フリーランス美容師になるには?働き方やメリット・デメリットも解説

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フリーランス美容師なら自分らしく働ける!


美容師のキャリアパスは、どこかの既存で経験を積んでから自分のサロンを開業するのが一般的でした。
しかし、近年になってフリーランスで働く美容師が注目されるようになりました。
フリーランス美容師は、自分のライフスタイルに合うように働ける点が大きな特徴です。フリーランス美容師の働き方やメリット・デメリットについて紹介します。

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フリーランス美容師とはどのような働き方?


美容師になるには、専門の学校を卒業して国家試験に合格しなければいけません。しかし、資格取得してからの働き方は人それぞれです。
美容師の専門学校卒業後にサロンに就職するケースも多いものの、フリーランスで働く選択肢もあります。
雇用関係を結ばないフリーランス美容師は、働く時間や場所を自由に選べるので自分らしく働きたいと考える人は選択肢のひとつとして検討してみてください。

フリーランス美容師と個人事業主(開業)の働き方の違い

フリーランスの美容師は、サロンや企業に所属するのではなく個人で美容師をする人をいいます。
このように継続、反復して事業を行っている個人のことは個人事業主と呼ばれます。
フリーランス美容師と個人事業主は呼び方は違うものの、どちらも企業などと雇用関係がなく独立して仕事を請け負う立場です。

フリーランスとして働く人が、税務署で開業届を提出すると税務上は個人事業主に分類されます。
ただし、開業といった場合には自分でサロンを開くことが多く、フリーランスの場合にはほかのサロンを借りて仕事をするケースが一般的です。

フリーランス美容師の主な働き方


フリーランスの美容師は、ただ組織に所属していないだけではなく、場所や時間の使い方が今までの美容師とは大きく違います。
フリーランス美容師の主な働き方を業務委託とシェアサロン、面貸しに分けて解説します。

業務委託

業務委託は、サロンと雇用契約を結ぶのではなく個人事業主として店舗と直接契約する働き方です。
事業者同士の契約となり、一般的には歩合制で報酬を受け取ります。歩合率は4~6割程度が目安です。
業務委託では、シャンプー台などの設備はサロンのものを使用できるので初期費用が少なくても気軽にはじめられます。

就職した場合のように給料制ではありませんが、来客するに応じて報酬が増えるためやりがいを感じられ働き方でもあります。
サロンとの契約次第で出勤曜日や時間を自由に設定できるので、本業がある人にも適した働き方です。

シェアサロン

シェアサロンは、複数のフリーランス美容師が共同で営業する形の働き方です。シェアサロンとしてスペースや個室をレンタルしてそれぞれ施術を行います。
設備や備品も用意されているので利用料金を支払って自由に使用できる仕組みです。

利用料金はサロンによって違いますが、月額固定で支払う場合のほか、固定に歩合をプラスしたり、時間で利用料を計算したりする方法が採用されています。
リスクやコストを分散しながら独立できる働き方です。

面貸し

面貸しは、ほかの人が経営しているサロンの席を借りる形で営業する方法です。
サロンのオーナと美容師は店舗オーナーと利用者の関係になり、店舗オーナーから給与や報酬を受け取るのではなく美容師が利用料を支払う形になります。
利用料の支払いはあってもお客様からの給与をそのまま受け取れる上、提供するメニューや金額を自分で設定できるのでより収入を伸ばしたい人に適しています。

ただし、面貸しはあくまで場所だけ借りているので道具や薬剤はすべて自分で用意して、お客様の受付や管理も自分でしなければいけません。
業務委託よりも手間はかかるものの開業までに経験を積むことができます。

フリーランス美容師になる5つのメリット


フリーランス美容師という働き方が普及することで、これから美容師を志す人の選択肢も広がっています。
ここでは,
フリーランス美容師になることで得られるメリットの紹介です。

働き方の自由度が高い

フリーランス美容師として働く最大のメリットが自由度の高さです。
サロンによっても違いはありますが、美容師は長時間労働になるケースも多く、体調や家庭の事情で続けられないケースもありました。

