法人設立時に会計ソフトは必要?導入メリットから選び方まで徹底解説!
会計ソフトの導入で会計業務を効率化できる

法人を設立したばかりの経営者にとって、避けて通れないのが会計業務です。
日々の仕訳や請求書の管理、決算書の作成など、専門知識が必要な作業が多く、思った以上に時間と労力を取られてしまいます。
特に本業に集中したい法人設立初期には、「経理に手間をかけすぎて事業が進まない」と悩む人も少なくありません。そんなときに役立つのが会計ソフトです。
この記事では、法人設立で会計ソフトを導入すべきメリットや選び方、おすすめの会計ソフトまで紹介します。
法人設立後に会計ソフトの導入を検討している人は、ぜひ参考にしてください。
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この記事の目次
法人設立時に会計ソフトを導入すべきメリット

法人設立時に会計ソフトを導入すると、様々なメリットが得られます。まずは、具体的にどのようなメリットが得られるのか解説します。
経理業務の効率化を図れる
法人の経理業務は、以下の業務があります。
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- 日々の経費精算から伝票の処理
- 現金・預金管理
- 買掛金・売掛金の管理
- 請求書・領収書の発行
- 償却資産の調査
- 年次決算の対応
- 次年度の予算策定など
これらをすべて手作業で行おうとすると、経理担当者の負担が増えるだけでなく、時間と人件費もかかってしまいます。
人の手が必要な部分もありますが、会計ソフトを導入すれば自動化される業務が増えるので負担を大幅に削減し、効率化を図ることも可能です。
人的ミスを防げる
会計ソフトによっては、領収書や請求書の情報を取り込み、そのまま伝票入力や仕訳を自動的に行えるものもあります。
これらの作業が自動化されることで、担当者の負担が軽減できるだけでなく、人的ミスを防ぐことも可能です。
特に帳簿に記入したり、決算書などの各書類に転記したりする場合、手作業で行うと数字の間違いなどが発生しやすいため、会計ソフトの導入によって人的ミスのリスクを最小限に抑えられます。
法改正などにも対応しやすくなる
定期的に制度や法律が改正されることで、新しい法律に則った書類作成ややり方の変更を余儀なくされていました。
通常の業務に加えて法改正にも対応しなくてはならないため、経理担当者のさらなる負担となってしまいます。
しかし、クラウド型の会計ソフトを導入することによって、制度・法律の改正に伴いシステムのアップデートが行われます。
自分で設定し直さなくても、改正内容に準じた会計業務へスムーズに移行できるのは大きなメリットです。
電子帳簿保存法に対応できる
2024年1月1日から電子帳簿保存法が改正され、「電子取引のデータ保存」が企業規模や業種を問わず、ほぼすべての事業者で完全義務化がされました。
会計ソフトでは、スマホやスキャナから取り込んだデータにタイムスタンプを刻印する機能や取引データを保存する機能も備わっているため、電子帳簿保存法に合わせて適切にデータを保存できます。
なお、保存方法には要件があり、要件を満たしていないと電子帳簿保存法に違反することになるため、注意が必要です。
簿記などの資格がなくても経理業務ができる
以前まで法人の経理業務を行うには、簿記3級以上の知識を必要としており、簿記などの資格を取得していない人にとっては難しい業務でした。
しかし、近年の会計ソフトは経理業務に慣れている人はもちろん、簿記などの資格がない人でも簡単に経理業務が行えます。
例えば、スマホやタブレットでレシートや領収書などを撮影し、そのデータから勘定科目を推測して帳簿付けができたり、AIによる自動仕訳ができたりします。
税制優遇が受けられる
会計ソフトを導入するとなると、導入費用がネックだと考えるかもしれません。
しかし、導入費用が70万円になれば「中小企業投資促進税制」や「中小企業経営強化税制」によって、税制優遇を受けることが可能です。
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- 中小企業投資促進税制:特別償却30%または税額控除7%
- 中小企業経営強化税制:即時償却または税額控除10%
会計ソフトの導入費用を少しでも抑えたい人は、税制優遇を活用するのがおすすめです。
法人設立で会計ソフトを選ぶ際のポイント

法人設立時に会計ソフトを導入すると決めたら、次にどのソフトを導入するか選ぶ必要があります。ここで、法人設立に向けて会計ソフトを選ぶ際のポイントを解説します。
業務に必要な機能はあるか
会計ソフトの選び方でまず重要になってくるのは、業務に必要な機能が搭載されているかどうかです。
法人向けの会計ソフトと一口に言っても、大企業向けから個人事業主向け、中小企業向けなど、様々なプランが存在しています。
自社には不要な機能が搭載されているものを選んでしまうと、業務の効率化を図ることもできず、さらにコストも無駄にかかっていることになります。
そのため、会計ソフトを選ぶ際はまず今の業務にどんな機能が必要かを洗い出してから、会計ソフトを選ぶのがおすすめです。
