【企業向け省エネ対策】電気代削減につながる取り組みと活用できる支援策を解説
企業にとって省エネ対策の重要度は高まっている

近年、世界的に気候変動や地球温暖化といった環境の変化が起こりつつあり、これにともなって環境保護を意識した対策が進められています。
特に、企業にとって省エネ対策を講じることは地球温暖化に配慮した方法であると同時に、電気代などの値上げに対する意識を高めることができるため、重要度は高い傾向です。
しかし、実際にどのような取り組みによってどのような効果が得られるか、メリットはあるのかという点について気になることもあるでしょう。
この記事では、企業が実践すべき省エネに関する取り組みに加えて、主な施策や事例、補助金などについて解説します。
省エネ対策を検討している企業は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
企業にとって省エネ対策の重要度が高まっている背景

現在、企業では積極的に省エネ対策が行われています。
日本では環境規制の強化を進めていて、その中には省エネ法や地球温暖化対策推進法などがあり、企業に対してCO2の排出量の報告やエネルギー消費量の削減などに対する報告が求められているのです。
その背景には、脱炭素化やエネルギーの安定供給などの理由が存在しています。
石油などのエネルギー資源は限りがあり、多くを輸入に頼る日本では安定的な供給という観点で省エネを求める傾向があります。
省エネを推進したことで、二酸化炭素の排出量も減少すれば地球温暖化に配慮している結果につながってくるでしょう。
実際に、ロシアがウクライナを侵攻したことによって世界的にエネルギー資源の価格高騰が起こり、経営が苦しくなった企業も少なくありません。
このように、全体的なエネルギー価格高騰を抑えるためには省エネに対して企業が積極的に取り組む必要性も求められています。
企業の主な省エネ施策

実際に、企業はどのような省エネ施策を実行しているのでしょうか。ここでは、企業の取り組みについて解説します。
電気関連の取り組み
企業が実施している電気関連の取り組みでは、OA機器の使用モードの変更、スリープモードの活用、エレベーター使用の頻度、生産ラインの適切な運営などが挙げられます。
パソコンやモニターなどの機器は、省エネモードが搭載されていることが多く、設定で待機電力を無駄に使うことがないように意識するのがポイントです。
使用していない時間帯はスリープモードなどを使い、できるだけ電気を使わないように工夫が必要です。
日本では、エネルギー使用の合理化を義務としていて、対象となる企業には定期的な報告に加えて削減目標なども設定されているため、積極的に省エネに取り組まなくてはならない環境となっています。
照明関連の取り組み
企業が照明関連の取り組みを実施するなら、最初にLED照明への交換が適しています。
LED照明は手軽で誰もが簡単に取り組める省エネ方法であり、白熱電球からLED電球に交換するだけで完了です。
これだけで約85%の省エネ効果が得られるといわれているので、積極的に取り入れたい方法の1つです。社会的責任を果たした企業には信頼性やブランド価値の向上も期待できます。
ほかには建物、工場、駐車場などに太陽光発電設備を取り入れると、電力会社から電気を購入する量が減るだけでなく、余剰電気については売ることもできます。
再生可能エネルギーは導入によってコスト削減ができるだけでなく、長期的な企業価値の向上も期待できるので積極的な取り組みが必要です。
空調関連の取り組み
企業の空調設備は、エネルギー消費の多くの部分を占めています。
特に夏と冬は多くの電力を使うため、空調設備で省エネを取り入れることで大きな成果が期待できる部分です。
まず、空調設備の定期的なメンテナンスとフィルター交換がおすすめです。
定期的なメンテナンスの導入によって常に正常に運転でき、フィルターを交換すれば効率の良い状態を維持できるので無駄な電気代を抑えられます。
古い空調だと経年劣化によって効率が悪くなりやすいので、省エネ効果を感じにくくなった場合は新調してより省エネにつなげてみてください。
ほかにも、エアコンをその日の気温に応じた運転モードに切り替え、作業場の必要な部分だけを動かすようにすると節約が期待できます。
空調の使用と同時に、サーキュレーターを使って空気を動かすだけでも温度が快適になりやすいです。
再生可能エネルギーの活用
再生可能エネルギーの活用も、企業規模の省エネ施策に向いている方法です。
再生可能エネルギーには、風力発電システムやソーラーパネルなどがあり、これらを導入して自家発電した電力を使います。
再生可能エネルギーを活用することで、電力を外部に依存する割合を減らせるのでエネルギーコストの削減が期待できるでしょう。
再生可能エネルギーの新規導入に関しては、公的な補助金や助成金制度も活用できるので、初期投資の費用を抑えることもできます。
EMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入
EMS(エネルギーマネジメントシステム)とは、ビルや工場などでエネルギーの使用状況を見える化し、運用効率を最適にするためのシステムです。
メーターやセンサーなどで使用量を測定し、使用データを専用ソフトやクラウドに送信することで使用状況が把握でき、エネルギーの無駄や偏りがないかを判断できるシステムです。
導入によって省エネ意識を持ちやすくなるだけでなく、継続的な改善も期待できます。
省エネに関する社内教育・研修の実施
省エネを持続させるには、活動を少しでも持続させることがポイントです。
そのためには、省エネを身近に感じて意識することが求められるので、社内教育や研修を実施して全員が省エネに関心を持ちやすい環境づくりも大切になります。
日常的に歯磨きや手洗いをするのと同じように、省エネに関しても意識できる習慣が身に付くようになるのを目標にして取り組むと定着しやすいです。
実際に企業が省エネに取り組んだ事例

