今年こそ副業から起業へ|失敗しない準備と現実的なタイミング
今年を「起業を目指す年」にしよう

いずれ起業したいと考えている人はいても、実際に行動する人はそう多くありません。
多くの人が起業願望を持ちながら具体的な行動計画を立てず、毎年同じ状況を繰り返しています。
本業があるため、起業に踏み出せない人も多いでしょう。いきなり大きなリスクを背負わずに済むように、国や自治体の支援制度を賢く活用してください。
自分に合った制度を正しく把握しておくことは、漠然とした不安を解消し、現実的な計画を立てるための有効な武器です。
今年を起業を目指す年と位置付けて、情報収集や行動計画の精度を大きく変えてください。
この記事の目次
なぜ今が起業のチャンスなのか

起業しようとしてもきっかけがなければ、なかなか行動には移れません。ここでは、なぜ今が起業のチャンスであるといえるのかについてまとめました。
小さくはじめやすい環境が整っている
起業する時にまず問題となるのが資金の課題です。近年はオンラインサービスの普及により店舗を持たずに事業を開始できるため、初期投資を大幅に抑えられます。
さらにクラウド会計やオンライン決済が普及したため、事務作業の負担を軽減しながら運営できます。
個人であってもSNSやECを活用して直接販売できる環境が整い販路開拓のハードルが下がったため、スモールビジネスをはじめる好機になったといえるはずです。
副業を後押しする政策環境が広がっている
厚生労働省は「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を公表し、副業についても一切禁止は望ましくないという見解を示しています。
ガイドラインでは企業に対して企業の安全配慮義務・秘密保持等は考慮しながら、副業を不当に制限しないよう求めました。
政策的に副業が後押しされ、以前よりも副業から起業へ移行しやすい社会環境が整いつつあります。
公的支援制度が整備されている
起業の資金準備についても、公的支援制度を利用可能です。日本政策金融公庫は創業者向け融資制度を設けています。
無担保・無保証人で利用可能な制度があり、資金面でのハードルも以前より下がりました。
中小企業庁は「創業支援等事業計画」に基づき、自治体と連携した支援体制を整備しているほか、各自治体は認定支援機関や相談窓口を設置し、創業前からの伴走支援を実施しています。
資金が足りず諦めていた人も利用できる公的支援を調べてみてください。
年度の区切りが行動を後押しする
新しいことをスタートする時には、ここが節目だと意識してみてください。年度のはじまりは目標を設定しやすく、行動計画を立てやすいタイミングです。
今年を準備期間と定めることで、漠然とした願望を具体的な行動目標に変えられます。
実務的には、多くの補助金や支援施策は年度単位で公募されます。そのため年初はアイデアを行動に移しやすい時期です。
年初から動けるように計画を立てておいてください。
起業につながる副業かどうかを見極める3つのポイント

簡単に副業といっても、その働き方は千差万別です。時間を効率的に使うためにも、その副業が起業につながるかどうかを意識しなければいけません。
起業につながるかどうかを判別するポイントを3つ紹介します。
①自分が続けられそうか
事業は継続が前提です。忙しい中でも長期的に継続可能かを自己評価してください。これは事業計画書を作成する時にも必要な視点です。
中小企業庁は事業計画策定を推奨しています。その中で、自身の強みや経験を棚卸しする作業を踏まえて適性を評価しなければいけません。
収益だけでなく仕事内容に納得感があるかを確認することが、長期継続の判断材料になります。
②お客さんが増えていきそうか
起業するにあたって、顧客ニーズの把握は事業成功の前提です。どれだけ良いサービス、商品であっても市場性がなければ事業として成功しません。
長期的に事業を続けるためには継続可能性も検討しましょう。一度きりの受注ではなく継続契約や定期購入が見込めるかを検証してください。
売上を安定させるためには、顧客満足度を高め、リピーターや紹介を生み出せる取組みが求められます。
③仕組みとして広げられそうか
自分だけが作業するモデルは売上が頭打ちになりがちです。これは事業に時間に制約があるため、拡張性が制限されることが理由です。
属人的なビジネスを離れて業務をマニュアル化すれば、将来的に外注や人材採用が可能です。
売上拡大と負担軽減の両立を実現するには、ビジネスモデルの仕組み化を視野に入れてください。
起業を目指す人が一度はぶつかる不安

