【10/1より二次公募】「経営資源引継ぎ補助金」とは。新型コロナの影響を受けた企業の事業承継・売却・統合を後押し
経営資源引継ぎ補助金の概要を解説します
「経営資源引継ぎ補助金」の申請が始まりました。新型コロナウイルス感染症(以下、新型コロナ)の影響で、事業を承継・売却・統合したいといった需要が急増する中、中小企業者の経営資源の引継ぎにかかる経費の一部を補助することで、企業の新陳代謝を促すために設けられた補助金です。概要をまとめて解説します。
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この記事の目次
事業の買い手、売り手の条件
経営資源引継ぎ補助金は、事業の「売り手になる」もしくは「買い手になる」可能性がある中小企業者に対して 、「経営資源の引継ぎを促すための支援」、「経営資源の引継ぎを実現させるための支援」という2軸でサポートする内容になっています。対象となる買い手、売り手の基準は以下の通り定められています。
買い手支援 | 事業再編・事業統合等に伴う経営資源の引継ぎの予定があり、引き継ぎを行ったあとに ・シナジーを活かした経営革新などを行うことが見込まれる。 ・地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行うことが見込まれること。 という条件をいずれも満たす事業者。 |
---|---|
売り手支援 | 地域の雇用をはじめ、地域経済全体を牽引する事業を行っており、事業再編・事業統合などによって、これらが第三者により継続されることが見込まれること。 |
経営資源引継ぎ補助金の概要
経営資源引継ぎ補助金の概要を表でまとめました。
【買い手支援型】 | 【売り手支援型】 | |
---|---|---|
補助率 | 補助対象経費の3分の2 | 補助対象経費の3分の2 |
補助上限額 | 経営資源の引継ぎを促すための支援:100万円 経営資源の引継ぎを実現させるための支援:200万円 |
経営資源の引継ぎを促すための支援:100万円 経営資源の引継ぎを実現させるための支援:650万円 |
補助下限額 | 50万円 | 50万円 |
対象経費 | 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料 | 謝金、旅費、外注費、委託費、システム利用料(廃業費用)廃業登記費、在庫処分費、解体費、原状回復費 |
対象時期 | 2021年1月15日までに支払いが完了する経費 | 2021年1月15日までに支払いが完了する経費 |
売り手の上限額
売り手の場合、売却先が決まっているかどうか、廃業を伴うかどうかによって受けられる補助の額が変わります。
買い手が決まっていて、廃業しない→200万円
買い手が決まっていない→100万円
買い手の上限額
買い手の上限額の条件は、以下のように分かれます。
相手が決まっていない→100万円
補助事業期間中に引き継ぎが実現しなかった場合
経営資源の引継ぎを実現させるための支援について、補助事業期間中に引き継ぎが実現しなかった場合でも補助金を受けることができますが、その場合は補助上限額が100万円になります。
廃業費用の扱いと上限額
廃業費用の補助上限額は450万円で、廃業費用を活用しない場合の補助上限額は200万円になります。ただし、廃業費用に関しては、関連する経営資源の引継ぎが補助事業期間に実現しなかった場合、補助金の対象外になりますので注意しましょう。
経営資源引継ぎ補助金の要件
経営資源引継ぎ補助金の対象となるためには、まず以下の6要件をすべて満たす必要があります。
- 日本国内に拠点もしくは居住地を置き、日本国内で事業を営んでいること。
※個⼈事業主は、⻘⾊申告者であり、税務署の受領印が押印された確定申告書Bと所得税⻘⾊
申告決算書の写しを提出できる。
※外国籍の方は、「国籍・地域」「在留期間など」「在留資格」「在留期間等の満了の日」「30条45規定区分」の項⽬が明記された住⺠票を添付する必要あり。 - 補助対象者やその法人の役員が、暴力団等の反社会的勢力でないこと。反社会的勢力との関係を持たないこと。
- 法令順守上の問題を抱えていないこと。
- 経済産業省から補助金指定停止措置や指名停止措置が講じられていないこと。
- 補助対象事業に係る全ての情報について、経営資源引継ぎ補助金事務局(以下、事務局)から国に報告された後、匿名性を確保しつつ公表される場合があることに同意する。
- 事務局から、補助対象事業に関する調査やアンケートを求められた時に協力できること。
対象となる事業の定義
対象となる中小企業者について、事業の領域ごとに定義が細かく定められています。
定義 | |
---|---|
製造業その他 | 資本金の額または出資の総額が3億円以下の会社 または常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人事業主 |
卸売業 | 資本金の額または出資の総額が1億円以下の会社 または常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
小売業 | 資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社 または常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人事業主 |
サービス業 | 資本金の額または出資の総額が5千万円以下の会社 または常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人事業主 |
「製造業」について、ゴム製品製造業(一部を除く)は、資本金3億円以下または従業員900人以下と要件が異なります。同様に、「サービス業」について、ソフトウエア業・情報処理サービス業は資本金3億円以下または従業員300人以下、旅館業は資本金5千万円以下又は従業員200人以下となっています。
対象になる事業、ならない事業
医者(個人開業医)、農家(会社法上の会社または有限会社である農業法人)、農家(個人農家)については、資本金(出資金)又は従業員の基準を満たせば、中小企業者として経営資源引継ぎ補助金の対象になります。
社会福祉法人、医療法人、一般社団・財団法人、公益社団・財団法人、学校法人、農事組合法人、組合(農業協同組合、生活協同組合、中小企業等協同組合法に基づく組合など)は対象外です。
また、中小企業者であっても、以下の条件に当てはまる事業者は「みなし大企業」として、経営資源引継ぎ補助金の対象になりません。
- 発行済株式の総数または出資価格の総額の2分の1以上を、同一の大企業が所有している
- 発行済株式の総数または出資価格の総額の3分の2以上を大企業が所有している
- 大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の2分の1以上を占めている
経営資源引継ぎ補助金の引き継ぎ要件
経営資源の引継ぎを促すための支援、経営資源の引継ぎを実現させるための支援の2種類について、「引き継ぎ」の具体的な要件も確認しましょう。
経営資源の引継ぎを促すための支援 | 経営資源を譲り渡す者(被承継者)と経営資源を譲り受ける者(承継者)の間で、補助事業期間に事業再編・事業統合などが着手される予定である |
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経営資源の引継ぎを実現させるための支援 | 補助事業期間に被承継者と承継者の間で事業再編・事業統合などが着手され、かつ行われる予定である |
グループ内の事業再編や親族内の事業承継など、承継者と被承継者による実質的な事業再編・事業統合等が行われていないと事務局が判断した場合は、対象外となりますので注意が必要です。
経営資源引継ぎ補助金の申請に必要な書類は、類型によって細かく異なる
経営資源引継ぎ補助金は、「売り手の支援か、買い手の支援か」「経営資源引継ぎの形態」などによって、交付申請と実績報告の類型が細かく当てはめられています。引き継ぎにかかる事業がどの類型に該当するかによって、申請に必要な書類も異なってきます。申請を考えている事業者は、中小企業庁が公開している要項をしっかり確認した上で取り組みましょう。
経営資源引継ぎ補助金の申請方法と期限
経営資源引継ぎ補助金は、オンラインでの申請となります。申請期限は、2020年10月1日(木)~2020年10月24日(土)19:00までです。
電話番号:03-6629-9134
受付時間:10:00~12:00、13:00~17:00
(土・日・祝日を除く)
(編集:創業手帳編集部)