情報親方の泣く子も”見える化”、職人から引き継ぐ技術とマニュアル
職人の技術、属人化している作業をマニュアル化するのには方法がある。
(2015/07/16更新)
いわゆる「職人」といった熟練された技と経験をもつ人々。
同じ職場でそういった人が一人でもいると、頼もしいものです。
しかし、人間は遅かれ早かれいつかは引退するもの。引き継がないといけない仕事は後継者確保を含め、人一倍苦労するかもしれません。
昔の職人だと「背中見て覚えろ」と言いつつ、実は後継者に技が見えるようにそっと隙を与えているものだったようです。
職人のみならず、現代的な仕事ではどうでしょう?
属人化していて「その人しかできない」仕事も引き継ぎは大変で、マニュアルを作るのも時間も工数もかかります。
しかし、マニュアルを作るのが目的でなく、仕事・作業を引き継いで、後継者がきちんと仕事できるのが目的ですよね。
今回は、情報親方に業務を見える化し、職人から引き継ぐ技術とマニュアルの作り方についてお話しいただきました。
この記事の目次
暗黙知の部分はマニュアル化が難しい
いわゆる「職人」のような、工程が属人化している業務は、比較的引き継ぎが難しいと言われています。
それは、通常はマニュアル化されている引き継ぎに比べると、「暗黙知」と呼ばれる、手順化や文章化ができていない部分を洗い出す工程が加わるからです。
この「暗黙知」を「形式知」(手順化や文章化が可能な状態)に表現する技術が特に難しいです。
職人のタイプ別診断
職人や属人化している作業を引き継ぐ場合、まずは職人の「人」を分析してみましょう。
A すすんで引き継ぎをしてくれる。
B 昔からよく言われる「背中見て覚えろ」を盾にして、頑なに引き継ぎを行わない場合。
C IT化などにより自分の職がなくなる事を懸念して抵抗する場合。
D 引き継ぐひとがいない場合。
Aのタイプなら問題なしですが、Dが意外と多いのかもしれません。
Bは時間がかかります。まずはメンタルをフォローするべきでしょう。
Cはネガティブな印象ですが、最近増えているかもしれません。多少の職人へのフォローは必要ですが、業務で行っているのであれば、きちんとスケジュールを組んで淡々と引き継ぎを進めてしまいましょう。
Dの中でも本当に人がいない場合は、まずは人を確保するのが先決ですが、企業の中で引き継ぎをする必要がある業務があるならば、人を確保すべきです。
職人がやっている作業は難しい、やりにくい、というイメージがあるかもしれませんが、「何をやっているのか」「何ができるのか」の理解が周りに得られていないから引き継ぎがすすまないのかもしれません。
まずは、職人や属人化している仕事を「認知する」ことが大事です。
作業を人で分担するか、できるしくみで分担するか、段階的に分析する
職人の作業を分析してみると「すべてが暗黙知ではない」ことがわかります。
同じ人間がやっている作業で、経験が少ない者がやってやれないことはないです。
考えられる手順を書いてみましょう。
- 職人へ声かけしてみましょう。引き継ぎを行うことを職人と向き合って話しましょう。
- 作業内容をヒアリングで把握し、書き出しましょう。
- 作業内容を可視化できる手法で分類しましょう。
- 職人だけができるところ
→最低限引き継がないといけないことはきっちり要求し、難しいところは動画などを撮っておくのが有効です。 - 複数人に引き継がないと解決できないところ
→引き継ぐ人と職人とだけでなく、上司など第三者も入って作業分担をよく話し合いましょう。 - 時間がかかりそうなところ
→どのくらいかかるかを考えながら、優先順位を決めてスケジュール通りに行いましょう。 - IT化などのツールで解決できるところ
→今の時代はチャットツールやグループウェアが多くあるので、情報を集めていく。十分な情報が集まると、今回引き継がれる人が引き継ぐ人になった時も作業量が少なくて済みます。 - 引き継ぎまでのスケジュールを決めましょう。
- 役割分担しましょう。
- 引き継ぎ資料などの手段(紙やデータ)を選びましょう。
- 引き継ぎを開始しましょう。
- 引き継ぎする仕事を3回ぐらいは引き継がれる人がやってみましょう。反復して体験することで疑問点ができて解決できると、強力な引き継ぎになります。
- 引き継ぎ途中のやりとりや手順、コツをまとめてみましょう。できたモノ、それがマニュアルです。
今風のやり方、動画を撮ってしまう
今風の引き継ぎ方法として、「動画を撮る」ことが有効だとは先ほど書きました。
なかでも「カッコイイ動画」を作ることが、職人を暗喩で褒めることにつながります。職人のモチベーションもあがるかもしれません。
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(監修:Polaris Infotech 株式会社 代表 東野 誠(ひがしの まこと) )
(編集:創業手帳編集部)