起業する人がすべて実現に向けて悩まず進んだわけではありません。誰でも起業するまでに一度は不安で動けなくなることがあります。
どういった不安があるのかを以下で解説します。
失敗したらどうしようという不安
起業して失敗したらどうしようというのは、起業する人の誰もが考えたことがあるはずです。起業の失敗は決して珍しくありません。
中小企業庁の創業支援制度でも再調整を後押しするほどです。
しかし、起業して失敗したとしても再挑戦は可能です。法人は有限責任であるため、出資額を超える責任を負わない仕組みも整備されています。
実務上は、銀行融資を受ける時に代表者補償を求められ一部の例外もあります。しかし、専門家相談窓口を活用すればリスクを事前に把握できるので十分に対策可能です。
生活できるかわからない不安
起業自体の投資費用は抑えられても、そもそも起業して食べていけるかも問題となります。
日本政策金融公庫は創業計画書で売上見込みと経費計画の記載を求めていて、生活費が捻出できるかどうかも考えておかなければいけません。
創業計画書を作成する時には固定費と変動費を明確に区分して、必要最低売上を算出するようにしてください。
副業期間に生活費相当の利益がどれだけなのかを検証して計画に落としこむことが、安全な独立判断につながるでしょう。
会社を辞める決断ができない
会社員は個人事業主と比較して保護されている部分が多くあります。
厚生労働省は雇用保険制度を設けており、失業しても条件を満たせば退職後も一定期間は基本手当を受給可能です。
失業保険は自己都合による退職であっても待機期間を満了すれば受給でき、起業前の準備期間中は受給可能な場合があります。
収入がなくなるリスクを抑える現実的な選択としては、いきなり退職せず副業で検証する方法も検討してください。
副業から起業へ踏み出すための3つの準備

すぐに起業しようと考えると、なかなか踏み出せないかもしれません。副業の段階を踏んでから起業する方法も考えてください。
副業に踏み出すための3つの準備をまとめました。
いきなり会社を辞めない
多くの起業希望者は会社を辞める前に副業として事業を運営し、市場の反応を確認しています。
安定収入を維持しながら検証期間を設けられるので、資金繰りのリスクを抑えて準備できる方法です。
副業段階は、テスト、マーケティングとして顧客の継続性や収益の再現性を確かめます。この結果が独立するかどうかの判断の基準となります。
目標売上を数字で置く
副業だからと目標数字を掲げないでいると、いつまでも起業につながりません。
起業を目指す人は生活費と事業経費を合算し、必要最低売上を具体的な金額で算出しています。
月次目標を設定して実績と比較することで、事業の成長度合いを客観的に把握できます。
売上目標を数字で明確に定めることは、退職するかどうかの判断でも大切です。
事業をはじめてからも安定して利益を生み出すには、感情で退職を決めるのではなく、数値基準で行動するようにしてください。
期限を決める
起業準備を進める人は達成時期を明確に定め、行動計画を逆算で作成しています。
「いつかは起業したい」といったあいまいな願望ではなく、期限を設定することで、情報収集や資金準備を計画的に進めます。
準備を先延ばしにせず行動に移しやすくするには、今年中などの具体的な期限の設定が不可欠です。
今日からできる起業準備チェックリスト

