日本で一番創業しやすい街・北九州市3つの魅力

創業手帳

創業のハードルを下げる、独自の取り組みとは?

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(2015/12/15更新)

「グローバル創業・雇用創出特区」福岡市が注目を浴びる一方、その陰に隠れがちな、九州第二の都市・北九州市。ところが、同市には創業に関する一流の「ヒト・モノ」が集まり、四年間で100名以上の新規創業者を生むなど、全国でも注目の創業スポットになっています。

“日本で一番創業しやすい街”と言っても過言ではない、北九州市の3つの魅力をお伝えします。

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アイデアが街を変えていく リノベーションスクール

リノベーションスクールの舞台は、北九州市の実際の空き店舗。年2回、街の活性化を志す人々が全国から集まり、4日間で店舗のリノベーション・プランを練ります。
そして、出来上がった「プラン」を不動産オーナーに提案し、実際の「プロジェクト」として空き店舗がリノベーションされます

例えば、火事で焼失したビル跡地を商店街が借り受け、店舗内装が施されたコンテナ店舗を設置したイタリアンバル「Cucina di TORIYON[クッチーナ・ディ・トリヨン]」は、空き地を人々の憩いの場に変えました。

街の方でにぎわう、クッチーナ・ディ・トリヨン

街の方でにぎわう、クッチーナ・ディ・トリヨン


店舗だけでなく、街や人々のライフスタイルまで変える力を持つリノベーションスクール。その重要な役割を担うのが、北九州家守舎の共同代表である遠矢弘毅氏です。

遠矢氏によると、「家守」とは江戸時代に活躍した街の采配人のこと。北九州家守舎は、リノベーションスクールの実施や、スクール後のリノベーション店舗の運営などを通じ、現代の家守として采配を振るっています

北九州家守舎共同代表 遠矢弘毅氏

北九州家守舎共同代表 遠矢弘毅氏


様々な職を経験後、同市のインキュベーションマネジャーとして活躍していた遠矢氏は、2010年に、リノベーションスクールの前身である「小倉家守構想」に出会います。
そして、「小倉家守構想」実現のため、遠矢氏をはじめとしたメンバーによって設立されたのが、北九州家守舎なのだそうです。

「『小倉家守構想』に出会った当時、民間でインキュベーションを行ったり、大学に建築学科ができたりということが同時期に起きていました。」

遠矢氏はそう話します。構想実現に必要なモノの「歯車がかみ合う瞬間」と、それを逃さない機動力。それがリノベーションスクール成功のポイントだったのかもしれません。

リノベーションスクールで生まれたドミトリー「Tanga Table」

リノベーションスクールで生まれた地産地消ドミトリー「Tanga Table」

“尖った”コワーキングスペースと日本初の融資制度

「北九州の強みは、たくさんの小さなコミュニティが『俺が、俺が』と独自に活動しているところにあります。」
遠矢氏がそう語る通り、同市では“尖った”コンセプトを持つコワーキングスペースが、それぞれ独自の“尖った”活動をしています。例えば、

・北九州の新しい時代のものづくり拠点:fabbit
・「閉じないコミュニティ」を徹底的に追及する:秘密基地
・リノベーションスクールの原点:MIKAGE1881

詳しくは、こちらの記事で紹介しますが、いずれも北九州市のイノベーションを司る重要な拠点です。

尖ったコワーキングスペースの一つ、秘密基地

尖ったコワーキングスペースの一つ、秘密基地


そして、これらの拠点を最大限に生かす取り組みが、同市と日本政策金融公庫のコラボレーションによって生まれた、スタートアップに特化した日本初の融資制度「北九州市スタートアップ支援貸付」です。

この融資制度では、市が認定したコワーキングスペースなどに入居・登録した起業家(中小企業事業者)は、最大7,200万円もの融資を受けるチャンスがあります
ちなみに、貸付期間は20年間。公庫の「新創業融資制度」の融資が最大3,000万円、貸付期間が15年間なのを考えると、創業者にとって大変なインセンティブになります。

どんなに壮大なプランを語っても、「先立つもの」がなければ、絵に描いた餅にすぎません。コワーキングスペースの濃密な世界観で生まれる「夢」を、夢のままで終わらせない。北九州市にはそのためのシステムが備わっているのです。

小さな夢から、大きな夢まで。夢を叶えるシステムが揃います

小さな夢から、大きな夢まで。夢を叶えるシステムが揃います

「英国大使館に醤油を売り込みました」 常識破りの市職員

どんなに優れたモノも、それが生かされるかどうかは「動かすヒト」の腕次第。

北九州市職員が行う創業支援はただ一つ、「創業者に寄り添うこと」です。
ただし、その寄り添い方は並大抵ではなく、「創業者の融資に必ず職員が同行して談判する」「英国大使館に醤油を売り込んだ」などの、伝説的な実話がある程。

北九州市の安永氏:「融資の交渉は8ケタ(1千万)からが当たり前」

「融資の交渉は8ケタ(1千万)からが当たり前」と話す、市職員の安永氏


また、市が事務局を担当する「北九州スタートアップネットワークの会」では、公庫やメガバンク、一部上場商社といった錚々たるメンバーが、創業者とフラットな関係で交流を行っています。

「東ニ金欠ノ起業家アレバ、行ッテ融資ノ相談ニノリ 西ニツカレタ創業者アレバ、行ッテ仲間ヲ紹介シ…」

北九州市の創業シーンは、そんな「デクノボー」のような一途さを持った市職員の情熱に支えられているのです。

まとめ

以上をまとめると、北九州市の魅力は①「俺が、俺が」精神で突っ走る民間のコミュニティ ②それに寄り添い支える市職員 の二つから成っていることが分かります。

最盛期、「万札をドラム缶に足で詰め込んだ」ほど賑わった北九州市。
しかし現在、基幹産業の衰退、人口の減少、少子高齢化、市場縮小…と、世界中の都市がやがて直面する問題のすべてを抱える「課題先進都市」になってしまいました。

一方、八幡製鉄所でおなじみの同市には、1970年頃、全国的に話題になった公害問題と住民訴訟に対し、製鉄所や市民が一丸となって公害問題解決に取り組み、結果として低公害・エコロジー技術の最先端の街となった過去があります。

古き良き時代の面影がのこる、旦過市場

古き良き時代の面影がのこる、旦過市場


北九州市は、世界の都市の「最先端」の課題に向きあう人たちの力で、創業の「最先端」の街として大きく生まれ変わりつつあるのです

(編集:創業手帳編集部)

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