しかし、フリーランス美容師であれば働く曜日や時間を選べるため、育児や介護、ほかの仕事の両立にも対応できます。
趣味や自分の時間を大切にしたいといった要望にもこたえやすく、逆にどんどん収入を増やしたい人は業務委託を増やして働くことも可能です。

仕事内容も自分が集中して取組みたい業務だけを選択できるので専門的スキルを高められます。

働くほど収入が増える

フリーランス美容師は、働き方次第で収入を伸ばしていける点も魅力です。
サロンの正社員として働くと、安定して給与を受け取れる反面で、技術や顧客数が増えても給与に反映されないことがあります。

フリーランス美容師は、基本給のようなシステムではありません。経費以外はすべて自分の収入なので、自分の実力次第で顧客を増やして働けば働くほど収入を増やせます。

開業と比べると初期費用が安い

美容師として働く人の中には、開業を夢見ているものの資金が用意できない人も少なくありません。
店舗を借りて毎月家賃や水道光熱費を支払うとなると、ある程度潤沢に資金を用意しないと不安になってしまう人が多いでしょう。

フリーランス美容師は、開業のように自由度高く働ける上初期費用も最低限しかかかりません
敷金や礼金も不要で、利用料などの支払いだけなのでリスクを抑えてはじめられます。
サロンは広告宣伝費も大きくなりがちですが、昨今はSNSを使って集客する美容師も増えてより低コストで顧客を呼び込むことができます。

煩わしい上下関係から解放される

組織に所属するとどうしてもしがらみや上下関係から逃れられません。上司からの指示で自分の意思に反した商品やメニューをすすめるようなケースもあります。
フリーランス美容師は、煩わしい上下関係がなく自分が良いと思うメニュー、商品の提供に集中できます。

顧客とじっくり向き合える

フリーランス美容師は、カウンセリングからスタイリング、会計まで自分ひとりで対応するのが基本です。
一方でサロンでは多くの顧客の予約枠に応じて施術を進める都合上、美容師がかわるがわる対応するケースも多々あります。
顧客とマンツーマンで向き合って対応したいと考えるのであれば、サロンに所属するよりもフリーランスのほうが適しています。

フリーランス美容師になる4つのデメリット


フリーランス美容師は、多くのメリットがあるもののデメリットもあります。どういったデメリットがあるのか知っておいてください。

収入が安定しない可能性がある

就職している美容師は、基本給が保障されている一方でフリーランス美容師は自分が稼がなければ収入はありません。
顧客が増えれば収入が大きく増えるものの、初めのうちは収入が安定しないことも考えられます。
フリーランス美容師は固定収入ではないため、ケガや体調不良で収入がなくなるリスクもあります。保険に加入するなど自分でリスクに対応しておいてください。

社会的信用が低くなりやすい

フリーランス美容師は、正社員として働く美容師より社会的な信用は低くなることがあります。そのため、クレジットカードやローンの審査を通過できないこともあるでしょう。
特に収入が少ないうちは、返済能力が低いとみなされるので審査を通らないことが多いかもしれません。

責任や雑務が多くて負担がかかる

フリーランス美容師は、自分で施術から顧客管理から施術、会計処理まで行わなければいけません。作業は自分でしなければならない上、失敗した時にもすべて自己責任です。
クレーム対応からお店の宣伝、確定申告まで自分で行うため、美容師としてのスキルだけでなく、営業力や事務処理、金銭管理能力、宣伝力が求められます。
そのため雇用されていた時よりも負担が大きくなってしまうケースもあるようです。

技術を指導してくれる人がいない

フリーランス美容師は、基本的にひとりで仕事をします。そのため、先輩や上司から指導を受けたり、同僚と腕を競い合ったりする機会が不足します。
美容のトレンドや技術は、スピーディーに更新されるものです。自発的に講習会に参加してスキルアップを目指すなど、自己研鑽を欠かさないようにしてください。

