シェアオフィスと賃貸オフィスはどっちが安い?費用相場と選び方を解説

初期費用を抑えたいならシェアオフィス、自由度を重視するなら賃貸オフィス


シェアオフィスと賃貸オフィスでは、初期費用に明確な違いがあります。
初期費用でみると、シェアオフィスはコストの負担が抑えられるため、起業しやすいことが特徴です。
一方、賃貸オフィスは初期費用の負担が大きいものの、事業運営における自由度が高いといった特徴があります。

当記事ではシェアオフィスと賃貸オフィスの初期費用相場や内訳を比較した上で、注意点やそれぞれが適している人についても解説しています。
初期費用の目安が知りたい人やシェアオフィスと賃貸オフィスのどちらにするか迷っている人は、ぜひ参考にしてください。

この記事の目次

シェアオフィスと賃貸オフィスの初期費用比較表


シェアオフィスと賃貸オフィスを比較するため、まずは双方の初期費用の相場を比較します。

初期費用の内訳 シェアオフィス 賃貸オフィス
入会金 約3万円~10万円 ×(通常発生しない)
保証金(敷金) 月額費用の1~3カ月分 月額費用の6~12カ月分
初月利用料(前家賃) 契約初月の月額費用(約5万円~) 1~2カ月分の月額費用(約30万円~)
礼金 ×(通常発生しない) 約30万円
仲介手数料 月額費用の約1カ月分(または0円) 約30万円
火災保険 ×(通常発生しない) 約2万円~4万円(2年間)

シェアオフィスと賃貸オフィスの初期費用を比較すると、初期費用の負担が大きいのは賃貸オフィスであることがわかります。
シェアオフィスの初期費用は全体として約5万円~30万円なのに対し、賃貸オフィスは約数十万円~300万円以上となっています。
シェアオフィスは、運営側は火災保険に加入していることが多いため、火災保険の加入の必要はありません。

シェアオフィスの初期費用相場と料金内訳


シェアオフィスにかかる初期費用は、約5万円~30万円が相場となっています。ここでは、シェアオフィスの初期費用相場と料金内訳を詳しく解説していきます。

初期費用の目安は5万~30万円

シェアオフィスの初期費用の目安は、約5万円~30万円となっています。上記の表にあるように、賃貸オフィスと比較すると初期費用を大幅に抑えることができます。
ただし、費用は部屋のタイプやプランなどによって異なるため、詳細は事前の確認が必要です。

初期費用には初月利用料が含まれますが、契約初月の月額費用だけでなく、2~3カ月分に設定されているところもあります。
しかし、事業運営に必要となるデスクやチェアといった家具も備え付けられているため、その分の購入費を抑えることが可能です。

シェアオフィスの主な料金内訳

シェアオフィスの初期費用には、入会金や保証金、事務手数料、初月賃料などが含まれます。入会金は登録料と呼ばれることもあり、契約時に3万円~10万円程度かかります。

保証金は賃貸オフィスの敷金に相当する費用で、退去時・解約時に返金されるケースがほとんどです。
初月賃料は、月額費用の1~3カ月分が一般的で、契約初月に前払いで支払う形となっています。

また、シェアオフィスは火災保険の加入義務はありませんが、高価な機材や什器を持ち込む場合は、保険の加入が適当となることもあるでしょう。
しかし、初期費用を全体で見ても約5万円~30万円となるため、数百万円の初期費用が必要となる賃貸オフィスと比べても資金の負担軽減につながります。

賃貸オフィスの初期費用相場と料金内訳


賃貸オフィスは賃貸契約を締結して借りる必要があるため、初期費用も高額になりやすいです。ここでは、初期費用の目安と主な料金内訳を解説します。

初期費用の目安は数十万~300万円以上になることも

賃貸オフィスの初期費用は、借りたい賃貸オフィスの規模や立地、階数などによって大きく変わります。
仮に月額の賃料が30万円だった場合、初期費用では1~2カ月分の賃料がかかるのに加え、6~12カ月分の保証金がかかります。

保証金(敷金)が6カ月分なのか、12カ月分なのかによっても初期費用の金額は大幅に異なるため、余裕を持って予算を用意しておかなければなりません。
賃貸オフィスを借りる場合、初期費用が賃料の10倍程度になると考えておくと安心です。

