情報親方の泣く子も”わかる”取扱説明書作成方法

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取扱説明書(顧客向け製品・サービスのマニュアル)作成のポイントを情報親方が伝授します!

取扱説明書(顧客向け製品・サービスのマニュアル)作成のポイントを情報親方が伝授
「ものづくりやしくみづくりに関わるであれば、製品やサービスのマニュアル、いわゆる「取扱説明書」を作成した経験がある人も多いだろう。しかし、実際の取扱説明書制作をやったことがなければ、作り方がさっぱりわからず、使い方や機能の説明のみならず、伝えたいことがうまく表現できないのではないだろうか? たとえ経験があっても、独りよがりの成果物になっていたり、「実はNG」なことを書いていたりすることがある。

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また、業務マニュアルを作成した経験があっても、顧客向けの製品やサービスマニュアルを作成できるとは限らない。経験のない人が作るマニュアルのせいで、あなたの会社に顧客からクレームの問合せが増えているのかもしれない。

今回は、マニュアル作成のプロ、お馴染み『情報親方』に、取扱説明書(顧客向け製品・サービスのマニュアル)と業務マニュアルとの違いや、作成で気をつけるポイントを紹介してもらおう。

取扱説明書(顧客向け製品・サービスのマニュアル)にはどのようなものがあるか?

主に次のような種類に分けられる。

  • 製品マニュアル(製品に付属される)
  • → ハードウェア/ソフトウェアの取扱説明書、サービスマニュアル、パーツマニュアル、製品ラベル、注意喚起マニュアルなど
  • 組み立て、設置マニュアル(製品導入時に利用される)
  • ヘルプマニュアル(日常の「わからない」に備える)

これらは、ユーザー特化型の利用者別マニュアルとしても分けられることがある。すぐ使いたい人向け(クイックマニュアル)、管理者向け、整備者向け、初心者向け(基礎的な部分を掲載)、学生向けなどだ。

取扱説明書(顧客向け製品・サービスのマニュアル)の分類

取扱説明書と業務マニュアルの違いは?

ユーザーが違う

取扱説明書は、普段から業務に関わりがあり、ある程度「知っている」人ではなく、顔をあわせたことのない顧客に向けたマニュアルである。よって、「知らない」人に説明をするものでないといけない。

また、年齢、性別、言語を越えて、より広く世間の人に読まれる可能性があるので、特に専門用語は使わず、統一された用語や文体で簡潔に書くことが求められる。

求められるスピードが違う

製品を手にしたユーザーが「早く使いたい」というモチベーションが強い傾向にある取扱説明書では、ユーザーが見る(めくる)順にあわせてマニュアルを構成する。

辞書や教科書のように系統立てて目次構成を組み立てるというよりは、ユーザーの「○○を使いたい」という要望にあわせて、最短経路で問題解決できるように目次構成を組み立てることが求められる。

FAQ(よくある質問)やアフターフォローの存在

業務マニュアルでは(マニュアルがあったとしても)まわりに聞く人がいたりするが、顧客向け取扱説明書では「マニュアルが頼み」だ。FAQ(よくある質問)を掲載することにより、より効果的に製品を使ってもらう例を掲載することで、、概論だけではカバーしにくいピンポイントな質問に対応できる。

しかし、マニュアルですべての問合せはカバーできるわけではない。どんなマニュアルでも問合せは必ず発生するので、アフターフォローの案内を必ず入れておく。困ったとき問い合わせ先の記載がないと、製品の印象/評価にも影響する。

初歩的な質問が来ることも想定しておき、問合せがあった後、製品へのフィードバックにより製品自体を改善したり、取扱説明書の更新によりFAQを充実させることができる。

取扱説明書の作成方法:情報親方ならこう作る!

読まれ方にあわせた目次構成

コンテンツの読まれ方には、いくつか型がある。

  • 辞書や図鑑、教科書といった「体系的/ピンポイントで利用型
  • 小説やコミック、新書、絵本といった「ストーリー重視型

マニュアルやノウハウ本、特に顧客向けマニュアルは守備範囲が広いので、体系的な要素も持ちつつ、ユーザーの「やりたいこと」「困ったこと」にもすぐに答えられる必要がある。

取扱説明書の作成方法

たとえば冊子形式の取扱説明書だと、次のような構成例がある。

  1. 表紙
  2. 法規
  3. 目次
  4. 基本的な使い方
  5. 応用
  6. FAQ
  7. 用語集
  8. さくいん
  9. 奥付
  10. 裏表紙

この構成例のポイントは、

  • 法規:全員に必ず読んでもらいたいという企業からのメッセージを伝える。
  • 目次:全体の構成がわかるようにする。
  • 基本・応用:ユーザーが操作する進度にあわせて記載。順に見ることで学習効果も期待できる。
  • FAQ:頻度は少ないが、トラブルになる前に問題解決したい。

