特定創業支援等事業の支援を受けるには?受け方の流れやポイントを解説
特定創業支援等事業の支援を受けるには条件がある

創業を支援するための制度は複数あります。中でも特定創業支援等事業は、証明書を取得することで様々な優遇を受けることが可能です。
ただし、支援を受けるためには条件があります。条件に当てはまっていなければ支援を受けられないため注意が必要です。
そこで本記事は、特定創業支援等事業の内容や対象者について解説すると共に、支援の受け方や証明書を得るメリット、スムーズに支援を受けるポイントなどを紹介していきます。
様々なサポートを受けながら開業を目指したい人や制度の概要を知りたい人は、ぜひ参考にしてみてください。
この記事の目次
特定創業支援等事業とは
まずは、特定創業支援等事業の事業内容や対象者といった概要を解説していきます。
事業内容
特定創業支援等事業とは、創業支援や創業機運の醸成を目的に、市区町村が民間の創業支援等事業者と連携して実施する創業支援の取り組みです。
経営や財務、人材育成や販路開拓などの4つの知識が身につく継続的な支援を受けることで、会社を設立する際の登録免許税軽減といった優遇措置を受けることができます。
創業支援等事業計画は、2026年6月25日時点で1,414件(1,580市区町村)が認定されています。
認定を受けている全国の創業支援等事業計画の概要は、中小企業庁のホームページ内にある「産業競争力強化法に基づく認定を受けた 市区町村別の創業支援等事業計画の概要」から確認できます。
特定創業支援等事業の対象者とは
特定創業支援等事業による支援は、誰もが受けられるわけではありません。それぞれの自治体において条件が定められています。
主な対象者は以下の通りです。
-
- 事業を営んでいない個人で創業を予定している人
- 事業を開始して以降、5年を経過していない個人または法人
上記の5年には、他の法人での代表者期間や個人事業主としての期間も含みます。
また、以下のポイントにも注意してください。
-
- 創業前の人が主な対象であること
- 創業後でも一定期間内なら対象になる場合があること
- 個人事業主・法人のどちらも対象になり得ること
- 居住地ではなく、創業予定地や事業所所在地が基準になる場合があること
- 対象期間や条件は自治体によって異なること
まずは自分が条件に当てはまっているのか確認してから制度の活用を検討してください。
特定創業支援等事業はどこで受けられる?
特定創業支援等事業は、全国一律の制度ではなく、市区町村が国の認定を受けて実施する創業支援事業です。
そのため、すべての自治体で同じ内容の支援が行われているわけではありません。
支援を受けられるかどうかや、受講方法、必要な回数などは自治体ごとに異なります。まずは創業予定地の自治体で制度を実施しているかを確認することが大切です。
また、自治体だけではなく、商工会議所や商工会、金融機関、産業支援センターなどが自治体と連携してセミナーや個別相談を実施しているケースもあります。
自分の地域の制度を調べる方法
自分が利用できる特定創業支援等事業を探すには、まず創業予定地の自治体ホームページで「特定創業支援等事業」や「創業支援」と検索してみましょう。
自治体のホームページでは、対象者やセミナーの日程、申込方法、証明書の発行手続きなどが案内されています。
見つからない場合は、商工会議所や商工会、自治体の産業振興課へ問い合わせるのも有効です。
また、中小企業庁が公表している「創業支援等事業計画」の認定自治体一覧から、自分の自治体が対象になっているか確認することもできます。
なお、受講回数やカリキュラム、証明書の申請方法は自治体によって異なるため、申し込む前に最新の募集要項を確認しておくと安心です。
特定創業支援等事業の支援の受け方

特定創業支援等事業の支援の受け方は以下の通りです。それぞれの内容を具体的に解説していきます。
1.創業予定地域の自治体の事業を調査する
まずは、支援を受けるためにも創業予定地域の自治体の事業を調査する必要があります。
自治体のホームページ内にある検索機能を活用し、「創業支援等事業計画」と検索をすれば、支援メニューを確認できます。
