SNSをマーケティングに活かそう!ポイントや注意点を事例とともに解説

創業手帳

低コストかつ高い情報拡散力を持つSNSによるマーケティングの魅力とポイントとは


TwitterやfacebookなどといったSNSは、人々の日常にすっかり定着しましたが、企業のマーケティング手段にも有効です。

すでにSNSマーケティングを実践している企業は少なくありませんが、SNS利用率が一段と高まる昨今においては、そのマーケティングの効果や重要性はさらに高まっています。

この記事では中小企業やスタートアップにも適した手法であるSNSマーケティングのポイントや注意点、マーケティング事例などを解説していきます。

SNSマーケティングとは?


ユーザーによる情報拡散の機能をもつSNSをマーケティングに活用すれば、まだアプローチできていないユーザー層に情報を広めて、認知度を高めることが可能。まずはSNSマーケティングの基本的な特徴を紹介します。

SNSマーケティングの基本

SNSマーケティングとは、その名の通りSNSを通じて情報発信をおこない、集客や資料請求、商品購入などにつなげていくマーケティング手法です。ユーザーそれぞれが気になった情報を拡散する機能をうまく活かせば、効率的に情報を多くの人に伝えることができます。

また、公式アカウントを運営してフォロワーを集めることでも顧客獲得につながりますし、フォロワーの属性を分析することで顧客ターゲティングにも活かせます。

そのほか、SNSで多くのフォロワーを持ち、強い情報発信力がある「インフルエンサー」と呼ばれる人々を活用したマーケティングもしばしば取り入れられています。

SNSマーケティングの主な目的

SNSマーケティングをおこなう目的を簡単に整理すると、次の3点に集約されます。

  • 認知度の拡大
  • ブランディング
  • 顧客満足度の向上

SNSに認知度拡大の効果を期待して多くの企業がマーケティングに取り入れています。ユーザーの注目を集める情報を発信して、拡散することで、一つの記事が膨大なユーザーに届く可能性もあります。

顧客層の拡大はもとより、そもそもの知名度を高めたいスタートアップなどが盛んに活用。なかには知名度を高めた結果、顧客獲得だけでなく、有能な人材の発掘などにも利用されることがあります。

これに付随して、SNSはブランディングにも有効です。画像や短い文章で構成されるケースが多いSNSの記事は、視覚的なコンテンツや、企業や商品を印象付けるキャッチフレーズの発信と相性がよいといえます。企業の独自性を確立するためのブランディングの一環としても、SNSは積極的に活用されます。

また、SNSを活用して顧客からのダイレクトな意見や問い合わせに対応する企業も。通常であればコールセンターなどを通じて吸い上げられていた意見を、ダイレクトメッセージなどの機能を通じてすぐに対応できるため、顧客の満足度向上に役立つのです。

SNSマーケティングと他のWebマーケティングの違い

SNSマーケティングはSEOを活用した記事広告や検索エンジンを活用したリスティング広告、メルマガ発信などと同様にWebマーケティングの一形態とみることができます。

他のWebマーケティングと比較した場合の、SNSマーケティングの特徴は主に次の部分に表れています。

  • ユーザーによる拡散機能
  • 企業アカウントの運営
  • 低コストでも実践可能

SNSの主な機能の一つであるユーザーによる自発的な拡散機能が、情報発信の効果を高めます。これにより、他の広告手法ではリーチできなかったであろうユーザーにも情報が届き、顧客に取り込めるかもしれません。

また、多くのSNSは企業が「アカウント」を保有して情報発信が可能です。アカウントを起点にユーザーからフォロワーを集めれば、自社を信頼し、継続的に商品購入やサービス利用をしてくれる質の高い顧客層の形成にもつながります。

Webマーケティング自体がテレビや雑誌などのマスコミなどと比較すると、比較的低コストで始められるという特徴を持っていますが、SNSはさらに低コストで始められます。企業マーケティングの場合は機能が限定されることもありますが、無料で始められるSNSもあります。

