ドキッ!? 決算書、きちんと読めますか?

資金調達手帳

簿記の知識は一切ナシ!決算書の見方・読み方のポイント

(2015/11/16更新)

創業して経営者になって苦労することの一つに、数字やお金に関するマネージメントが挙げられます。

「決算書」と聞くと、「数字は苦手」「簿記とかやったことない」という苦手意識を持つ人も多いと思います。

そこで、今回は、簿記の知識は一切いりません。決算書について分かりやすく説明していきます。

決算書とは??

決算書とは??

決算書は大きく「貸借対照表」と「損益計算書」の2つに分かれます。

損益計算書は、一定期間(例えば4月から翌年3月まで)の営業活動によりいくら儲かったかを表す計算書。
貸借対照表は、一時点の(例えば3月31日時点)財産の状況を表すと考えられます。

損益計算書は「売上総利益」「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」の区分に分けて利益が表わされます。

売上総利益 商品、サービスを提供した対価とその商品、サービスの仕入原価との差額を表した利益です。
営業利益 売上総利益から、商品、サービスの提供する為に間接的にかかった費用を差し引いた利益を表します。例えば販売員の給与、広告宣伝費、通信費等の費用を売上総利益から差し引いた利益で、本業で儲かっているかどうかを表す利益です。
経常利益 わかりやすく言えば営業利益から借入金に係る支払利息を差し引いた利益です。
当期純利益 税引前当期利益から法人税等の税金を差し引いた後の利益を表します。

営業利益の重要性

これら損益計算書で表される利益の中で、経営者が一番意識しなければならない「利益」は、営業利益です。

資金繰りをいつも考えられている経営者の多くは、この「営業利益」がプラスであるのかマイナスであるのかを認識せずに資金繰りを行っている場合が非常に多いと思います。

「営業利益」は本業の商売で儲かっているかどうかを表す利益であり、商売でお金が生み出されているかを表す利益です。

したがって営業利益がマイナスと言うことは、商売を行っていてもお金が足りていないことを表し、営業利益がマイナスの状態を放置したままお金を借りたりしても返済する事が出来ない状態で資金繰りをしていることになります。

営業利益がマイナスのまま資金繰りを考えても、いつまで経っても資金繰りは楽にならずにかえって行き詰ることになってしまいます。

営業利益がマイナスであるならば、早急に営業利益がプラスになるよう改善計画を検討する必要があります。

減価償却費の考え方

営業利益を計算する際、減価償却費が売上総利益から差し引いて計算されています。

しかし、減価償却費は資金の支払いを伴わない費用であるので、本業で資金が生み出されているかどうかを正確に考える場合、損益計算書の「営業利益」に減価償却費の額を加えるのがより厳密な計算となります。

経常利益の意味する事

営業利益はプラスだが経常利益はマイナスである……これは何を意味するのでしょうか?

上述したように、経常利益は営業利益から支払利息を差し引いたものであるから、現状の商売では借入金の利息を負担するだけの資金を生み出されていないと同時に借入金の元本の返済原資も生み出されていないことを意味します。

以上から営業利益がマイナスであればもちろんのこと、経常利益がマイナスである場合、借入金の返済条件について金融機関に相談し、どういった返済を行っていくのかを打合せし、経営改善計画を作成し資金繰りを安定させ、確実な返済が行えるよう対応すべきことになります。

利益と資金(お金)の関係

とはいうものの、損益計算書の利益が手元に返金として残っているか?というと一致しないのが普通です。

その主な理由は以下の通りです。

  • 売上は全て現金で回収されていない
  • 仕入は全て現金で支払われていない
  • 在庫の増減がある
  • 減価償却費がある
  • 設備投資がある
  • 未払で計上している費用がある

これら、損益計算書の利益を資金残高に修正する過程を示したのが「資金収支計算書」又はキャッシュフロー計算書と言われるものとなります。

資金収支計算書で、事業でどういった資金が生み出され、資金残高がどうなったのかが分かります。

資金残高を増やして財務体質を強くする、資金繰りの悩みから解放されるためには

  • 利益を増やす
  • 売掛金の回収と買掛金に支払のタイミングを同時にする

のが重要です。

どうでしたか?

決算書は、あなたのビジネスの状況・推移をつかむ上で非常に大事な指標です。「数字は苦手」「簿記とかやったことないし」という方も多いと思いますが、大事なのは慣れること。現に今回は簿記の知識一切ナシで説明しました。

苦手意識を捨てて、決算書と向かい合って見てください。

経営のヒント、アイディアが数字の面から見えてくることもあるはずです。

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(監修:豊原公認会計士・税理士事務所 豊原弘行
(編集:創業手帳編集部)

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