【2024年最新】ものづくり補助金の採択率はどれくらい?採択されるためのポイント解説

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ものづくり補助金の申請前に採択率をチェックしてみよう


ものづくり補助金は、中小企業庁と独立行政法人中小企業基盤整備機構によって制度化された補助金です。
生産性の向上を実現するためのサービス開発や、生産プロセスの改善を目的とした設備投資支援に活用できます。
ものづくり補助金は2020年から公募を開始して以降、2024年現在に至るまで通年で募集しており、1年に数回の申請期間が設けられています。

今回は、2024年最新版としてものづくり補助金の採択率や、採択されるためのポイントを解説します。

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ものづくり補助金の概要


ものづくり補助金は、“ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金”の略称で、2020年から制度化された補助金です。
ものづくりというと製造業をイメージするかもしれませんが、業種を問わず生産性向上を実現するための設備投資を考えている場合、補助金を受けられる可能性があります。
条件さえ満たせば個人事業主も応募できるのが魅力です。

なお、ものづくり補助金にはそれぞれ枠組みが用意されており、それぞれ補助上限額と補助率が異なります。

枠組み・類型 補助上限額 補助率
省力化(オーダーメイド)枠 5人以下:750万円(1,000万円)
6~20人:1,500万円(2,000万円)
21~50人:3,000万円(4,000万円)
51~99人:5,000万円(6,500万円)
100人以上:8,000万円(1億円)
中小企業:1/2
小規模・再生:2/3
※補助金額1,500万円までは1/2または2/3、1,500万円を超えた分は1/3
製品・サービス高付加価値化枠 通常類型 5人以下:750万円(850万円)
6~20人:1,000万円(1,250万円)
21人以上:1,250万円(2,250万円)
中小企業:1/2
小規模・再生:2/3
新型コロナ回復加速化特例:2/3
成長分野進出類型(DX・GX) 5人以下:1,000万円(1,100万円)
6~20人:1,500万円(1,750万円)
21人以上:2,500万円(3,500万円)
2/3
グローバル枠 3,000万円(3,100万円~4,000万円) 中小企業:1/2
小規模:2/3

※補助上限額のカッコ内は大幅賃上げを行う場合の上限額です

ものづくり補助金2024年の採択率は?


ものづくり補助金を申請する際、どれくらいの採択率なのか気になる方も多いかもしれません。
そこで、2024年10月現在で直近となる18次公募の採択率と、過去の採択率の推移を紹介します。

18次公募の採択率は35.8%

18次公募では、申請者数が5,777件だったのに対して採択者数が2,070件であり、採択率は35.8%でした。
近年の採択率に比べると低い数値となっています。
18次公募は2024年度最後の公募になることが事前に告知されていたこともあり、申請者数が5,000件以上にも上ったことが35.8%の採択率につながったのではないかと考えられます。

枠組みごとの採択率

ものづくり補助金には枠組みが4つ設けられており、それぞれで採択率は異なります。18次公募の各採択率は以下のとおりです。

省力化(オーダーメイド枠) 製品・サービス高付加価値化枠(通常類型) 製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型) グローバル枠
申請者数 599 3,591 1,424 163
採択者数 204 1,384 443 39
採択率 34.1% 38.5% 31.1% 23.9%

枠組みの中では製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)が最も高い採択率で、38.5%でした。
また、3つの枠組みも20~30%前後となっており、それほど高い数値とはいえません。

過去の採択率の推移一覧

過去の採択率の推移は以下のとおりです。

申請者数 採択者数 採択率
1次 2,287 1,429 62.5
2次 5,721 3,267 57.1
3次 6,923 2,637 38.1
4次 10,311 3,178 30.8
5次 5,299 2,337 44.1
6次 4,980 2,362 47.4
7次 5,507 2,768 50.3
8次 4,653 2,780 59.7
9次 3,313 2,247 67.8
10次 4,294 2,612 60.8
11次 4,744 2,817 59.4
12次 3,256 1,907 58.6
13次 3,322 1,927 58
14次 4,865 2,470 50.8
15次 5,694 2,861 50.2
16次 5,608 2,738 48.8
17次 629 185 29.4
18次 5,777 2,070 35.8

