| 保証割合 | 80% |
| その他 | 2026年度までの保証申込は保証料の1/2相当を国が補助、取扱期間は3年間(2029年3月末まで) |
モニタリング強化型特別保証は、2026年3月16日に全国の信用保証協会で取扱が開始された新しい制度です。
金融機関や認定経営革新等支援機関と定期的に状況を共有しつつ、伴走支援を受けながら経営改善を進めたい経営者に向いています。月次で数字を見る体制を整えたい経営者におすすめの制度です。
また、保証期間も最大10年かつ据置期間は運転資金1年・設備資金3年以内となっています。さらに2026年度以内での保証申込なら、保証料が1/2相当を補助してもらえるのが特徴です。
どの制度を選ぶべき?状況別の考え方

資金繰り支援策は種類が多く、「どれを使えばいいの?」と迷う経営者が少なくありません。選ぶ際のポイントは、「<今の自社が何に一番困っているか」です。
ここでは、状況別にどの制度を検討すべきか整理します。
売上減少への対応を急ぎたい場合
物価高騰などの影響による急な売上減少に対応したい場合は、以下の2つが候補です。
-
- セーフティネット貸付
- セーフティネット保証5号
公庫のセーフティネット貸付は、指定業種の縛りがなく、要件を満たせば申し込めます。資金提供先との直接融資であるため、審査から契約、入金までのスピード感も比較的早い傾向です。
一方、セーフティネット保証5号は、指定業種に該当し、市区町村から認定を受ける必要があります。さらに融資審査は、信用保証協会と資金提供する金融機関でおこなわれるため、入金まで時間がかかりがちです。
セーフティネット貸付と比べると入金まで時間がかかりますが、通常の保証枠とは別枠で資金を確保できるのがメリットです。既に信用保証協会付の融資を使っている企業でも、新たな資金需要に対応しやすくなります。
借入負担を見直しながら改善を進めたい場合
既存借入の返済負担が重く、資金繰りの立て直しを図りたい場合は「経営改善サポート保証」が向いています。
単なる追加融資ではない制度です。経営改善や事業再生に向けた計画を作成することを前提に、前向きな取組みを後押しする仕組みです。収支改善を数字で示す必要があるため、税理士や認定支援機関といった専門家と再建を図りたい経営者に適しています。
このような経営改善に取り組む企業に対しては、金融機関からも、財務改善への姿勢を評価しやすくなる傾向があります。
小規模事業者として安定的に資金調達したい場合
従業員数や事業規模が小さく、少額でも安定的に日々の運転資金を確保したい場合は、「小口零細企業保証」が選択肢です。
小規模企業者の安定的な資金調達のための保証と位置づけられており、日常的な資金繰り安定に活用する資金として実態に合っています。起業して間もない事業者でも申し込みしやすいでしょう。
金融機関と継続的に状況を共有しながら進めたい場合
金融機関と継続的に状況を共有して進めたい場合は、「モニタリング強化型特別保証」が候補になります。資金調達だけでなく、自社の経営状況の変化を早めに把握可能です。
具体的には、定期的に金融機関へ試算表などを提出し、財務状況を共有します。金融機関から客観的なアドバイスを受け、数字の管理体制を強化していくことができる制度です。
信用保証協会を利用する際の申込手順と注意点

信用保証協会を利用した融資を受けるには、民間金融機関を経由して手続きを進める必要があります。そのため、正しい手順を理解して進めることが重要です。
ここでは、基本的な申込手順と注意すべきポイントを解説します。
金融機関を経由する申し込みが必要
信用保証協会を利用する際は、直接出向くのではなく、取引のある金融機関の窓口で相談する必要があります。金融機関が実際に資金を貸す主体であるため、申し込みを取り次ぐ仕組みです。
取引のある金融機関のなかでも、メインバンクや関係が良好な先へ相談にいくと、手続きがスムーズになるでしょう。
金融機関と信用保証協会での審査が必要
信用保証協会を利用する融資は、金融機関と信用保証協会のそれぞれで以下の視点から審査します。
-
- 金融機関:融資を実行できるか
- 保証協会:保証人として保証できるか
このため、公庫のセーフティネット貸付よりも申込から入金まで時間がかかる傾向があります。資金繰り表で3〜6カ月先の不足時期を把握したうえで、早めに相談に動くことが欠かせません。
セーフティネット保証5号は市区町村での認定が必要
セーフティネット保証5号を利用する場合は、金融機関へ行く前に本店所在地の市区町村役場で「売上が落ちていることを証明する認定書」を取得する必要があります。
一般的に認定書の有効期間は認定の日から30日間で、期間内に金融機関または信用保証協会に対して融資を申し込みする必要があります。期限を過ぎると認定を取り直す必要が生じるため、融資相談は計画的に進めましょう。
制度によっては認定支援機関との連携が必要
経営改善サポート保証やモニタリング強化型特別保証を利用する場合、認定支援機関と連携した「計画作成」と「定期報告」が義務付けられています。
認定支援機関とは、中小企業等経営強化法第31条第1項の規定に基づき、主務大臣の認定を受けた税理士・金融機関等のことです。
専門家と一緒に客観的な経営改善計画を作り、定期的に金融機関へ報告することが前提です。顧問税理士が認定支援機関の登録を受けているケースも多いため、まずは顧問税理士に確認しましょう。
融資審査を通過するための3つの準備