また、賃貸オフィスはシェアオフィスと異なり設備や家具は備えられていません。
初期費用として、デスクやパソコン、電話、インターネット環境整備といった設備費用もプラスされることになります。

賃貸オフィスの主な料金内訳

初期費用の内訳を見ると、賃貸オフィスの場合は保証金(敷金)・礼金・仲介手数料・前家賃・火災保険などがかかります。
特に保証金が最も高額で、月額費用の6~12カ月分の支払いが必要になります。

礼金・仲介手数料・前家賃はそれぞれ月額費用の1カ月分が目安です。
前家賃については、入居する月の日割り分と翌月分の賃料、共益費、駐車場代などが含まれることもあります。
また、賃貸オフィスは火災保険の加入が義務付けられていることがほとんどです。火災保険に加入すると、2年間で約2万円~4万円かかります。

このほか、賃貸オフィスを借りる際には内装工事費や設備費、保証会社加入料などもかかります。
内装工事費は坪単価で約10万円~50万円、設備費は1人あたり10万円~30万円、保証会社加入料は賃料の0.5カ月分~1カ月分が目安です。

初期費用だけでなく月額費用も比較して判断しよう


シェアオフィスと賃貸オフィスを選ぶ時は、初期費用だけに焦点を当てるのではなく、月額費用についても確認しておくことが大切です。
初期費用だけでみると、賃貸オフィスよりもシェアオフィスのほうが費用を抑えられますが、月額費用で比較するとシェアオフィスのほうが割高になるケースが多いです。
ここでは、シェアオフィスと賃貸オフィスの月額費用について解説します。

シェアオフィスは初期費用が安いが月額は割高になりやすい

シェアオフィスは、賃貸オフィスのように敷金・礼金・内装工事費などが不要で、初期費用が大幅に抑えられる点がメリットです。
しかし、月額費用では立地や個室・共有スペースの違い、サービス内容によって料金が変わってくるため、1席・1人あたりで換算すると賃貸オフィスよりも割高になってしまう可能性があります。

また、シェアオフィスでは会議室利用や来客受付・電話対応代理、郵便物の受取、ロッカー利用、法人登記などがオプションになっています。
そのため、基本料金でどこまで利用できるのか確認しておかないと、固定費が膨らんでしまうかもしれません。
シェアオフィスは、少人数で短期間利用を目的としているなら問題ありませんが、大人数で長期間の利用を検討している場合は、割高になってしまいます。

賃貸オフィスは初期費用が重いが長期利用で効率的な場合もある

賃貸オフィスは、初期費用に保証金(敷金)・礼金・仲介手数料・前家賃のほか、内装工事費や設備費などで300万円以上になるケースが多いです。
しかし、契約後の月額費用は賃料と共益費が中心で、1人あたりの費用が上がりにくいというメリットがあります。

賃貸オフィスで必要となる共益費は、共用部分や共用設備の維持管理を目的としたもので、物件によって金額は異なりますが、賃料の5%~10%が相場です。
そのほか、更新料や火災保険料がかかりますが、シェアオフィスのように会議室や個室を利用しても追加料金が発生しないため、長期的に見るとコスト効率が良くなる可能性があります。
人員増加の予定がある場合や、長期的な利用を考えているのであれば、賃貸オフィスが適しています。

シェアオフィス利用時に注意したい追加費用


シェアオフィスでは、月額費用のほかにオプションの費用が追加されることも多いです。ここでは、シェアオフィスの利用時に注意すべき追加費用について解説します。

会議室の利用・キャンセル料

シェアオフィスで会議室を利用する場合、オプション料金がかかるケースがほとんどです。
会議室利用では、1時間あたり約1,000円~5,000円の費用がかかります。
中には月額プランのサービス内容のひとつに、無料利用時間が設定されている場合もありますが、そうでない場合は基本的に有料です。

また、当日にキャンセルする場合は100%、前日や数日前のキャンセルでも50%~80%程度のキャンセル料がかかる点も注意が必要です。
キャンセル料については、運営側の契約規約に記載されています。