SNSを活用したほうよい理由

大きく次の二つの理由から、SNSをマーケティングにおける有効性が高まっています。

  • SNSの利用率の上昇
  • SNSを起点とした商品購入・サービス利用の増加

SNSの年齢別利用率

出典:令和2年通信利用動向調査|総務省

SNSの利用率は近年増加傾向で、令和2年には70%を超える人が利用しています。特に30代までの若年層では80%台後半〜90%近くに達しており、ほとんどの人がSNSを利用しているといっても過言ではありません。

これだけ多くの人が利用しているので、SNSに情報を乗せて発信することで、より多くのユーザーに情報が届くと期待されます。

実際のところ企業の利用率も増加傾向で、総務省の調査によると、全ての業種でSNS利用率が上昇しています。

企業の業態別SNS利用率

出典:平成30年通信利用動向調査|総務省

また、単に情報を取り込むだけでなく、SNSを通じて実際の商品・サービスの購入に至ったユーザーが多いのもポイントです。アライドアーキテクツの調べによると、主要SNSにおいていずれも50%以上のユーザーがSNSを起点にECサイトでの商品購入に至った経験があると回答しています。

SNSの情報をきっかけ、もしくは参考にして初めて利用するECサイトで商品を購入した経験があるか?

出典:アライドアーキテクツ

このように、SNSマーケティングは実際に認知度の向上や商品利用の拡大など、マーケティングにおける確かな効果があることがわかります。

4大SNSの特徴

SNSマーケティングでは利用するSNS選びが重要になってきます。まずはユーザー数が多いことは大前提になるため、この後紹介する4大SNSを活用するのがおすすめ。それぞれのSNSの特徴やユーザー層の違いをふまえて、自社に適したSNSマーケティングをおこなうとよいでしょう。

ここからは4大SNSそれぞれの特徴を紹介します。

Facebook

  • 国内利用者数2,600万人(2020年時点)
  • 原則として実名登録
  • 30〜40代の利用者が多い

Facebookは、米国発祥のSNSで、世界最大のユーザー数を持つといわれています。一方で日本国内でも約2,600万人が利用しています。

国内ユーザー数だけでみれば、この後紹介するSNSには及びませんが、実名での登録が原則となっているため、ユーザーの方も節度をもったコミュニケーションをおこなう傾向にあります。

このことから、SNSマーケティングのリスクの一つである、炎上などが起きにくいという性質を持っています。

実名であることからビジネスにおける名詞のような役割を果たすこともあり、実際に30〜40代のビジネスマンが好んで活用。BtoBビジネスにおけるマーケティングに有効です。

Twitter

  • 国内利用者数4,500万人(2018年時点。それ以降公式発表なし)
  • 140字でのテキストメッセージが主体
  • 10代〜20代の利用者が多い

Twitterは国内利用者数は4,500万人と、Facebookより盛んに利用されています。140字という限られた字数でのテキストメッセージの発信が主体で、ハッシュタグやキーワードを起点に、その時々で注目されている記事が配信されます。

リアルタイムで新しいメッセージが更新されていくため、メッセージの有効期間は短いですが、うまくユーザーの目に止まれば、リツイートなどの機能により、とりわけ多くのユーザーに情報が届きます。期間限定のキャンペーンや、新商品の告知など、期限が限られたマーケティング手法とは相性が良いといえます。

また、10代〜20代と若年層に人気なのが特徴。若年層をターゲットとした一般消費者向けの商品やサービスなどのマーケティングに適しています。

Instagram

  • 国内利用者数3,300万人(2019年時点。それ以降発表なし)
  • 画像主体の情報発信
  • 20代〜40代まで比較的ユーザー層が広い

Instagramは国内で3,300万人に利用されています。画像や動画を主体とした情報発信に長けているため、企業のロゴやビジュアルなどを活用したブランディングなどに利用されます。

化粧品やファッションなどの視覚的な世界観の形成が重要なビジネスと相性が良いといえるでしょう。また、膨大なファンを獲得したインフルエンサーを介したマーケティングが、特に盛んにおこなわれています。

20代〜40代までに広く利用されており、年齢層が比較的広いのも特徴。広告として活用されるほか、ショッピング機能を活用してInstagram上のコンテンツから商品購入に直接つなげることも可能です。

