地方企業でも100億円企業は夢じゃない!その理由をソウルドアウト北川社長に聞いてみた。

企業の成長は、経営者で99%決まる。「伸びる会社」の共通点


「地方だから成長できない」「地方だから人が採れない」——そう考える経営者は少なくありません。

しかし、全国の中堅・中小企業支援に16年間携わってきたソウルドアウト株式会社代表取締役社長CEOの北川共史氏は、その前提そのものに異を唱えます。

「地方企業は不利どころか、これからの日本で最も可能性のあるポジションにいる」と語る北川氏に、伸びる企業と伸びない企業を分ける経営者の考え方、年商100億円を超えるための転換点、そしてAI時代における地方企業の戦い方について伺いました。

北川 共史(きたがわ ともふみ)
ソウルドアウト株式会社 代表取締役社長CEO兼CCO
1984年北海道札幌市生まれ。2007年、株式会社オプト(現:デジタルホールディングス)へ新卒入社。全社MVPを受賞後、「中小企業支援」を志し、2010年にソウルドアウト創業に参画。東日本・西日本営業部長、営業本部長を歴任し、営業執行役員、上席執行役員CRO、マーケティングカンパニープレジデント、専務取締役COOを経て、2026年4月より代表取締役社長に就任。営業責任者として全国の中堅・中小企業支援を拡大し、ソウルドアウトの上場に貢献。現在は「ローカル×AIファースト」構想を推進し、地域企業の事業変革と日本経済の持続的活性化に取り組む。実家は社会福祉法人を運営。里子と共に育った経験から「弱い立場にいる人を助けたい」という想いを原点に持つ。座右の銘は「義を見てせざるは勇なきなり」。

地方企業は本当に不利なのか?

ー全国の地方・中小企業を支援される中で、「地方だから成長できない」という声を耳にすることがあります。北川社長は現在の地方企業の可能性をどのように見ていますか。

北川:結論から言うと、地方企業は不利どころか、これからの日本で最も可能性のあるポジションにいると本気で思っています。「地方だから成長できない」という声はよく耳にしますが、私は16年間、全国の中小企業を支援してきて、「地方だから」で説明できる敗因にほとんど出会ったことがありません。

理由はシンプルで、これからの日本は外貨を獲得しないと生き残れないからです。100年後の日本の人口は約4,800万人まで減ると推計されています。国内でお金を回すだけの経済では立ち行かない。では、海外の方々は日本の何にお金を払うのか。食、お酒、伝統工芸、農業、観光——つまり、その土地でしか生まれない「リアル」です。そして、それらはほぼすべて地方にあります。AIによって情報や価値がどんどん均一化していく時代ほど、コピーできない独自性の価値は上がっていく。だから私は、「ローカル」を感情論ではなく、成長戦略として語るべきだと言い続けています。

ーでは、成長できる企業とそうでない企業の差はどこにあるとお考えでしょうか。

北川:設備でも立地でも人材でもなく、経営者です。私の実感では、企業の成長は経営者で99%決まります。

もっと言えば、成長できていない地方企業は、能力が足りないのではありません。①そもそも(現状維持の心地よさなどから)次の成長へのきっかけを掴めていない、②年商100億円までのロードマップを描けていない、③伴走してくれるプレイヤーが周りにいない。この3つが重なっているケースが非常に多いんです。逆に言えば、この3つが揃えば地方企業は伸びます。ポテンシャルの問題ではなく、意思と設計の問題だと捉えています。

成長する経営者に共通する考え方とは?

ーこれまで多くの経営者を見てこられた中で、事業を大きく成長させる経営者にはどのような共通点がありますか。

北川:一言で言えば、「本気かどうか」です。身も蓋もないようですが、これまで数千社の支援に携わってきて、支援の成否を分けたのは施策の巧拙ではなく、経営者が本気で成長を決めているかどうかでした。

伸びる経営者の共通点は3つあります。

1つ目は、志を言語化していることです。「誰の、どんな悩みを、どんな強みで解決するのか」。ビジネスは突き詰めればここに収斂します。これを自分の言葉で語れる経営者は強い。

