合同会社の解散手続きとは?流れ・費用・注意点をわかりやすく解説!

合同会社を廃業するためには解散する必要がある

合同会社の解散手続きに必要な登記書類や社判を表したイメージ
合同会社を廃業する場合、解散と清算という2つの手続きが必要です。
完了するまでには、ある程度の期間がかかり、費用も発生します。必要な手続きについても理解していない人もいるかもしれません。

そこで当記事は、合同会社の解散と清算の違いについて解説すると共に、解散の流れや必要な書類、費用や期間などを解説していきます。
注意点も紹介していくので、合同会社の解散を検討している人や解散の仕組みを理解したいひとは、ぜひ参考にしてみてください。

合同会社はどんな場合に解散する?

合同会社の解散事由は、会社法第641条で定められており、以下に当てはまる場合は解散することになります。

  • 定款で定めた存続期間の満了
  • 定款で定めた解散事由の発生
  • 総社員の同意
  • 社員の欠乏
  • 合併
  • 破産手続き開始の決定
  • 解散を命ずる裁判

実務上、最も多い解散事由は「総社員の同意」です。社員とは出資者のことを指します。
総社員の同意をもって解散することができますが、1人でも同意がない場合や行方不明になっている社員がいる場合には解散ができません。
解散したくてもできないケースを避けるためにも、定款で別段の定めをしておくと解散できないリスクを減らすことができます。

社員の欠乏とは、社員全員が退社をしてゼロになった場合や社員1人の合同会社で、その社員が亡くなった場合などです。社員が1人もいなくなれば強制的に解散することになります。
しかし、社員の相続人が社員の地位を引き継ぐといった旨を定款で定めおくと、強制的な解散を回避できます。

合同会社の解散と清算の違い

合同会社の解散と清算の違いを比較した図
合同会社を廃業する際には、「解散」と「清算」という2つの手続きを行う必要があります。似た言葉ですが、それぞれ意味や目的が異なります。
解散は会社が事業活動を終了することを指し、清算は会社の財産や負債を整理して法人を完全に消滅させる手続きです。
合同会社を正式に終了させるには、どちらの手続きも欠かせません。

解散とは

解散とは、合同会社が事業活動を終了することを決定する手続きです。解散後は新たな事業活動は行えませんが、会社そのものがすぐになくなるわけではありません。
未回収の売掛金の回収や借入金の返済など、会社を整理するために必要な業務は引き続き行います。

清算とは

清算とは、会社が保有している財産や負債を整理し、最終的に法人格を消滅させるための手続きです。
具体的には、債権の回収や債務の弁済、残余財産の分配などを行い、すべての清算事務が完了した後に「清算結了登記」を行います。
この登記が完了して初めて、合同会社は法人として消滅します。

合同会社は「解散」と「清算」の両方が必要

合同会社を廃業する場合は、「解散」だけでは手続きは完了しません。
解散後には、官報公告や債権者保護手続き、財産の整理、税務申告などを経て、清算結了登記まで行う必要があります。
これらの手続きをすべて終えることで、合同会社は正式に法人格を失い、廃業が完了します。
スムーズに進めるためにも、解散から清算までの全体の流れを事前に把握しておくことが大切です。

合同会社解散の流れ

合同会社の解散決議から清算結了登記までの7つの手続き
合同会社解散は以下のような流れで進められます。

1.解散決議
2.清算人の選任・登記
3.税務署などへの届出
4.官報公告・債権者保護手続き
5.財産整理・債務弁済
6.残余財産の分配
7.清算結了登記・清算確定申告

下記で詳しく解説していきます。

1.解散決議

まずは、総社員による解散の決議を行います。その際には総社員の同意書の作成も必要です。
同意書に関しては、法務局のホームページにフォーマットが用意されているため活用すると便利です。

2.清算人の選任・登記

次に、会社の清算手続きを実施するためにも清算人を選ぶ必要があります。
一般的には、会社の代表者が清算人になりますが、それ以外の社員でも清算人に選定することは可能です。

清算人が決定したら、清算人専任決定書と就任承諾書2つの書類を作成します。いずれも、法務局のホームページにフォーマットが用意されているため、活用すると便利です。

その後、解散となりますが、解散の決議が行われてから2週間以内に法務局での解散登記と清算人の選任登記が必要です。
添付書類は、解散事由や清算人の選定方法によって異なります。あらかじめ確認してから法務局へ足を運びましょう。
また、解散登記を行った時点で会社は解散した状態となります。