どの制度を利用しても、審査担当者がチェックする共通のポイントがあります。融資審査の現場にいた経験から、次の3つが準備できているかで印象が大きく変わります。
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- 過去6カ月の実績から1年先の「資金繰り表」を作成する
- 資金に不安がある要因と影響を把握する
- 中長期的には返済できることを収支改善計画で提示する
それぞれ具体的に見ていきましょう。
準備①:過去6カ月の実績から1年先の「資金繰り表」を作成する
過去の実績をベースに、少なくとも数カ月先から1年先の「資金繰り表」を作成しましょう。
資金繰り表で残高がマイナスになる状態は、手元資金が尽きるキャッシュアウトを意味します。返済資金が確保できない状態では、銀行は融資を実行できません。
そのため、資金繰りを正確に管理できていない企業は、「融資しても倒産しかねない」と厳しく審査されます。
具体的には、過去6カ月分の通帳の入出金履歴をExcelなどに整理し、そこから今後1年間の見込みを立てることで資金繰り表を作成できます。特別なソフトがなくても作成可能です。
「いつ、いくら資金が不足するのか」を正確な数字で示すことが、融資審査を通過するために欠かせません。
準備②:資金に不安がある要因と影響を把握する
銀行員が融資の申込理由として知りたいのは、「ただ資金繰りが苦しい」ではなく「なぜ苦しいのか」という原因です。
多くの中小企業が直面しているのは、中東情勢の不安定化による原油価格の高騰や、それに伴う原材料・エネルギーコストの上昇でしょう。
具体的には次のような説明です。
-
- 原油高で燃料費が前年比15%上がり粗利が圧迫された
- 中東からの輸入部品の調達コストが20%上昇した
このように、数字と原因をセットで整理できると説得力が増します。逆にあいまいな説明だと、原因が明確に把握できておらず、改善策の方向性もズレてしまいかねません。
原因と対策がセットで明確になっていれば、銀行側も「制度を活用して立て直せる」と前向きに判断してくれる可能性があります。
準備③:中長期的には返済できることを収支改善計画で提示する
銀行が融資を決定する最終的な判断基準は、「確実に返済できる見込みがあるか」になります。事業計画のようなものではなく、中長期的な事業回復が見える収支改善計画で十分です。
具体的には、次の3点を1枚にまとめるイメージです。
-
- 売上の回復(例:既存顧客への追加提案、新規販路開拓)
- 収益の改善(例:固定費の見直し、不採算事業の撤退)
- 見通し(例:いつまでに黒字化できるか)
現実的な数字で示すことが重要なポイントになります。根拠のない計画は、返済に対する信頼性を失いかねません。逆に、保守的でも筋の通った計画であれば、伴走する価値のある取引先として評価されやすくなるでしょう。
資金繰り緩和に関するよくある質問

最後に、資金繰り緩和に関する融資制度で経営者が抱きやすい疑問に答えます。
決算または直近の収支が赤字でも制度を利用できるか
利用可能です。ただし、赤字に陥った理由と黒字化へ見通しを説明できるようにしましょう。
例えば、原油高によるコストの上昇で一時的に赤字でも、価格転嫁や経費削減により黒字化の見通しを示せると、融資への前向きな判断が期待できます。
制度の貸付限度額までなら借りられるか
限度額まで無条件に借りられるわけではありません。実際の融資額は、自社の月商規模や返済能力から逆算して、融資として妥当な金額が決まります。
返済能力を超える過大な借入は、将来の資金繰りをさらに悪化させる原因になりかねません。資金繰り表を作成し、現実的に必要な金額を把握しておきましょう。
起業直後の企業でも対象になるか
多くの制度で対象になります。例えばセーフティネット貸付などでは、売上減少などの要件を満たさなくても、対象となる要件緩和が進んでいます。
柔軟に審査してもらえるケースもあるため、まず相談することがおすすめです。
日本政策金融公庫と保証協会の融資制度を同時に併用できるか
併用可能です。それぞれの融資制度は審査が別々におこなわれるため、同時に申し込んでも問題はありません。
実際に、複数の金融機関が連携して一つの企業に融資する「協調融資」という形も存在します。これは公庫と民間金融機関の組み合わせに限らず、民間金融機関同士で行われることもある方法です。
日本政策金融公庫以外にも無料で相談できる窓口はあるか
無料の相談窓口があります。中小企業庁では「中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」を2026年3月23日付で拡充しました。主な対応先は、以下のとおりです。
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- 沖縄振興開発金融公庫
- 商工組合中央金庫
- 商工会議所
- 商工会連合会
- 中小企業団体中央会
- よろず支援拠点
全国の窓口で資金繰りや経営に関する相談を受け付けています
参照元:中小企業庁|中東・ウクライナ情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口
まとめ:2026年4月に発表された支援策を活用して資金繰りを緩和しよう

2026年4月時点で利用できる資金繰り支援策は、公庫のセーフティネット貸付と信用保証協会の保証制度の2つです。
資金繰りの悪化は放置するほど選択肢が減るため、手遅れになる前に動き出すことが何より大切と言えます。まずは過去6カ月の通帳を見返し、簡易な資金繰り表を作って現状と今後の見通しを把握しておくことが重要です。
自社に合う支援策を活用し、資金繰りを緩和して今後の事業運営を安定化させましょう。
創業手帳(冊子版)では、さまざまな情報を掲載しています。資金調達や資金繰りで悩んだ際の参考になる情報も満載なので、ぜひ活用してみてください。
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