2つ目は、それを言い続けることです。私はよく「同じことを言い続けると磁石になる」と言っています。周りから「もういいよ、分かったよ」と言われて、初めて伝わり始めたと考えたほうがいい、と。発信の本質は新規性ではなく反復です。言い続ける経営者のもとには、共感する社員、顧客、パートナー、時には資本までもが、磁石のように吸い寄せられてきます。

3つ目は、誰もやりたがらない領域に張れることです。私たち自身、当時誰も見向きもしなかった中小企業向けデジタルマーケティングという領域から始まりました。簡単じゃないからこそ誰もやらない。それがチャンスなんです。

ー逆に、成長の機会を逃してしまう経営者に見られる特徴があれば教えてください。

北川:「地方だから」「人がいないから」「業界が縮んでいるから」と、主語を環境に置いてしまうケースです。

優秀な人材は給与や条件ではなく、経営者のビジョンに吸い寄せられます。だから、ビジョンを語らない経営者の会社には人も情報も集まりにくくなります。厳しい市場環境があったとしても、経営者の意志(ビジョン)こそが人や情報を呼び込む最大の鍵となります。

年商数億円の会社が100億円企業へ成長する転換点

ー年商数億円規模から数十億円、さらには100億円規模へと成長していく過程では、どのような転換点があるのでしょうか。

北川:非連続な成長を遂げた企業を数多く見てきて、転換点は明確にあります。私はよく「100億円の壁を越えるには5つの武器が要る」とお話ししています。M&A、新規事業、デジタル活用、経営チームの組成、そしてAI活用です。

年商数億円までは、極端に言えば、社長一人の営業力と商品力で到達できます。しかし、そこから先に進むための最初の関門は、「社長の会社」から「経営チームの会社」へ変われるかどうかです。社長がすべての意思決定を握ったままの会社は、社長の処理能力が成長スピードの限界を決めてしまうことになります。権限を渡し、経営を担う仲間を迎え入れられるか。ここで多くの会社が足踏みします。

ー経営者の考え方や組織、事業戦略の面で、他に共通する変化はありますか。

北川:もう1つの大きな転換点は、ストーリーの言語化です。中小企業には、大手のようなブランドも、潤沢な資金も、情報もありません。だからこそ、ストーリーで戦うしかない。自分たちは何者で、誰のために、どこへ向かうのか。これが言語化された瞬間、採用も、集客も、金融機関や株主との関係も、すべてが変わり始めます。

実は、私たち自身も創業期に大きな挫折を経験しています。かつて私たちが属していた大企業向けのノウハウや、グループの主力だった手法を、そのまま中小企業のお客様に持ち込んでしまい、解約が相次いだんです。猛省して、「自分たちは何で戦うのか」というコアを定義し直したことで、初めて成長軌道に乗れました。「何で戦うか」を定義し直すこと自体が、転換点になるんです。

ー100億円を目指す上で、市場の視点ではどのような発想が必要になりますか。

北川外需への視点が必要になります。国内市場が縮んでいく中で100億円を目指すなら、地域から全国へ、日本から世界へと、商圏の主語を大きくしていく発想が欠かせません。

成長企業はデジタルやAIをどう活用しているのか?

ー近年はAIやDXが注目されていますが、実際に成長している企業はテクノロジーをどのように活用しているのでしょうか。

北川:成果を出している企業に共通するのは、AIを「人を減らす道具」ではなく、「人をより価値ある場所に向かわせる道具」として使っていることです。

私自身、生成AIを日常的に使い倒していて、業務効率は体感で4割上がりました。ただ、大事なのはその先です。浮いた時間を何に使うか。私たちは、AIで生まれた時間と人の力を、お客様のところへ足を運ぶこと、私たちの言葉で言えば社名の意味の一つである「靴底をすり減らす」ことに振り向けています。AIで情報や価値が均一化する時代ほど、リアルな信頼関係の価値は上がるからです。

ー成果を出している企業に共通する考え方や取り組みがあれば教えてください。

北川:ご支援先でも同じ構図が見られます。例えば岡山のあるお客様は、経営トップが先頭に立って生成AIの活用を進め、事業課題の解決と社員のやりがい創出を同時に実現し、いまや地域有数のAI活用企業になりました。

成果を出す企業の共通点は3つです。1つ目は、経営者自身が誰よりも使っていること。2つ目は、「効率化して生まれた時間で何をするか」という目的が先にあること。3つ目は、小さく始めて型化し、横展開していることです。逆に、「AIで何かやれ」と現場に丸投げしてしまうと、現場が迷走してしまい、なかなか成果に結びつきません。

テクノロジーは主役ではなく、志を実現するスピードを上げる武器です。この順番を間違えないことが何より大切だと思います。

成長を阻む“もったいない失敗”とは?