3.税務署などへの届出

合同会社を解散した後には、税務署や都道府県事務所、市区町村の役場などに様々な届出をしなければいけません。提出する期間や書類は以下の通りです。

提出先 提出書類
税務署 異動届出書
法人税・地方法人税解散事業年度確定申告書
消費税・地方消費税確定申告書
給与支払事務所等廃止届出書
都道府県税事務所 異動届出書
法人税・地方法人税解散事業年度確定申告書
公共職業安定所
(ハローワーク)
被保険者資格喪失届
雇用保険適用事業所廃止届
年金事務所 被保険者資格喪失届
適用事業所全喪届

合同会社の実情によって、提出書類や添付書類に違いがあるため、あらかじめ各機関に問い合わせておくとスムーズな届出が可能です。

4.官報公告・債権者保護手続き

解散した後には、債権者保護手続きも行います。会社が解散したことを債権者に知らせるため、官報公告への掲載申込みを行います。
この際、債権者は2カ月以内に申し出る旨を記載し、期間内に申出がない時には清算から除斥される旨を付記します。
公告期間が終了するまでは会社を清算できないため、速やかに実施してください。

5.財産整理・債務弁済

次に、財産の整理です。清算人が合同会社の財産状況を調査して、清算実務を行っていきます。
具体的な内容としては以下の通りです。

  • 売掛金の債権取立て
  • 在庫商品を売却し現金化
  • 不動産や車両などを売却し現金化
  • 買掛金や借入金などの債務の弁済

回収すべき債権は回収をして現金化し、債務があれば払いを済ませる必要があります。

6.残余財産の分配

清算人による財産整理が終了し、会社に財産が残ったら全社員に対して出資割合など定款の定めに沿って分配を行います。
もし、資産よりも負債のほうが多い債務超過であれば、分配は行えないため、次のステップへと進みます。

7.清算結了登記・清算確定申告

清算事務が全て終わり、残余財産の分配も終了したら、清算人は清算期間中の収支をまとめた決算報告書を作成しなければいけません。
作成した決算報告書は、全社員に公開して同意を得る必要があります。そして、同意書を作成した時点で会社は清算したとみなされます。

また、清算結了の承認を得た日から2週間以内に清算結了登記の申請が必要です。
社員が清算結了したことを承認する証となる書面で、受理されると会社の登記簿が閉鎖されて会社が消滅する仕組みです。

残余財産確定日から1カ月以内には、清算事業年度の確定申告も行います。
清算中に得た収益と費用を計上して、納めるべき法人税額を求め、税務署や都道府県税事務所に提出してください。
清算結了登記や清算確定申告が終了したら、税務署や都道府県税事務所、市町村役場に清算結了の届出を提出することで、行政機関への全ての通知が完了します。

合同会社解散で必要な書類

合同会社を解散する際には、法務局への登記申請だけでなく、税務署や自治体への届出など複数の書類が必要です。
提出先や解散の状況によって必要書類は異なりますが、事前に確認しておくことで手続きをスムーズに進められます。
司法書士などの専門家へ依頼する場合でも、必要書類を把握しておくと準備漏れを防げます。

主な必要書類

合同会社の解散で必要となる主な書類は以下のとおりです。

  • 総社員の同意書(解散決議)
  • 清算人の就任承諾書
  • 解散・清算人選任登記申請書
  • 印鑑届出書(必要な場合)
  • 異動届出書(税務署・都道府県・市区町村)
  • 解散確定申告書・清算確定申告書

必要書類は会社の状況によって異なるため、法務局や税務署で事前に確認しておいてください。

合同会社解散にかかる費用

合同会社の解散・清算に必要な登記費用や官報公告費用の内訳
合同会社を解散する場合、以下のような費用が発生します。

項目 費用
解散・清算人選任登記 39,000円
清算結了登記 2,000円
官報公告 約40,000円
司法書士依頼 数万円~10万円程度

複数の登記申請や決算が必要になるため、手続きで悩む人も多いかもしれません。そんな時には専門家でもある司法書士や税理士などに依頼することが可能です。
登記申請や税務申告など、複雑な手続きもミスなく進めることができ、時間や精神的な余裕が生まれます。

しかし、費用がかかる点に注意が必要です。費用は、依頼する内容や事業の規模によって費用は異なります。
場合によっては、40万円ほどかかるケースもあるため、どの程度コストがかかるのか前もって問い合わせておくと安心です。

合同会社解散にはどれくらいの期間がかかる?