※4次~13次は一般型とグローバル展開型を合計した数値を記載しています。

過去の採択率推移をみると、申請者数が1万人を超えた4次に関しては採択率が30.8%と下がってしまったものの、その後は徐々に上がり始め9次以降は60%前後を推移していました。
しかし、14次から50.8%に下がり、その後17次で29.4%にまで下がっています。
いずれも採択数が限られていることから、申請者数が増えればその分採択率が下がってしまいます。
また、限られた予算を効率的に配分するために、審査基準が厳格化されたことで質の高い資料が求められるようになりました。
そのため、審査から落ちやすくなった可能性も考えられます。

ものづくり補助金2024の採択事業者の傾向


ものづくり補助金2024で実際に採択された事業者や事業内容は、ものづくり補助金の公式サイトに掲載されています。
採択事業者のテーマをみてみると、設備投資の中でも加工・製造・生産に力を入れていることがわかります。
これらの設備はすべて生産性を向上し、業務効率化を改善できるとして省力化枠で申請されている傾向でした。
また、システムを導入する目的としてDX化を目指したり、AIなど最先端技術を活用したりするなどのケースが多くみられました。

これらはあくまでも18次公募における採択事業者の傾向であり、19次以降にも当てはまるとは限りません。
19次以降の公募では採択事業者の傾向が大きく変わってしまう可能性もあります。
2024年度は18次公募で終了と通知されており、19次以降の公募がある場合は2025年度以降になります。
実施されるかどうかは2024年後半の補正予算で発表されるため、19次公募があるか知りたい方は補正予算の動向もチェックしてみてください。

ものづくり補助金の採択率を上げるためのポイント


ものづくり補助金の採択率を上げるためには、以下で紹介するポイントを押さえることが大切です。

申請期日に間に合うよう早めに取りかかる

ものづくり補助金の採択率を上げるためには、事業計画書の内容を充実させることも重要ですが、申請期日に間に合うように作成できなければ意味がありません。
そのため、ものづくり補助金を受けるための準備を始める際は、事前にスケジュールを決めておくことが大切です。
ものづくり補助金のために準備を進めていたものの、結局申請期日までに間に合わなかったというケースは意外と多くみられます。

ものづくり補助金の場合、申請期日などは公募によって異なるものの、公募が開始されてから締め切られるまでには約3カ月の期間があります。
事業計画書を何度も作成している企業であっても1カ月前後はかかってしまうため、できるだけ早めに取りかかるようにしてください。

なお、ものづくり補助金の申請をする際には、事業計画書の作成だけでなく、GビズIDアカウントの取得と決算書などの準備も必要となります。
これらの内容で不備がないように、スケジュールに組み込んでおくと安心です。

どこを審査されるのか確認する

ものづくり補助金は審査に通過しなければ補助金を受けられませんが、審査ではどのような部分をみられているのか確認しておくことも大切です。
事前に審査される部分がわかっていれば、その部分の精度を高められ、採択率アップにつながります。

適格性 ものづくり補助金の申請要件を満たしているかどうかを確認する項目です。
事業計画が申請要件を満たしているか確認した上で、技術面・事業化面・政策面を審査していきます。
技術面 補助対象事業が革新的な開発につながるかどうかを審査する項目です。
革新的な開発とは、業界や自社商圏における新たなチャレンジを意味しています。
事業化面 マーケティングの観点から審査する項目です。
補助事業を実施する上での社内外の体制や資金調達、市場ニーズの有無、費用対効果の高さなどを具体的に示していきます。
政策面 補助事業の成果によって社会や地域経済にもたらす影響や、国の政策と合致しているかを審査する項目です。
地域の事業者との連携や特産品を活用する事業は採択率が高い傾向にあります。