フリーランス美容師になるために必要な手続き


資格を保有していればいつでもフリーランス美容師になれると考える人もいるかもしれません。
実際には、雇用されている美容師からフリーランス美容師になるまでにはいくつかの手続きが必要です。

ここでは、フリーランス美容師になる時に必要な手続きや、フリーランス美容師になってから行う手続きをまとめています。どういった手続きがあるのか知っておいてください。

国民健康保険に切り替える

雇用契約を結んでいた人が個人事業主となる場合、今まで自分ではしていなかった健康保険や税金、年金の支払いを自分ですることになります。
現在、健康保険に加入している人が退職した場合、健康保険を脱退して国の国民健康保険に加入しなければいけません。

国民健康保険の切り替えは住所地の役所で行います。退職してから14日以内に必要書類を持って窓口で手続きしてください。必要な書類は以下のものです。

  • 健康保険資格喪失証明書
  • 本人確認書類(免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)
  • 保険料口座振替用のキャッシュカード(または通帳と金融機関の届け出印)

健康保険資格喪失証明書は、元の職場から受け取ります。

国民年金に切り替える

国民健康保険への切り替えとともに国民年金への切り替えも発生します。
もともと厚生年金に加入していた人もフリーランス美容師になることで国民年金保険へ加入することになるでしょう。
国民年金への切り替えは必要書類を用意して退職してから14日以内に役所で手続きを行ってください。

国民年金の切り替えに必要な書類は以下のものです。

  • 退職日がわかる証明書(雇用保険被保険者離職票、社会保険資格喪失証明書、退職証明書、退職辞令書など)
  • 年金手帳
  • 本人確認書類(免許証・パスポート・マイナンバーカードなど)

フリーランス美容師になってすぐは収入も安定しないかもしれません。年金の支払いが難しい時には年金窓口で相談してみてください。

開業届を出す

開業届は、事業を開始した時や事業所の設立、増設や移転、廃止をした時に提出する書類で、正式には個人事業の開業・廃業等届書と呼びます。
開業届は、開業後1カ月以内に所轄の税務署に提出してください。申請は、窓口に持参する方法もありますが、郵送やe-Taxでも受けつけています。

開業届を提出する時には、青色申告申告の承認申請書の提出も併せて行うことができます。これは、確定申告を青色申告で行う場合に提出する書類です。
確定申告は青色申告と白色申告から選択できます。税制面での優遇が大きい青色申告を選ぶ場合は青色申告承認申請書を提出してください。

保健所に登録する

理容や美容の施術を行うお店はすべて美容所登録が必要です。
保健所の登録は、申請をしてから保健所の職員にお店が条件を満たしているか設備や構造のチェックを受けることになります。

美容所登録する条件は、各都道府県によって違います。保健所での申請の時には、開設届のほか、図面や美容師免許証など必要書類を持参してください。
ただし、フリーランス美容師として面貸しで営業するようなケースでは自分で登録する必要はありません。設備を借りる時に美容所登録してあるかどうか確認してください。

確定申告をする

確定申告は、前年の1月1日から12月31日までの収入(所得)がどれだけあるかを計算して提出する手続きです。
確定申告が必要なのにそのまま手続きをしないと延滞税などのペナルティが科せられることもあります。
確定申告の手続きに不安がある場合は、会計ソフトを使うか専門家に依頼するようにおすすめします。

開業する時には、確定申告をどうするか事前に考えておくようにしてください。

確定申告について基礎から知りたいという方は、こちらの「確定申告ガイド」をぜひご参考ください。無料でお読みいただけます。


まとめ・自由度の高いフリーランス美容師を目指そう

フリーランス美容師は、自由度が高く自分が目指す美容師像やライフスタイルに沿った働き方が可能です。
しかし、フリーランス美容師だからこそ、営業力や事務処理能力といった広い能力が求められます。
フリーランス美容師になることで負う責任や作業も把握した上で、自分にどういった働き方が適しているかを考えてください。

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(編集:創業手帳編集部)

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