合同会社の解散から清算結了までは、一般的に2~4カ月程度かかります。これは官報公告を2カ月以上行う必要があるためです。

一方、債権・債務が多い場合や、未回収の売掛金、不動産などの資産がある場合は、清算手続きに半年以上かかることもあります。
できるだけ早く手続きを終えるためには、事前に契約や資産状況を整理し、必要書類を準備しておくことが大切です。

合同会社を解散する時の注意点

合同会社を解散する際には、以下の点に注意してください。

税務申告を忘れない

合同会社を解散した場合は、通常の法人と同様に税務申告が必要です。
解散日までの事業年度について行う「解散確定申告」と、清算手続きが完了した後に行う「清算確定申告」の2回の申告が必要になるケースがあります。

また、法人税だけでなく、法人住民税や法人事業税、消費税などの申告・納付が必要となる場合もあります。
申告期限を過ぎると延滞税や加算税が課される可能性があるため、税理士などの専門家に相談しながら進めると安心です。

債務超過の場合の対応

資産よりも負債が多い債務超過の場合、特別清算や破産の手続きに移行するため、通常の解散・清算手続きを実施できません。
清算手続き中に債務超過がわかった段階で、清算人は速やかに破産申し立てを行う義務があります。

また、これらは裁判所を通じて実施される法的な倒産処理です。
弁護士といった専門家の支援が必須となるため、早い段階で専門家へ相談してください。

融資を受けている場合の対応

金融機関などから融資を受けている場合、負債の返済が終わっていないと解散や清算はできません。
それでも解散したい場合には、全ての借入金や負債を完済しなければいけません。
その場合は、原則として残りの借入金は一括返済を求められます。

返済の目途がつかない場合には、勝手に解散を進めるとトラブルになるため注意が必要です。
会社の役員や個人的に資産を保有している場合は、個人のお金を会社に貸し付けて会社の資産を増やし、返済にあてることも可能です。

個人的な資産がない場合には、会社が資金を増やすしか方法がないため、不要な資産を売却し、事業を継続しながら少しずつ返済を続ける必要があります。
返済が難しい場合には、破産手続きへの移行を検討してください。

合同会社解散でよくある質問

最後に、合同会社解散に関する疑問を解決していきましょう。

Q. 合同会社は放置すると自動的に解散しますか?

いいえ。合同会社は事業をやめても、自動的に法人が消滅するわけではありません。
法人を正式に終了させるには、解散・清算結了の手続きを行う必要があります。
なお、株式会社には登記から12年が経過すると「休眠会社」とみなされ、法務局からの通知に応答がなければ強制的にみなし解散となる制度がありますが、合同会社にはこの制度は適用されません。

Q. 合同会社の解散には最低いくらかかりますか?

登録免許税や官報公告費用などを含めると、最低でも7~8万円程度は必要です。司法書士へ依頼する場合は、別途報酬が発生します。

Q. 債務が残っていても解散できますか?

債務がある場合でも解散手続き自体は可能ですが、清算の過程で債務を弁済する必要があります。
債務超過で返済が困難な場合は、通常清算ではなく破産手続きが必要になるケースもあります。

Q. 合同会社の解散は自分でも手続きできますか?

可能です。ただし、登記や税務申告など複数の手続きが必要となるため、不安がある場合は司法書士や税理士などの専門家へ相談すると安心です。

まとめ・流れを把握して解散・清算の手続きをスムーズに進めよう

合同会社を廃業する際には、解散や清算の手続きが必要で、それぞれで申請や書類の提出などが必要です。手続きを素早く行ったとしても、2カ月以上の期間がかかります。
1人で作業する場合には、書類の準備不足や手続きのミスなどで、さらに時間を要するケースも考えられます。
少しでもスムーズに進めるためにも、解散や清算の流れをよく確認することが大切です。
専門家への相談も検討してください。

創業手帳(冊子版)では、起業前や起業後に役立つ情報を複数提供しています。合同会社を継続させるため、必要な知識を補うために役立つので、ぜひ参考にしてみてください。

(編集:創業手帳編集部)