といったところをまとめた構成だ。

目次構成ができたら、機能や項目ごとに文章や図・イラストで説明を作成していく。

機能や項目の文章の書き方

初めて会った人に自己紹介をするのと同様に、機能や項目ごとに「何をする機能なのか?」「何ができるのか?」が判断できるように描く必要がある。

  1. タイトル:他のタイトルと差別化され、ユーザーが「これだ」と認識できる書き方で書く
  2. リード文(前提):何の説明か、何ができる機能か、機能の目的や結果などを書く。
  3. 操作の手順:多くの人がするであろう基本の操作を手順化して説明する。
    • 注意を喚起したり、お知らせもあわせて載せる。
    • 操作後にどの場面になるのか、操作する前はどの場面なのかが前後関係がわかるように、かつ書き方を統一しておく。
    • 派生や分岐する機能や操作がある場合は、分岐地点を明確にし、戻る手順も書いておく。
  4. 結果を必ず書く

図・イラストの表現

マニュアルに使う説明用の線画イラストを「テクニカルイラストレーション」という。主にはイラストレーターなどで線画を作成するが、線画作成以外でも描き方にコツがある。

  1. 説明したい部分と全体との位置関係がわかる。
  2. 特に説明したい部分は、線を太くしたり、色をつけたりして目立たせる。
  3. 平面図よりは立体的なイラスト、特にユーザーが見る目線で描いたほうが理解されやすい。
  4. 説明に必要のないところは描かない。
  5. 画面キャプチャーなどを織り交ぜて描く場合には、外部に見せたくない部分があればモザイク加工などで処理する。

テクニカルイラストレーション以外には、写真や動画、インフォグラフィックスなどを使うこともある。

レイアウトにも工夫する

レイアウトに一貫性を持たせることで、ユーザーに読む負担を与えず、スムーズにコンテンツを認識してもらえる。マニュアル用に「グリッドシステム」をうまく活用すると、マニュアル全体に統一感が出て、見た目に心地よいマニュアルができる。

ストーリー性があると読む人が多くなる

ある機能を操作した後、ユーザーは何をするだろうか?

たとえば、音響機器で音楽を再生したら、早送りもするだろうし、巻き戻し、一時停止もするだろう。人によってはプレイリストを作ったり、タイトルを編集したりするかもしれない。

ユーザーの分析や、ユーザビリティテスト、カードソーティングによる分析をすることで、ユーザーが経験する一連の行動(ユーザーエクスペリエンス:UX)を時系列で知ることができる。ユーザーエクスペリエンスを活用できると、マニュアルにストーリー性を組み込むことができ、ユーザーを引き込む力を持たせることができる。結果としてマニュアルが理解されやすくなり、顧客からの問合せが減ることにもつながる。

マニュアル作成については、

も参考にしてほしい。

取扱説明書の品質を向上させるポイント

その他に、比較的簡単に取扱説明書の品質を向上させるポイントを挙げておこう。

  • 概念的な説明を加えたり、イラストを使って、機能や操作をイメージしやすくする。
  • 専門用語を使わず、対象ユーザーの理解度にあわせる。
  • 製品仕様や動作環境を明らかにする。
  • 製造者物責任法(PL)や、業界で遵守される規則などを過不足ないように書く。
  • ロゴや商標、著作権など他者の持つ権利を遵守する。
  • 問合せに対応した、永続的なアフターフォロー先を記載する。
  • BtoBであれば技術的な深掘りや精度が、BtoCであれば広範囲に対応した書き方やよりかみ砕いた表現が求められる。

業界別の傾向に注意

情報親方は、BtoB、BtoC、ハードウェア/ソフトウェア、家電、自動車、医療機器、IoT、建設機器など、様々な業界のマニュアル制作に従事してきたが、ひと言で取扱説明書といっても、業界やターゲットにより様々だ。

例えば、ソフトウェアの開発は、リリース直前でも製品仕様が大きく変わることがある。マニュアルを作り込んだ後に仕様変更があると、工数を確保しにくくなるが、制作スケジュールは守らなければならない。

突然の仕様変更にも耐えるために、製品仕様が確定するまではマニュアルの基本的な部分はきちんと作っておき、画面キャプチャーなどの更新をしやすいしくみにしておいたり、原稿が完成した後に実製品での動作確認を一気通貫で行う必要がある。

また、ハードウェアの開発では、ソフトウェアの開発に比べるとリリース直前で製品が大きく変わることは少ないと思われるが、最近はソフトウェアが組み込まれていることが多いので、ソフトウェアの仕様変更で製品全体に影響があるかどうかを確認しておく必要がある。

以上のように業界やターゲットによって、取扱説明書作成上のポイントが異なってくる場合もあるので、注意が必要である。

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(監修:Polaris Infotech 代表 東野 誠(ひがしの まこと)
(編集:創業手帳編集部)

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