ここでは、実際に企業が省エネに取り組んだ事例について紹介します。省エネの取り組みを検討している場合は参考にしてみてください。
監視制御システムの導入で工場全体の消費電力を削減できた事例
電気関連の製作所では、エネルギーの見える化と管理システムを運用したことで省エネ意識や活動の活性化、工場全体の消費電力の削減が実現できた事例です。
電気の使用量の監視や制御システムを導入したことで電力を見える化でき、省エネについての意識が高まっていった結果、全体の消費電力が削減できました。
さらに全熱交換機を使い、必要な時に必要な分だけ換気を行ったのがこれまでの課題解消にもつながりました。
省エネ委員会の小さな改善・働きかけで効果につながった事例
製菓工場では省エネを積極的に取り入れていて、各職場区の代表から選出された1名と設備担当者ら総勢10名で省エネ委員会を設置しています。
工場内のエネルギー使用状況の把握、効率化、削減を目的として月に1回会議を実施して改善することを目標しています。
実際に照明のLED化、工場内のサーキュレーター設置なども省エネ委員会を中心に行った対策であり、コスト削減にもつながった事例です。
様々な取り組みにより夏場でも約34%の省エネを実現できた事例
衛生用品やペット用品などを扱う企業では、東日本大震災をきっかけに省エネ活動を推進しています。
当時、震災ショックによって職場環境の悪化、法的拘束力のある節電の実施など多くの制約があり、これによって節電について本格的な活動に着手することを決めたとしています。
業務効率を落とすことなく省エネを実現することを課題として、25項目の節電行動基準を設定し、徹底するための説明会を行ったことで社員の認知と意識を高めることができました。
その結果、夏場で約34%の省エネを実現できたという事例です。
企業が省エネに取り組むメリット

上記のように企業が積極的に省エネに取り組んだ場合、どのようなメリットがあるのかを解説します。
コスト削減につながる
企業が積極的に省エネに取り組む理由は、コスト削減が関係しています。
企業の固定費の中でも多くの割合を占めているのはエネルギーコストであり、これらを抑えるだけで年間の経費削減が実現できるからです。
生産性・作業効率のアップが期待できる
照明や空調などが快適であれば、その分職場環境が整って従業員も働きやすくなります。
生産性の向上にもつながるので、作業効率がアップするだけでなく事故やミスなどトラブルの抑制も期待できるでしょう。
社員が環境に対しての意識を高められるので、社内全体のモチベーションもアップして働きがいを感じやすくなるので、メリットとして得られることが増えていくのです。
企業価値の向上が期待できる
企業が社会的責任を果たすことは評価されやすい傾向であり、信頼性やブランド価値の向上にも関係してきます。
具体的な目標を掲げて開示している企業の場合、社会的な信用も得やすい傾向です。
社会や消費者も環境に配慮している企業を選ぶ傾向があるので、将来的に企業価値の向上も期待できます。
投資家や市場からの評価が高まる
投資家においても、ESG投資を重視する傾向です。
ガス排出量削減、再生可能エネルギーの導入、温室効果ガスなど環境に関しての配慮を意識する企業は高く評価されています。
投資家や株主からの信頼を得ると資金調達や企業価値向上などの面でメリットを得やすいです。
企業が省エネに取り組む際に気を付けたいこと