LINE

  • 国内利用者数は8,600万人(2020年)
  • 「友だち」登録者同士の閉じたコミュニケーション
  • 年齢層が特に広い

国内利用者数でみると最も多いのはLINEで、8,600万人に利用されています。LINEは情報発信の機能としては「友だち」登録されたユーザー同士の閉じたコミュニケーションが主体。そのため拡散効果は限定的ですが、特定のユーザーとチャット機能などを通じて密な連携が可能なため、顧客との関係構築には役立ちます。

公式アカウントを活用すれば、友だち登録を増やすことで顧客開拓にも活用可能。また、アプリ開発などをおこなえば、LINEを起点にさまざまな機能やサービスを提供することもできます。

膨大なユーザー数を抱えるだけあって、利用している年齢層も広く、50〜60代の利用率も高いのが特徴です。中高年向けのサービスや商品のマーケティングに活用するのもよいでしょう。

SNSマーケティングにおける注意点

SNSマーケティングには次のような注意点があります。

  • 成果が出るまで時間がかかる
  • 本格的に取り組むと負担がかかる
  • 炎上のリスクがある

稀に特定の記事が目に止まって急速に拡散する、俗にいう「バズる」ことがあるものの、ほとんどの場合企業が期待するような効果を発揮するまでは時間がかかります。短期的な効果を求めずに、じっくりと取り組む姿勢が重要です。

また、SNSマーケティングではコンテンツを継続的に発信していく活動が重要になります。始める時は無料で低コストであるのがSNSの魅力ですが、多くの人の目に留まるコンテンツを継続的に発信するのには負担がかかります

社内の人的リソースも必要としますし、専門業者に頼んだ場合は、金銭面でもコストがかかります。始める時は、手法に慣れる意味でもコストをかけなくとも問題ないですが、継続して行くためには、金銭及び人的リソースをどの程度割くのか前もって計画しておきましょう。

最後に、SNSと切り離せないのが、想定外の情報が拡散してイメージを下げてしまう炎上リスク。これはSNS特有の拡散効果の裏返しで、常に付き纏うリスクと認識しておかなければなりません。

まず社内外のチェックを通じてコンテンツの品質維持を徹底するのは大前提として、リスクマネジメントとして、炎上等が発生した場合の対策、対処法などをあらかじめ整理しておく必要があります。

これらのSNSマーケティングにおけるデメリットを理解したうえで、しっかりと対策をとることが重要です。

SNSマーケティングの成功事例

最後に、4つのSNSマーケティングの手法について、成功事例を紹介します。自社におけるSNSマーケティングの戦略を立てるうえでの参考にしてください。

Twitter運用の成功事例|HeaR


アカウント運営を起点としたマーケティングはSNSマーケティングの基本的な手法の一つです。こちらの事例として企業の採用に関するコンサルティングを手掛けるHeaRを紹介します。

2018年設立とまだ若い企業である同社では、サービスや自社の知名度を高める手段としてTwitterに着目。同社において特徴的なのは、2020年時点の全社員7名がそれぞれアカウントを持って、継続的な情報発信をおこなったことです。

この取り組みを始めた当初は1社員が4,500名のフォロワーを持っているだけでしたが、半年ほどで、7名合計のフォロワー数が3.5万人に到達しました。

具体的には次のような取り組みをTwitterを起点におこなっていたそうです。

  • 週2回のコンテンツ記事の更新し、Twitterで情報発信
  • ハッシュタグを活用したウェビナー情報の発信と集客
  • ダイレクトメールを活用した営業活動

Twitterを始めた結果、月あたりのリード顧客数が飛躍的にのびるとともに、顧客獲得に対するコストの大幅な圧縮に成功しました。

また、副次的な効果として、Twitterのアカウント経由でHeaRに働きたいと考えている人材とも交流し、実際に数名の社員が仲間に加わったそうです。このように、SNSを通じて知名度を高めれば、単なるマーケティング手段としてだけでなく、優秀な人材の採用にも役立つ場合があります。

Facebook広告での成功事例|Relux


出典:Relux Facebook公式アカウント
SNSのなかには記事の一覧などのなかに広告を表示させることができる機能が備わっているものもあります。

Facebookの場合は「Facebook広告」と呼ばれるもので、アカウントそれぞれの発信した記事などが集約されたタイムラインのページに掲載することが可能。以前に掲載した記事を広告として再掲載することもできるため、反応の良かった記事を再利用することもできます。