中にはホームページから参加申し込みができる自治体もありますが、電話での問い合わせた窓口での予約をする必要がある自治体もあるためチェックしておきましょう。
また、定員に限りがある場合も多いです。受けられない可能性があるため、早めに申込むようにしてください。
2.セミナーを受講して修了する
自治体に申込みをしたら、セミナーや個人面談などを受けます。受講内容は、主催する機関によって異なりますが、経営・財務・人材育成・販路開拓の4分野が中心です。
また、受講時間も半日や1日かけてセミナーが開催される場合もあれば、数日かけて実施されるケースもあります。実際に開催されるセミナーの具体例としては以下の通りです。
-
- 創業や起業の心構え
- 事業計画書の書き方
- 経営理念・経営方針の策定
- 資金調達について
- 会計や決算の基礎知識
- 創業時の採用活動
- スタッフ教育・マネジメントについて
- 労務管理の基礎
- 集客や販売促進の仕組みづくり
受講回数は、おおよそ4回~5回で、1カ月程度の期間を要します。
3.証明書の発行申請を行う
個人面談やセミナーへの受講が修了したら、「特定創業支援等事業による支援を受けたことの証明書」の発行申請を行います。
申請方法は自治体によって異なりますが、窓口や郵送、オンラインなどでの手続きが可能です。
また、申請する際には必要書類を用意します。主な書類は以下の通りです。
-
- 交付申請書
- 創業計画書
- 商工会が発行する特定創業支援事業の修了証
- 税務署に提出した開業届の写し
- 商業登記簿謄本の写し
ただし、必要書類は自治体によって異なります。あらかじめホームページで確認するほか、問い合わせをして提出忘れのないよう準備してください。
証明書の発行は、申請をしてから5営業日~10営業日ほどかかります。発行日数も自治体によって違いがあるため注意してください。
4.優遇措置を受ける
証明書を取得したら、必要に応じて優遇制度の活用が可能です。登録免許税の軽減を受ける場合には、会社設立登記の申請の際に法務局に原本を提出します。
創業関連保証や日本政策金融公庫の融資を利用する場合には、証明書の写しが必要になるため、あらかじめ何枚か写しを用意しておくと、スムーズな申請が可能です。
特定創業支援等事業の支援で証明書を得るメリット

特定創業支援等事業を受けたことで証明書の交付を受けると、以下のようなメリットが得られます。1つずつ具体的に解説していきます。
登録免許税の負担が軽減される
証明書を受け取ると、登録免許税の負担が軽減されます。登録免許税とは、会社を設立する際に国に支払う税金のことです。
法務局に納付する仕組みですが、株式会社や合同会社、資本金額によって納付額が異なります。通常時の税率と軽減措置が適用された場合の税率は以下の通りです。
| 設立形態 | 通常の税率 | 軽減措置適用時の税率 |
| 株式会社 | 資本金額×0.7% 15万円に満たない場合は1件につき15万円 |
資本金額×0.35% 7.5万円に満たない場合は1件につき7.5万円 |
| 合同会社 | 資本金額×0.7% 6万円に満たない場合は1件につき6万円 |
資本金額×0.35% 3万円に満たない場合は1件につき3万円 |
合資会社や合名会社、一般社団法人などは、減額対象にならない点に注意してください。
小規模事業者持続化補助金≪創業型≫に申請できる
証明書を受け取ると、小規模事業者持続化補助金≪創業型≫に申請できます。
小規模事業者持続化補助金≪創業型≫は、創業間もない小規模事業者が自ら策定した計画に基づいて行う販路開拓や生産性向上の取り組みを支援する制度です。
補助率は2/3で上限額は200万円(インボイス特例適用時は250万円)です。
対象は、創業後1年以内の小規模事業者となっています。当てはまっている場合には、申請を検討してみてください。
日本政策金融公庫の融資が受けやすくなる
特定創業支援事業の証明書を取得すると、日本政策金融公庫の融資が受けやすくなるメリットがあります。
日本政策金融公庫では、新たに事業を始める人や事業開始後からおおむね7年以内の経営者を対象に融資制度の「新規開業・スタートアップ支援資金」を提供しています。
無担保・無保証人で利用することができ、設備資金や運転資金として最大7,200万円までの借入が可能です。