企業が省エネに取り組む場合、気を付けたい点がいくつかあります。ここでは、意識したい部分について解説します。
初期コストがかかる場合がある
企業が省エネについて積極的に取り組む場合、初期コストがかかることを知っておくと安心です。
例えば、空調の温度設定や電気のこまめな消灯などはコストをかけずにできることですが、新たな設備導入などを行う場合は導入コストがかかります。
複数の設備を入れ替える場合などは、導入時にどれくらいのコストがかかるのか、また削減できるのはどれくらいかを把握してから取り組むことをおすすめします。
やり方によっては専門知識を持つ人材が必要
省エネの内容によっては専門的な知識やノウハウを持つ人材が必要なケースもあります。特に生産設備に関する場合は、誰もができるわけではありません。
現在は少子高齢化社会によってマンパワー不足が深刻な状態であり、人材を省エネ関連の業務に従事させられない企業もあります。
ここで、専門的な知識を持つ人材を確保できれば、労力をかけることなく省エネが実現しやすいです。
無理な節電は現場負担や生産性低下につながることもある
節電を意識しすぎた結果、社員のストレスや体調不良を悪化させたり生産性を落としたりするケースもあります。
無理な省エネを実行するのではなく、誰もが快適に働けて社員それぞれが省エネを意識できる環境にすることが大切です。
省エネに活用できる主な支援策

環境や企業のために省エネを推進することは大切ですが、自社だけで解決しようとせずに外部の知見や支援策などを活用するのがおすすめです。
今は省エネ関連の補助金や支援策も充実しているだけでなく、専門家からのアドバイスなどを受けられる機会が設けられています。
ここでは、省エネに活用できる支援策について解説します。
省エネ診断の活用
省エネ診断は、専門家にエネルギーの使用量や状況を確認してもらい、見直しのきっかけをもらうことです。
設備の無駄な点や運用の見直し、改善ポイントなどを確認してもらうことで自社では気が付きにくい部分や改善点が把握しやすくなります。
補助金・支援制度の確認
新たに省エネ設備を導入をする際にはコストがかかりますが、内容や条件を満たしていれば補助金の対象になるケースもあります。
補助金や支援制度の活用によって導入費用の一部補助が受けられるので、負担を軽減して取り組めるのがメリットです。
事前に補助金や支援制度の確認をしておくとスムーズに申請できます。
専門家や外部機関への相談
省エネを実施する前にどのような進め方をすべきか、費用対効果などの考え方についてアドバイスを受けたいという場合は外部機関や専門家への相談もおすすめです。
外部機関や専門家への相談によって、自社に合った施策や必要性などを把握できます。
効果的な省エネを実施したい場合は積極的にアドバイスを求めることが第一歩となります。
企業向け省エネ対策に関するよくある質問(Q&A)

Q1.省エネ対策を始めたいのですが、まず何から着手すべきですか?
A.まずは「エネルギー使用量の見える化」から始めてください。
過去1年分の電気・ガスなどの検針票を分析し、どの時期・どの設備でエネルギーが多く使われているかを把握することが、効果的な対策への第一歩です。
Q2.中小企業でも利用できる省エネ関連の補助金はありますか?
A.はい、あります。
経済産業省の「省エネルギー投資促進支援補助金」や、各自治体が独自に実施している設備更新への助成金などが代表的です。公募時期が限られているため、早めの情報収集が重要です。
Q3.従業員のモチベーションを下げずに省エネを定着させるコツは?
A.「無理な節約」を強いるのではなく、省エネによって浮いたコストを職場環境の改善や福利厚生に還元するなど、従業員にもメリットがある仕組みを明文化することが効果的です。
Q4.省エネ診断とはどのようなものですか?費用はかかりますか?
A.専門家が現地を訪問し、設備の稼働状況を調査して改善案を提案してくれるサービスです。
一般社団法人省エネルギーセンターなどが実施しており、条件を満たせば安価または無料で受けられる診断もあります。
まとめ・無理のない範囲で省エネ対策に取り組もう
世界的な気候変動や地球温暖化といった環境の変化によって、企業の積極的な省エネ対策が求められています。
また、企業が取り組むことで環境に配慮でき、社会責任を果たせるだけでなく、企業価値の向上も期待できるからです。
ただし、やみくもに省エネ対策を実施してもメリットは得られないので、自社に適した内容を知ってからの取り組みが重要になります。
この機会に省エネ対策について自社でできることを検討してみてはいかがでしょうか。
(編集:創業手帳編集部)
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