個室利用料・席種変更費用

シェアオフィスでは、人数に応じた個室を用意しているところが多いです。個室を利用する場合は広さにもよりますが、月額5万円の費用がかかります。
ただし、シェアオフィスの中には予約制・常時利用・追加料金の有無が異なるため、場合によっては追加料金がかかるかもしれません。

また、共有席から個室、個室から固定席への席種変更をする場合も、席種変更費用がかかります。
特にスペースが広くなる場合には、差額の支払いが必要になる可能性が高いです。

時間外利用料・オプション費用

月額プランによって、利用時間が設定されているため、夜間や土日の利用は追加料金がかかる可能性があります。
仮に基本時間が平日の9:00~17:00だった場合は、17時を過ぎると営業時間終了後のオプション利用となり、1時間ごとに500円~1,000円程度の追加料金がかかります。

時間外利用が多くなる可能性が高いなら、24時間利用可能なプランが設定されているシェアオフィスを選択するのも方法のひとつです。
ただし、夜間や休日の利用も基本料金に含まれる分、月額利用料は割高になります。

退去時の原状回復費や違約金

シェアオフィスの退去時には、原状回復費用や違約金が発生することがあります。
ただし、シェアオフィスは内装や設備環境が整っているケースがほとんどであり、修繕が必要ないこともあります。
修繕が必要な場合でも、数万円程度で済む可能性が高いです。

また、シェアオフィスの契約途中で退去する場合は、残りの契約期間分の月額費用の支払いを求められることがあります。
残りの契約期間が1カ月だった場合は、1カ月分の賃料負担のみで済みます。

初期費用だけで選ぶと失敗する?比較時に確認したいポイント


初期費用だけで見ると、賃貸オフィスのほうがシェアオフィスよりも割高です。
しかし、月額費用ではシェアオフィスのほうが割高になってしまう可能性もあるため、初期費用だけで選んでしまうと後々後悔することもあるでしょう。
ここでは、比較時に確認したいポイントを解説します。

契約期間・途中解約の条件

オフィスを選ぶ際には、初期費用に加えて契約期間や途中解約の条件も確認する必要があります。
シェアオフィスの場合、契約するプランによっては最低利用期間1~6カ月程度設定されているため、短期利用に適しています。

一方、賃貸オフィスは契約期間が2年と年単位になっているケースがほとんどです。
利用期間によっては、途中解約で原状回復費用や違約金が発生する場合があります。
利用期間や移転の可能性、人員増加などの予定を踏まえた上で、シェアオフィス・賃貸オフィスのどちらが適切かよく見極めましょう。

法人登記や住所利用の可否

法人登記をシェアオフィスで検討している場合は、法人登記が可能かどうか、住所の利用ができるかどうかを事前に確認しなければなりません。
シェアオフィスでは、法人登記がオプションになっていたり、プランによっては法人登記不可になっていたりする場合があります。

ホームページ・名刺・請求書にシェアオフィスの住所を記載して良いか、郵便物の転送対応についても確認が必要です。
賃貸オフィスの場合は自社専用の住所として法人登記しやすいですが、シェアオフィスで法人登記する場合は十分な確認が必須となります。

法人口座開設や対外的な信用面

法人口座を開設する際、審査で会社の住所や実態が重要視されます。
シェアオフィスでも法人口座の開設は可能ですが、銀行によっては実態が不透明で慎重に判断される可能性があります。

シェアオフィスで法人口座を開設する場合は、事業内容における詳細の資料や契約書、請求書などを合わせて提出し、会社の実態の証明や信用を得られるよう準備しなければなりません。
また、来客対応や専用スペースの確保など、実務上問題がないかも確認した上で、対外的な信用に影響しないか慎重に見極める必要があります。

人数増加やレイアウト変更への対応

シェアオフィスは1人~3人の少人数で起業しやすいというメリットがある一方で、席数や利用人数には制限があるため、人員増加や設備増加といった対応が困難になる可能性があります。
事業が軌道に乗った段階で、別の拠点へ移転しなければならなくなるケースも考えられます。

賃貸オフィスの場合、人員増加にともなうレイアウト変更はもちろん、設備を増やすことも問題なく可能です。
目先の使いやすさ、起業しやすさだけでなく、長期的な視点で拠点を選ぶことが大切です。