この広告をうまく活用した企業の一つが、宿泊予約サービスの「Relux」。宿泊地や施設の魅力が存分に伝わる写真をメッセージやキャンペーンの情報と共に掲載。

Facebookのメインユーザー層である30代以上のビジネスマンに非日常体験ができる旅行の魅力を訴求し、同社のメインビジネスである宿泊予約に繋げています。

出典:Relux Facebook公式アカウント
このような美しい写真群が話題を集め、同社のアカウントは113万人のフォロワーを獲得。旅行分野の人気アカウントの一つとなっています。

複数のSNSによるキャンペーン展開による成功事例|オリバーソース


SNSをキャンペーンに活用するマーケティング手法も近年では普及しています。アカウントへのフォローやハッシュタグ機能使用などをキャンペーン応募の代わりとして、実際に操作をおこなった人に抽選で特典を提供する手法です。

キャンペーンを通じて商品の認知度を高めることができ、またフォローによりリード獲得にもつながる有効なマーケティングとなります。

この事例は多数ありますが、2段階のキャンペーン「倍々キャンペーン」を展開したのが独自の「どろソース」を生産するオリバーソース。Twitter、Instagramを通じて10月6日を「ど(10)ろ(6)ソースの日」と定めて、次のようなキャンペーンを展開しました。

  • 第一弾:アカウントをフォローした人の中から抽選で、ソースを1本プレゼント
  • 第二弾:どろソースを購入して投稿、専用ハッシュタグを付与した人の中から抽選でソース詰め合わせを2本プレゼント

二段階目に景品が倍になることから「倍々キャンペーン」と名付けられたこのキャンペーンは、一段階目で認知度の向上、二段階目で実際の商品購入とその購入情報の拡散という効果が狙える手法。キャンペーンがうまく機能すれば顧客獲得から商品の販売まで一挙に達成される点で、優れた戦略であるといえるでしょう。

インフルエンサーマーケティングによる成功事例|ネスレ日本


すでにSNS上で高い知名度をもつインフルエンサーに商品を紹介してもらうことで、集客や商品の購入などにつなげていくのがインフルエンサーマーケティングです。

インフルエンサーの注目度や発信力を利用することで、企業の製品やブランドの認知度を高めることができます。

ある意味有名人を起用するテレビCMなどと近い効果がありますが、SNSを頻繁に利用する若年層などにリーチしやすい、SNSを通じて製品購入ページや公式サイトに遷移する仕組みを作りやすい、といったSNSならではの効果もあります。

珈琲をはじめとした飲料・食品メーカーのネスレでは、自社のエスプレッソマシン「ネスプレッソ ヴァーチュオ」についてインスタグラマーの櫻井貴史氏を起用して紹介しています。

同製品を使用するとコーヒー上部に「クレマ」というきめ細かい泡ができるため、香り豊かで本格的なコーヒーを自宅で楽しめるというのが訴求ポイント。マシンを櫻井氏に使用してもらうことで、自宅でエスプレッソマシンを使用する新習慣を提案しています。

このように消費者に新しい習慣を身につけてもらうためには、「知名度の高いインフルエンサーがすでに取り入れている」ことをアピールできるインフルエンサーマーケティングが有効です。

SNSで新たなユーザーにアプローチして認知度の向上を図ろう

SNSは個人のコミュニケーションツールとしてだけでなく、企業のマーケティングツールとしても重要な存在になってきています。個人におけるSNS利用率が高い昨今においては、SNS上での情報発信により、企業の認知度向上や顧客の獲得につなげることが可能です。

本格的に継続するとなると一定の負荷がかかるものの、アカウント作成や情報発信だけであれば、無料ではじめることもできます。初期コストが小さく済む点は、起業家やスタートアップに適したマーケティング手法であるといえるでしょう。

企業の黎明期で、自社の製品の知名度を高めたい、ブランディングを進めたいと考えている方は、ぜひSNSによるマーケティングをとりいれてみるのがおすすめです。

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