加点項目をなるべく盛り込む

ものづくり補助金には「加点項目」が存在しており、加点項目が多く盛り込まれていればそれだけ採択率アップにつながります。

成長性加点 有効な期間において経営革新計画の承認を取得した事業者だと加点されます。
経営革新計画とは、中小企業が新規事業に取り組んだ際に経営の相当程度の向上を図るために策定する経営計画書です。
国や都道府県から承認を得ることになるため、ハードルの高い加点項目といえます。
政策加点 創業・第二創業後間もない事業者(5年以内)や、DX推進ポータルにて有効な認定を受けている事業者、健康経営優良法人と認定された事業者などは政策加点がプラスされます。
災害等加点 有効な期間において事業継続力強化計画の認定を取得した事業者は加点されます。
事業継続力強化計画とは、中小企業が防災・減災の事前対策を記した計画書を経済産業大臣が認定する制度です。
賃上げ加点等 事業計画期間に給与支給総額と事業場内での最低賃金を上げる計画が記されており、事務局に誓約書を提出している事業者は賃上げ加点を受けられます。
また、中小企業が被用者保険の適用拡大を受け、制度改革に先立ち任意適用に取り組んでいる場合も加点されます。
女性活躍等の推進の取組み加点 次世代育成支援対策推進法に基づく「くるみん認定」を受けている事業者や、女性活躍推進法に基づく「えるぼし認定」を受けている事業者などは、それぞれ「くるみん加点」「えるぼし加点」を受けられます。

それぞれの加点項目の中には取得・認定してもらいやすいものもあるため、加点を狙うために取り組んでみるのも良いかもしれません。
加点項目を積み重ねていけば、採択される可能性が高まります。

減点項目をなくす

ものづくり補助金には加点項目のほかに、減点項目も設けられています。18次公募における減点項目は以下の2点でした。

  • 応募締切日から過去3年間で、類似の補助金の交付を1回受けている事業者
  • 令和元年度補正予算ものづくり補助金以降に交付が決定されており、収益納付をしていない事業者

類似の補助金の交付決定を受けている事業者は、1回であれば減点対象となりますが、過去3年間で2回以上交付決定されている事業者は申請の対象外となることに注意が必要です。
なお、収益納付を免除された事業者は減点対象に含まれません。

理解しやすい構成にする

ものづくり補助金の事業計画書を作成する場合、10ページ以内にまとめることが推奨します。10ページ以上になってしまうと内容がわかりにくくなってしまうためです。
10ページ以内に審査項目や加点項目などをできるだけ盛り込んでいくためには、各項目をダラダラと書くのではなく、端的にまとめることが大切です。

さらに、理解してもらいやすいように構成も考えておいてください。
最初に事業状況をまとめ、次に今後の市場展開とビジネスの流れを記載し、最後に新規事業での取組みや展望を記載していきます。
適切な構成を作成すると、理解しやすいだけでなくコンパクトに情報をまとめることも可能です。

過去の採択事例を参考にする

公募によって審査基準や加点項目・減点項目などは変更になることもありますが、過去の採択事例は、事業計画書を作成する際の参考として活用できます。

飲食店の事例として、テイクアウトやデリバリー部門のサービスを開発するために、専用ホームページの開設と真空包装機・特殊冷蔵庫の導入をはじめ、注文から会計までの情報システム構築を目的としてものづくり補助金に申請しました。
補助金の活用内容として、導入した機器・システムを使ったサービスの展開だけでなく、SNSを活用した動画配信などについても記載しています。

ものづくり補助金の採択につながる事業計画書を作成しよう

ものづくり補助金は50~60%を推移していた時期もありましたが、近年は30~40%前後まで採択率が低下しています。
採択率を少しでも上げるためには、申請期日に間に合うようにスケジュールを組みつつ、審査項目や加点項目を盛り込んだ事業計画書を作成することが大切です。


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(編集:創業手帳編集部)

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