ーこれまで多くの中小企業の支援に携わる中で、「この考え方や進め方は成長を妨げてしまう」と感じる共通の失敗パターンはありますか。

北川:4つあります。いずれも、能力ではなく、設計と覚悟の問題です。

1つ目は、大手企業や都会の成功パターンをそのまま持ち込むことです。先ほどお話しした通り、これは私たち自身がやらかした失敗です。予算もリソースも構造も違う中小企業には、中小企業の勝ち方があります。顧客に学ばず、型に顧客を当てはめようとすると、なかなか成果には結びつきません。

2つ目は、理念が「絵に描いた餅」になってしまうことです。立派なビジョンを掲げても、日々の行動に落とし込めなければ意味がありません。私は社内で「理念を形骸化させない」と言い続けていますが、「語ること」と「実行すること」の間にある溝を埋めるフェーズで、本当に多くの会社が苦戦しています。

ー他社の成功パターンをそのまま持ち込むこと、理念を実装しきれないこと、この2つは多くの企業に共通しそうですね。残る2つについても教えてください。

北川:3つ目は、目先の売上のために「誰のためにやっているのか」を見失うことです。これも自戒を込めて言います。当社もかつて上場企業だった時代に、お客様の要望を優先しすぎるあまり、その先にいる生活者への配慮を欠き、大きな不祥事を起こして赤字に転落した経験があります。どん底の中で、関わるすべての人を幸せにする「八方よし」という理念を再定義して、立ち直りました。短期の数字のために誰かを置き去りにする経営には、必ずしっぺ返しがきます。

4つ目は、単発施策のつまみ食いです。広告を少し、SNSを少し、と点で打っても、成長は連続しません。戦略の幹を決め、信頼できる伴走者とともに、線でやり切ることが大切です。

地方・中小企業は、この国で最も伸びしろのある挑戦者だ

ー人口減少や人材不足、AIの進化など、経営環境は大きく変化しています。こうした時代の中で、地方企業が成長を続けるために今後特に重要になることは何だとお考えですか。

北川:特に重要になることは、3つあると考えています。

1つ目は、外需を獲得する意志を持つことです。人口減少はもう避けられない前提です。だからこそ、その土地にしかない食・文化・技術を武器に、日本の外からお金を稼ぐという発想が要ります。日本の成長戦略の要は、間違いなく地方にあります。

2つ目は、AIと人の再配置です。AIに任せられることはAIに任せ、人はリアルな顧客との接点と、新しい価値の創造に集中する。地方こそ人材不足が深刻だからこそ、AIがもたらす恩恵は都会よりも大きいはずです。

3つ目は、仲間をつくることです。100億円の壁は、一社だけでは越えられません。志を発信し続ければ、共感する社員、パートナー、支援者が磁石のように集まってきます。経営者の孤独に一人で耐えるのではなく、ぜひ周囲に向けて「志の旗」を立てていただきたいんです。

ー最後に、地方・中小企業の経営者や起業家に向けてメッセージをお願いします。

北川:明治維新は、最初はわずか数十人の圧倒的少数から始まりました。時代を変えるのはいつも、環境を言い訳にしない少数の本気です。

私自身は、社会福祉法人を営む家庭で、障害のある里子とともに育ちました。「弱い立場に置かれた人の可能性を開きたい」この想いだけは、10代の頃から1ミリも変わっていません。その対象が、里子から中小企業の社長へ、地域へ、日本へと広がってきただけです。

地方・中小企業は、この国で最も伸びしろのある挑戦者です。皆さんが志を掲げて挑戦するなら、私たちは靴底をすり減らして伴走します。中小・ベンチャー企業が咲き誇る国へ。共にワクワクする未来をつくっていきましょう。

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