クラウド型とインストール型のどちらにするか
会計ソフトにはクラウド型とインストール型の2種類があります。
クラウド型は入力したデータがクラウド上に保存される仕組みで、月額・年額課金制が採用されています。そのため、初期費用を抑えられる点がメリットです。
ただし、通信障害が発生した場合、復旧するまでに会計ソフトを使えなくなるなどの不便が生じる可能性があります。
一方、インストール型の会計ソフトはオフライン環境でも操作可能です。
通信障害などの影響を受けにくく、導入時に費用はかかってしまうものの、以降は月額・年額の費用が不要というメリットがあります。
しかし、クラウド型のように自動でアップデートがされないため、例えば法改正などがあった場合は自社で対応する必要があります。
クラウド型とインストール型はそれぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の使い方などに合わせて決めると良いでしょう。
ただし、設立したばかりの小規模法人であれば、導入費用がほとんどかからないため、クラウド型がおすすめです。
操作しやすいデザインか
会計ソフトは日常的に使用することを考えると、操作しやすいデザインのものを選んだほうが良いです。
特に日付・金額などを入力する画面は操作する機会が多い部分なので、デザインなども含めて細かくチェックしておきましょう。
操作しやすいかどうかは実際に試してみないとわからないため、会計ソフトのトライアル期間・お試しプランなどを活用して、実際に操作性を確認してから選んでみてください。
予算的に問題はないか
法人設立で会計ソフトを導入する場合、予算的に問題はないか確認することも大切です。
例えばクラウド型の会計ソフトを導入した場合、プランなどで異なりますが毎月数千円ほどのコストが発生することになります。
初期費用は抑えやすいため、導入のハードルは低いものの、毎月の予算的に問題はないか確認が必要です。
特に法人を設立して間もない時期は、あまり予算をかけられないかもしれません。
必要な機能が揃いつつ、コスト的に大きな負担にならないかシミュレーションしておきましょう。
カスタマイズ・拡張は可能か
会計ソフトによっては、柔軟にカスタマイズできたり、拡張性が高かったりするものもあります。
自社の状況や業種・業態によっては、会計ソフトに備わっている標準機能だけだと不十分に感じる場合もあるでしょう。
カスタマイズ性や拡張性の高い会計ソフトなら、自社の状況に合わせて適切な会計処理を実現できます。
また、将来的に事業規模の拡大や変化した場合にも対応しやすいです。
サポート体制やセキュリティ対策は万全か
会計ソフトを導入してから運用時にトラブルが発生するケースもあります。その際に、サポート体制が充実している会計ソフトだと安心感も大きいです。
また、機密性の高い会計データを取り扱うことになるため、セキュリティ対策が万全な会計ソフトを選んだほうがトラブル回避につながります。
法人設立時に導入したいおすすめのクラウド型会計ソフト8選

小規模法人を設立したばかりであれば、クラウド型の会計ソフトがおすすめです。ここで、おすすめのクラウド型会計ソフトを紹介します。
| 月額費用(税込) | 初期費用(税込) | 無料期間の有無 | 主な特徴 | |
| 弥生会計Next | エントリープラン:3,190円 ベーシックプラン:月4,620円 ベーシックプラスプラン:月7,700円 |
0円 | 最大3カ月間 | 誰でも簡単に会計処理が行えるよう開発されたクラウド型会計ソフト。簿記の知識がなくてもステップに従って操作するだけ。 |
| ジョブカン会計 | スタートアップ:2,750円 ビジネス:5,500円 |
0円 | 30日間 | ベンチャー企業から大手企業まで幅広く活用されている会計ソフト。サポート体制が充実しており、初めて導入する人も安心。 |
| マネーフォワード クラウド会計 | ひとり法人プラン:月2,728円 スモールビジネスプラン:月4,928円 ※年払いの1カ月あたりの料金 |
0円 | 1カ月間 | 2,400以上の金融関連サービスと連携が取れる会計ソフト。自動仕訳機能やレポート機能によって効率化が可能。 |
| freee会計 | ひとり法人:月3,278円 スターター:月6,028円 スタンダード:月9,878円 ※年払いの1カ月あたりの料金 |
0円 | 30日間 | 62万社以上の導入実績を誇る会計ソフト。自動入力機能によって簡単に帳簿を作成できる。 |
| PCAクラウド会計 | 月17,820円 | 0円 | 2カ月間 | 仕訳伝票の承認機能なども搭載された会計ソフト。利用するPCAソフトが増えるほど、1ソフトあたりの金額がお得になる。 |
| 勘定奉行クラウド | iEシステム:月8,525円~ iJシステム:月12,925円~ |
iEシステム:0円 iJシステム:55,000円 |
30日間 | 支払業務から適格請求書の発行業務まで幅広く網羅する会計ソフト。自動仕訳機能により人為的なミスを防げる。 |
| かんたんクラウド会計 | Basicプラン:月1,650円 Plusプラン:月2,292円 ※年払いの1カ月あたりの料金 |