証明書を取得した場合、この新規開業・スタートアップ支援資金における特別利率が適用されるため、融資の利用がよりしやすくなると考えられます。
日本政策金融公庫の融資利率の引き下げ対象になる
前述したように、証明書を取得すれば日本政策金融公庫による新規開業・スタートアップ支援資金において、特別利率が適用されます。
基本金利からマイナス0.40%となるため、通常よりも負担が少なくなる点がメリットです。
信用保証協会による創業関連保証が優遇される
信用保証協会の「創業関連保証」は通常であれば2カ月前からの利用が可能です。
しかし、特定創業支援等事業の証明書を受け取れば、通常よりも早い事業開始の6カ月前から利用できます。
準備期間を長く確保できるため、資金調達の計画も余裕を持って進めることが可能です。また、市区町村によっては保証料の一部を補助する支援策も実施されています。
自治体によるサポートを受けられる
自治体によって、補助金や融資など、様々なサポートが提供されています。
優遇内容の詳細は市区町村によって異なりますが、利率の低下や融資枠の増加などが考えられます。活用すれば、創業時の不安解消に役立つでしょう。
特に創業当初は事業が軌道に乗るまでに資金繰りに苦労するケースも多いです。
少しでも経営を安定させるためにも、優遇措置を受けられるよう証明書の活用を検討してみてください。
制度の内容は自治体の公式サイトや窓口で随時更新されているため、申請前に最新情報を確認しておくと安心です。
特定創業支援等事業の支援をスムーズに受けるポイント
特定創業支援等事業の支援を受けるためにも、以下の点に注意してください。スムーズな取得を目指すためにも、ポイントを理解しておきましょう。
証明書を取得するには時間がかかる
特定創業支援等事業の証明書はすぐに取得できるわけではありません。申請をすればすぐに受け取れるわけではなく、個人面談への参加やセミナーの受講が不可欠です。
多くの自治体では、1カ月以上のプログラムが用意されているので受講する必要があります。
そのため、「すぐにでも創業融資を受けたい」といった場合には、スケジュールが合わないケースもあります。
事前にどういったスケジュールでセミナーや個人面談が開催されるのか確認することが大切です。
申請先の自治体のルールを事前に確認しておく
自治体によって支援内容やセミナーの回数だけではなく、証明書の発行手順など、ルールが異なります。
そのため、事前に申請先となる自治体のルールを確認しておく必要があります。
-
- 対象講座の内容
- セミナーや個人面談の回数
- 受講条件
- 証明書の申請から交付までの日数
- 証明書の申請時に必要な書類
- 証明書の発行手順
上記について確認し、創業予定の時期から逆算して証明書が必要なタイミングに間に合うよう、余裕を持って受講することが大切です。
専門家への依頼を検討する
自己判断による計画によってスムーズな申請ができないケースも考えられます。
その結果、創業予定の時期までに証明書の発行が間に合わず、必要な支援を受けられない可能性もあるので注意してください。
そんな時には、専門家への依頼を検討すると計画をスムーズに進めることができます。
例えば、申請書類の作成や提出手続きに関するアドバイスを受けられるほか、書類の不備や誤りを防ぐことも可能です。
開業時期に間に合うようにスケジュールの提案をしてくれる場合もあるため、開業時期が遅れるリスクも減らせます。
事業計画書の作成支援も受けられるため、融資の際も心強い味方となってくれるでしょう。不安があれば早い段階で専門家への相談を検討してみてください。
まとめ・流れや注意点を知り、スムーズな申請を目指そう
特定創業支援等事業を活用すれば、セミナーを通じて必要な経営ノウハウを効率的に学べるほか、優遇措置を受けることが可能です。
自治体でどういった支援が受けられるのか確認し、流れや注意点なども事前に把握し、スムーズな申請を目指してください。
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(編集:創業手帳編集部)
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