全国のIT起業家が岐阜県に注目する3つの理由

創業手帳

田舎に IT ベンチャー150 社が集結!“ギフコンバレー”の正体とは?

ご存知でしょうか?今、岐阜県大垣市に150社ものITベンチャーをはじめとするIT関連企業が集結し、シリコンバレーならぬ“ギフコンバレー”が誕生しようとしています。東京から電車で2時間半、岐阜県の中心市街からも離れた大垣の地に、なぜ全国からIT起業家が集まるのか。その背景には、岐阜県の起業支援拠点「ソフトピアジャパン」の存在があるようです。創業手帳編集部は、現地取材を通じて、IT起業家を引きつけるソフトピアジャパンの3つの特徴に迫ります!

(2015/08/11更新)

ソフトピア

そもそも、「ソフトピアジャパン」って?

ソフトピアジャパンは、情報産業の「育成・振興・集積」の中核拠点として岐阜県が手掛ける大規模なIT産業育成施設群です。
ソフトピアジャパン
敷地面積12.7ヘクタールもの広大な敷地に、「センタービル」「アネックス」「ドリームコア」「ワークショップ24」の4つのビル、ITベンチャーのオフィスビル群が立ち並び、その様子は沿線からもはっきりと見ることができます。

そして、驚くべきことに、ソフトピアジャパンには150社のIT企業がオフィスを持ち、起業家を含め3,320名もの交流人口を生み、密度の濃い空間の中で、IoTやスマホアプリ関連の新しいサービスが次々と発信されているのです。

ソフトピアジャパンから発信されるモノたち

ソフトピアジャパンから発信されるモノたち


岐阜県の中心市街から離れ、移動手段は1時間に4,5本の電車かバス。都市部と比べるとお世辞にも便利とは言えないこの環境に、なぜたくさんのIT起業家が引き寄せられ、新しいムーブメントが発信されているのでしょうか?

IT起業家一筋20年!インキュベーションの老舗

岐阜県庁新産業振興課の藤原さんによると、ソフトピアジャパンが誕生したのは1996年、何と約20年前のことだそうです

ソフトピア

岐阜県新産業振興課の藤原さん。メガネはメイド・イン・ソフトピアジャパンのIoTガジェット


1995年、マイクロソフト「Windows95」が発売され、インターネットがようやく一般化し始めましたが、当時の岐阜県知事である梶原拓氏は、これからのIT産業の勃興を睨み、その頃からIT産業の集積と育成を進めていたそうです。

今でこそ、「地方創生」のもとに他県でも様々なIT起業家の支援が行われていますが、リーマン・ショックやITバブルの荒波を乗り越えながら、IT起業家の支援に20年近く携わっている施設はなかなかないのでしょうか?

情報と工場を掛け合わせた「情場」というコンセプトを掲げ、インターネットの勃興期から起業家を支えている岐阜県。ソフトピアジャパンにIT起業家が集まる背景には、その先見性と、IT起業家一筋20年の豊富な支援ノウハウやナレッジがあるのかもしれません。
ソフトピア

産学官の融合がイノベーションを生む

藤原さんによると、慶応大学SFCや情報科学芸術大学院大学IAMASなどのメディア系の大学とのコラボレーションも、ソフトピアジャパンの強みの一つだそうです。

特にIAMASは、修士課程のみ、メディア表現専門の大学院として、1学年20名の少数精鋭主義の教育研究を行い、Perfumeの演出を手掛ける真鍋大度氏をはじめ、メディア業界で活躍する多くの人材を輩出する「知る人ぞ知る」世界的有名校です。

2014年の4月から、そのIAMASのキャンパスがソフトピアジャパン内に移ることで、IT起業家という「産」と、IAMASの「学」、ソフトピアジャパンの「官」が一体となり、人材やアイデア、ノウハウなど様々な面でより一層の相乗効果が生まれるようになったとのこと。

ソフトピアジャパン内の、IAMASキャンパスの一角

ソフトピアジャパン内の、IAMASキャンパスの一角


ソフトピアジャパンが産学官の有機的なつながりの場になることで、文字通り「新結合」、イノベーションが生まれているのですね。

大学発の新しい技術や表現方法に直に触れ、それらと直につながることが出来る。それを支えるソフトピアジャパンは、起業家にとってはアイデアの宝箱といえるのかもしれません。

ハコだけじゃない!「緩くつながる」協力関係

ソフトピアジャパンを一目見ると、建物など「ハコ」の充実ばかりに目が向いてしまいますが、一旦中に入ってみると、それだけではない違った側面に気が付きます。

起業家支援などのソフト面を担う、公益財団法人ソフトピアジャパンの吉川さんによると、「産業高度化」「新サービスの創出」「人材育成」という柱のもと、自然発生的に何かが生まれる環境づくりを進めているそうです。

公益財団法人ソフトピアジャパンの吉川さん

公益財団法人ソフトピアジャパンの吉川さん


例えば2015年だけでも、スマートフォンアプリのネクストクリエイターを対象とし、ハッカソン形式でアイデアを出し合いながら国内最高峰を目指す競技会「SPAJAM 2015」の東海地区予選が開催されたり、マイクロソフト「Kinect」の勉強会が行われたりしているとのこと。

ITを切り口とした様々な人々の交流が、ソフトピアジャパンで起きていることが分かります。そして、そこから高校生ITベンチャーの「INAR」が誕生したり、たくさんのアプリケーションが岐阜県から公開されたりと、目に見えたイノベーションが起きているのです。
ソフトピア
「ハードは持っていても仕方がない。それを活用することが重要ですね。」岐阜県庁の藤原さんはそう語ります。施設や設備などのハード面の充実はもちろん、それらをオープン化し、全ての人にウェルカムで活用してもらう。そんな環境づくりが、起業家を引きつけるキモなのかもしれませんね。

まとめ

全国から起業家を含め、IT関係者を引きつけるソフトピアジャパン。スマホアプリやIoT分野で多くのイノベーションを起こしている背景には、

①IT一筋20年の豊富なナレッジと支援ノウハウ
②IAMASやSFCといったメディア系大学との密接な連携
③充実した施設と、それをフル活用して周囲を巻き込む環境づくり

の3つがありそうです。

岐阜県の特産品の枡を使ったIoT製品、「光枡」(ひかります)

岐阜県の特産品の枡を使ったIoT製品、「光枡」(ひかります)


大垣市の近くには、400年前に天下分け目の戦いが繰り広げられた関ヶ原があります。ソフトピアジャパンの吉川さんによると、昔は東西の交通の中間地点ということで、重要な拠点だったそうです。

「間を制す者、世界を制す」。日本全国でたくさんのIT起業家が群雄割拠する現代、勝利の秘訣は、もしかしたら大垣にあるのかもしれませんね。

(創業手帳編集部)

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