0円 | 2カ月間 | スタートアップや中小企業向けに開発された会計ソフト。3人まで同時にログイン・編集でき、会計事務所とデータを共有しやすい。 |
| KEEPER Club | スマートパック:月5,500円 KiCHO:月2,200円 CHOBO:月2,200円 DeNCHO:月2,200円 YOJiTSU:月4,400円 |
0円 | 30日間 | 4つのコンテンツで構成された財務管理システム。自動仕訳以外にも、証憑保管や財務分析、予実管理などが可能。 |
弥生会計Next
弥生会計Nextは、「誰でもカンタン、まとめて効率化。」をコンセプトに開発されたクラウド型の会計ソフトです。
弥生会計Nextの大きな特徴として、簿記や経理の知識を持っていなかったとしても、会計業務を行える点があります。
初期設定時は質問に答えるだけで簡単に設定でき、実際に操作する画面も専門用語などを使わず、シンプルでわかりやすいUIとなっています。
また、すべての機能を3カ月間無料でお試しすることもできるので、自分に合っているかまずは試したい人にもおすすめです。
ジョブカン会計
ジョブカン会計は、ベンチャー企業から大手企業まで、シリーズ累計導入実績が25万社にも上る会計ソフトです。
基本的な操作がすべてキーボードで行うことができ、クラウドソフトとは思えないほどの軽快な操作性が魅力となっています。
また、ジョブカン会計では無料お試し期間中も含めて、すべてのプランで無料のサポートを制限なく使用できます。
マネーフォワード クラウド会計
マネーフォワード クラウド会計は、会計業務・経費精算・給与計算などの業務を効率化するための様々な機能が搭載されたクラウド会計ソフトです。
2,400以上の金融関連サービスとデータ連携が可能であり、明細データを自動的に取得・仕訳してくれるため、入力する手間も大幅に削減できます。
また、キャッシュフローや収益、費用、収入・支出先など、経営状況をリアルタイムでチェックできるレポートも作成することが可能です。
freee会計
freee会計は、62万社以上の有料課金ユーザー企業(個人事業主も含む)が利用するクラウド会計ソフトです。
銀行口座と連携させることで仕訳入力が自動化され、入力の手間を最小限に抑えられます。
高精度のAI-OCRを活用すれば、請求書や領収書などの書類を読み取り、そのまま自動で入力することも可能です。
freee会計では暗号化通信はもちろん、リスクベース認証の採用や1日単位(約1カ月前まで)でのリストアが可能なバックアップ機能も備わっています。
セキュリティ面でも安心です。
PCAクラウド会計
日常的な伝票入力だけに留まらず、試算表や決算書などの作成から自動仕訳の登録、仕訳伝票の承認機能など、充実した会計機能を搭載しているクラウド会計ソフトです。
会計ソフトの中では月額が比較的割高になるものの、他のソフトと組み合わせることで1本あたりの価格がお得になり、結果的に業務ソフトを利用するためのトータルコストがお得になります。
ログ管理やアクセス制御など、内部統制機能なども揃っており、セキュリティ面でも安心できる会計ソフトです。
勘定奉行クラウド
勘定奉行クラウドは、40年以上の知見を詰め込み、ユーザーの需要を満たすクラウド会計ソフトです。
取引データの自動仕訳から適格請求書の発行業務まで、幅広い機能が網羅されています。
取引データから試算表まで一連のデータに対し、すべてアクセスできるようになっているため、数字が正しいか判断したい場合にも確認しやすい状況となっています。
専任インストラクターによる導入支援が受けられるのも、嬉しいポイントです。
かんたんクラウド会計
かんたんクラウド会計は、特にスタートアップや中小企業向けに開発されたクラウド会計ソフトです。
3人までなら同時にログイン・編集できるようになっており、会計事務所ともデータを共有しやすいです。
連携によって銀行明細やクレジットカードの利用明細を自動的に、仕訳として取り込むこともできます。
さらに、簿記に自信がない人でも日付と金額を入力するだけで、あとは自動的に仕訳として返還され、関係帳票に転記してくれるので不安なく操作できます。
KEEPER Club
KEEPER Clubは、4つのコンテンツによって構成されたクラウド財務管理システムです。
中でもクラウド仕訳自動作成の「KiCHO」は、AI-OCRを使った仕訳作成から銀行・カード明細のデータ取り込みまで可能で、入力業務を大幅に削減できます。
この他にも証憑保管や財務分析、予実管理などが可能なツールを活用することが可能です。
それぞれのコンテンツがセットになった「スマートパック」がありますが、自由に組み合わせて利用することもできます。
まとめ・法人設立時に会計ソフトの導入も検討してみよう
法人設立をしたばかりの頃は1人、または複数人で売上げに関わるコア事業と経理業務などのバックオフィス業務を担う必要があります。
会計ソフトを導入すれば、入力する手間を省きつつ人的ミスの削減も可能なので、効率的に経理業務を行うことが可能です。
法人設立時はなるべくコア事業に専念できるよう、自社に合った会計ソフトの導入がおすすめです。
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(編集:創業手帳編集部)