起業準備は、事業自体の準備だけでなく手続きなどのクリアしなければならない問題もあります。以下では、今日からでもはじめられる起業準備チェックリストをまとめました。
ひとつずつ確認して行動に移していってください。
| 行動項目 | 確認ポイント | 目的・意味 |
|---|---|---|
| 就業規則の確認 | 競業避止義務や副業禁止規定がないか | 法的トラブルを未然に防ぐため |
| 副業の売上・利益を整理 | 月次推移・利益率・再現性を確認 | 独立判断を感情ではなく数字で行うため |
| 最低生活費を算出 | 固定費と変動費を分けて計算 | 必要最低売上を明確にするため |
| 顧客分析 | リピート率・紹介の有無 | 市場の継続性を確認するため |
| 創業支援制度を調べる | 融資・補助金・相談窓口の有無 | リスクを下げる選択肢を持つため |
| 相談窓口に予約する | 自治体・公的機関・専門家 | 客観的な助言を得て計画を具体化するため |
トラブルを防ぐための事前確認
会社員として働いている人は、起業する前に会社の就業規則に競業避止義務に関する記載がないか確認してください。
競業避止義務とは、在職中、退職後に一定の競業行為を禁止するための義務で、企業の利益を保護するために合理的範囲内で有効とされています。
つまり、働いている会社のライバル会社への転職や自分で競合するような起業を立ち上げてはいけないという義務です。
競業避止義務は、入社時の誓約書や就業規則で定められます。
退職後の一定期間制限がある規則の場合もあるので内容を確認して会社の機密情報やノウハウを利用していないか、顧客層や取引先が重なっていないかチェックしてください。
これまでの副業を棚卸しする
副業を手がけるだけでなく、自分で棚卸しをしておいてください。副業の売上推移や受注件数を整理することで、事業として成長可能かを客観的に判断できます。
リピート率や紹介数を把握して、市場の将来性や事業の再現性を分析します。
副業の棚卸しは、必ず数字で分析してください。作業時間と得られた利益を比較することで、時間当たりの収益性を把握できます。
自分の得意分野は自分だけでは把握できていないことがあります。今までに手掛けた案件の顧客属性や依頼内容を分析することで、強みとなる分野を明確にしてください。
公的支援制度と相談先を確認する
起業は、人の力を借りることで新しい可能性が生まれます。事業についての相談先と公的支援制度を活用してください。
中小企業庁の創業支援情報は公的支援制度の全体像を把握するために有用です。気になる制度がある時には、公式の情報をチェックしてください。
日本政策金融公庫の公式情報を参照すると創業融資の条件も確認できます。
公的相談窓口では、制度の内容や手続きについてのアドバイスも受けられます。起業準備の方法や制度内容、相談窓口については創業手帳の記事もご確認ください。
※ここで創業手帳・起業準備ガイド・相談窓口に自然導線
副業から起業するタイミング

副業が軌道に乗ったら、いよいよ起業を考え出すタイミングです。
副業のままでうまくいっているからと、そのまま続けているとビジネスチャンスを伸ばしてしまう可能性があります。
副業から起業するタイミングはどのように判断すればいいのかポイントをまとめました。
副業収入が本業収入を継続的に上回った時
起業する時に多くの人が気にするのが収入面です。起業しても生活していけると判断できるタイミングのひとつが副業で得られる収入が本業を上回った時です。
ただし、一時的に副業収入が増えたとしても将来的に継続するかどうかが問題になります。
副業の月間収入が本業の手取り額を超えた状態が、最低でも3〜6カ月以上継続しているかどうかを基準にしてください。
一時的な売上が増加しただけなく、再現性があるかがポイントです。本業には賞与や社会保険、退職金制度などの価値も含まれています。
それらの価値も考えた上で収入が上回っていなければ手元に残るお金は少なくなってしまいます。
単純な手取り比較ではなく「年収ベース」で判断するようにしてください。
最低生活費を安定して上回っている時
起業する時には、最低でも半年分の生活資金を蓄えておきます。
その上で、算出した最低生活費と事業経費を合算し、その水準を副業収入が継続的に超えているかを確認してから起業してください。
理想とする売上ではなく「最低ライン」を基準にするのは、感情ではなく数字で判断するためです。
理想の売上では根拠があいまいになってしまうことがあるので、より明確なラインを設定してください。
市場の需要が今後も継続すると判断できた時
市場の需要は移り変わりがあります。起業の前には現在の売上だけでなく、その事業分野が一時的な流行ではないかを見極めなければいけません。
検索需要の継続性や競合の参入状況、継続契約の増加傾向などから、市場が拡大・安定しているかを分析してます。
特定のプラットフォームや一社の取引先に依存している状態もリスクがあります。市場の需要変化に対応できるような体制を構築してください。
まとめ|起業は決断より「準備」をはじめた人から近づく
起業は勢いだけで成功するものではなく、制度理解と計画策定が成果を左右します。今年を準備期間と定めるだけで、これからの情報収集と行動の質が大きく向上できます。
また、将来的な起業準備としての副業を事業計画に落とし込んで計画を策定してください。構想だけで終わらせずに具体的な一歩を踏み出すことが起業への近道です。
創業手帳(冊子版)は、これから起業しようとしている人をサポートする記事を多数掲載しています。新しいビジネスパートナーとして創業手帳を活用してください。
(編集:創業手帳編集部)
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