シェアオフィスと賃貸オフィス、それぞれに向いている人


シェアオフィスと賃貸オフィスのどちらが適しているかは、事業の段階や働き方によって異なります。
ここでは、起業直後の経営者に向けて、シェアオフィスと賃貸オフィスそれぞれに適している人を解説します。

シェアオフィスが向いている人

シェアオフィスは、以下の人に適しています。

  • 起業直後の初期費用を抑えたい人
  • 1人~少人数で起業する人

シェアオフィスでは、デスク・Wi-Fi・会議室などが整備されているため、すぐに業務にとりかかりたい人が気軽に始められる点がメリットです。
基本的に短期間利用に適しているため、将来的に拠点を変えたり、人員増加したりする可能性がある人は、コスト効率や利便性の高さからシェアオフィスが適しています。

賃貸オフィスが向いている人

賃貸オフィスは、以下の人に適しています。

  • 複数人で事業を始める人
  • 長期的に同じ場所で拠点を構えたい人

賃貸オフィスは、自社専用空間の確保が可能なため、法人登記や法人口座開設がしやすく、来客対応をはじめ営業や採用でも信用を得られやすいです。
また、人員増加や設備追加などのレイアウトの自由度も高いため、増員で拠点を変更する必要もありません。
まとまった初期費用がかかる反面、1人あたりにかかる費用がシェアオフィスよりも割安になる可能性が高い点もメリットです。

シェアオフィスと賃貸オフィスの初期費用比較に関するよくある質問


シェアオフィスと賃貸オフィスは、初期費用の差だけでなく、使い方や事業の状況によって向き・不向きが変わります。
ここでは、起業準備中によくある疑問をQ&A形式で整理しました。
迷った時は、費用だけでなく「どのような働き方をしたいか」「どれくらいの期間使う予定か」もあわせて考えるのがおすすめです。

1人で起業するならどちらが向いていますか?

1人で起業する場合は、初期費用の負担が少ないシェアオフィスが適しています。
賃貸オフィスは保証金・礼金・前家賃・内装費などの初期費用が300万円以上になるケースが多く、起業直後のコストが重くなる可能性が高いです。

シェアオフィスなら、デスクやインターネット環境も整っているため、1人でも起業しやすいです。
しかし、来客数や機密性の高い業務など、場合によっては個室タイプや賃貸オフィスが適していることもあるため、慎重に判断する必要があります。

法人登記するならシェアオフィスでも問題ありませんか?

シェアオフィスでも法人登記できるケースはあります。
しかし、必ずしも法人登記できるわけではなく、プランによっては法人登記不可になっているところもあるため注意が必要です。

仮に法人登記できても、住所の公開範囲や来客対応、郵便物の受取や転送などで制限があることもあるため、実務上問題がないかもよく確認しなければなりません。
特に法人口座を開設する場合は会社の実態を確認するため、住所や取引先との契約についても審査される可能性が高いです。

法人口座の審査に影響することはありますか?

シェアオフィスだからといって必ずしも法人口座の審査に落ちてしまうわけではありません。
しかし、銀行によっては会社の住所・事業内容・ホームページ・契約書・請求書などから総合的に審査されることもあるため、事業実態を明確に証明できる資料を準備しておく必要があります。
シェアオフィスよりも賃貸オフィスのほうが法人口座の開設がしやすい傾向がありますが、事業の実態を証明する資料の準備が整っていれば、口座を開設できる可能性があります。

まとめ・初期費用を抑えるならシェアオフィスがおすすめ

シェアオフィスと賃貸オフィスでは、初期費用の金額や内容に大きな違いがあります。1人や少人数で起業する場合は、初期費用の負担が少ないシェアオフィスがおすすめです。
しかし、将来的に人員増加や長期的に同じ場所で拠点を構えることを考えているなら、賃貸オフィスが適している可能性もあるため、慎重に判断することが大切です。

創業手帳(冊子版)では、シェアオフィスと賃貸オフィスの違いやメリット・デメリット、起業する際の注意点などについても解説しています。ぜひ参考にしてみてください。

関連記事
起業して初めてのオフィス選び10のポイント ‐賃貸オフィス編のまとめ(前編)
低コストで起業したい!オフィスを構える方法や家具選びの方法を徹底解説

(編集:創業手帳編集部)